「ああ、来週からガンプラバトル用のスペースが開設されるんだよ」
行き着けの模型店でその言葉を聞いた時から彼の気持ちは昂ぶっていた。
そうだ、やっと近場でガンプラバトルができる・・・
その気持ちを胸に眠い授業も辛い部活動もも1週間耐えてこられた・・・
「遂にこの時が来たぜぇぇぇぇぇ!!!」
意気揚々と愛機のHGUCZZガンダムを持ち出して飛び出して行った少年コウタの胸はワクワクで一杯だった。そう、なぜなら今日から彼のガンプラバトルライフが始まるからだ。
と、思った矢先だった・・・突然、腕を誰かにぐっと掴まれた。
「誰だ!」
そう問うとすぐさまに「俺だ」
と、いう声が返ってきた。 この聞き憶えのある声・・・コウ
タの幼馴染である大坪駿也・・・そう、シュンヤの声だ。
シュンヤの顔見るや何や
「お前はそのガンプラでガンプラバトルに勝てると思っているのか?」
唐突に辛辣な問いを浴びせる。
「やってみなけりゃ分からないだろう?」
と、それに対してコウタは自信満々に答えた。
「相変わらずだな、お前は・・・」
シュンヤは呆れた口調で溜め息をついた。
「うるせーよ」 コウタが言い返す前に、シュンヤは
「分からないなら、直接教えてやろう。」
そう言い終わると、シュンヤはバトルスペースへ向かった。
バトルスペースに到着した二人はパイロットスーツを着込んでポッドに入り戦闘体勢に入った。
ガンプラスキャナーにガンプラを入れるとガンプラのスペックが表示される。
なかなかしょっぱい数値だがコウタは気にすることはなかった。
そうしているうちに、画面が戦艦のカタパルトに切り替わる。
いよいよ出撃の時だ・・・
コウタは大きく深呼吸をし、操縦桿を前に押し出した。
自分の作ったガンプラ・・・ZZが出撃する。
自分のガンプラが動くことに感動を覚えつつ、機体を前進させた。
真正面から灰色の光、Rジャジャが接近してくる。
「これがシュンヤの機体か・・・」
コウタはそう呟き、生唾を呑み込んだ。
いよいよガンプラバトルの開始だ・・・!
コウタはトリガーを握り攻撃体勢に入る。
ダブルビームライフルを乱射するが、シュンヤのRジャジャに容易にかわされていく。
続けてコウタはチミサイルランチャーも撃ち込み、弾幕を張る。
しかし、健闘も虚しくミサイルも次々とかわされていく。
「くそっ・・・これも当たらないのかよ・・・」
そうしているうちに、RジャジャはZZの背面に回りこんでいた。
Rジャジャが腰からビームサーベルを抜刀し、ZZに襲い掛かる。
コウタもそれに応戦するように大急ぎで後ろに振り向き、ハイパービームサーベルを展開させた。
2つのサーベルが激しい火花を散らしてつばぜり合う。
「フッ、甘いな・・・コウタ!」
次の瞬間、ガラ空きになったZZの懐にシュンヤはビームライフルを何発も撃ち込んだ。
「しまった!」
コウタは慌てて体勢を立て直そうしたものの、ZZはのろけてしまった。
シュンヤはその隙を見逃さず、ビームサーベルと、銃剣付きビームライフルで華麗に連続攻撃を加える。
コウタはなんとかZZの体勢を立て直し、ハイパービームサーベルで応戦しようとするも、もう遅かった。
両足の駆動部がやられて身動きが取れない・・・そして、さらに瞬く間に両腕が切断されてしまった。
「トドメだ!」
Rジャジャがコクピットをめがけて強烈なサーベルの一突きを浴びせる。
「勝負・・・あったな・・・」
シュンヤからの通信と共に、機体が爆散し、画面にはLOSEの文字が・・・
そう、コウタの負けである。
冷や汗をかいてコウタは、ポッドから降りた。
それとは対照的にシュンヤは涼しげな顔をしてポッドから降りて、ヘルメットを脱いでコウタにこう言い放った。
「お前はまだ甘い。 だからこれから俺が勝てるようにガンプラバトルというものを教えてやる。」
やはり最後まで辛辣だった。
「ああ・・・頼むぜ」
だが、ここまで実力の差を見せられると頼まざるを得ない。
シュンヤの鬼のような指導がどれくらいのものかはコウタには容易に想像できる。
正直、彼には恐怖にも思えたがそれ以上にガンプラバトルで勝ちたい気持ちの方が大きかった。
やるしかないと強く思い、コウタは両手をぎゅっと握り締めた。