絶剣を愛する転生者の物語   作:小木 琉山

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どうも、小木 琉山です。

今回から新章に入ります。ここからアリシゼーション編まで、ほとんどオリジナル回になると思います。

相変わらずの駄文とは思いますが。お付き合いの程よろしくお願いします。

では、本編をどうぞ。



一章 新たな始まり
お見舞い


 

木綿季の病状が万能薬により、急変してから早くも数日が経った。

 

普通なら、この間に様々な出来事があり、俺はそれを解決する為に奔走していた、と言うがスタンダードなのだろうが。・・・逆に、驚くほど何もなかった。

 

と、いうのも、ほぼ全てのことが何故か(まぁ、十中八九、神が何とかしているのだろうが)片付いていたのだ。これで、木綿季の病状の急変についても、これからの生活についても、一安心となった。

 

この辺りは流石神さま、仕事が早い。これからは駄神や堕神なんて言わないようにしよう。

 

因みに、学校は俺たちと一緒の学校に通うらしい。

 

ただ、一つ懸念があるのが、木綿季がどこに住むことになったのか、まだ知らされてない事だ。

 

俺に知らされてないだけで、既に決まっているのだろうが。やはり、心配なものは心配なのである。

 

まぁ、流石に木綿季一人で、前まで住んでいた一軒家で生活するのは無いだろう。

確か、木綿季ってまだ十四歳だった筈だ。危なっかしくて多分毎日のように明日奈さんを送り込むぞ。

 

・・・俺は行かないのかって?

 

よく考えてくれ。

この春から一応高校というべきか中学というべきか。未だよく分からないが、俺たちと一緒の学校に通うとはいえ、見た目が余裕で中学生の女の子の住んでいる家に毎日のように通う男・・・しかも恋人というわけではない。

 

犯罪臭しかしないんだよ!!

 

だからこそ、俺は影からひっそりと見守りつつ、明日奈さんに木綿季への直接的な手助けをしてもらおうという魂胆さ。

 

 

・・・ストーカーではないからな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜

 

学校から帰宅し、着替えてすぐ出掛ける。これがここ数日の俺の日課だ。

 

毎日のように、和人からバイクを借りるわけにはいかないので、電車で病院へ向かう。

 

病院へ行く理由は、言わずもがな、木綿季のお見舞いだ。

 

万能薬を飲んだ時点で、普通に動けるまで回復していたのだが、何でも体裁上、一ヶ月の検査入院が必要らしい。

それを聞いた木綿季は

 

『えぇ〜、早く学校に行けると思ってたのにー!』

 

と、不満の声を上げていた。

 

まぁ、仕方ないといえば仕方ないけど。

そういうわけで、木綿季は未だ病院生活というわけだ。

 

俺としても、毎日のように、というか、四六時中木綿季と会っていたいので、お見舞いに行っているのだ。

 

目的の駅に到着し、停車した電車から降りて、徒歩で病院に向かって歩いていると、不意に着信が入った。誰かと思えば、和人からだった。

 

「和人か、どうしたんだ?

 

『緊急事態だ、真也!俺が大事に取っていたプリンが二つとも無くなっている!!』

 

「あ、そうか、じゃあな。」

 

緊迫した和人の声に一瞬でも、本気で何事かと心配した自分がアホみたいだ。

 

ん?そういえば、来る途中に寄った和人の家で、偶々いた直葉さんからプリンを二つほど貰ったような・・・

 

丁度いいから木綿季へのお土産にしようとしてたんだけど・・・別にいいか。

俺は悪くない、俺は悪くない。

 

病院へ着くと、受付にお見舞いに来たという旨を伝え、エレベーターに乗り込み、木綿季の病室の階へ向かう。

 

もう、無菌室でなくても問題ないので普通の病室に移ったのだ。今は普通の個室だ。

 

エレベーターから降りて、少し歩けば。木綿季の病室の前だ。

 

ここで、ノックをせずに入って行くのがハーレム系主人公、もしくは変態だ。

当然、俺はハーレム系主人公でも変態でもない為、普通にノックをする。

 

直ぐに『どうぞー!』と、相変わらず元気な声が聞こえて来たので、扉を開けて中に入る。

 

「よう、木綿季。昨日ぶり!」

 

「やっほー、真也!昨日ぶり!」

 

片手を上げながら挨拶をすれば、ベッドに座っている木綿季が朗らかに返事をする。

 

「ほい、これお土産な。結構有名な所のらしいから味は保証する。」

 

「うわぁ、ありがとう真也!ボクこれ一回食べてみたかったんだ!」

 

余程嬉しかったようで、両手を上げて喜ぶ木綿季に、思わず頬が緩む。

 

あ〜、やっぱり木綿季は天使だ。

 

「そうそう、明日奈さん、今日は来れないらしいぞ。何でも家の用事があるとかどうとか。何か、片付けとか言ってたぞ。」

 

「そっか、ならしょうがないね。明日奈も頑張ってくれてるんだから。」

 

「・・・うん?どういうことだ?」

 

頑張ってくれてるって、何か訳ありそうな言い方だけど。俺の知らない間に何か問題でも発生したのか?

 

「あれ?真也はまだ聞いてないの?ボク、明日奈の家で住ませてもらう事になったんだよ。」

 

・・・うん、聞いてない。全く、聞いてない。なんだ、俺だけ蚊帳の外ってか。

 

たしかに、結城家だったら、部屋はあるだろうし。金銭的にも余裕があるだろうし。一番妥当だな。明日奈さんも木綿季も嬉しいだろうし。

 

というか、明日奈さんの家に住むってことは、つまり・・・

 

「まさか本当に、結城 木綿季になるのか?」

 

「ボクも最初聞いた時そう思ったんだけど。

どちらかというと、引き取ってもらうというより、居候に近い感じらしいから、名前はそのまま紺野 木綿季だよ。」

 

「そういうことか。なら、今頃明日奈さんは部屋の用意をしているということか。」

 

「うん、明日奈、凄い張り切ってたよ。目を輝かせながら、『期待しててね!』、て言ってた。」

 

脳裏に、嬉しそうに部屋を片付けて模様替えをする明日奈さんの姿がありありと浮かぶ。

 

まぁ、明日奈さんも妹が出来たみたいで嬉しいんだろう。

 

だが・・・

 

「木綿季の部屋が、魔改造されてない事を祈るばかりだな。」

 

「明日奈のやる気的にもあり得そうだからね。」

 

明日奈さんって、普段は知的で優しいんだけど、時々馬鹿になる・・・もとい天然が入るからな。

 

特に暴走してるのなら尚更だろう。

 

更に悪いことに最近、その機会が多くなったのだ。まぁ、木綿季が可愛いから仕方ないけどさ。

 

昨日なんて、お土産でフルーツの盛り合わせまでは、まだ許容範囲だったんだが。

 

そこから、京都名物の八つ橋に大阪のたこ焼き(焼きたて) 北海道のジンギスカンなどなど、有名な物を全国から集めていた。

 

木綿季と二人して呆然と部屋に運び込まれるのを眺めていたよ。

 

そんな明日奈さんが、やる気に満ち満ちているという事は・・・そのうち、木綿季の部屋だけ、数世紀時代を超えてるようになるんじゃないか?

 

「・・・プリン、食べようぜ。」

 

「・・・うん、そうだね。」

 

真也と木綿季は思考を放棄した。

 

 

 

プリンはとても美味しかったです。

 

 

 

 

 

 

 

 





この度は、この様な駄文にお付き合い頂き誠にありがとうございました。

今回は少し、木綿季との会話シーンが多めになりました。
木綿季の口調などで訂正等ございしまたら。教えて下さると幸いです。

誠にありがとうございました。


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