ダンジョンに金色の戦士がいるのは間違っているだろうか   作:しろーとー

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お見苦しい点も多いと思いますが、どうぞ


第3話

 

―早朝―

 

悟飯は気付くとベットの上で寝ていた。昨日は質問を受けていたはずだったが、途中からの記憶がなかった

・・・疲れて寝てしまったのだろうか。申し訳ないことをしてしまった、などと考えながら体を起こすと

まだ外は少し薄暗い、だいぶ早く目が覚めてしまったようだ

 

「そうだ、昨日案内してもらった鍛錬所・・・中庭だったよね、いってみよう」

 

そういうと自分の愛用している紫の胴着を整え、中庭に向かうのであった

 

 

 

 

やはりというか、こんな早朝である。人はいなかった。

悟飯はしっかりとストレッチを行う。体が温まってくると徐々に虚空へと拳や蹴りを繰り出す

始めはゆっくり、確認するように・・・段々とスピードをつけて更に激しくなっていく

 

「ふっ・・・はあっ・・・!やぁ!!」

 

シュババババ・・・シュッ!ズシャッ

素早い突きや蹴りが風を切る。繰り出される攻撃は目では追えないようなすさまじい早さである

だが当の本人、孫悟飯は特に息を切らすことなくゆっくりと息を吐いた

 

「ふぅ・・・あ、あの~?何かご用でしょうか?」

 

悟飯は少し前から誰かに見られているのは気付いていた。同じく鍛錬に来たのかと思っていたのだが

中々姿を現さないので声をかけてみた

 

「!!・・・気付いてたの?」

 

姿を現したのは少女・・・と言っても悟飯より少し年上であろう、とても整った容姿であり

金髪ロングの髪が美しいアイズ・ヴァレンシュタインであった

 

「はい。もしかして僕、邪魔でしたか・・・?」

 

「そんなことない。私こそ鍛錬の邪魔して、ごめん」

 

「いえ!そんな、邪魔だなんてとんでもない!僕こそ勝手に使ってごめんなさい!」

 

「ここは誰のものでもない。早いもの勝ち。だから大丈夫だよ」

 

「そ、それならよかった。あっ、でも僕そろそろ戻りますから!」

 

そういって去ろうとすると、アイズが引き止める

 

「ちょっと、待って。・・・君の動きすごかった」

 

「べ、別にそんなことは―」

 

「見えなかった、君の攻撃。とっても早くて鋭い。」

 

「えっと、ありがとうございます?」

 

悟飯はなんか照れくさいな。そんなことを思いながら頭をかいているとアイズから

思いもよらない言葉が飛び出す

 

「・・・お願いがあるの。私と少し手合せしてくれないかな?」

 

「えぇ!?ぼ、僕なんかとですか!?」

 

「ダメ、かな・・・」

 

見てわかるようにシュンとするアイズ。そんな姿をみて断れるはずもなく悟飯は即答する

 

「いえいえ!全然いいですよ!だからそんな顔しないでください!」

 

「ありがとう。それじゃ、早速始めようか」

 

そういうとアイズは用意していた木刀を構える

 

「は、はい!」

 

悟飯も準備OKといった感じで構えをとる

 

「ルールは、どうしよう?先に一撃当てたほうが勝ち、でいいかな?」

 

「わかりました」

 

単純明快なルール。双方合致した時点で試合のゴングは鳴っていた

 

「それじゃ、いく、よ―」

 

そういうとアイズは強く地面を蹴り、一気に距離を縮める

 

「はっ!てやぁ!」

 

素早い切り下げから、連続で切り替えしての横切りを繰り出す

 

「よっ、うわっと」

 

・・・が攻撃はあたるどころか、かすることすらなかった

間合いは完璧だったはずだ。なのになぜ?

 

「まだ、まだ・・・!」

 

今度は接近しながら突きの連打。これまた目にもとまらぬ速さでの連撃だ

・・・しかしこれもまた一発も当たることはない。やはりそうだ。すべて見切られている

流石のアイズも動揺を隠せずにいる。彼女自身、まだまだ成長過程ではあるが剣術に関しては

多少の自信があったのだ。しかし当たることは一切ない。

悟飯は真剣な表情でこちらを見ている。が、まだ窺っているのか攻撃してくる気配はない

 

「そっちが来ないなら、こっちからいくよ・・・!」

 

フェイントを混ぜての攻撃。間合いギリギリからの攻撃。さらにはさっきよりもより一層

激しい突きの連撃。・・・しかし一切あたることはなかった

 

「なん、で・・・」

 

「・・・」

 

息を切らすアイズ。それとは対照的に一切疲れを見せない悟飯

 

「はぁ・・・はぁ・・・ねぇ、君。なんで攻撃してこないの?」

 

「かわすのに精一杯なだけですよ」

 

「―ッ!嘘、本当はいくらでも攻撃できるチャンスはあった。」

 

「そ、それは・・・」

 

「手加減、しないで!!」

 

「―ッ!!」

 

「私はそんなの、望んでない!!」

 

突然の大声に驚きながらも、それが彼女の本意なのだと悟った。

すると悟飯はジリジリと深く構え攻撃の態勢に入ろうとしていた

 

「わかりました。では、いきます!!」

 

シュン――

 

「!?」

 

瞬間、アイズの目の前から悟飯の姿が消える

 

「はぁ!!」

 

そういうと上から声が聞こえ、と同時に悟飯はかかとおとしを繰り出した

「まずい!!」と本能で悟ったアイズは間一髪バックステップで難を逃れる

しかし悟飯はすぐさま体勢を変えアイズの懐へと飛び込んでくる

 

「やぁああ!!」

 

勢いをそのまま懐へのヒジ攻撃!!!

アイズもよけようと必死に構えるが、一歩及ばなかった

 

「―ッ!!【目覚め―(間に合わない!)」

 

エアリアルが発動する前に攻撃が当たる!そう思った瞬間

 

「そこまでー!!!」

 

後ろから怒声が聞こえる。と同時に悟飯の攻撃もピタリと止まった

軽い風圧でアイズは後ろへよろめくとそのまま腰を落としてしまう

 

そんな中、確実に怒ってるのであろうエルフの女性が二人のそばまで歩み寄ってくる

 

「お前たちは、こんな朝早くから何をしてるんだ!!」

 

怒りを露わにしながらもどこか悲しそうに眉をひそめた、この世界で最も二人の理解者である

リヴェリア・リヨス・アルーヴであった

 

 

 

この後事情を話すもリヴェリアの怒りはおさまらず、朝食の時間まで長々と説教を受けたのだが

それはまた別のお話・・・




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