転生したらAUOの兄だった件について   作:けんさん&コハク

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 皆さん、今年ももう僅かですね。
 本当は明日に投稿しようかなと思ったのですが、別にお正月ネタでもないし良いかな?と思い投稿しました。
 あまり自信はございませんがよろしければゆっくりと見てください。

 
【挿絵表示】


 これは友達に描いてもらったエルシュくん7歳(精神は三十路)さんです。可愛いですね。
 続きは出来るだけ早く出します。


魔猪の討伐【四】

『諸君、私はギルくんが好きだ。

 諸君、私はギルくんが好きだ。

 諸君!私はギルくんが大好きだ!

 

 寝顔が好きだ 笑顔が好きだ 赤面が好きだ 涙目が好きだ 甘えが好きだ 嫉妬顔が好きだ ウトウト顔が好きだ しょんぼり顔が好きだ 小悪魔笑みが好きだ。

 

 顔が、魂が、心が、笑みが、性格が、言葉が、行動が、手足が、目が、涙が、生き方が、志が、血が。

 ギルくんのありとあらゆることが大好きだ!

 

 ギルくんが私の仕事の終わりを待ちながら遠くを見ている時に私が帰ってくると素早く近くに来てお仕事お疲れ様と言う顔が大好きだ。

 

 私が城の女中と親しげに話しをする時に少し嫉妬をした様な顔をしているのを見た時は心の底から喜びを感じる!

 

 私が女神イシュタルが解き放った化け物の討伐が終わり、キズだらけになりながら城に帰った時に、私の姿を見たギルくんが涙目になりながら怒り、治療をしてくれた時は涙すら出てしまいそうになる!

 

 諸君、私はギルくんが大好きだ。

 ギルくんが余り可愛くないなんて輩がいる?

 よろしい、ならば戦争(クリーク)だ。

 

 我々は満身の力をこめて今まさに抱きつかんとする腕だ。

 だがこの暗い闇の底(社会)で何年もの間堪え続けてきた我々にただの可愛いギルくんではもはや足りない!!

 (さらに可愛いギルくん)を!!

 一心不乱の(さらに可愛いギルry)を!!

 我らはわずかに一個大隊、千人に満たぬ異常性癖者(ショタコン)に過ぎない。

 だが諸君は一騎当千の古強者(変態)だと私は信仰している。

 ならば我らは諸君と私で総力100万と1人の軍集団(犯罪者予備軍)となる。

 我々を忘却の彼方へと追いやり眠りこけている連中(正常者)を叩き起こそう。

 髪の毛をつかんで引きずり降ろし眼を開けさせ思い出させよう。

 連中に本当の(さらに可ry)の味を思い出させてやる。

 連中に我々の(さらry)の音を思い出させてやる。

 愛と欲望のはざまには奴らの哲学(正常者達の正論)では思いもよらない事があることを思い出させてやる。

 

 ギルくんの兄であるこの私………いや、ギルくん守り隊隊長兼ギルくんを愛で隊総督兼ギルくん愛し隊会長であるこの俺、エルシュが鉄槌を下してやろう!』

 

『隊長!会長!総督!大総督!お兄様万歳!

 隊長!会長!総督!大総督!お兄様万歳!

 隊長!会長!総督!大総督!お兄様万歳!』

 

『さあ諸君!理想郷(ギルくんによるギルくん好きの理想郷)を創るぞ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お兄ちゃん、おはよう!」

 

「ああ、おはようギルくん。

 俺どんくらい寝てた?」

 

 という夢を見ました。

 いや、なんだよギルくん守り隊とか愛し隊とか愛で隊とか。

 何で俺がそいつらを率いて隊長、会長、総督、大総督、お兄様なんて呼ばれたんだよ。せめて呼び名を統一しろよ。

 というか俺はギルくんの事は確かに大好きだし、可愛がっているけど、変態になった覚えも異常性壁野郎になった覚えも無い。

 無いったら無い。

 

「うーん、多分1時間も経ってないと思うよ。

 ごめんね、起こしちゃって。

 魔猪の事もあるし、何より少し魘されてたから起こしちゃったけど、疲れているなら寝ても大丈夫だよ?」

 

「ああ大丈夫大丈夫、起こしてくれて丁度良かった。

 というか俺あんなにハイテンションだったのに魘されてたのか」

 

「?」

 

 どうやら俺はギルくんと話したあの後、膝の上に載っているギルくんの暖かさとイシュタルが犯人だと分かった精神的ショックによる身体の疲れによってウトウト眠ってしまったらしい。

 ギルくんが言うには1時間も寝ていないらしいからそこは良かった。時間が限られているのにこれ以上の時間ロスはあまり芳しく無い。

 あの夢は忘れよう。

 もう二度と思い出さない様にしよう。

 

 

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 適当に外出する準備を終えて罠を仕掛ける場所の下見の為に町からほど近い場所にやって来たのだが、早くもやばいことに気づいた。

 というか忘れてた。

 ここ…………………周囲一帯が荒野だったわ。

 はいー、振り出しに戻っちゃったよコンチキショウが。

 …………いや、マジでどうしようか。

 木が無いわけでは無いけど、近くに木が二本生えてる場所が見渡す限りありそうに無い。

 いやそりゃあ少し遠くまで行けば有るかも知れないが、村の近くに出る魔猪を討伐しようってのに遠くに行くなんて本末転倒。

 あっ本末転倒なんて初めて使ったかも。

 

「ごめんお兄ちゃん。

 僕がちゃんと地形のことを計算に入れてたら良かった。

 せっかく…………お兄ちゃんの役に立てるって思ってたのに、お兄ちゃんか僕の作戦を実行しようとしてくれたのに…………ごめん。

 ごめんねお兄ちゃん…………」

 

「ギルくん……………」

 

 落ち込んだ様に俯くギルくん。

 それより、ギルくんはそんな事を考えてくれてたのか。

 俺もここが荒野だってのをすっかり忘れてたわけだからそんなに気にすることない………って言えたらいいけどな。

 そんな事言ったってギルくんの事だから『お兄ちゃんは僕の事を気遣ってフォローしてくれてるんだ。僕はまたお兄ちゃんに余計な事をさせた』とかなんとか思って余計に落ち込むんだろうな。

 この状況を打開するには作戦を力尽くにでも実行しなきゃいけないよな。

 

「…………いや、待てよ?」

 

「…………お兄ちゃん?」

 

 今いる俺たちから見て近場に木があるのは右斜め前役8mほど、それと左斜め後ろ役120mほど。

 それ以外の木はもっと離れた位置にあるのみで、これ程離れているのに鎖を付ける事なんて出来るわけがない。

 ならどうすればいいのか?

 簡単な話だ。

 近くに無いのならば近づければいい(・・・・・・・・・・・・・・・・)じゃないか。

 

「ごめんギルくん、ちょっと行ってくる」

 

「えっお兄ちゃん?」

 

 俺が左斜め後ろにある木に走り出すと後ろの方で困惑した様な声が聞こえてくる。しかし、ギルくんには悪いが今は無視。

 ……………よし、到着した。

 ギルくんと一緒に居たところから、2番目に近い木が生えているここまで120mくらいあったのに、軽く走っただけでたったの三秒もかからずに来てしまった。

 こういうのを実際に体験すると神の血って凄いんだと実感する。まぁ俺はその大本である母の顔すら見たことないけど。

 取り敢えず木を見てみると意外と頑丈そうで安心した。

 今回の作戦は第1に木が隣接した場所があるのと、第2に木が頑丈ってのがあったからな。

 いくら木が隣接した場所がちゃんとあっても木が柳ほどの細っこい木だったら魔猪の力でポキッと行ってしまうからだ。

 だが、今俺の目の前にある木は見た感じ縦8m、直径3mはありそうだから、十分だろう。

 それを確認したらまず木を抱きしめるようにくっつき、両手を出来るだけ広げて腰を落とす。

 

「フゥーーー………」

 

 ゆっくりと息を吐き、体の力をゆっくりと抜く。

 

「………………オラッ!」

 

 そして一気に体と腕に力を込めて、木を抜きにかかる。

 すると木の根元からミシミシという音が聞こえてきて、数秒後には完全に根っこまで地面から抜けきった。

 そしてその木を肩に担いで一歩、また一歩とギルくんの方へと歩みを進める。

 

「重たい………というか肩が結構痛い………!」

 

 まぁ当然といえば当然だ。

 だって俺まだ子供、担いでるのは木。これで重たく感じなかったら人間辞めてるって感じてしまう。

 とっそんな事を考えている内にギルくんが立っている場所まで戻ってきた。ちなみにギルくんは俺のこの奇行に驚いているのか固まって俺の方を見つめている。

 そんなギルくんを横目に右斜め前の木から3mに着いた。

 とりあえず担いでる木が邪魔なので適当な場所に木を放り投げる。

 

「お、お兄ちゃん。

 木を抜いて何しようとしてるの?」

 

 ギルくんが恐る恐る俺に聞いてくるが、そんなの決まっている。

 

王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)

 

 そう呟くと俺の背後から付近から黄金の波紋が現れる。

 その内の1つから三角の鉄製の持ち手が付いている柄が出てきた。それを手に取り一気に引き抜く。

 俺が手に取ったのはシャベルである。

 誤字でも似ている名前でもない、あの土を掘る道具のシャベルである。そして別の波紋からは軍手を取り出す。

 その軍手をはめてシャベルを持ち地面を掘り始める。

 

 ザク、ザク、ザク、ザク。

 

 辺りには俺が地面を掘る音しか聞こえない。

 5分ほど掘り続けるとそれなりに深い穴が開いた。

 

「よし、後は………」

 

 王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)に軍手を入れてシャベルを隣に刺し立て、背後に置いていた木をもう一度持ち上げ、掘った穴に木の根元を入れる。

 そして木を立てかけてシャベルで土を入れて穴を塞ぐ。

 その後また5分ほどで穴は防げたが、これではまだ耐久力不足。その補強の為に剣を刺そうと思い、新しく王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)から返しの付いた剣を10本ほど取り出し、木の根元に刺す。

 5本ほど刺したら3m先の木にも残った5本の剣を刺し込み準備は完了。ギルくんの方へと歩み寄って頭を撫でる。

 

「これでお前の作戦、使えるよな?」

 

 遠くにしか木がないのなら近くに植え替えればいい。

 単純な発想だし、これが成功するかどうかは分からないが、ギルくんの考えた作戦を実行することは出来る。

 ギルくんの作戦以外にこれといって良い作戦は思いつかなかったし、何より可愛い弟が考えてくれた作戦だ。

 実行しなきゃ【兄】なんて名乗れないような気がする。

 

「さて、後は鎖を木に巻きつけて魔猪を誘い出す為にはどうすればいいのか考えなくちゃいけないんだが………あいにく俺は頭が硬いのかそういった想像力があまり無いんだよ。

 だからこれからも迷惑かけると思うが俺が悩んだら力になってくれないか?」

 

 頭を強めに撫で、顔を覗き込むようにギルくんの目を見つめる。

 

「そのかわり俺はギルくん、お前が道を踏み外した時には必ず俺が止めに行ってやるから………頼めないか?」

 

 ギルくん改めギルガメッシュは俺という世界の異物が近くにいるが、十中八九【暴君ギルガメッシュ】としてその玉座に座るだろう。

 だからその時は俺が止めに行く。

 だって俺は【兄】だからな。

 【弟】を止めるのも【兄】の役割だ。

 しかし、今は少しこんなキザなセリフは恥ずかしいので頬を掻きながら聞くとギルくんは放心状態のようにぼーっとしたような顔でこちらを見つめていた。

 しばらくするとギルくんはハッとしたような顔をしてゆっくりと涙を目尻に溜め込んで………涙?

 

「お兄ちゃん………お゛に゛い゛ぢゃ〜ん゛」

 

「うぉー!?どうしたんだギルくん!?

 えっ何!?なんで泣いてんの!?」

 

 ギルくんは泣きながら俺の胸に顔を押し付けてグリグリと自分の頭を擦りつけてくる。涙とか鼻水とかが付くけどギルくんのだし気にしない。

 もちろん後でちゃんと洗うけどな。

 流石に美ショタの体液が付いた服を着続けたり保管したりなんて変態じみた行為は絶対しない。

 例えそれが可愛い弟であったとしても。

 というか可愛い弟だからこそやらない。

 

「だっで、お゛兄ち゛ゃん゛………ぼぐのだめに………!」

 

「落ち着いて、何言ってるのか分からないから。

 というかにに濁点ってどうやって発音しているんだ?」

 

 ブー!という音と共にギルくんは俺の服で鼻をかむ。

 ギルくん………いや、別にいいけどさ。

 

「だって、お兄ちゃん………王子なのに………将来の国王(・・)であるお兄ちゃんが手を土で汚してまで、僕の為に僕の作戦を無理矢理実行しようとしてくれたし………。

 それが………嬉しくて」

 

 そうか………そんなに喜んでくれるなら俺も頑張った甲斐がある。というかシャベルでやったからそこまで手も汚れてないし。

 …………ってちょっと待て今なんて言った?

 将来の国王ってもしかしてギルくん、俺が王様になることを望んでるの?そうだったら結構シンドイんだが。

 俺個人は歴史通りに物事が運ばれてほしいからギルくんが王様になって欲しいんだが………。

 まぁ俺はそのうち城から出てどっかに隠居するつもりだし別にいいっちゃいいけど………。

 数分経つとギルくんも落ち着いたのか俺から離れようとはしないが静かに俺の作業を見続けている。

 

「…………よし、対魔獣と対幻獣と対神獣、そして念のために対神と対魔効果がある鎖の合計5つの木に巻きつけたし十分だろう」

 

 木に括り付けた鎖は全て俺の持っている鎖だ。

 俺の王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)は何故か鎖の数が多い。本当に何故か、しかも無駄って言えるほど多い。

 今回は数多く所有する鎖の中でも上の下に位置するくらい強い鎖を使った。流石に5つは多かったかな?

 

「さて、そろそろ帰ろうか」

 

 そうギルくんに言うと静かに付いてきた。

 少し眠そうなのはやはり子供故に泣いたら眠くなる的なやつだろな。そう思いながらギルくんの前に行ってしゃがみ「背中乗るか?」と聞いて見たら黙って背中に乗ってきた。

 ………抱き付いてくる力が強いのは我慢するとしよう。


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