IS-二つの力を合わせる男-   作:甘々胡麻ざらし

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二千文字越えたぁ


第3話

「財団…X…。」

 

学園長の口から放たれた言葉に航は息を飲んだ。そう、航はその名前を言葉を知っている。だがそれはISの世界には存在せず、航が好きだった特撮にしか出てこない組織なのだ。

 

「その様子だとご存知のようですね。実は一月ほど前、あなたの会社の社長から連絡がありましてね。君のサポートと財団Xについての協同捜索を持ちかけられました。」

 

「だから俺の正体を知っていたんですね。」

 

「ええ。財団Xについては亡国と同じ脅威があり、こちら側としてもよい取引だと思い了承しました。」

 

「なるほど。つまりあなた方は財団Xと亡国の情報を、こちらはこの学園で俺のサポートということですね。」

 

「そうなりますね。そして君のサポートとしてこちらを。」

 

そう言い十蔵一枚の地図と、は星空の絵が描かれたストラトスカードを差し出した。

 

「これは?」

 

「それはあなた方専用の部屋へと続く鍵です。場所はその地図に描いてますので。良ければ今から行ってみたはどうですか?」

 

「そうですね。ではお言葉に甘えさせてもらいます。」

 

そう言って航は学園長室を出て、地図に掛かれた場所へと向かった。

 

 

地図を頼りに着いた場所はIS学園の整備室だった。

 

「えーっと確かにここ…なんだよな…?」

 

航が指定の場所に着くが目の前には整備室の壁しかなかった。試しに触ってみたが変哲もない壁だった。

 

「鍵って言ってたからどこかに鍵穴でもあるのか?カードかざしたら出てくるかな?」

 

航が渡されたカードを取りだし壁に見せるように持つと、扉の向こうから鈴のような音がした。

 

「うん?別に何の変わりもないよな?ってうわっ!」

 

壁に触れようとした瞬間手はすり抜けそのまま壁の中に入っていった。

 

「いてて…。ってなんだこれ!?」

 

航の目の前にはアリス社の整備室と同じような光景だった。

 

『やぁやぁワタルン!束さんからのプレゼントは気に入ってくれたかな?』

 

部屋の壁にあるモニターから束の映像が映し出され航はため息を吐いた。

 

『なんでため息なのさ!?』

 

「こういうのは前から言っておいてくださいよ…。」

 

『サプライズだよ、サプライズ!』

 

「それでなんなんですかここ?」

 

『ここは私たちアリス社専用の整備室だよ。別名アリスラボ。ここでアリス社の専用機の整備とか色々するし、地下にはトレーニングルームもあるからそこでデータを取ることも出来るよ。あ、機材は全部でこっちの物を使ってるから使い方わかるでしょ?』

 

「…。」

 

あまりのやりたい放題に航は言葉が出なかった。

 

『あ、それとクーちゃんも来てるからね。』

 

「はぁ!?」

 

『一年三組のクラス代表になってると思うよ~。』

 

「いや、なに考えてるんですか!?」

 

『うん?クーちゃんにもこっちの専用機持たせてるから大丈夫だよ?』

 

「そうじゃなくて、クロエの眼のことですよ!」

 

そう、クロエの眼は他の人とは違い白眼が黒く、瞳が金色なのだ。これは彼女がある非合法な実験の被害者であることを示していた。

 

『あー、そのことかぁ。クーちゃんは誤魔化すって言ってたし、多分大丈夫だと思うよ。』

 

「でも!」

 

『それにお兄ちゃんが妹を信じなくてどうするのさ?』

 

「…そうですよね。あーでも、心配だなぁ。」

 

『心配なのは私もだよ。あとたまには帰ってきてね。寂しいから…。』

 

シュンとする束を見て航は旅行に連れていってもらえず、親戚の家に預けられるペットのように見え、思わず笑いが込み上げた。

 

『笑わない出よー!兎は寂しいと死んじゃうんだよ!』

 

「あはは!わ、わかりました。クロエと時間合わせてたまにはそっちに帰りますよ。」

 

『約束だからねぇ~。』

 

バイバ~イとモニター越しに束は手を降り、そしてモニターとの通信を切る。時計をチラリと見ると針は三時間目の終了五分前を指していた。

 

 

そして時間は過ぎて放課後。秋十は航から渡された紙を頼りに整備室へと向かっていた。

 

「待てよ秋十。」

 

「…何?」

 

声をかけられ振り替えるとそこには一夏がニヤリとした笑みを浮かべて立っていた。

 

「どこに行こうとしてんだ?」

 

「…お前には関係ない。」

 

「そんなつれないこと言うなよ。」

 

「とにかく僕は用事があるから。」

 

「さてはあの五十嵐先生のことか?」

 

「…だったら?」

 

「あんな野郎のどこが良いんだ?セシリアに馬鹿にされても何も言い返さなかったじゃないか。」

 

「お前には航さんの良さは一生わからないよ。」

 

そのまま整備室へ向かおうとすると一夏に捕まれ壁に叩きつけられ、その拍子に眼鏡が落ちる。

 

「あんまり調子に乗るなよ?出来損ないのくせによ!」

 

一夏は秋十を威嚇するが秋十は自分を掴んでる手の手首を握り力を込めると、ミシミシと嫌な音が鳴り始め一夏は手を離す。

 

「『そっちこそあんまり調子に乗っていると潰すぞ?』」

 

「っ!」

 

とっさに一夏は秋十との距離を取り、秋十は落ちた眼鏡を拾い整備室へと向かった。一夏はその後ろ姿に黒い何かを見た気がした。

 

「…今に見てろよ。主人公は俺だってことをなぁ!」

 

一夏は秋十が居なくなった廊下でただ一人悔しさに拳を握った。




今回はこの辺にします。

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