転生したらAUOの兄だった件について   作:けんさん&コハク

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 設定がうろ覚えな上、小説も正直自信がありません。
 それでもいいと言う方はゆっくりとご覧ください!




魔猪の討伐【三】

 取り敢えず家(仮)を出た俺たちはそのまま被害者の元へ向かおうとしたが、よく良く考えたら昨日町長が「魔猪討伐の依頼の件は明日の朝にでも話し合いましょう」と言っていたのを思い出したので、とりあえず町長の家まで来た。

 町長はわざわざ自分の家の前で俺たちを待ってくれていた。

 とりあえず話は家の中でやりましょうと言ってきたので中に入って話し合いをすることに。

 

「では改めまして。この度はわざわざこのニップルまでお越しいただきありがとうございます。

 依頼の内容は魔猪の討伐でございます。

 あの魔猪らめが初めて現れたのは………たしか王に助けを求める数日ほど前の畑にて発見致しました。

 それまではこのニップルの近場には弱い魔物は出ても、あれほど大きく強い魔獣は聞いたこともございませんでした。

 村人も一人大怪我を負い、町の男衆でも簡単に返り討ちに遭うだけでしょうから、急ぎ王に助けを求めたのでございます」

 

「なるほど………ちなみに魔猪が出て来た理由がなんだか分かりますか?ついでに王に助けを求めたのは今日から何日くらい前だったかも教えてもらえればありがたいです」

 

 魔猪が出て来た理由を聞くのは当たり前だが、なぜ王の話を聞くのだろうと思うだろうけど、これはただの確認だ。

 ぶっちゃけて言うと、俺は王がどれだけ優秀かを知らない。

 まぁ元々王のことなんて興味がなかったし、将来俺が王になるわけじゃないから今も興味がないけど………まぁ聞くだけはタダだし良いだろう。

 

「はい、あやつら(・・・・)が出て来た理由は申し訳ございませんが心当たりがございません。しかし王に助けを求めたのは今日より5日ほど前だったと記憶しております」

 

「なるほど……………ん?5日前?」

 

「はい、5日前でございます。

 しかし驚きましたよ、連絡してからたった4日目で魔猪討伐に手を貸してくれると言う連絡が来たのですから」

 

「そうですか………分かりました」

 

 今の話を聞いて3つほど気になったことがある。

 1つは誰もが思うだろうが、なぜ突然魔猪が現れたのか。

 もう1つは、俺たちが派遣されるにしては早すぎないか?

 ここからウルクまでは2日かかり、俺たちが来るのにも同じく2日がかかってる。つまり王はこの村のSOSを受け取ったその日に魔猪の討伐に手を貸すと言う連絡を出して、俺たちにこの村に行けという指令を出し、その日のうちに俺たちがこの村に来るための準備を終わらせたと言うことだ。

 幾ら何でも準備が良すぎないか?

 まるで(・・・)最初から(・・・・)ここに(・・・)魔猪が(・・・)現れるのを(・・・・・)知って(・・・)いた(・・)かのように(・・・・・)

 まさか………いや、これは流石に考えすぎか?

 最後に1つ、これは俺の聞き間違いとか空耳とかであってほしいと願うが………。

 

「あの…………あやつ()って?」

 

「何言ってるんですか!もちろん魔猪()のことですよ!」

 

「……………へ?」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 あの言葉を聞いた後、さっさと話を終わらせた俺とギルくんは被害のあった畑へと来ていた。

 そこには無数の足跡。

 サイズは俺の手を広げたくらい(から)俺の前腕よりも大きなものまで選り取り見取り。

 数にしてざっと十はくだらない。

 うん、とりあえず……………

 

「ふっざけんじゃねぇぞあの国王ーーーー!!」

 

 俺一体って聞いてたんですけど!?

 何で10体以上はいそうな状態になってんだよ!

 ほら!いつものあいつによる俺への無茶振りにもアハハと軽く笑うくらいで済むギルくんでも

 

「…………ちっ、あの国王お兄ちゃんに適当なこと言いやがって」

 

 ただただ怖いよ!目からハイライトが消えてボソリと低い声出してるよ!?

 俺ギルくんの舌打ちとか初めて聞いたんだけど!

 ………………ふぅ、さすがに落ち着いた。

 しかしこれは困ったな。

 今回もいつもの(城の兵士の仕事手伝ってこいや魔獣の討伐、果てにはワイバーンの討伐などなど)命令だけだと思ってたけど、まさか嘘をつかれるとは思ってもみなかった。

 ただのミス………なんてことはありえないよな。

 ということはやっぱりワザとって事だよなー。

 しかし、あいつにそんな事をして何のメリットがあるんだ?

 俺への嫌がらせ?そんなものした所で先ほど言ったようにメリットがない。何かあったとしても俺からのやり返しくらいだ。

 次期王であるギルくんへの試練?いや、俺が提案しなければあいつの事だ………ずっと城の中にとどめておくつもりだったんだろう。

 うーん、ダメだ。考えても全く思いつかな。

 いや、それよりもこれはマジで大変な事になるぞ?

 俺たちに与えられた時間は10日もあるかと思っていたが、たった10日(・・・・・・)しかないという事だ。

 幾ら何でも10体近くが一気に現れてくれるとは思えないし、かと言って探しに行こうにも、探しに行ってる間に魔猪がまたこの村を襲って来たら俺たちが守れずにまた被害が出る。

 それでは本末転倒だ。

 かといって俺とギルくんで二手に別れたとしても、俺はまだ大丈夫だがギルくんの方に魔猪が来た場合、ギルくんが魔猪に勝てるか?

 おそらく無理だ。

 幾ら英雄王となる男でもまだ子供。

 戦闘はおろかまともに外にも出たことがない。

 それでは戦う以前の問題だ。

 しかし、ギルくんは戦る気満々だ。

 アーチャーギルガメッシュはアレだが、キャスターの方のギルガメッシュや今のギルくんは自分の国の問題に真摯に取り組むような人格なのだ。

 だからおそらく俺がどこか安全な場所へ村人と一緒に隠れてろと言いつけたとしても聞かずに村人のために戦おうとすると思う。何となくそんな予感がする。

 何よりギルくんは将来も今も意外と頑固だ。

 一度決めたことはやり通そうとするし、他人に言われた程度ではやろうとしている事を曲げようとしない。人間として美徳ではあるが、今は厄介だ。

 でもチャレンジくらいはしてみるか。

 直球に言うのはあれだから遠回しに言って………

 

「でも安心してよお兄ちゃん!

 あの国王が何を考えてるのかは分からないけど、お兄ちゃんと一緒なら魔猪だろうと何だろうと倒せるよ!

 いや、お兄ちゃんと村人さんが何もしなくても僕一人できっと倒せるから!」

 

 はい、無理ですねこれは

 

 こんな状態のギルくんに二手に別れるなんて言ったらNoどころかwelcomeとか言いそうだよ。

 というかコレってアレじゃね?慢心じゃね?

 いや、そんな事を気にしている暇はない。

 しかし、本当にこれはどうしようかな?

 いや実は1つだけ案は思いついてるが、はっきり言って運任せのギャンブルに近い事だ。

 

「それで、これからどうするのお兄ちゃん?」

 

 ヤバい、早く考えなきゃギルくんが自分で二手に別れるとか言って来そうだ。

 しかし先ほどの案以外のことは思いつかない。

 先ほどの案は簡単な話、魔猪が来るまで待つという簡単な案だ。

 これ以外が本当に思いつかない。

 …………しょうがない、これで行くか。

 

「適当な罠を張って魔猪がどう出るかを監視してみる。

 まずは簡単な罠〜最初から罠があると知っていなければ気づかれないような罠までを張って魔猪の知能を調べる。

 魔猪の知能を調べてから行動を開始した方が安全だし、上手くいけば魔猪の裏にいる奴(・・・・・・・・)が分かるかもしれないからな。

 まぁさっき言ったのは相手が間抜けか魔猪を上手く使いこなせないような奴、もしくは魔猪を当て馬と考えている奴か。その三通りに当てはまるような人物なのか否か、その程度が分かるというだけどな」

 

「えっ裏にいる奴?」

 

 俺は今回のこの騒動、誰かが魔猪の裏にいると睨んでいる。

 まず魔猪は神秘や魔力が濃い地帯を好み、そこにある綺麗な泉に体を浸けて自身の領地にし、そこで群れを成すか一匹で過ごすはずだ。

 こんなところに現れるようなものではない。

 泉探しの途中でここに寄ったということも考えられるが、実は魔猪はあんな見た目をしているが自分に害のあるものが現れない限り暴れるようなことはほとんどない。

 温厚………とは違うが、まぁゾウみたいに怒らせるのは危ないという程度の考えで十分なくらいだ。

 まぁあいつの場合、前に出て行くだけで攻撃して来る敵と見なされて攻撃されるけど。

 それを伝えたらギルくんの目が輝きだした。

 何でも『魔猪の知識がそんなにある上、それだけじゃなくてたったこれだけのヒントで裏に誰かが居るって気づくなんて凄いよ!』らしい。

 うむ、何というかここまで賞賛されると少し恥ずかしいな。

 次に行ったのは今回怪我をしたという男性の元だ。

 近くに居たという彼に自身の何倍くらいある魔猪なのかが、村長の話よりも正確に分かるはずだ。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 怪我をした男性の家来て、彼の話を聞いているんだが………なんかおかしい。

 

「では、もう一度確認しますよ?

 私達が村長から聞いた話は魔猪は複数いて、大きさは成人男性の五倍位だと聞いて来ました。

 そして私達も先ほど魔猪の足跡を確認してみたところ、私の手〜前腕ほどの大きさがありました。しかし貴方が見たのは?」

 

「私が見たのは一匹の毛が赤黒い魔猪です。

 見た所、大きさは私の………二十倍?はあったかと思います」

 

 ………さっきから全く話が噛み合わない。

 足跡から十匹は居ると思われるはずの魔猪がたった1匹しか居なかったと言い、体長は大の大人の二十倍。というかそんな大きさの魔猪なんて幻獣種はおろか下手な神獣相手なら勝てるレベルなんじゃないか?

 そもそも、幻獣種とは伝説・神話にて登場する生物の総称のことで文字通り、幻想の中にのみ生きるモノ。

 外的要因によって生態系が変貌したモノ、ヒトの想念より生み出されたモノ、長寿により上の段階にあがったモノなど……言わば神秘を秘めた獣達の総称なのである。

 例えば妖精や巨人と言われる亜人、日本にいる有名どころだと鬼や大蟒蛇もこれに該当する。

 その中でも竜種と呼ばれるものは幻想種の頂点に位置し、最強の幻想種であるとされている。

  Fateに出て来るサーヴァント、例えばジャンヌ・オルタ等の宝具として召喚・使役されることもある。

 『魔獣』『幻獣』『神獣』という順にランクが上がっていく。

 その多くは今のこの時代のような神代より存在する様々な動物が入り混じったキメラ(掛け合わせ)、合成獣である。

 一番ランクの低い魔獣クラスでならば魔術師でも使役可能だとされているらしい。

 この三つの中で魔猪は幻獣に該当するものなのだが、その強さは差が激しく、魔獣クラスくらいの力しか持っていない魔猪も居れば武勇に優れたケルトの戦士であろうと殺せるほどの力を持っている魔猪だっている。

 それでも神獣の力には及ばない。

 神獣は………俺もよく知らないが、多分幻獣よりも多くの神秘を秘めているものを神獣と呼ぶのだったと思う。

 そもそも神秘はより高い神秘に打ち負けるという法則を持っているため、基本的に幻獣がより高い神秘を秘めている神獣に打ち勝つことはそうそうない。

 もちろん相性だってあるし、例えばヘラクレスの十二の試練に出て来るヒドラ等は幻獣ではあるが神獣であろうが倒せるであろう。

 だが、魔猪がそんな力を持っているとは考えにくい。

 それこそ魔猪くらいの幻獣が神獣を倒せるクラスに成長するには神の力が必要になってくる。

 ん?神の力?

 いやまさか………でも確かここってアレ(・・)だよな。

 …………念の為に聞いておくか。

 

「ちなみに、魔猪のそばで誰かを見かけた………なんて事ありませんよね?」

 

「は?魔猪のそばででございますか?」

 

「はい」

 

 この質問に、男性は顎に手をやり考えこむ。

 この様子だと俺の考えは杞憂に終わった……

 

「あぁ、そう言えば!

 確か魔猪の遥か後ろに人間とは思えないようなグラマラスで美しい女性が居ましたよ!

 いや〜あの方は一体なんと言う名の方なのでしょうか、もう一度そのお姿を拝見したいものですよ」

 

 ……………ああ、やっぱり。

 なんか男性が興奮したように話しているが、俺の耳には入ってこない。

 

「お兄ちゃん、大丈夫?

 顔色が相当悪いけど………?」

 

 なるほど、今俺顔色が悪いのか。

 でもそれも仕方がないと思う。

 

「ギルくん、俺今回の犯人誰か分かった」

 

「えっ!?本当!凄いよ流石はお兄ちゃん!」

 

 ギルくんが賞賛してくれるが、今回の犯人の名前を聞いたらきっとギルくんの顔も引きつると思う。

 

「それで、犯人は誰なの?」

 

「美と豊穣の女神」

 

 あっやっぱり笑顔が引きつった。

 そう、多分今回の犯人はアレだ。

 

 金星の悪魔こと女神イシュタル




 あぁーー!!!可愛いギルくんが書きたい!!
 でも可愛いギルくんが思い浮かばない!
 だれか、誰か私に案をーー!!!

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