そん、ごはく。孫 悟白っていいます。   作:鯱の助

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悟白に少しでも長く吸収されないで欲しかった願望の塊ニキ
前回までの感想、ありがとうございました!


頼んだからね。

兄達がフュージョンを2回成功させ、帰ってきた。

一回目はボコボコのボロボロで帰ってきて、心配で駆け寄ると

「チッチッチッ……お兄様を舐めちゃあ行けないぜ。今回は油断しちゃってちょーっと痛い目にあったけど…このゴテンクス様は強いんだぜー!」

と片手で人差し指を立てて振り、もう片方の手で自分の頭を撫でていたところを見て、やっぱり元は自分の兄達なんだなあ、と思った。

…高飛車で自信過剰で人の話を聞かないところがあったとしても。

2回目は、元に戻った状態で帰ってきた。

ピッコロに遊んで帰ってきた事はバレバレであった。勿論自分も分かっていた。

自分もじとりと兄達を見ていると、なにやらピッコロと言い合っていた母達が兄達、そして自分に向かって、

「悟天、悟白ー!休憩だぞー!」

「トランクスもよ!」

と言った。

おおよそ、自分たちに甘い母達が修行を続けようとしているピッコロに文句を言ったのだろうことは明白であった。

…女は強し。

「でもおら何もしてねえし…」

と、続けようとしたところで大きな腹の虫がなった。

…自分から。

「………」

「はは!悟白、お前も休憩な!飯食おうぜ!」

「うん、悟白!一緒に食べよ!」

兄達が、自分の方へ呼び掛け、神殿の入口で待っている。

兄達は今まで素直に実に子供らしく、昼寝の時間も守ってきていた。

おそらくこんな非常時でも普通と変わらない親の言うことに従い全く緊張感もなく眠りにつくだろう。

ならもし兄達が眠っている間に何かここに起こるとして、その時に守れるように修行をしなければ。自分にも、何か出来ることがあるのなら何か、したい。

「んだ、今いくだ!…食ったらおら、修行出来るとこ借りてえんだけんども、何処かねぇだか?ピッコロさ」

「…ふむ、なら、精神と時の部屋を使うといい。」

「な、何言ってるだ!悟白も休むだ!」

チチが、勿論反論して来た。元来自分はチチに弱い所があるので困ったものだ。…だが、今回は折れられない。

「…お母、おら、お父にもしもの時があった時のこと。みんなや、お母達のこと。お父に頼まれただよ。その時の為に…今のままだったらぜってぇ何も守れねぇ。

だから、どうか修行、させてくんろ…」

「何言ってんだ!もしもの時の事なんて大人達に任せときゃいいだ!オメェはまだ、おめぇの兄ちゃん達と一緒で子供なんだ!」

「…でも、その大人が真っ先に倒された時、子供が自分を守れなかったら意味がねぇと…思わねぇだか?」

「!」

「…自分の為でもあるだよ…だから、お願いします、修行をさせて下さい」

思い切り、頭を下げた。

チチが、狼狽えているのが分かった。

「おめぇ…………全く…」

しばらくして、そう呟かれた。

「…ほんとに…おめぇは………悟空さに、似てるだな…」

「…?」

「…どうせダメって言ってもやるんだろ?

…ほんと、駄目なとこばっか似ちまって…!」

声が震えているのを聞いて、少し頭を上げてチチの顔を見ると、別れを告げたばかりの父、悟空の今までのことを思い出したのか涙を浮かべながらこちらを見ていた。

…もう、死ぬまで会えないから。

悟空が言っていた意味が、ようやくわかったのだ。

悟空は、死んだらまた絶対会えると言う意味で言っていたのだ。

…落ち込んで、尻尾がだらんと垂れ下がった。

そうしていると、すぐに勢いよく抱きしめられたのを感じた。

「…お母?」

思わず抱きしめ返すとチチは暫くそのままでいて、少しすると自分を離した。

「さあ、昼飯だ!

沢山食って精をつけんだぞ!」

と自分を押した。

 

 

昼食後、

「さ、風呂に入ってこい。」

と言われた。兄達2人は返事をして立ち上がったが、自分は帯を締め直して案内をしてくれるというクリリンに準備が出来たと言おうと別方向へ行こうとすると、チチから待ったがかかった。

「悟白?どこさ行くだ、おめぇも入ってこい」

と言われた。

「え?…でも結局汗かくし…」

「んや、駄目だ。1回疲れは流しとけ。」

「だども…」

「いいから!ほら、トランクス、悟天君!悟白君を連れてって!」

「えっ」

「はーい」

「うん、さ、行こ!悟白、トランクス君、一緒に入ろうね」

「やだよ、お前らで入れよ」

「お、おら修行にっ」

「だめ!一緒に入ろう?」

「ああ、そうだ、悟白!おめぇ、服が汗で濡れてたべ?そんな服風呂の後に着たんじゃ意味ねぇべ!これ、風呂さ上がったら着ろ!」

と、引っ張っていかれる中で呼び止められ、服を渡された。

……確かに、風が吹く度に冷える。

仕方ないか、と思い渡された服をしっかり持って、悟天の手を握って風呂に向かうことにした。

…悟天が酷く嬉しそうだったことをここに記しておく。

 

 

 

 

クリリンに案内してもらって、頑張れよという声援を貰い、1人で精神と時の部屋へ入った。

渡された服は、なんとこの自分の髪型をしていた頃の悟飯が着ていたチャイナ服と同じ様なものであった。アルバムで見たからはっきりと覚えている。

待ち構えていたチチに、満足気に頷かれ、

「うんうん、神殿に似たようなのが置いてあったんで思わず取って見ただが…やっぱ、似合うだな。」

と言われた。

まあ、即気に入ってしまったのだが。

尻尾の為にチチが切ったのであろう場所から出た尻尾が元気に振られていたのを見てチチは「悟白も気に入っただな?」と言いながらほっぺをもちもちと弄られた。

…と、まあそんなこんなで。

案内中にクリリンから言われたことから、この精神と時の部屋は1分が6時間、というなんとも修行に持ってこいな場所であることがわかった。

1人はだいぶこたえるが、頬を叩き、気合を入れ直す。

悟空から、もしもの時の為にみんなを頼まれたのだ。その期待に答えられるくらいにならなければ。

そう思い、まずは軽い準備運動から始める事にした。

 

 

 

 

 

 

何週間経っただろうか。

分からないが、自分が…おそらく二週間した頃。

発狂しかけて力を思うままいれるとプツン、と何かが切れた音がして、何か…超サイヤ人…3に…なれた…気がする?

思わず発狂仕掛けていたのが、ぽかんとして元に戻った。同時に超サイヤ人3らしき状態からも戻った。

その後何週間かは、超サイヤ人3らしきものを、超サイヤ人3にする為の維持特訓と、極めることへ全力を注ぎ…

多分ではあるが、悟空に近付けた…と思いたい。

だが、こんなことではダメだ。

これでは、魔人ブウからみんなを守るのではなく、魔人ブウ以下の強さの敵からみんなを守る、になってしまう。

まだ未完成な超サイヤ人3の極めに、完璧に極めようと再び奮闘を開始した。

 

 

はて、もう何ヶ月だろうか。

超サイヤ人3を極めることに成功した。

だが、それだけではどうせ、魔人ブウには勝てない。

悟空が言っていたではないか、超サイヤ人3では勝てない、フュージョンしかない。と。

フュージョンは現段階でどう足掻いても自分に手立てはない。

なので、フュージョンに対抗出来るほどに強くなれば、きっと。

更に上を目指し、未だ感じる己の内に秘められたキラキラしたものに可能性を感じ、極めることより更に上の事をしようと、常時超サイヤ人3の状態のまま特訓を続けた。

 

そして、おそらく…10日後。

唐突に精神と時の部屋の出入口の扉が開いた。

超サイヤ人3の状態での瞑想を行っていた最中で、片目を開いて誰かを確認する。

「…!」

「ご、悟白…??」

「な、お前…それ…!!」

クリリン、悟天、トランクス。3人が驚愕の表情でこちらを見ていた。

「…ああ、兄さん達…それに、クリリンさん。お久しぶりですね、何ヶ月ぶりだろう…いや、そっちじゃそんなに経ってないんですよね。」

はっ、ほ、やぁ、などしか発していなかった為に久しぶりに喋るが、まさかこんな風に喋るとは思わなかった。驚きはしなかったが。

「!?」

「悟白…すごい……すごい気だね!!これだったら…!」

「ていうか、これ…おじさんの気より上なんじゃない?もうこれ、今戦ったら絶対勝てるって!」

兄達が、そう言って口々に褒めてくれる。

久しぶりに会えた嬉しさで、いつもより早く尻尾が振られる。

「…ありがとう…でも、これでも絶対勝てない。」

そう言いながら降り立って、兄達に近づくにつれて超サイヤ人3、2、1…そして通常の状態に戻る。

「確かに強くはなったけんど…でも、やっぱり、魔人ブウには勝てねぇ。」

「ど、どうして!?」

「…勘だべ。」

「はぁ!?」

「多分…自衛にもなんねぇ。」

「嘘だよ!ボコボコのボロボロに出来ちゃうよ絶対!ね、ねぇトランクス君!」

「そうだぜ!だって今の状態でももうすげぇ、もうなんか、すげぇのに!」

手放しに本心から褒めてくれているのを、とても嬉しく感じる。

そばで見ていたクリリンが、

「と、とりあえずさ…悟白、状況が変わったんだ。魔人ブウがここに来た。」

「え?」

「それで……チチさんが…魔人ブウに……」

そこまでしか言われていないが、自分は理解出来た。

………チチが、魔人ブウに殺された。

「………」

握りしめた拳が痛い。

「………だども、………だども、ひとり、だけしか…まだ、殺されて、ない、」

「………、悟白」

思い出したのか、きっとさっき見たのであろうそれを思い出して悟天が悔しそうなそんな顔をした。

…自分が痩せ我慢をしているのを分かっているのだ。

「……………だい、じょうぶだ。だいじょうぶ、だいじょうぶ………」

大丈夫、大丈夫。ドラゴンボールが、希望の玉がある。だから、怒るな。鎮めろ。死んでも、また………

……悲しい。

「ご、悟白………」

目の前が歪んでいる。

…泣いてる?

怒ってない、けど…泣いてる?

拳から、血が噴き出す。爪がくい込んで…抉ったのだろうか。

「おら……守らないととかいって、大事な時に、おら自分の修行にきがもってかれて…、まもることなんもかんがえちゃいなかった…っ」

「………悟白、とにかく…時間稼ぎするあいだ、2人をここで修行させることにしたんだ。

…お前は一度…休んだ方がいい。」

「〜、ぅ、ああ……」

クリリンに連れ出され、精神と時の部屋の扉が閉まる音が聞こえた。

最後まで、兄達の視線を感じた。

 

 

腫れぼったい目に冷やしたタオルを当ててもらいながら、息をついた。

気はクリリンに連れられている時に言われて消している。

「そのでかい気でブウのやつがやる気になっちまうかもしれないからな…気は消しておけな?」

との事だ。

ブルマは凄く悲しい顔をして、

「チチさんが殺されたの、聞いたのね…」

と言って優しく冷やしたタオルを渡してくれた。

 

冷やしタオルを少しずらして、砂時計を見つめる魔人ブウを見る。

…凶悪そうな見た目だ。それに、気も。

……これは…自分は…勝てる、だろうか…

…いや、多分だが…勝てないだろう。

エネルギーの消耗の問題は全くないし、極めたのだから確かに無期限で戦えるが、強さの問題だ。

…やはり、フュージョンしかないのだろう。

「…やっぱり、フュージョンしかないだろうなあ…」

「え、お前、嘘だろ?…そんなに強くなったのにか?」

「…多分、無理だべ。」

「………っじかよ…!」

悔しそうな顔をするクリリン、ヤムチャから、目をそらす。

…自分はみんなが考えている事とは別の心配事を考えていた。

…それは、ゴテンクスの高飛車で自信過剰なところだ。

修行をつんで余裕の態度で挑む彼しか、頭に浮かんでこないのだ。

そして…下手をこく。

…それしか、頭に浮かばない。真剣なところが浮かんでこない。

じわじわと確信さえ得られそうな考えに、顔を真っ青にさせていく。

ブルマはそれを見て本気で心配そうにしていた。

「悟白君?ちょっと、大丈夫?具合悪いんじゃない?」

「…大丈夫じゃねぇかもしんねえ…」

主に、ゴテンクスが。

 

 

 

魔人ブウが我慢の限界となり、ピッコロが精神と時の部屋へ案内しているのを皆がついていくらしかったため、自分はひとり、付いていかずにボーッとする。

久しぶりの人との対面だし、甘えたい所だが…状況がそうさせてくれない。

おそらく、魔人ブウはゴテンクスと戦いたい為ついてきている人に牙を向けたりしないだろうという確信があった。

それに、自分がついて行こうとしていると思ったのかブルマに

「悟白君はみんなを守るって気を張りすぎよ!そんなにやわじゃないし…それに、逃げたい時は逃げていいの!とにかく、休みなさい!」

と釘を刺された。…逃げる選択肢は限りなくゼロだが。

 

暫くすると戻ってきたみんなと不安に思いながらも待ち続けること数分。

突然、神殿が爆発音と共に揺れた。

「な、なに…?」

ブルマが不思議そうに見回した。

「…なして揺れたべ…?ブウは中にいるしそんな事出来るやつなんて…」

自分も、訳が分からず首を傾げる。

様子を見に行こうということで全員が集まると、まずミスターポポが、精神と時の部屋の扉が閉ざされたと言った。

…つまり、どういうことだ?

何も聞かされていない自分では理解ができない。

そんな自分をみて簡単にデンデに説明されたのだが、精神と時の部屋はあの出入口一つしか行き来できず、あれが無くなると次元の違う精神と時の部屋とは2度と行き来出来なくなる…らしい。

そして、ピッコロは負けた時のことを考えてそこへ魔人ブウを連れていったらしい。

つまり…?

「それは…えと…兄達が…負けたっちゅう、ことけ…」

そうなる、という亀仙人の言葉や、ブルマが泣きそうになりながら大人達に怒鳴っているのを聴きながら、俯いて、肩を落とした。

兄達に、もう会えない?

先程は力を込めすぎていた筈だったのに、今は、逆に全身に力が入らない。

ぐしゃりと、地に座った。

「に、兄達まで…いなく…」

ブルマに怒鳴られた内容と、自分のこの反応が重なり、もっと大人達の空気が重くなる。

マーロンが、自分に近寄ってきて、「大丈夫?」と声を掛けてきた。

「……ん、…うん………」

決して平気ではないのだが、なんとなく、肯定を返した。

「ごめんな、大丈夫だ……」

上手く笑えているか分からないが、なんとか笑ってマーロンの頭を撫でてやった。

ブルマが背後で、「大丈夫なわけないじゃない…家族皆いなくなったのよっ…!」と苦しそうに言っているのを聞かない振りをして。

 

 

神殿から出て階段の当たりでボーッとしていると、唐突に謎の衝撃波が現れた。

何事かと全員が立ち上がり、そちらを見る。

その中から、にゅるりとピンクの気味の悪い何かが出てきた。

そして、それから感じられた気に、全身の鳥肌が立った。

これは、まさか。

「クリリ、…」

ベチャ、と気持ちの悪い音を立ててピンクのヘドロのようなものが落ちる。

するとみるみる形を整え…魔人ブウになった。

皆が、恐怖におののいた。

気味の悪い笑い声で笑い、どれが一番美味そうかな、などという魔人ブウ。

チョコにする、と大声で叫んでから、マーロンは18号に泣きついている。

クリリンはそれを隠すように立ち塞がった。

習うようにみんなの前に出ようとすると、クリリンが自分がいる方の片腕を、自分に待ったをかけるように出した。

「悟白…お前も18号達と一緒に逃げろ。

……18号、お前はマーロンを連れて神殿の中へ隠れるんだ。」

「……!」

「クリリンさ、まってけれ…、おらは…」

「……俺は時間稼ぎだ。悟空やゴテンクスでもかなわなかったんだ。…俺が勝てるわけない。…でも、お前は時間稼ぎなんかじゃない。あいつらがいなくなっちまった以上、お前は最後の切り札だ。

……お前は、あいつの隙を見て攻撃するんだ。それまで、逃げてくれ。

…18号。」

「!」

「……ドラゴンボールで生き返ったら…また会おうぜ。」

決意をしたクリリンの背中は、なんとも大きく感じた。

…この決意を、無駄には出来ない。

自分は前に出そうとしていた足を、後ろへ下げた。

「クリリン!!!」

18号がクリリンが犠牲になろうとしていると気付いたらしくクリリンへ叫んだ。

それを合図に、クリリンが強大な敵へ向かっていった。

そして、今だ、と叫んだ。

 

「______ッにげろ!!!!」

 

18号が叫んだのを合図に、全員が神殿へ逃げる。

自分はブルマとビーデルと共に逃げていると、後ろから桃色の光が放たれた。

……クリリンがやられた。

振り返って魔人ブウに一泡吹かせてやりたい気持ちになったが、決死の特攻で逃げる時間を作ってくれたクリリンに仇をなす様なことはしたくなくて、踏みとどまった足を再び進める。

階段を上っていると、唐突に18号の横の壁が砕けた。

「っああああ!!!!」

目の前を走っていた18号、そして腕に抱えられていたマーロンが壁を突き破り襲ってきた桃色の光線に包まれた。

やられた、と思う時間などないことは分かっている。

18号、と叫びとまっているブルマとその後ろにいるビーデルをなんとか抱えて別のルートを、気を消して駆け抜ける。

そして、なんとか隠れられるところへついて降ろすと、魔人ブウの気を探った。

…18号とマーロンのチョコの落ちたであろう場所へゆっくりと向かっているらしかった。

自分は恐怖に震えながら、理解していた。

…ここにいる限り、かならずチョコに変えられて、食われる。

隠れても、探される。

自分は、考えていた。

…誰か、逃がさないと。

魔人ブウの気が先程から止まっている。

…チョコを食っているのだろう。

自分なら、ブルマとビーデルを抱えて逃げられる。

何か、まだ誰か逃せないか。

……そうだ。筋斗雲。筋斗雲があるじゃないか。

筋斗雲に、頑張れば二人乗れる。

そして、ヤムチャがいれば2人は足に捕まり、2人は抱えていける。

もしかしたら1人は背にしがみつけるかもしれない。

…牛魔王1人で筋斗雲を使えば行けるだろうか?

………まて、だが5人を抱えるヤムチャが上手く、そして早く飛べるだろうか。

そう考えると、どんどん自分の策の考え無しな所が浮上してくる。

7歳の小さな自分に、ただでさえ余裕がない状況なのに上手く2人を抱えて飛べるだろうか。

もし、魔人ブウに追いつかれたら、誰が相手をするというのだろうか。

…無理だ、みんなまとめてチョコにされる。

駄目だ、一体どうやったら皆を…守れる?

唐突に、誰かに肩を掴まれた。

心臓が跳ね上がり、思い切り振り返る。

そこには、焦ったようなブルマの顔があった。

「ねえ、悟白君。ドラゴンボールがあれば、みんな元に戻るのよね」

「え、」

今更なことを小声で聞いてきたブルマに、先程のことで心臓が酷くうるさいながらも、とにかく頷いて返す。

すると、ぐっと目を瞑り、決心したような顔で、

「ねえ…悟白君。どうか…生き残って。そして、あいつを倒して…ドラゴンボールで、全部元に戻してね。」

酷く恐怖に震えているのに、笑顔になったブルマに、なにやら嫌な予感がした。

「ど、ういう…」

「気とかいうやつ、あれコントロールで消せるんでしょ?

…筋斗雲。筋斗雲よ。よく分からないけど、多分あれに乗るだけなら気なんて使わないし、見えない所で隠れてれば奇襲だってきっと出来るはずよ。」

「なに、」

「私が呼ぶわ。私があいつにチョコにされて食われてる間に、隠れなさい。そうね…天界の裏なんてどうかしら。」

なんとも逞しく、頼れる表情に、安心するのとは全く逆で自分は泣きそうになっていく。

 

つまり、ブルマはドラゴンボールと自分に全てを託して死にに行くというのだ。

 

嗚咽が漏れないように唇を噛み締めたままブルマの腕を掴んで首を横に降り続ける。

駄目だ。だって自分は皆を守るようにと、悟空に。

どうして守っているの、皆の方が…。

ブルマの後ろで魔人ブウの動向を伺っていたであろうビーデルも話を聞いて、冷や汗を流しながら、任せて、と言うようにこちらを見て頷いた。

「頼んだわよ…地球のこと、私達のこと。」

「待っ、」

「筋斗雲!筋斗雲ー!!!」

「あははぁ…そこかぁ!!!」

ブルマの声に反応して、どうせ分かっていたのだろうにわざと声に出す魔人ブウ。

ビーデルが、自分に駆け寄り、

「ごめんね、あと、頼んだわね」

と笑って魔人ブウの前に躍り出ていった。

「さて、地球の為だもの!私も行くわね!ちょっとでも貢献出来るんならやらなくちゃ!」

そう言いながら、首に巻いていたスカーフを外して自分の目から零れる涙をそっと拭い、ブルマは走って出ていった。

そして、なんとも空気の読める金色の雲、筋斗雲が魔人ブウの死角から飛んできて、自分を乗せて飛び去っていった。

 

 

___________________

 

「さ、かかってきなさい!舐められてばかりじゃないのよ!」

構えを取り、魔人ブウを挑発する。

「お前、サタンの娘か…ははぁ、容赦しないぞ!」

「容赦しない、のわりには構えてもくれないじゃない。何よ、もう美味しいチョコに見えてるのかしら?」

「はははぁ……!そうだ!お前は板チョコだ!」

「ビーデルよ、板チョコじゃないわ!」

震える足を強く殴って震えを無理矢理止め、構えなおす。

「待ちなさい!」

中から出てきたブルマさんが、チチさんのようにデッキブラシを持って中から現れた。

「あんた、ただの板チョコになんてして食べるの?やぁね、安っぽい!そんなのなら、筋斗雲っていう高級チョコのほうがいいわよー?」

「そ、そうよ。あれ死ぬほど美味しいんだから!」

さっき叫んだ言葉をカバーするようにブルマさんが得意げに言い放った。

「中がトロトロしてて、外はカリッとして…美味しいのよ?」

「そうそう!」

と、有りもしないチョコの話をして時間を稼ぐ。

消し損ねているのか微量だが感じた悟白君の気が、天界の一番下、見えないところに行ったのがわかった。

もう、じゅうぶんだろう。

「お前たちうるさい!早くチョコになれ!!!」

「上等じゃない!その前に1発入れてやるわよ!」

そう言って、私は魔人ブウに突っ込んでいった。

ブルマさんが後ろで「どうせチョコにするなら高級チョコにしなさいよー!!」と叫んでいた。

にやにやと笑って突っ立っている魔人ブウは、お菓子が向かってきているようにしか見えていないのだろう。

 

 

…悟白君、頼んだからね。

 

 

自分をピンクの光が包んだのを眺めながら、あの雲の上で泣いているであろう小さな希望君を思い浮かべた。

 

 

 




閉ざされた精神と時の部屋の中の会話
「「わー!!!」」

「くそっ…こんなことをしてる間にみんなが…!」
「「ちぇっ、しょうがねぇなあ。あれを使うか…」」
「?」
「「もう悟白がなっちゃってたし、格好はちょっとつかないけど…もうちょいかっこいい場面で使いたかったけど、しょうがねぇか。」」
「な、なんだと言うのだ?!」
「「なんだと思う?」」
ゴチン!
「勿体つけるな馬鹿!!!」


_____
全部まとめてチョコにされると残れなかったので思わず一人ひとりにしてもらいました。まあ違う世界線ですから仕方ないですね。
後のことは考えずにやってしまうたちなのでなんとも言えない展開ですが…
修行の時間のことは…あれです、世界線が違うので長かったとしても仕方ないですね。

☆追加
白チャイナ悟白ちゃんです。

【挿絵表示】



(一部少し修正しました。)
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