そん、ごはく。孫 悟白っていいます。
人気者、孫悟空が1日だけ帰ってくる日。
孫悟空の妻チチは、孫悟空に必ず会わせたい人物が二人いた。
二人とも、勿論会いたがっていて、その内1人は夜寝られないくらいだった。
その1人は、余りにも寝られず、がばりと起き上がって2回ほど瞬きをして、こっそりと家を抜け出し、空に輝く三日月を家の天辺で体育座りをして眺めた。
生える尻尾をゆるりと振り、次の日に会うまだ見ぬ父に思いを馳せ
「お父…」
と呟いた。
暫くそのままでいると、家の中で一つの気が動くのを感じて尻尾をピクリと動かした。
誰かは分かっている。
家から出た気がこちらへ来て、月明かりに照らされた時、こちらの姿をとらえると相手が声を発した。
「どうした?こんな夜中に起き出して…」
長男の孫悟飯が天辺にやってきて、隣に座って同じく月を見上げた。
「…ああ、明日の事かな?気になって寝れないんだな?」
そう言ってこちらを見た悟飯に、頷いた。
「はは、やっぱりな。分かるよ、初めて会うんだもんね、父さんと。そりゃあドキドキするよね。」
そう言って悟飯はその子の頭を撫でる。
すると、その子は眺めるのをやめて悟飯の腕に抱き着いた。
それを柔らかく見詰め、頭に手を置いた。
「…まだ寝られそうにない?」
返事の代わりに兄の腕を強く抱き込んだ。
その子なりの答えに和んで笑った兄は、その子を優しく抱き上げてやる。すると、首に抱き着き、兄の方に頭をもたれたその子は安心した様に目をぼんやりと開けていた。
「じゃ、早く戻って寝ないとね。」
兄はゆっくりと舞空術を使って降り、静かに家、部屋に入り、その子を布団に寝かせ、自分も寝転がる。
そして優しく掛け布団をかけ、その子を抱き締め、頭を繰り返し優しく撫でてやる。すると次第に眠そうな目になっていき、しまいには大きな欠伸をしだす。兄は一定のリズムで背中を叩いてやり始める。
すると、眠気に逆らわずにその子は瞼を閉じて、眠ってしまった。
「ふふ…全く、可愛い弟だなあ」
兄は最後に優しく頭を一撫でして、眠りについた。
次の日、変な格好の兄を一度チラリと見た後次男、悟天に引っ付きながら、前に立っている父…孫悟空を眺めた。
兄や他の人と話している声は、悟飯や悟天、そして自分と似ている。
…いや、自分たちが似ているのが正解か。
父とそっくりの髪を風にふわりと揺らし、悟天はチチの足に張り付き、顔を覗かせて父を見ている。器用にこちらの手を握りしめながら。
緊張か、手に汗が滲んできたのを理解して悟天から手を離して、自分の、悟飯のお下がりの紫の道着をギュッと握り、俯く。
皆父に目がいっていて誰も声を掛けてくれないし、悟天も手を離されてすぐチチの服をその手で掴んでしまったし、今自分はチチに完全に隠れているし、なんとなく独りになったような気持ちで、顔をあげられずにいた。
チチが悟天を紹介し、父に悟天が飛び込んでいき、わやわやとしているのを、少しだけ顔を上げて、見た。
とても楽しそうにしていたので、なんとなくムッとして、何処かへ行ってやろうかと思って1歩下がると、地面に散らばる砂に擦れてじゃり、と音を立てた。
すると、父がいち早くその後に反応して「ん?」と呟いた。
「そういや、なんかもう1個知らねぇけど知ってる気のやつがいるな」
「ん?…ああ、ふふ。悟空さ、気付いてしまったただな?」
「?」
「会わせてぇ子はもう1人いるだよ…」
「え…チチ、まさか…」
「…んだ。」
チチはおもむろにこちらを見ると、悲しそうな顔をしている自分をびっくりしたように見て、すぐ理解したのか自分を器用にも悟空に見えないように抱き締めた。
「違うだよー!全然忘れてねぇし、間を開けてから発表しようと思ってただよ!そんな泣きそうな顔するでねぇ!」
「……ぅ、」
「ああぁあっごめんな~ごめんな~!」
子供によくある、怒り泣く例のアレで震えているのを理解してめいいっぱい抱きしめられながら、我慢しようとチチの服を握った。
「チチ?」
「ちょっとまってけれ…大丈夫か?いけそうか?」
ブスくれながらも、チチの服を握り締めて小さく頷いた。
「おし…悟空さ。実は、1人だけじゃないんだぞ。もう1人、生まれてるだよ。」
「いい!?さ、三人目か?!」
「んだ!この子だ!」
チチの履物を握り締めながらジャジャーンと出された自分に、思わず前を見れずまた俯く。チチの履物が悲鳴をあげた。
「悟飯の方に似てんなあ…あ、服は悟飯の下がりなんだな!」
楽しそうに紡がれる言葉に、恐る恐る顔を上げる。
父は、悟天を抱いたままこちらへ歩いてきていた。
ビクリとしてまた俯いた。
「…お、この髪形、あん時の悟飯の髪型じゃねえか!」
「!!」
髪に触れられた感覚。……すぐ目の前にいる。
「…な、顔見せてくんねえか?」
優しく言われた言葉に、少しして、ゆっくりと顔を上げる。
「…お父、」
「ん?」
「あの…初め、まして」
「ん、初めまして。…おめぇ、名前は何ていうんだ?」
お下がりの服をシワが出来るほど強く握りしめる。恥ずかしさで顔が熱い。
父はにっこり笑って待っている。その腕の中で悟天が頑張れ、とでも言うように手を握りしめていた。
それを見て大きく息を吸って、吐いて、息を整えた。
顔の赤身が引いたような気がして、少し楽になった。
握り締めていた服から手を離して、祈るように手を組んで腹部の当たりまで下げた。
そして、口を開いた。
「おらは……そん、ごはく。孫 悟白っていいます。」
「悟白……そうか、悟白っちゅうんか。いい名前だな。」
空いた片方の手でわしゃわしゃと頭を撫でられ、少し乱暴だが決して嫌でないそれに、目を瞑って受け入れた。
「あの、あの……あり、がとう。」
「へへ、礼いわれるほどでもねぇぞ」
悟空がニッと笑う。唐突に体が浮いたと思うと、目の前には悟空の顔を悟天の顔。そして離れた地面。抱き上げられたようだ。
「そっか。おら、子供2人も増えたんか…へへ」
「わわ、擽ったいよお父さん!」
にやけながら2人に頬をすり寄せた悟空を見て、自然と笑顔になる。
「……ふふ、おら…なんか、嬉しいだな…」
「悟白は喋り方チチとそっくりだなあ」
「……んだな、確かに。皆こんな風に喋らねぇからなあ…」
「オラとも似てるし、なんかいいなあ」
「そうだか?お父がそう思うなら、おらもそう思う。」
顔を見合わせて、笑いあった。
「悟白、良かったね!」
わさわさと手を動かして悟天がそう言った。
「?」
「だって、来る時もずっと緊張してたもん!」
「え?それ言ったら天兄さなんて隠してたけんども心臓うるさかっただよ?」
「そんな事ない!僕はわくわくしてただけだもん!」
「んな事ないだ!ぜってぇあれは緊張してただ!」
「はは、元気だなあ」
すぐ目の前で繰り広げられる言い合いにニコニコと笑ってそう言ってくれた悟空を二人して見て、なんだかどうでも良くなって悟空に抱き着いた。
「お?なんだなんだ?」
「何でもないよ!」
「んだ、気にすっことねぇ」
「そっか?」
「んだ」「うん!」
悟空の首後ろを経由して2人で顔を見合わせて、笑い合った。
孫悟白(そん ごはく)
末っ子。
顔と髪型は悟飯の方に似ていて、童顔。(悟空に似ているともいう)
チチによく引っ付いていて、手伝いを積極的にやったりする。
そのせいかチチと口調が似ている。
(5歳の初登場時の)小さい頃の悟飯そっくり。オーラ?的なのが。
恥ずかしかったり、怖かったり…とにかく感情を表に出したくなる事があると兄の悟天に引っ付く。
悟天はお兄ちゃん風を吹かせて胸を張ったり、甘やかしたりする。
生まれた時に切られていた尻尾が再び伸びた時に、本人だっての希望で切らなかった。
アルバムで見た悟飯のセル編の髪型を気に入ってその髪型にしてもらっている。
悟飯の事を、凄い人だ、ととても尊敬している。
悟空に会ってからは悟空が一番大好きで、成長してもずっと一緒に修行をする。
潜在能力は悟飯譲りだが、中々発揮されない。
という設定があるけど活かされない