そして何度でも言います、この小説はBLではございません!
「ギルくん、ギルくん?………寝ちゃったか」
あのあとギルくんに大量の童話や昔話をした。
いや、昔話じゃなくて未来話か?
童話は泣いた赤鬼とか優しい悪魔とか色々と話た。
その中で1つだけ完全オリジナルのものを入れてみたが………意外と好評だった。
まぁそれはいいとして、話をしていると途中から揺れと木の板のせいで腰が痛くなったので寝転びたいと言ってきた。
しかしこのまま寝転ぶと今度は頭が痛くなりそうだねと言ってたので、取り敢えず俺の膝の上に頭を乗せた。
といっても正座をしている訳じゃなく、両足を30°くらい開いたうえで右足の太ももに頭を乗せているのでこちらはほとんど辛くない。
むしろ辛いどころかギルくんの寝顔を見れるので特等席だ。
さて、ギルくんが寝て暇になった今のうちに魔猪討伐前後のことを考えるか。
俺たちは10日間の猶予をもらったが、ニップルに行くには馬の休憩やらなんやらを考えたら片道2日で行ける。
しかし行った瞬間に魔猪が出てくるのならばまだいいが、そう簡単に現れるとは思えない。
だから魔猪が出てくるまでの時間を考えて父は俺たちに10日間もくれたのだろう。
帰りのこととギルくんとウルク市街を一緒に歩き回ることを考えたら魔猪討伐に使える時間は5日間………5日間か。
運ゲーの様なものだが、そこは大丈夫と確信している。
だって確か英霊化したギルくん・アーチャーギルガメッシュ・キャスターギルガメッシュの全員が幸運A、つまりは英霊の中でもトップクラスだったはずだ。
つまりはギルくんの運にかけるということだ。
あまりギルくんを頼ることはしたくないんだがな。
しかしギルくんとのウルク市街歩きの為にも早く帰らなきゃいけないから仕方ないと思っておこう。
………どうしよう、もう終わってしまった。
今の陽の傾き具合を見るとまだウルクを出発してから4時間か5時間位しか経ってなさそうだし………俺も少し寝るとするか。
本当はギルくんと俺で
そうしながら2日間を過ごそうと思う。
というわけでギルくん、お休みなさい。
………俺ってもしかしてギルくんに甘い?
まぁそんな事はどうでも良いとして、ギルくんの寝顔が超絶可愛いんですけど。
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〜ニップル〜
ようやく着いた。
夕方につけると思ったけど、夜になってしまった。
しかし、馬車の中にずっと居たせいで体を動かさなかったからガチガチだぜ。
しかし俺は旅慣れしているからこの程度で済んでいるけど、城からすら出た事がないギルくんは
「こ、腰が………!
ここまで長時間の馬車移動が辛いとは思わなかったよ………!
お兄ちゃんは本当にすごいね。
全然平気そうだし」
ちょっとやばそうだな。
「いや、俺も最初はそんなもんだったよ。
それに今でも体がガチガチだし普通にきついよ。
それが普通なんだよ」
俺も最初の頃はマジで酷かった。
だって一歳の頃から馬車移動だよ?
普通の子供は半分以上が歩くことが出来る様になって、速い子でも喋る練習しているくらいの歳だよ?
俺?俺は確か、生まれて5ヶ月目に歩ける様になって6ヶ月目に初めて喋って1年目にはもうほとんど流暢に喋ってたよ?
あれ?俺の成長早すぎ?
というか気味悪がられた理由の1つって成長速度が早すぎるから?
………まぁそれは良いとして、最初は移動だけで身体中が痛くなって1日その町の家でゆっくりしていた。
そうしなければ動けなかった。
そんなことを考えていると町の中の一軒家から白髪の老人が出て来た。
彼はこの町の町長で、今年で齢69歳になるほどの老人なのだが………明らかにこの国の平均寿命を超えてるよな。
「おお、エルシュ様ではございませんか!
魔猪の討伐に人手を貸して下さると王からの手紙には書いておられたが、まさか貴方様が来て下さるとは!」
「あぁ、町長久しぶりです。
俺が来たからには安心してください。
魔猪くらいなら俺たち2人で十分ですから」
俺が国巡りをしていた時にこの町に一年ほど滞在して記録をとったのが丁度今から………1年半前だったかな?
その時に町長やこの町の人たちにはお世話になった。
「エルシュ様がそう仰られると安心ですな。
ところで………そちらのお方は?
随分とエルシュ様に似ておりますね」
ああ、そういえば町長はギルくんを知らないのか。
………これでいいのかこの国は。
国民が次期国王、もしくは王子のことを知らないなんて普通ねえだろ。
「初めまして町長さん。
僕の名前はギルガメッシュと申します。
僕の兄であるエルシュに連れられこの国の勉強をしています。
よろしくお願いします」
「おお!エルシュ様の弟君でございますか!
では改めまして、私はこのニップルの町長をしている者です。
なるほど、エルシュ様に似ておられるわけだ。
これはエルシュ様と同じく将来が楽しみですね」
ほっほっほと笑う町長。
確かにギルくんは将来、超が付くほどのイケメンになるから合っているな。
しかし、俺とギルくんってそんなに似ているかな?
「おおっと、こんな所で長話をするべきではないですな。
本当は私の家でゆっくりとして貰いたいのですが…………今日はもう遅いですし、今日は近くの空き家でごゆっくりとお休み下さいませ」
確かにそうするべきかな?ギルくんは慣れない長距離馬車移動のせいで身体を痛めていし、こんなにも暗い中で被害があった畑を見たとしても周囲の確認もろくに出来ないだろうし仕方ない。
今日はゆっくりと休んで、明日の朝調査をし始めよう。
「それじゃあお邪魔しても良いですか?」
「はい、どうぞどうぞ」
「ありがとうございます」
町長に連れられギルくんと一緒に空き家にお邪魔した。
しかし、中は思った以上に家の中は綺麗で、the中世ヨーロッパの家族の部屋って感じだ。
きっと俺たちが来るからと言ってわざわざ準備してくれたのだろう。
本当にありがたい事だ。
「何もないところで申し訳ございません。
どうぞ、ごゆっくりしたいって下さいませ。
魔猪討伐の依頼の件は明日の朝にでも話し合いましょう」
そう言って外に出て行く町長。
町長は何も無いと言っていたが、そんな事は無い。
家具を始め、キッチンには2人分の食料とそれを調理するためのフライパンやオーブンまである。
はっきり言って素晴らしい。
「ごめんお兄ちゃん。
僕もう先に眠らせてもらうよ」
俺も疲れたから寝るとしようかな?
1人で起きているのもなんかヤダし。
「それじゃあ俺も寝るよ、ギルくん」
そう言い、ギルくんと一緒に寝室に行く。
その間にギルくんは頭がカクンカクンと傾いており、相当眠そうなのがよく分かる。
念のため寝ぼけて何処かに行かないように手を握っているのだが、今この時も別の部屋に入ろうとしている。
ギルくん、そこ寝室じゃなくてトイレだからね?
「………眠い」
そうギルくんが呟いたと同時に寝室に着く。
部屋に入ってみるとそこには左右に2つのベットが置いてあるだけのシンプルな寝室であった。
「はいはい、もう着いたからね。
それじゃあ右のベットを使ってね。俺は左を使うから」
ギルくんの了承を聞かずに右のベットに寝かせる。
その上から毛布をかぶせて俺も自分が使うベットに向かう。
すると、いきなり自分の服の裾が引かれる感触を感じた。
「……………ギルくん?」
後ろの毛布から伸びるその手の持ち主はギルくんであった。
しかし、そのギルくんの顔は何故か顔が赤くなっていた。
「どうかしたのか?熱?」
するとギルくんはより一段と顔を赤くして、何故かモジモジし始めた。
「……………何か分かんないけど、俺も眠いから用事なら明日にしてくれよ?」
全く口を開かないギルくんにシビレを切らせて自分のベットに向かおうとする。
少し突っぱねた感があるけど、俺も眠いから仕方がない。
そう思い手を払おうとしたその時、今まで口を開かなかったギルくんが爆弾を落としてきた。
「お、お兄ちゃん///……その………ね///?
いっ一緒に………寝よ///?」
その瞬間、俺の中の何かが弾ける音がした。
とりあえず回れ右をしてギルくんに衝撃が行かないように最速で、かつ慎重にギルくんと同じベットに滑り込む。
そして腫れ物を扱うようにギルくんを抱きしめる。
「お、お兄ちゃん…………えへへ///お兄ちゃんの体暖かい///」
俺に体を預けるように擦り寄ってくるギルくん。
そしてそのまま次の日の朝までギルくんを抱きしめ続けた。
とりあえず…………ギルくんの赤面の寝顔はこの世の何よりも素晴らしかったとだけ言っておこう。
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次の日の朝、ギルくんより早く起きて朝ごはんの準備をし始める。
もちろんベットから抜け出す時、ギルくんを起こさないように細心の注意を払って抜け出した。
朝ごはんのメニューは目玉焼きとトーストとサラダというシンプルなものにしてみた。
でも俺の体ってまだ7歳だから踏み台がなければ料理できなかったことがそこそこ面倒臭かった。
「よし、こんなもんかな?」
とりあえず朝ごはんを作り終わってギルくんが起きるまで暇なので、料理に使った道具を洗っていると少し髪が跳ねているギルくんが起きてきた。
ただ、俺の事を視線に入れた瞬間顔が『ボッ』という音が聞こえそうな勢いで赤面した。
「…………どうかしたのか?」
またもやモジモジし始めるギルくん。
とりあえずそのままギルくんを見つめ続けるのもいいが、時間が勿体無いのも事実なので道具を洗いながら見つめ続ける。
こういうのって意外と出来るものなんだな。
「………き、昨日のことは忘れて///」
「………分かった」
「ほ、本当?ありがとう」
ホッと胸をなでおろすギルくん。
ちなみに分かってはいると思うが忘れるというのは嘘だ。
だってあんなギルくんレア物だよ?
そんなものを忘れろっていうのか?
冗談じゃあない。
一生忘れてたまるかあんな素晴らしい
その後、ギルくんと一緒に朝ごはんを食べながら本日の予定と魔猪討伐の事について話す。
と言っても話したことと言えば今日は取り敢えず魔猪の被害があった畑に行って魔猪がどれほど力があり、凶暴なのかを見てみる。
そして次に怪我をした村人のところへと赴き実際に見た感じ、どれくらいの大きさだったのかを聞くこと………簡単に言えば情報収集をするという事だけだ。
話し終わったと同時に朝ごはんを食べ終わる。
魔猪討伐をする前に皿などの食器を片付け始めるが、その時ギルくんも手伝ってくれた。
言わずもながら手伝ってくれるギルくんは素晴らしかったよ?
そして食器を洗い終わったら、魔猪討伐に2人で一緒に向かう。
ただし、魔猪討伐は想像を超えるような苦難であった。
ギルくん、デレから進化してデレデレになりましたとさ。