IS 翼が選ぶ未来   作:メカ好き

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第2話

翌日の放課後

ヒイロは整備課の開発室に訪れていた。元デュノア社開発主任であった彼は自分とシャルロットの機体の整備及び兵器開発を自らが行う。その為設備の確認も含めて挨拶に向かう事にしたのだ。いつも一緒にいる義妹(シャルロット)は親友であるセシリアの訓練に付き合っているので居ない。やる事が無かった為後日にしていたこの予定を今日に繰り上げたのだ。

開発室に着き室内を見渡していたヒイロの目が一人の少女で止まる。その少女は一人でISを組んでいる様だった。

 

「打鉄の改良型か。機動重視のオールラウンダーと言ったところか?」

「ッ?!……貴方はまさかジークフリート?」

「その呼ばれ方は好きじゃない。ヒイロ-デュノアだ。君は確か日本の代表候補生の」

「更識簪、更識じゃなくて簪でお願い」

「分かった。ところでなぜ簪は一人で機体を組み上げている?本来企業が担うものだろう」

「それが…」

 

簪はポツポツと喋り出す。元々自分の専用機を開発していた倉持技研が一夏と秋十の専用機の開発を決定した事、これにより一夏と秋十の専用機の開発にスタッフが割かれてしまい、7割方組み立てられた時点で放置されてしまった事、姉の楯無に対する劣等感もあり打鉄弐式を受け取り組み上げていること。それを聞いたヒイロは無表情で呟いた。

 

「倉持技研は無能だな」

「え?」

「もっと言うなら日本政府の人間もだ。幾ら男性操縦者の専用機開発が急務とは言えエリートである代表候補生を差し置くとは、人材流出の可能性は頭に無かったのか?」

「…私程度なら代えが効くって思ったのかも」

「それこそ無能の極みだ。簪のデータは目を通したが代えが効く様なものでは無かった。お前は優秀だ、自信を持て」

「…ありがとう」

 

とここで滅多に動かないヒイロの表情が僅かに動く。彼をよく知るデュノア家の人間やデュノア社の開発室の人間が見れば口を揃えて言うだろう「またエゲツない事を考えている」と。

 

「ところで提案があるんだが」

「何?」

「その機体の開発、ウチでやらないか?」

「ッ!?でも倉持技研が」

「そこは俺が黙らす。一人でISを組み上げるなど天災以外不可能だ。事故防止の為にも必要だ。もしも日本政府や倉持技研が聞かないなら倉持技研は無能だと世界に発信すればいい」

「…ジークフリートに無能と評されるなんてIS業界での破滅に等しい」

「無能は事実だからな。どうせなら日本代表候補生からウチのテストパイロットに鞍替えしないか?もちろん今以上の好待遇を約束しよう」

「…考えさせて」

「分かった。人生を左右する選択だ。よく考えるといい」

 

ヒイロはそう言うと開発室を出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は経ちクラス代表決定戦。

ピットでは一夏と秋十が自分の専用機を待っていた。

 

「クソ、遅い!」

「・・・・・・」

 

秋十の苛立つ姿を目尻に一夏も内心困惑していた。。

 

(流石に遅すぎる。そろそろ管制室にいる千冬姉に聞きに行ったほうがいいか?)

 

そう一夏が考え始めたとき、ピットの扉が開き真耶が駆け足で入室してくる。

「お二人とも、専用機が届きました!」

「本当ですか!?」

「ええ、大変お待たせしました」

 

そこで真耶に遅れて二つのコンテナがピットに入ってくる。

コンテナが開くと白いISと黒いISが鎮座していた。

 

「白いISが一夏君の専用機『白式』、黒いISが秋十君の『黒式』

です。それでは初期化(フィッティング)最適化(パーソナライズ)を行いますので乗ってください」

 

二人は真耶の指示に従いそれぞれの機体に搭乗する。

そして最初に第一移行(ファーストシフト)したのは秋十の黒式だった。

 

「では時間も押していますので秋十君が最初にオルコットさんと戦って下さい」

「わかりました(クククッ。これで勝てばセシリアは俺のものだ!)」

 

しかし彼は知らない。

既にこの世界(物語)は彼の知る原作(物語)とは全くの別物に成っていることに。

それを引き起こしたのは自分であることに。

そして何よりこれからの学園生活でその報いを受けると言うことに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら、よく逃げずに来ましたわね」

「勝てる勝負から逃げる人はいないよ」

 

その言葉を聞いたセシリアは思わずため息をついた。

 

「まさかここまで愚かだとは思いませんでしたわ。それでも貴方はブリュンヒルデの弟君なのですの?」

「何だと!?」

「まあ、折角の仮面が剥がれていましてよ?」

「・・・・・もういい、お前はこの公衆の面前で屈辱を味合わせてやる!」

 

セシリアは秋十の言葉を黙殺してスターライトmk-Ⅲを展開し構える。

 

『3、2、1、試合開始!』

 

スピーカーからの開始の合図で最初に動いたのはセシリアだった。

遠隔無線誘導型の武器であるブルー・ティアーズを四基展開し、黒式を纏う秋十を追い込む。

秋十は避けながらレーザーライフルや背中に搭載された2門高速連射型荷電粒子砲でビットを狙うもかすりもしない。しかもセシリアから完全に意識が外れている。それを見逃すセシリアではない。秋十が背を向けた瞬間スターライトmkⅢの引き金を引いた。着弾したのは上背部、射線上に心臓があった為SEが大きく削れる。

 

(な、ビット操作しながらの射撃だと!?)

「さあ、フィナーレですわ!」

 

そこからは一方的であった。体勢を立て直す隙を与えないビットとスターライトmkⅢによる正確無比な射撃による蹂躙でセシリアは黒式のSEを削りきった。

 

『黒式のSEエンプティー、勝者セシリア-オルコット』

 

歓声がアリーナに響き渡った。

 

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