「う、ううん…。」
航が目を開けると知らない天井があり、ベッドに寝かされていた。
「あ、束様。彼が目を覚ましました。」
「あ、そう?すぐ行くねー。」
布団から起き辺りを見舞わすと、機械の部品などが散乱していた。そして体を見ると包帯が巻かれていて治療された痕があった。
「やっほー!目が覚めた?」
扉が開き入ってきたのは紫のロングヘアーに、機械のウサミミ、そして髪と同じ色をしたエプロンドレスを着た女性だった。その姿はまさに不思議の国のアリスを彷彿とさせていた。
「あなたが俺を治療したのですか?」
「まぁね!君に興味があったから政府のゴミどもに連れていかれる前に連れてきたの。あ、私の名前は篠ノ之束だよ。ヨロシク!」
「あ、はい。」
「それで単刀直入に聞くけどさ。君は何者なの?」
「え、ええっと…。」
「誤魔化そうとしても無駄だよ。君のトランクケースに入っていた手紙を見たからね。」
そう言って束はヒラヒラと女神からの手紙を見せる。
「教えて。君は何者なの?転生者って何?倒すべき敵がどうして織斑一夏なの?」
「…わかりました。信じてもらえるかわかりませんけど。」
航は観念して全てを話すことにした(といってもこの世界がラノベの世界とは言ってはいない)。話終えると束は何やら納得した表情をしていた。
「なるほどねぇ。転生とか本当にあったんだ。」
「あの…信じてくれるんですか?」
「もちろんだよ。お陰で納得した点もあるしね。」
「納得?」
「あ、そうだ君!よかったらここに住む?」
「ええ!?」
束の突然の発言に航は驚いてベッドから落っこちる。
「大丈夫?」
「え、ええ…。あのなんでまた急に?」
「まず君住むところないでしょ?それに君を気に入ったってところもあるし、何より君の目的が私の目的と一致したから。」
「目的?」
「そう。私の目的はね、ある子を救いたいんだ。」
「ある子?」
「うん。その子の名前は"織斑秋十"。織斑一夏の双子の弟だよ。」
「弟…?」
話を聞くとどうやらこの世界の織斑一夏には双子の弟が存在しているらしい。成績優秀、スポーツ万能、容姿端麗、全てが揃ったまさに天才と呼ばれる一夏と違い、弟の秋十は何をさせても平凡な少年だそうだ。そのせいで学校全体でイジメがあり、周りからも批難の声を浴びせられ、"織斑家の恥"と言われているそうだ。
「酷すぎるだろ…!」
「だから私はあの子を救いたいの。」
「束さん。俺でよかったらあなたに協力させてください!」
「え、いいの?」
「はい!元々織斑一夏をぶっ倒すのが俺の役目ですし。」
「ありがとう!あ、そういえば君の名前まだ聞いてなかったね。」
「五十嵐航です。」
「じゃあワタルンだね!束さんのことは"ママ"って呼んでね!」
「え、ママ?束さんではダメですか?」
「えー。」
「じゃあママは恥ずかしいんで母さんで。」
「それなら良いよ!おーいクーちゃーん。クーちゃんにお兄ちゃんが出来たよー!」
「クーちゃん?」
クーちゃんと呼ばれて来たのは先ほど航が目覚めたのを束に知らした銀髪の少女だった。
「君はさっきの。」
「クロエ・クロニクルです。これからよろしくお願いします。兄さん。」
「え、あ、うん。よろしく。」
こうして航は束とクロエの二人と家族になった。その後色々と調べていくと航が転生した時代は第二回 モンド・グロッソが行われる一年前だった。そこで航は一年後のもしもに向け、一年間ISについての知識とISの戦闘などの特訓を行った。そして一年の時が経ち航は第二回モンド・グロッソの開催地であるドイツに向かった。
オーブやジードみたいにインフィニットカードを紹介するコーナー作ろうとしてみたけど無理だったw