本編の方はもう少しお待ちください!
あと、今回書き方を変えてみたんですけど、どちらの方が良いんですかね?
ウルクでメリークリスマス!【イヴ】
前世のお父様、お母様、雪が降り積もるこの季節、お元気にお過ごしでしょうか。
死んだ私はとある国の王子として新たな生を歩んでおります。
父さんや母さんと共に生活していた………まぁ人生の大半は病院のベットの上でしたが、楽しかったし私は貴方達の息子として生まれた事を心の底から誇りに思っております。
まぁ私は元気で生きておりますので、ご心配なさらず。
さて突然話は変わるのですが、私にはこの頃悩みが………というか現在進行形でどうすればいいのか分からないことがございます。
数週間前私は『もう少しでクリスマス的な時期だなー』と思い、せっかくなら今の人生の弟であるギルガメッシュのギルくんと我が国の国民達(ついでに今の父にも)にイルミネーション的なものを見せようと思いつき、準備を致しました。
道具が揃った昨日、早速作業に取り掛かりました。まず色の付いた小さなガラスに、魔力を流せば充電され、暗くなったら光りだすという不思議な魔石を入れて、あとは紐で縛りモミの木………は無かったので代わりにモミの木にとても似た木に吊るせば完成!………となる予定でした。
そこに現れたのはいつもの女神、この国の女神と言いながら全然この国を守らないしわがままばっかり言って国民を困らせる女神(笑)のイシュタルでした。
『なによこれ?なんだか面白そうね、借りていくわ♪』
とか言いながら持って行こうとしていたので、いつものように剣や槍で空から落として、神性特攻が付いている鎖で縛って『私はダメな女神、略してダ女神です』と書いてある黄金の粘土板という無駄に目立つし豪華なものを体に貼り付けて作業がひと段落つくまでモミの木(仮)に吊るしました。
ちなみに作業場所はウルク市街のど真ん中、市街の人達に手伝ってもらいながら作業をしております。
つまりイシュタルはこの醜態を街の人達の大半に見られているのです。
流石にイシュタルもこれで愛想つかれてしまったか?と少し心配になりましたが、街の人達は『何だいつものことか』的な眼で見たり、少し笑われたり失笑されたりするだけでことなきを得ました。
とりあえず1時間くらい吊るし終わったら下ろしてあげて、作業を手伝わせました。
もちろん下ろした時に『アンタふざけるんじゃないわよ!私これでも女神よ!?こんな事してタダで済むと思ってないでしょうね!』とか言ってきたので軽く説教して、頭を撫でてやったらすぐに大人しくなりました(チョロい)。
ちなみに何故か見た目はいつものグラマラスでお姉さんな感じではなく、若くてスレンダーな感じの見た目でやって来ていました。
まぁここまでは問題ないのですが、私がイシュタルに『何故こんな珍しくもない魔石を盗もうとしたんだ?』と質問して見たところ、帰ってきた答えは『綺麗だったから……エレシュキガルにも………見せてあげたかったのよ。あいついつも冥界なんて暗くて寒い所にいるからたまにはこういうのを見せてあげてもバチが当たらないと思ったのよ』と恥ずかしげに言ってきました。
正直驚きました。
あのイシュタルが他人のために、それも仲が悪いはずのエレシュキガルのために行動を起こしたのですから。
それを聞いてハイそうですかと聞き流すのは簡単ですがアレですし、これを機にイシュタルの国民のために動くがありとあらゆる事が逆効果となってしまって最終的に悪役的ポジションになってしまうというほぼ呪いではないだろうかと疑うようなうっかりを少しは治せるのではないだろうかと思い協力する事にしました。
しかし、問題はそこからです。
天の女神であるイシュタルが冥界のエレシュキガルの所へと行くことは本来許されないし難しいこと。
例えるなら空を飛ぶ鳥がモグラに会うために地面に潜るのと同じくらい難しいことなのです。
私自身、エレシュキガルに会った事自体はありますが、それも特例中の特例でしょうから簡単に実行することはできません。
それに、先ほど述べたようにエレシュキガルとイシュタルは仲が悪いどころか最悪です。
もし冥界に単体でイシュタルが行ったとしても、エレシュキガルは攻め込まれたと勘違いして攻撃に移るでしょう。
かと言って生者である私が行く訳にもいきません。
さて、私はどうすればいいのでしょうか。
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場所は変わって俺の自室。
勉強机とベットと本棚と紅茶の茶っ葉入れとお菓子、そして対女神用捕縛型ビリビリ装置という罠が仕掛けてある以外は普通の部屋。
この対女神用捕縛型ビリビリ装置とは文字通り女神がこの部屋に無断侵入した場合、即座にビリビリと電撃で痺れさせるというシンプルなもの。
対女神用とか言いながら、ほとんどイシュタル用に作ったものなのだが、これは撤去することにしよう。
ん?何故かって?簡単だ。
「ん〜?あっ帰ってきたのね。
このお菓子美味しいわね、手作り?」
対イシュタル用に作ったのに、肝心のイシュタルが引っかかってないのだから。
アレだ、ゴキブリホイホイを設置したのに肝心のゴキブリが引っかかってない的なアレだ。
「いや、まぁ手作りだけど………。
何勝手に入ってきてんの?しかもご丁寧に窓から」
イシュタルはベットに腰を掛けて俺のお手製のお菓子を食べているのだが、左側に目を向けると何故か窓が窓枠ごと破壊されて見るも無残な事になっている。
間違いなくイシュタルが破壊したのだろう。
「え?だってルガルバンダにこの国に入るのは別に問題ありませんが、城にだけは入るのをご遠慮くださいって言われてたから、この部屋に直接入るしかないし」
まて、その理屈はおかしい。
…………とツッコめたらどれだけ楽なことか。
イシュタルのことだからきっと自分の直感とかで動いているのだろうから言ったところで意味がないのだ。
「あぁ〜、なんかもういいや。
それで?なんで俺の部屋に来たの?」
「はぁ?そんなの決まってるじゃない」
そう言うとイシュタルはお菓子が入ってる木のボウルを持ち、こちらへと近づいて来て、俺の服の襟を掴んだ。
そして最高の笑顔をこちらへと向けて口を開いた。
「行くわよ、冥界♪」
「………は?」
何言ってんだお前と言おうと口を開いた瞬間、俺は宙に浮いていた。体が吹き飛ばされそうになるほどの風圧に体のあちこちから悲鳴が聞こえてくるようだ。
「さぁ行くわよ!こういうのってアレっていうのよね。えーっと、そう!【死なば諸共!】」
「お前…………いつか絶対に殺す!」
連れて行かれるのは半分了承してたし連れていかれるだろうなーと思っていたため諦めていた。
しかし、こいつあろうかとか俺の部屋を全壊させやがった!
しかもこいつが現在進行形で食べているお菓子はギルくんのために作ったものだし!
あっそういえば、今日ギルくんにお菓子食べさせようとギルくんを部屋に呼んでいたような気が…………。
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【エルシュの部屋・イシュタル襲撃の2分後】
「お兄ちゃん!遊びに来た…………よ」
ギルガメッシュがエルシュの部屋に到着して目にしたものは、残骸の山。そこに本人の姿はなく、なんらかの理由で居なくなったのは明白。
そしてこんな事をするのはただ1人。
「お、お兄ちゃんが……イシュタルに攫われた……!」
この後、ギルガメッシュが城の兵士にこの事を伝えると大騒ぎ。しかし、兵士を動かせるルガルバンダ王の『エルシュは女神イシュタルと仲が悪いわけではない。本当に女神イシュタルに攫われたのだとしても無下に扱われる事は無いだろう。今は捨て置け』という言葉に大半の人間は動きを止めた。
王の言葉に逆らう訳にはいけないからというのである。しかし、その言葉を受けても動きを止めない人間はいた。だが王が止めろと命じた手前、自由に動けずにおり、エルシュの救出作戦の開始は軽く見積もっても3日後になるとギルガメッシュは聞いた。
それを聞いたギルガメッシュが(お兄ちゃんを救出しようと動いている人間以外、本気でこの国滅ぼしてもいいかな?)と思ったのは想像に難く無い。
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〜クタ〜
来てしまった。
「さぁ!さっさとここの地面の下にある冥界に行くわよ!」
なんでハイテンションなんだよお前は。
イシュタルが先ほど言った『地面の下にある冥界に行く』という言葉は言い間違いでもなんでも無い。
この神代、冥界は地面の下にあるのだ。
だからその気になったらスコップ一つで冥界に行ける。
まぁ普通の人間が冥界に生きたまま入るとすぐに死んでしまうから誰も入ろうとしない。
いや、ただただ死ぬのならばまだマシな方。
下手な行動をして冥界の女主人であるエレシュキガルを怒らせてしまったら何をされるのか分かったものでは無い。
魂の消滅ならまだ生易しい方だ。
酷い場合は魂を牢に閉じ込められて、エレシュキガルの気が収まるまで永遠の苦痛を与えられるかもしれない。
魂の苦痛は肉体や精神の苦痛なんかとは比べ物にならないくらい苦しく、耐え難いものなのだ。
その苦しみは神だって例外ではない。
それ故か神の大半はエレシュキガルに畏怖の念を覚えたり、敵対してその力や権力を手に入れようと考えていたりする。
故にエレシュキガルに対して良好的な感情を持つものなんておそらく両手の指の数にも満たないだろう。
イシュタルとエレシュキガルは姉妹のような関係である。1つの神性から生まれた天と地よりもまだ深い冥界の女神。
だが片方は自由気ままに遊びまくっているワガママ。
片方は出ることが叶わない冥界で魂の管理を永遠と続け、時には神でさえ裁くもの。
前者は愛されてここまで生きてきた。
後者は蔑まれ、時には命さえ狙われる。
1つの神性から生まれてきた“表”と“裏”。
この2人が犬猿の仲なのは当たり前なのかもしれない……………とは思わない。
何故なら、2人がこんなにも仲悪いのは完全にイシュタルの所為だからだ。
まぁ今はそんな事は置いておいて、今話した通り冥界にはすぐ行けるが人間どころか神すら行きたがらない場所なのだ。
というか神とか人間とかは冥界では何の意味もなくなる。
何故なら弱い人間は弱いまま。
神のような強者は強者である分弱者となる。
そういう法律が冥界にはある。
誰もこれには逆らえず、逆にエレシュキガルは冥界ではどんな者よりも強くなる。
これは神の中では周知の事実だと思うのだが、知らない者もいるらしい。いや、知らない者ならばまだしも知りながらもその話を信じなかったり軽く見て冥界に挑む奴もいるらしい。
正直言って神ってバカじゃねぇの?と毎回思う。
まぁそのバカが今俺の隣に居るんだけどな。
「何考え込んでんのよ、さっさと行くわよ!」
「行くってどうやって行くつもりだよ。
穴でも掘るのか?スコップ貸してやろうか?」
「はぁ?そんな面倒くさい事いちいちする訳ないじゃない」
「じゃあどうすんだ?ここに大穴開けるとか?」
「せいかーい!分かったらさっさと下がってなさい!」
………………え?
「いや、ちょっと待て!ここ町中で周りに人たくさん居るんだぞ!?巻き込んだらどうすん………」
抗議の声が聞こえないのか無視なのか、イシュタルは俺の声を聞かずに遥か上空に飛んで行き、比較的人がいない場所に体を向けて何かの詠唱を始めた。
「砕け冥界の
さあ、冥界への入り口を作るわよ!」
直後イシュタルから眩いばかりの光が迸る。
すると次の瞬間、石が砕けるような破壊音が辺りに木霊し土煙が舞い散った。
「ふぅ、ほら何ボサッとしてんのよ。
さっさとあの穴から冥界に行くわよ」
そう言いながら俺を引っ張り穴の方へと連れて行くイシュタル。とりあえず何も言わずに着いて行くとそこには俺とイシュタルが入るのに必要な大きさの穴の軽く見積もっても10倍はあるであろう巨大な穴が開いていた。
これ、冥界から帰ってきた時に誰が直すの?
俺?俺なの?
「じゃあ先に行ってるから早くきなさいよ」
そう言って先に穴に入って行くイシュタル。
それを見送った後に後ろを振り返ると、そこには冥界への穴が空いた為に大慌てになって居る住人と、先ほどの爆発音に驚いてほぼ阿鼻叫喚状態になって居る住民。
とりあえず…………本当にごめんなさい!
そう思いながらも俺がエルシュだとバレる前に、イシュタルに続くように急いで穴の中に入って行った。
バレてないといいんだけどな。
次の話が早く描けるように頑張ります!