どうも、小木 琉山です。
お気に入り件数330突破ありがとうございます。
そして一言。
何があったんですか?
お気に入り件数の増加がいきなり過ぎて、開いたときにしばらく呆然としてしまいました。
まぁ、何はともあれ、皆さま誠にありがとうございます。
では、本編をどうぞ
倉橋先生からのメールを受けた俺は、半ばパニック状態になりながら急いで準備をして病院へと向かった。
(嘘だ、ありえない。いくらなんでも早すぎる・・・!まだ、半月以上はあったはずだろ!)
俺は和人から急遽借りたバイクを走らせながらそう、頭の中で繰り返す。
今はまだ2月の中旬。原作では、ユウキの病状が急変するのは三月以降だった。
・・・いや、原因は分かっている。
俺が知っているのは俺がいないSAOの世界だ。そこに俺という、異物が入り込んでしまった事によってこの世界が元々辿る予定だった未来を歪めてしまった。
(この事を予想してなかった自分に腹が立つ!『アレ』はまだ研究機関にあるってのに!)
焦りつつもバイクを止める事なく走らせながら、俺はあの日の事を思い出していた。
〜〜〜〜
1月12日 総合病院
この日、俺はとある事情で倉橋先生と話をするために、総合病院へ赴き、倉橋先生を呼び出してもらっていた。
「それで、桐本 真也さんでしたか。この度はどの様な御用でここへ?」
倉橋先生は訝しみながらも、笑顔でそう言った。
まぁ、当然といえば当然か。得体の知れない男がいきなり訪ねて、しかも、名指しで呼び出しをかけて来たのだ、怪しまない筈がない。
ここで回りくどい言い方をしても逆効果だろう。
何しろ、ここから先の話でするのは、現実味のない、狂言と思われて当然のことだ。
「単刀直入に話させて頂きます。
・・・私は、貴方が担当している紺野 木綿季さんの病気を治す事が出来ます。」
「・・・・・・は?」
たっぷりと硬直してから、間の抜けた声を上げる倉橋先生。
いきなり真顔で難病を治せると堂々と言い放たれたら、そんな反応をするというものだ。
俺が倉橋先生の立場だったら、とりあえず精神科の医師を呼ぶところだ。
程なく、ショックから抜け出した倉橋先生は、真剣な表情をして口を開いた。
「冗談を言うのも大概にしてください。こちらも忙しいんです。貴方の様な人の相手をする暇はありません。」
・・・やはりか。うん、分かってた。これが普通の反応だ。
だがこちらにも、引くに引けない事情があるんだ。いくら時間がかかっても、持てる限りの原作知識を話して、納得してもらうしかない。
そう、俺が静かに持久戦の覚悟を決めていると、前触れもなく、突然倉橋先生が表情を緩めた。
「・・・と、他の医師だったら言っていたでしょうね。だけど、私は信じますよ。」
今度はこちらが呆然とする番だった。・・・失礼だが、主にこの人大丈夫か?と
いやいや、これ以上に胡散臭い話なんてないだろ。この人、老後は絶対何か詐欺にあうぞ。
「・・・信じていいんですか?我ながら胡散臭い事この上ないと思うんですけど・・・」
「えぇ、恥ずかしながら、こちらも現実味の無い話ではあるのですが。・・・私は小さい頃から同じ夢をずっと見ていましてね。」
苦笑しながら倉橋先生が言う。
信じた理由が夢って、本格的にこの人が心配になって来た。・・・人の事を言えないが。
多分、この会話を誰か他の人が書いていたら、確実に『こいつら馬鹿じゃねーの?』とか、思うぞ。
「最初は、不気味な夢だな、とか思ってたんですけど。医師になってからでしたか。段々と現実と夢が一致して言ったんですよ。
・・・最後の決定打は貴方がここに来て、言った言葉です。だから、私はその夢が神のお告げなんだと思っています。まぁ、現在以降の事はわからないんですけど。」
なんだろう、神と聞いた途端に頭の中を一つの顔が過ったんだけど。
「・・・因みに、その夢に神々しいお爺さんが出て来ませんでした?」
・・・まさかな。
「はい?えぇ、出てきましたよ。最近の夢ではジャージ着てましたけど。というか、予言をしてくれたのがその方なんですよ。」
やっぱそうじゃねーか。
あの爺さん、何やってんの!?いや、すごい助かったけどさ。これってやってる事、洗の『予言じゃ』・・・
・・・
洗の『予言である』、洗『予言なのじゃ』、せ『予言しかなかろう』
・・・なんか、変な声に邪魔されて洗の『予言じゃな』って、言えないんだけど。
何にしても、この人には申し訳ない気持ちしかないんだけど。
「ありがとうございます、大体事情は把握しました。取り敢えず一言謝らせて下さい。
本当にすみませんでした・・・。」
「な、なんで桐本さんが謝るんですか。夢の中とはいえ、あの素晴らしい神さまに会えて私は幸せですよ。」
あ、この人かなり、というか、半端にならないくらいお人好しだ。
こんなに良い人にあの神は、・・・俺のせいでもあるとは思うが。
取り敢えず、次会った時はお礼と一緒に一発殴ろう。
それはそれ、これはこれの精神だ。
「はぁ、まぁ気を取り直して。神にあって予言を聞くってことはもしかして、俺が転生者であることと、特典についても?」
「はい、知っています。・・・まぁ、三つ目の特典については驚きましたけどね。
まさか
『万能薬を作る能力』だなんて。」
・・・さっきの『予言』の件は置いておいて、本当に説明する手間が省けて助かる。
「本当だったら超能力的なもので治すのが良かったのですが・・・。何故か、断固として神がこれにしろ、と、譲らなかったので。・・・貰う立場なんで、贅沢は言えませんけどね。」
今思えば、なんで万能薬なんだろうか。神の考えている事は未だによく分からない。
「それなら、今すぐこれを木綿季に飲んで貰うっていうのは。」
二粒だけ万能薬の入った瓶を渡しながら駄目元で聞いてみる。
何故二粒だけなのかというと、これまた謎なことに、二粒作るのに10年掛かるんだ。しかも、一生で作れるのは合わせて二粒のみ。
本当に何を考えているのだろうか。
「無理です。ここはあくまで病院で、私はそこで働いている医師です。安全性の保証もなく、薬を処方する事は出来ません。」
ですよねー
「でも、安全性が保証できれば良いんですよね?それにはどのくらい時間がかかるんですか?」
これで三月を過ぎるようなら、・・・もう犯罪者になるしかないな。
「少し前までは、新薬は処方まで9年から17年はかかったのですが。最新のを用いて作られた機械を使えば、安全性の確認などを合わせて2ヶ月でこなせるので、三月には処方をできます。
ただ、二つ以上のサンプルと処方用の薬をセットしないといけないので、手持ちに無くなってしまうのですが。」
よかった、間に合いそうだ。3月27日がタイムリミットだから、少し余裕があるか。
それにしても、成る程、だから神は二粒の万能薬を作れるようにしたのか。
「よし、分かりました。ではお預けします。」
「はい、確かに。責任を持って預からせて頂きます。」
はぁ、これでユウキは助かる。やっと一安心つけるな。
そうして、俺は倉橋先生と別れ、帰路に着いた。
〜〜〜〜
本当にこの時の自分を殴り飛ばしたい。
なんでこの時、俺は気づかなかったんだ。俺が存在する時点で原作の流れとは違う方向に流れるのは当たり前のことなのに。
そして、俺は総合病院に到着した。バイクを止め、重い足を動かして、受付を通り。木綿季のいる病室へ向かう。
今、万能薬は手元には無い。今から取りに行ったのでは、到底間に合わない。
俺は何のために転生してこの世界に来たんだ?
特典の効果で無双して愉悦に浸る為か?第二の人生を謳歌する為か?
いや、違う。木綿季を救う為だ。
そのくせに俺は何をしていた?
こんな考え不足な行動のせいで木綿季は居なくなる。救えたはずの命を俺は、自分の手で潰した。
自責の念が胸の中を渦巻く。
これから、俺は木綿季の最後に立ち会うことになるだろう。いや、既に手遅れなのかもしれない。
だが、行かないといけない。それが、みすみすと木綿季の生存の未来を手放した俺の責任であり、義務だ。
そして、遂に木綿季の病室の前にたどり着いた。鍵は開いているらしい。
躊躇いながら、ゆっくりと扉を開ける。
そこには
誰もいないベッドに機能を全て止めた機器があった。
それが意味するのはつまり、そういう事だろう。
成る程、俺の様な愚者には、立ち会うことすら許さないってことか。
今頃、木綿季は安置所か。
思わず、膝の力が抜けて膝立ちになる。
そっか・・・木綿季はもう、居ないのか。
そう自覚すると、心のダムは決壊した。
両目から涙が溢れ出てくる。
俺のせいで、木綿季が死んだんだ。
「・・・ごめん・・な、木綿、季。助け・・られなくて。・・ごめんな・・・木綿季・・・」
口から出てくるのは嗚咽混じりの謝罪のみだった。
「もしかして、シンヤ、なの?」
この様な駄文にお付き合い頂き誠にありがとうございました。
はい、三つ目の特典は『万能薬を作る能力』でした。
安直過ぎないかと思われるのも無理はないかとは思いますが。私にはこれが限界でした。ご了承下さい。
そして、次回は最終回です。
この度は誠にありがとうございました。