IS-二つの力を合わせる男-   作:甘々胡麻ざらし

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やっとセシリアとのバトルが書ける~。


対決

あれから一週間はあっという間に経過し、クラス代表決定戦の日となった。秋十はクロエにみっちり戦い方を教わり、航はその度に秋十の専用機を調整した。本音を言えば航も特訓を手伝いたかったがあまり一人に肩入れし過ぎるとダメだということで、特訓の報告を受けて調整することに専念した。そして今秋十は…。

 

「き、緊張する…。」

 

ガチガチに緊張していた。

 

「大丈夫ですか?」

 

「あ、クロエさん。大丈夫に見えますか?」

 

「見えませんね。」

 

「こ、こんなに緊張していて大丈夫なんですかね…?」

 

「緊張しないより緊張している方が良いですよ。」

 

そんな秋十を落ち着かせるようにクロエは言った。

 

「よぉ、秋十。」

 

「…何?」

 

「何ってお前が負ける姿を見に来ただけだよ。」

 

「随分と暇なんですね。これから作戦の再確認をするので出ていってもらえませんか?」

 

「おい貴様!一夏に対してなんだその言い方は!」

 

クロエの発言に箒は食らい付くが一夏に制される。

 

「まぁ落ち着けよ箒。クロエもそんな事言わずにさ。」

 

「名前で呼ばないでください。友達にしか呼ばれたくないので。」

 

「俺達友達だろ?」

 

「ついこの間軽く言葉をかわした程度です。秋十さん。向こうに行きましょう。」

 

「あ、はい。」

 

クロエに手を引かれ秋十たちは一夏たちから離れた所で作戦を再確認した。ちなみに声ではなくプライベートチャンネルを使った脳内通信で話した。その後千冬たちがやって来て一夏の専用機が届き、先に一夏が出ることになった。そして序盤は苦戦するも途中で専用機が一次移行を終え、セシリアとの戦いに勝利を納めた。そして休憩をはさみ次は秋十の番になった。

 

「ふぅ…。」

 

「頑張ってくださいね。応援しています。」

 

「はい!」

 

秋十はポケットから独特の形をしたスマホと一枚のカードを取り出す。そしてスマホの下をスライドすると少しスマホがずれてカードをスキャンする溝が現れ、そこに先程のカードをスキャンする。

 

《ULTRAMAN!》

 

少しノイズのかかった電子音が鳴り、スマホの横にあるボタンを押すと、秋十の体を粒子が包み込むとそこには銀色の戦士が居た。

 

「じゃあ行ってきます!シュワ!」

 

 

秋十が浮遊してアリーナの中に着くとセシリアがISを纏って浮遊していた。しかし秋十の姿を見た途端驚きの声をあげる。

 

「全身装甲!?あなた正気ですの!?」

 

セシリアが驚く理由は今は無き第一世代型の全身装甲を纏っているからだ。ISには絶対防御というものが存在し、それがバリアの役割を果たすため装甲などほとんど要らないのだ。

 

「これが僕の専用機。僕を選んでくれた人の想いの結晶だ!」

 

「…いいでしょう。先程とは違い油断はしませんわ!全力で倒してあげます!」

 

「望むところだ!」

 

試合開始のブザーが鳴り、セシリアはレーザーライフルを撃つが秋十は掌から光弾を出して相殺する。

 

「君の動きはビデオで何度も見た!」

 

「しかし私には勝てませんわ!」

 

セシリアはライフルを撃ってくるが秋十はいくつか被弾しながらも光弾でダメージを与える。

 

「初心者にしてはなかなかやりますわね。」

 

「君も流石代表候補生だよ。僕の方が押されてるからね。」

 

確かに秋十の方が被弾した数は多いがSEはあまり減っていない。これは全身装甲のお陰で、当たっても絶対防御が発動することが無いためSEが大幅に減ることは無いのだ。

 

「第一世代型と同じということで侮っていましたわ。ですがここからは全力です!」

 

「ああ!」

 

 

秋十たちはその後も激闘を繰り広げている中、モニターで見ていたクロエたちは。

 

「二人とも楽しそう。」

 

モニターに表示されている二人の笑顔を見てそう思った。

 

 

「そこだぁ!」

 

《ULTRA SWORD》

 

秋十は一枚のカードを左手に付けられた先程のスマホ《ウルトラフォン》の溝にスキャンすると電子音と共に輝く剣が出現する。そしてそのまま一気にスピードを上げセシリアを斬る。

 

「きゃあ!お返しですわ!」

 

セシリアはビットを展開し秋十にレーザーの嵐を喰らわせる。

 

「グァ!まだだ!」

 

だが秋十も負けじと剣を振りビットを二機破壊し、残り二機も拳で砕き粉砕する。

 

「はぁ…はぁ…。やりますわね。」

 

「はぁ…はぁ…。そっちもね。」

 

「貴方はどこかで武術や剣術を学んでいたのですか?先程の回避や剣さばきは中々の物でしてよ?」

 

「剣術も格闘もある人に教えてもらったんだ。僕は格闘の方が好きだけどね。」

 

「そうですか。それにしても貴方は強いのですね。」

 

「そんな。僕はまだまだだよ。」

 

「いいえ。私が今まで見た男性の中では貴方が一番ですわ。自分を傲らずそれでいて強い眼をしていますわ。」

 

「君だってあんなに高飛車だったから少し甘く見てたけど、戦っていてわかったよ。君も誰にも負けないために努力を重ねた人だって。」

 

「ふふ。私たちは少し似た者同士かもしれませんね。」

 

「かもね。その女尊男卑がなかったらだけど。」

 

「いえ、貴方や織斑一夏と戦ってその認識を変えないといけませんと思いましたわ。」

 

「そっか。じゃあお喋りはこの辺にしてそろそろ決着をつけようか。」

 

「ええ。」

 

秋十は腕を十字に構えるとクロスした腕から光が集まってくる。

 

「それが貴方の最後の技ですね。では私もそうさせてもらいますわ!」

 

セシリアがライフルを構えるとエネルギーをチャージする。

 

「これで終わりですわ!」

 

セシリアがチャージしたレーザーが秋十を襲う。そして秋十も大声で技の名前を叫ぶ。

 

「スペシウム光線!」

 

秋十の腕から光線が発射され、セシリアのレーザーとぶつかり合う。

 

「「勝つのは!僕(私)だ(です)!」」

 

瞬間大爆発が起こりアリーナ全体を煙が包みこむ。ざわざわと観客席から声があがり煙が晴れるとそこには。

 

「はぁ…はぁ…。」

 

「はぁ…はぁ…。」

 

倒れ付した二人がいた。そして互いのSEは共に0となっており、直後に試合終了のアナウンスが鳴り響く。

 

『り、両者引き分け!』

 

誰もが予想しなかった結末に観客は驚きのあまり声をあげない。

 

「引き分けか…。」

 

「そうですね…。」

 

「でも。」

 

「ええ。」

 

「「楽しかったぁ(ですわ)。」」

 

二人は起き上がり笑顔で笑いあった。

 

「次は僕が勝つよ。」

 

「いいえ。私ですわ。」

 

二人は専用機を解除し互いを称えあうように握手をし、観客席からは惜しみない拍手が与えられた。




というわけでセシリア戦は引き分けにしました。
次回は兄弟対決!
是非見てください!

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