絶剣を愛する転生者の物語   作:小木 琉山

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どうも、小木 琉山です。

皆さま、長らくお待たせいたしました。今回よりマザーズ・ロザリオ編に突入致します。

そしておよそ7ヶ月と一週間の時が経ち。遂にヒロインの登場です。ヒロイン不在のこのような作品を読んでくださっている皆さまには感謝の言葉が尽きません。

これまで長いプロローグでした。

今日は2話続けて投稿しようと思います。

お付き合いのほどよろしくお願い致します。

では、本編をどうぞ。


〜〜〜〜
誤字修正致しました。報告ありがとうございます


マザーズ・ロザリオ編
絶剣


「・・・完成、した・・のか?」

 

桐本家の自室で俺は一人誰にともなく呟いた。

 

だが、しっかりと返事は帰ってきた。

 

俺は、それを聞いて安堵、とまではいかないもののいくらか心が軽くなった。・・・それもそうだ、これを作り始めてちょうど10年が経つだろうか。ここ数年は特に手をつけなくても問題は無かったが、それでも心配にはなる。

 

「・・・よし、後もう少しだ。」

 

その時までもう少しの辛抱だ。

 

 

 

 

 

 

 

〜〜22層 ログハウス〜〜

 

「ねぇ、アスナはもう聞いた?《ゼッケン》の話」

 

2026年1月6日である今日。このログハウスには家主であるキリトとアスナさんとユイちゃん。そしてその他にシリカさんにリズベットさん、リーファさん、俺が冬休みの課題を終わらせようと集まって居た。

 

そんな中、不意にリズベットさんがアスナさんに問いかけた。

 

「ゼッケン?運動会でもするの?」

 

「ちがうちがう、カタカナじゃなくて漢字。絶対のゼツにソードの剣と書いて、《絶剣》」

 

アスナさんの問いに対するリズベットさんの答えを聞いた瞬間、俺は全身に電流でも流れたかのような衝撃を受けた。

 

・・・遂に、遂にこの時が来たか、と。

 

「絶・・・剣。新実装のレアアイテムかなにか?」

 

「のんのん、人の名前よ。あだ名・・・というか、通り名かな。あたしもキャラクターネームは知らないんだけどね。ともかく、あんまり強すぎるんで、誰が呼び始めたのか、ついた名前が絶剣。絶対無敵の剣、空前絶後の剣・・・そんな意味だと思うけど。」

 

あぁ、間違いない。ユウキに関すること以外の原作知識が無い俺でも分かる。絶剣・・・この世界でその通り名を持つ人物はただ一人だろう。

 

「なぁ、その話、俺にも詳しく教えてくれよ。リズベットさん。」

 

「もちろんよ。というか、シンヤからでも聞こえるでしょ。」

 

ちなみに俺は向かい合っているソファに座っている女性4人より少し離れた暖炉の近くで課題と格闘していた。まぁ、絶剣の話題になった瞬間に会話の方に集中したが。

 

「まぁな。と、すまん話の腰折っちまったな。続けてくれ。」

 

「はいはい、それじゃあ話を戻すけど。噂をよく聞くようになったのは、ちょうど年末年始あたりだから・・・一週間前くらいからかあなぁー」

 

年末年始か・・・その時は電波の殆ど通らない田舎にある父さんの実家に帰ってたからな。噂を聞かなかったのも当然か。

 

そんな考え事をしている間にもリズベットさんとアスナさんの話は進んでいた。

 

「それで・・・強いって、その人はプレイヤー狩りなの?」

 

「んーん、デュエル専門よ。24層主街区のちょっと北にさ、でっかい樹が生えた観光スポットとの小島があるじゃない。あそこの樹の根元に、毎日午後3時になると現れて、立ち合い希望プレイヤーと一人ずつ対戦すんの。」

 

「ちなみに、対戦した奴らはどうなったんだ?」

 

聞くとリズベットさんは苦笑しながら答えた。

 

「それはもうきれいに全員返り討ちよ。もしかしたらあの剣帝様でも返り討ちかもしれないわね。」

 

うぐっ!なんか久し振りに聞いたなその厨二臭い二つ名。

 

「ちょっと信じられませんよねー」

 

シリカさんが、フルーツタルトをもぐもぐ食べながら割って入った。

 

「あたしなんか、まともに空中戦闘できるようになるまで半年くらいかかったんですよ。なのに、コンバートしたてであの飛びっぷりですからね!」

 

あー、たしかにシリカさん最初の頃は、空中で安定するまで結構かかってたもんなー。

 

俺とキリトは割と早かったと思うが。

 

「まぁ、その辺りは感覚だからな。人それぞれ向き不向きはあるさ。シリカさん。」

 

「シンヤ君は出会った当初から飛べてたから嫌味にしか聞こえないよ。」

 

「あ、リーファさん今それを言わないでくれよ。ほら、シリカさんがいじけちまったじゃねーか。」

 

ソファの方では、シリカさんの目からハイライトが消えてアスナさんが必死にフォローしていた。

 

「良いんですよ、どうせあたしは感覚が鈍いですよ。」

 

「そ、そんなことないよ、ただキリト君とシンヤ君が規格外過ぎるだけだよ。」

 

少し聞き逃せない事を言われたような気もするが今はシリカさんに元気を出してもらうことが先決だ。

 

俺は前々から用意していたとあるものを4冊アイテムストレージから取り出した。

 

「注目!アスナさん、シリカさん、リーファさん、リズベットさん。あなた方四人にこれを贈与いたす。だからシリカさん、そろそろハイライトを戻してくれ。お願いします。」

 

これでシリカさんがヤンデレとかいう道に進んでしまったら取り返しのつかないことになるから。とは思いこそすれ方には出さない。

 

「え?なになに?『GGOでの女装キリトの写真集』!?」

 

表紙を読んだリズベットさんが驚きの声をあげた。他の3人も声はあげなかったものの驚いているようだ。

 

「そうだ、これは前回のBOBに参加するためGGOにコンバートした時に俺が撮ったキリトの写真を1つのファイルにまとめてアイテム化したものだ。」

 

「「「「貴方が神か!」」」」

 

「ハッハッハッ、苦しゅうない!・・・と、俺はそろそろログアウトするよ。あ、アスナさんは明日絶剣に挑戦するんだよな。先に俺が挑戦しても良いか?」

 

「うん、問題ないよ。むしろ先に挑戦してくれた方が相手の動きも見れるし」

 

「そうか、ありがとう。じゃあまた明日。そこの寝ているキリトとか言う奴にもよろしく言っといてくれ。」

 

そして俺は明日に備えてログアウトした。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜2027年1月7日 24層小島〜〜

 

キンッ!キンッ!

 

金属音が響く中、人混みの外あたりで俺はアスナさん達が来るのを待っていた。

 

正直今すぐにでも挑戦に行きたいのだが。アスナさん達が来るまでは我慢だ。

 

「お、きたきた。そろそろ時間だぞー。というかもう始まってる。」

 

「ごめんごめん、そこのバカップルが二人の世界に入り込んじゃって。」

 

リズベットさんが謝罪をしながら、キリトとアスナさんに向けてジト目を送る。ついでに俺もジト目を送る。

 

「い、いやいや、入り込んでないよ。そ、それよりほら、見にいこうよ!」

 

アスナさんが焦らながら苦しい話題転換をする。問い詰める理由もないので素直についていくんだが。

 

見えるところまで来るとちょうど挑戦者が降参したらしく。決闘終了のファンファーレが鳴り響いていた。

 

そして、上空から、1つのシルエットがくるくると螺旋軌道を作って降下してきた。

 

 

パープルブラックの艶やかで、長く伸びたストレートの髪。

 

胸部分には黒曜石のアーマー。

 

その下のチェニック。

 

青紫色のロングスカート。腰

 

の黒く細い鞘。

 

 

そこには、俺がこの世界に来た理由でもある。夢にまで見た一人の少女の姿があった。

 

後ろでアスナさんが少し騒いでいるが耳に入らない。

 

「じゃあみんな、先に行ってくる。」

 

俺はゆっくりと真ん中の広場に向かって歩いていく。正直、めちゃくちゃ緊張している。

 

正に今この瞬間に、長年の夢が叶うんだ。緊張するな、という方が無理である。

 

そして、俺は広場の中央にたどり着いた。

 

「あ、お兄さん、やる?」

 

実際に初めて聞いたその声に感動で視界がボヤけて失神しそうになるが耐えて答える。

 

「おう、もちろんだ。」

 

「オッケー!お兄さんは地上戦と空中戦、どっちが好き?」

 

地上戦一択だな、俺は空中戦闘が地上戦に比べてあまり得意ではないのだ。

 

「地上戦で」

 

「オッケー。ジャンプはあり、でも翅を使うのはなしね!」

 

そして、決闘の申し込み窓が出現した。

 

【YUUKI is challenging you】

 

迷わずに承認してカウントダウンが始まる。

 

仮想世界であるにもかかわらず、さっきから鼓動がうるさい。あと少しで強制的にログアウトでもさせられるんじゃないか?て、ぐらいだ。

 

だけど、目の前にいる少女の姿を見るだけでそんなもの関係ないと思える。今、この一瞬でさえも楽しもう。

 

「それじゃあ、よろしく頼むよ。ユウキ」

 

「うん、こちらこそ!お兄さん!」

 

そして、カウントダウンがゼロになり決闘が始まった。

 

 

 

 

 

 




マザーズ・ロザリオ編の最初の話ということもあり、いつもより少し長くなってしまいました。

次回は勝手ながらタグの『戦闘模写無し』を解禁させて頂きます。

申し訳ございません。

何といいますか。耐えられなかったんです。

次回もよろしくお願い致します。

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