ONE PIECE~とある男の冒険日誌~IF 作:神爪 勇人
「ワリーな、やっぱ無理だわ」
俺は、ルフィの手を取らなかった。
ルフィは少し黙った後「そっか」と笑った。
あまり気にはしてないようだ。
「けど、海賊か。お前と一緒にはやらねーが、その内なるのはありかもな」
「じゃあ、海であったらライバルだな!」
そういうことになんのかね。
海賊王を目指すかどうかは分かんねーけど。
ルフィと一緒には行かないが、せっかくの再会だ。
俺はこの島を出るまではルフィと行動を共にし、島から発つまでは二人で宴を開いて酒盛りした。
◆◆◆
イーストブルーに存在するとある町。
特に何か特別目立つ物がある訳でもない、平和で小さな町。
だが、今日この時、その平穏が崩れようとしていた。
「ん? 船?」
町の見張り台の上から海を眺める男は、海からやってくる1隻の船に気が付いた。
「定期船は今日じゃないよな・・・・・・」
首を傾げる男だったが、その船の帆に描かれているシンボルを見て、驚愕する。
「あ、あのマークは・・・・・・!?」
三日月に髑髏が描かれた
海賊旗・・・・・・それを掲げる船は、海賊船だ。
それ即ち、乗っている乗組員は・・・・・・海賊。
「襲撃だああぁぁぁぁぁぁぁぁーッ‼‼」
堪らず男は町全域に届けとばかりに、自身が出せる最大の大声で叫んだ。
この事態を、町の皆に知らせなければならない。
町の皆が突然の大声で事態を呑み込めずに硬直するが、
「海賊が来たぞおおぉぉぉぉぉーッ‼‼」
その必死の叫びに、ようやく状況を理解した。
「う、嘘ッ!?」
「あ、ああ・・・・・・‼」
船が見える海側から悲鳴が上がる。
平和な町は、一瞬にしてパニックに陥った。
「逃げろおおぉぉぉぉぉーッ‼‼」
「町の奥へ避難しろおおぉぉぉぉぉーッ‼‼」
◆◆◆
「・・・・・・!?」
料理をしていた1人の少女が、突如けたたましく鳴り響く警鈴の音に何事かと、フライパンから手を離す。
外を見れば、町の皆が必死に走り去って行く姿が見えた。
「早く避難しろおおぉぉぉぉぉーッ‼‼」
「海賊の襲撃よおおぉぉぉぉぉーッ‼‼」
「海賊!?」
事態を理解した少女は、身に付けていたエプロンを脱ぎ捨てる。
(海賊になんか好きにさせない! 宝は私が守るの‼ 絶対に‼)
カウンターテーブルを飛び越えて二階に上がり、自身の部屋の壁に立て掛けているサーベルを手にし、窓からベランダに躍り出る。
そして海の方に遠く見える、一隻の船を確認する。
距離的に掘のマークまでは見えないが、状況的にアレが海賊船だろう。
部屋から階段を降り、家の出入り口から飛び出し、港へと駆け出した。
(誰にも奪わせないんだから! 海賊なんて、私が追い払ってやる‼)