絶剣を愛する転生者の物語   作:小木 琉山

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どうも、小木 琉山です。

今回は前回の続きからとなります。

では、本編をどうぞ


デート?いえ違います。(上)

 

みんなはデートと言ったら何を思い浮かべる?

大抵の人は男女が待ち合わせをして甘い雰囲気を醸し出しながらキャッキャッウフフするのを思い浮かべるのではないだろうか。

 

確かに俺だって、デートと言われたらそんな感じかな、と思い浮かべる。

 

それならさ

 

「逃がさないよ、シンヤ!」

 

「え、ちょ、なんでそんなに空気抵抗受けてそうなのに速いんだよ!」

 

「これも、システム上の設定だよ!」

 

「システム万能かよ!!」

 

空での追いかけっこから始まった俺達のこれはデートと呼べないのだろうか。

 

いや、実際にデートではないけどさ。

 

 

 

 

 

〜〜〜〜

 

それから、数分と経たずに俺とユウキは央都アルンに到着した。他にも行く場所くらいあるだろうに、相変わらず人で賑わっている。

 

と、そう言えば央都に来たのは良いけどこれからどうするのか聞いてなかったな。

 

そう思った俺は、隣でまた楽しそうなものを探すように目を輝かせているユウキに話しかけた。

 

「なぁ、これから何処に行くか決めてるのか?」

 

「へ?えっとね、まずは武器屋に行きたかったんだ!行こ、シンヤ!」

 

朗らかに言うユウキにシンヤは察した。

 

あ、これデートじゃないの確定だ。

 

ほんの僅かでも期待してしまうのが男の性。

 

まぁ、例え地獄の果てであろうと、ユウキが居れば何処にいても幸せだし楽しいから何処えなりとも付き合うけどな。

それに、俺がデートと思えば俺にとってはデートだし!

 

そうして、俺達の買い物(シンヤにとってはデート)が始まった。

 

 

〜〜武器屋〜〜

 

「わぁ、何この剣。すっごく綺麗!」

 

「本当だ、水晶みたいな刀身だな。なんていう剣なんだ?」

 

武器屋に入った俺達は早速、目に付いた剣を物色していた。

 

そんな中、ユウキが見つけたその剣は、確かに綺麗なのだが。

本当に武器屋で売ってるような物なのか怪しい程の物であった。

 

ユウキは気に入ったのか、棚から取り出してみて、試し振りをしている。

 

一方俺は名前が気になり、値段が共に書いてあるプレートに目を向て。書いてあることを読み上げた。

 

 

 

『水龍神の水晶』

 

値段:999999999999ユルド

 

 

「「・・・」」

 

俺が読み終えて無言のままユウキの方を向くと、ユウキも無言のまま棚に剣を返していた。

 

いや、システム的に守られてるから大丈夫だって事は分かっている。

 

だけど、万が一にでも欠けたりして、買取なんて事になったらと思うと・・・そんな状態で振り回せるのは余程肝の座った奴くらいだろうな。

 

その後も、値段を見てから物色をした。

 

「そろそろ次に行こうよ!」

 

「おう、そうだな。次は何処に行くんだ?」

 

「えっとね、次は道具屋かな。何か面白そうなアイテムがあると良いね!」

 

目に見えてワクワクしているユウキについ悪戯心が目覚めてしまう。

 

男って好きな娘には悪戯したくなるっていうけど。

あれって反応して貰えるのが嬉しいからやるんだって今初めて知ったよ。

 

「有用性より面白さを取るとは、流石ユウキだな。」

 

「むぅ、何か今シンヤに馬鹿にされた気がする」

 

「お、凄いなユウキ。正解だ!」

 

「嬉しくなーい!」

 

前言撤回。

反応して貰えるのが嬉しいんじゃなくて、反応が面白いんだな。

 

そして、俺とユウキはそんな会話をしながら武器屋を出る。

 

そこには相変わらず引く様子のない人の賑わいがある。寧ろさっきより増えているのは気のせいではないだろう。

 

どうしよう、これははぐれない様にという大義名分の下手を繋いで見たりしても良いものなのか?

いや、でもいきなり手を握ったりするのは確かハラスメント行為に当たるんだっけ?

 

・・・基準が分からない。

 

結局、当のユウキがどう思うかによるよな。

 

ふと、隣を歩いているユウキの様子を伺ってみると。

 

「むぅ・・・、ふんっ!」

 

さっきの事をまだ引きずっているらしく。可愛らしく頬を膨らませてこっちが見ているのに気付くとそっぽを向いた。

 

ユウキさんや、貴女のそれはただただ可愛いだけですぞ。

 

ただ、これはユウキが本気で怒っている訳ではないと分かっているからこその反応であって。

本気で嫌われそうになったら、多分パニックになると思う。

 

「おーい、ユウキさんや。いつまで頬を膨らませておるつもりなのですか?」

 

「つーん。シンヤがからかってくるから、シンヤの言う事は聞こえませーん。」

 

そう言って、まだ頬を膨らませるユウキ。

 

そんなユウキを見ているとまた悪戯心が働いてしまう。

 

俺はユウキが反対側を向いているのを確認すると。ユウキの膨らんだ頬を指で押した。

 

「プフッ!?て、何するのさ!」

 

頬の中の空気を押し出されたユウキが抗議の声を上げる。それに不覚にも吹き出してしまった。

 

「ブッ!い、いや、ユ、ユウキのさっきの呆けた顔・・・!ちょ、ちょっと待って。わ、笑いが止まらなくなった・・・!」

 

「む〜〜///もう、シンヤなんて知らない!」

 

恥ずかしかったのか、ユウキが顔を真っ赤にして置いて行こうとする。

 

人混みの中、見失ってしまいそうなので、すぐに追いかける。

 

「ごめんごめん!ユウキの反応が面白くってついやっちまったんだ!この通り、許してくれ!」

 

「・・・パフェ、奢ってくれるなら許してあげる。」

 

むすっとした顔でこちらを見てそう言うユウキ。

 

ただ、薄っすら頬が赤いのは気のせいですか?ユウキさん?

 

その事を指摘しようと思ったのだが、流石にこれ以上変に拗ねられても困ると思い。ここは素直に受け入れておく。

 

「分かったよ。なんなら5杯と言わずいくらでも奢ってやるよ。」

 

「やった!じゃあ、早速そこのお店入ろうよ!後悔しても、知らないよ?」

 

先程の様子と百八十度変わって一気に笑顔になったユウキ。

 

本当、感情表現豊か過ぎるだろ。・・・そこがユウキの魅力の一つだけどさ。

 

そんなユウキに手を引かれて、スイーツ専門店と書かれた店へと入る。

 

店内は落ち着いた雰囲気が漂っており。休憩したり、リラックスしたりする分にはうってつけに思える。

 

やはり、こうした店に入ると。デートをしている様な感覚になってくる。

その内、いつかユウキと本当に正真正銘のデートが出来る日が来るのだろうか。

 

そんな考え事をしていると。俺とユウキが挟んで座っているテーブルの上にドンッ!!と何か重量感溢れる物が置かれた。

 

「うん?」

 

「あ、きたきた!!」

 

ユウキがテンションを上げている。その目が向かっているのはテーブルの中心に置かれた高さ50センチ程の物体。

 

更にドドドンッ!!と続けて三つ程置かれたそれは、ソフトクリームや生クリームの上にケーキやら、チョコレートやらが惜しげも無く乗せられた、特大のパフェであった。

 

「・・・えっと?ユ、ユウキさん?」

 

「ん?どうしたの?」

 

ユウキがキョトンとした顔で答える。

 

あ、可愛いな。・・・じゃなくて!

 

「これは?」

 

「パフェだけど。あ、シンヤも食べる?」

 

「いや、俺はいらない。てか、ユウキは食べれるの?」

 

「勿論!このくらい、余裕だよ!いただきまーす!」

 

そして、嬉しそうに食べ始めるユウキ。

 

うん、ユウキの嬉しそうな表情が見れてとても幸せだし。ずっと見ていたいんだけどさ。

 

・・・流石に胃もたれしそうなんで、ビデオに撮っておいて後で見ることにするよ。

 

 

 

 

 





この度はこの様な駄文にお付き合い頂きありがとうございました。

次回は今回の続きからとなります。

中々話が進まず申し訳ございません。次々回辺りから少しは進めれればと思っております。

この度は誠にありがとうございました。

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