どうも 小木 琉山です。
今回は前回の続きからになります。
少しシリアスも入りますがお付き合いのほど宜しくお願いします。
では本編をどうぞ。
「ねぇ、真也。」
プリンを食べ終えて、軽くリラックスしていると、唐突に木綿季が口を開いた。
いつもの様に軽いノリで返そうとしたのだが・・・やめた。
木綿季の顔に目を向けると、木綿季はいつにもなく真剣で、少し哀愁漂った顔をしていた。
俺も崩していた体勢を整えて、続きを催促する。
木綿季は言いにくそうに何度か口を開閉させて、ポツリと言った。
「・・・ボクって本当に助かって良かったのかな。」
・・・っ!
「良いに決まってるだろうが!」
木綿季は突然の俺の大声に体をビクッと震わせた。
しまった、遂、カッとして怒鳴っちまった。
こちらの顔色を伺う様にこちらに視線を向ける木綿季に罪悪感を覚える。
だが、うん、これは木綿季が悪い。木綿季至上主義かつ木綿季絶対主義の俺でも、流石に今回ばかりは看過出来ない。
助かっても良かったのか、だと?ふざけるのも大概にして欲しい。
「・・・木綿季、何でいきなりそんな事を言うんだ?」
内心の負の感情が出ないように極力注意して、出来るだけ優しく問うと、木綿季は視線を落として、ポツリポツリと叱られた子供の様に話し出した。
「その、病気が治って。この数日間。真也達がお見舞いに来てくれたりしてくれて、すっごい楽しかったんだ。・・・だけど、ふとした時にスリーピングナイツのメンバー達の顔が浮かんできて
ボクは助かったけど皆んなは?
皆んなが苦しんでる中ボクはのうのうと生きてる。
本当にボクはこのまま生きていて良いの?
そう思って。どうしようもないくらい、不安になっちゃって・・・。」
・・・あぁ、成る程。そういうことだったのか。
木綿季の言葉を聞いて、俺の中で軽く燃えていた木綿季への怒りがスッと冷めていくのを感じた。
代わりに出てくるのは、それに気づけなかった自分への怒り、そして後悔だった。
確かにそれは不安になるだろう。自分だけが友達を取り残して幸せになるなんて、無理な話か。
いくら、ゲーム内で強くても。それが現実世界に反映さらる事はない。木綿季は明るくて無邪気な一人の少女だ。そんな子にこの状況は辛いだろう。
何で俺はこんな事にも気づかなかったんだ。
「木綿季、さっきは怒鳴って悪かった。だが、二度とそんな事は言わないで欲しい。」
「うん、ボクの方こそごめん。」
互いに謝罪をするが。一度暗くなった雰囲気がそう簡単に晴れるはずもなく。時間だけがただ過ぎていった。
どうにかしたいのは山々だが、生憎、万能薬は俺の手持ちには無い。
たとえあったとしても、全員に対して使用は出来ないから同じ事だろう。
つまり、俺に出来る事は何も無いのだ。
唯一手掛かりが得られるかもしれなかった原作知識も既に俺の覚えている範囲は過ぎ去ってしまった。
あとはまさに神のみぞ知るだろう。
肝心な時に限って役に立たない自分が嫌になる。
せめて、この暗い空気を少しでも晴らそうと口を開こうとした瞬間。
コンッコンッ
と、静かな部屋にノックの音が響いて、扉から倉橋先生が入ってきた。
「失礼しま・・・、て、何ですか、この暗い空気。真也さん、何をしたんですか?」
「いや、何もしてないから!真っ先に俺を疑わないで欲しいんだが!?」
何食わぬ顔で入ってきた倉橋先生は、静寂に包まれた部屋の様子に目を剥くと、流れる様に俺にピタッと視線を合わせて言った。
なに、俺ってそんなに何かしそうなの?
「それで、どうしたんですか?検査とかなら俺外に出ますけど。」
「いえいえ、少し良い情報と悪い情報が入りまして。これは伝えて置かないと、と、飛んできたんですよ。」
あ、それで若干汗をかいてるのか。病院側の人間が病院を走って良いのか?
まぁ、これを聞くのは蛇足だろう。
「それで、良い情報と悪い情報、どちらから話しましょうか?」
笑顔で提案してくるからには、そこまで悪い情報でも無いのだろう。
木綿季に視線を送ると、木綿季もこちらを見ていたので、木綿季に判断は任せる事にする。
「えっと、それじゃあ良い方からで。」
木綿季の言葉を聞いた倉橋先生は朗らかに微笑むと話し出した。
「分かりました。ではさっそくですが。
木綿季くんおめでとうございます!貴女のギルド、スリーピングナイツのメンバーが全員。病状が回復に向かっているそうです。」
「「は(へ)?」」
予想を遥かに超えてきた情報に、思わず素っ頓狂な声を上げてしまう俺と木綿季。
え、なに、さっきまで悩んでたのが馬鹿みたいじゃん。
思わぬところでからの救いの手に、思わず脱力してしまった。
こんなのありかよ。タイミングが良いなんてレベルじゃないぞ?
「なんでも、相次いで奇跡が起こったみたいです。特効薬が偶然出来たり。体内の免疫機能がいきなり活発化したり。と、このままだと、その内地球が爆発するのではないかというくらいの奇跡が起こってます。もう神の存在は否定できませんね。」
なんだろう、それ凄い心当たりがある。
倉橋先生自身も心当たりがあるらしく、苦々しく笑いながら話していた。
なんだ。アフターケアも万全ってか。本当、よく分からない神だよ。
俺みたいな奴に、こんなに手助けしてくれるなんて。初対面の時からは想像もつかないな。
まるで、人が変わったみたいだ。いや、神の場合は神が変わったみたいだ、か。
・・・今度、お供えでも持っていくか。あいつ何の神でどこにいるか知らないけど。
まぁ、なにはともあれ。これで木綿季も安心して幸せに生きれるな。
「良かったな、木綿季。」
「うん、本当に夢みたいだよ!」
その内、スキップでもするのではないかというくらい、嬉しそうな木綿季が先程とは打って変わって、満面の笑みで言った。
やはり、木綿季には笑顔が一番似合う。ずっと笑顔で何事もなく幸せに生きて欲しい。
出来るならば、俺もそれを隣で見届けたい。
その為には、木綿季にアタックし続けないとな。・・・俺の心臓がもてばいいんだが。まぁ、無理だろう。
その辺りは諦めている。多分一回でも断られたら、心折れるんじゃないか?こう、ポキリと。
そんな、チキン丸出しの考えをしていると唐突に木綿季が口を開いた。
「あ、倉橋先生、悪い情報って何だったの?」
そういえば、もう一つあったんだった。一つ目の衝撃が強すぎて頭から吹っ飛んでいた。
俺と木綿季が注目すると、倉橋先生はゆっくりと口を開いた。
「その、明日奈さんが先程病院に搬送されたんです。」
「え、明日奈が!?」
「何があったんだよ!?」
俺と木綿季が焦って聴くと倉橋先生は言いにくそうに。
「えっと、その、なんでも、部屋に対不審者用の撃退レーザーを設置していたら、誤って自分が撃たれてしまったみたいで・・・」
「「・・・・」」
先程とはまた、逆ベクトルの衝撃に思わず押し黙ってしまう、俺と木綿季。
もうなんて反応すればいいか分からないが、取り敢えず一言。
明日奈さん、あんた本当に何やってんの!?
この様な駄文にお付き合い頂き誠にありがとうございました。
明日奈さんがもう戻れないところまで来てしまいました。
これはもう、このキャラでこの先進めるしかない!
・・・・・・明日奈さんファンの皆様申し訳ございませんでした。