さて、ラストが近付いてきましたね…
まだバトル中なのにさみしい気持ちになっています。
約1年もの間、大変大変お待たせいたしました…!
二人がかりでもかなわず、二人とも吹っ飛ばされて、いくつか建物を突っ切り、遊園地の観覧車にぶち当たる。
勢いと強さに負けた観覧車は少しの間転がり、ジェットコースターのレールに突っ込むことで止まる。
「く、ぅ…!」
「ぐぇ…っ」
遠心力が無くなったことでそれぞれ、悟空は観覧車のフレームに干された洗濯物の様になり、自分はゴンドラ付近のフレームへ背中からおちた。
こんなに痛いのは…超17号ぶりだろうか。
そんなことを考えている間に、自分達とは対称となる位置のゴンドラへ降り立った一星龍。
「どうだ、悟白、悟空。
俺は今までのやつらとは違うだろう。」
反応するようにして自分たちは上体を起こそうとしながら返答をする。
「…、てて…あぁ…本当にな…
全然、パワーが違う…!」
「くそ…ああ、すげえよおめぇ、桁違いのパワーだ…!」
その返答に答えることもなく、一星龍は腕を自分たちの方に向けるように上げ、人差し指を構えた。
その指の先には、緑色の光があった。
「これで、最後だ。」
間違いなくこちらに放つつもりであるそれをどうするのかと悟空をちらりとみた。
すると、悟空もこちらを見ており、目だけで頷いてみせた。
心得た、と悟空から目を離し、光を見つめた。
すぐにその光は一層強く輝き、こちらへ放たれた。
差し合わせたように同時にそれを避け、ジェットコースターのレーンに降り立った。顔を見合わせ、深く頷き合って別々の方向へ走り出した。
「うらああああ!!!」
「おりゃりゃりゃりゃりゃりゃあああ!!!」
互いに叫びながらレーンの上を駆け、狙いをバラけさせる。
仕方なさげに両手の指で両方を狙い打つ一星龍を横目で確認して、そのまま走り抜ける。
飛ばないのはわざとだ。一応。
ある程度走ると、あちらも飽きてきたのか正確に自分達を当てた。
「あぎゃ!!!」
「うわぁ!!」
自分達の周囲が爆破によって煙に包まれ、一星龍からは一時的に自分達が見えなくなった。
自分達からも見えはしないが、馬鹿にしているような雰囲気は感じられる。
打たれたその瞬間に気を断ち、自分はまだ煙の中から出ずに待機。
あちら側からコースターが動いた音がして、一星龍の意識もそちらへと動いたのを確認し、煙の中から出て舞空術で一星龍の背後、死角へ回り、動く。
コースターは天辺から滑り落ち、悟空が撃たれた故に切れて歪んでいるレーンの所で高く跳ね上げられたのを確認して物陰から一星龍へ迫る。
コースターを一星龍が撃ち、その中から悟空が飛び出してきたのを合図に一気に一星龍へと迫った。
「ぅおりゃああああああああ!!!!」
「っぉお?!」
一星龍の鳩尾を強く殴り付けた悟空に続き、自分は後ろから、一星龍の横っ面を狙って脳天割りを思い切り食らわせ、一星龍をぶっ飛ばした。
それをコースターの爆風で少し飛ばされた事でなんとかフレームにしがみつき、その上に登って、黒く固まった血と新しく流れる血で濡れる足を庇いながら見送った。
「……ほんとに最後になっちまうかもな」
笑っているようにも、そうでないようにも見える表情を浮かべてそう呟いた悟空を見て、帯を破いて膝の怪我を縛ってからそれに答えるように、
「…。………、はは、洒落にならないよ、それ」
と言葉の割に重く思いながら返した。
話し合った結果、バルーンハウスの中に入りそこで背を向けた瞬間を狙う、と言う事になり、物陰に隠れて一星龍を待つ。
自分達の気配を察知してかバルーンハウスへ一星龍が入ってきたと同時に完全に気配を断つ。
足音が響くのをじっと聞き、近付いてくる音に完全に自分の身を埋めるように、バルーンハウスの中のバルーンの奥へ隠れる。
ある程度近づくと歩みが止まった。
そこで少し留まったあと自分達がいないと判断したのか…それともわざとか。
それは判断し兼ねるが、踵を返したらしく一星龍の足音がどんどん遠ざかっていく。
隠れていた場所からそろりと抜け、悟空と目で交わす。
…まだ。
出入口の数十歩手前。
…まだ。
出入口到達。
…あと少し。
…1、2、……4、5歩。
悟空がそこで尾を動かした。
……いまだ!
二人同時に物陰から飛び出し、構えを取った。
「10倍!!」
「最大出力!」
そこでピタリと歩みを止めた一星龍。
『か…め…は……め……波ァア!!』
そしてこちらをゆったりと振り返った。
自分の手の中には蒼い光。
悟空の手の中には紅い光。
自分達のありったけの気を込めたかめはめ波を、その龍へと放った。
『波ぁあああああ!!!!!!!!』
バルーンハウスの中と、ハウス自体が壊れ、周りが明るくなる。
目が急な明るさに慣れない中で、悟空が小さくやったか、と確認するように呟く。
「一応言っておくが。」
今1番聞きたくないと思っている声が前方から聞こえた。
そして、明るさに慣れはじめた視界には砂埃と、
「俺はピンピンしている。」
ほぼ無傷の状態で笑みを浮かべる、一星龍がいた。
「そんな…馬鹿な…!
10倍かめはめ波が効かねえなんて…っ!」
冷や汗が額から流れ、顎に伝って落ちる。
自分達とは距離のある所にいる一星龍には聞こえないような声量で悟空が動揺したように呟いた言葉に、唾を飲んだ。
「……、最大出力、だってのに……」
自分も、最後まで言いはしないが自分の手のひらをみて酷く動揺し、発する。
…今までの邪悪龍達は、言っては悪いが実力は自分達に遠く及ばなかった。
四星龍は…なかなかいい勝負だったように思えるが。
だが、それでも互角、くらいだ。
……なのに、目の前の邪悪龍は…なんだ?
圧倒的に強過ぎる。
尾が、ふるりと震えて萎縮した。
「今のがお前達の最高の技なら…絶対俺には勝てん!」
大きくそう言い放ち、一星龍が両腕を上体を捻って構え、その中に真っ赤な気が凝縮し溜まっていく。
「……!!」
萎縮した尾の毛が一気に膨れ上がった。
逃げなければまずい。
言わずとも悟空と自分は相手に背を向けて飛び上がり、気弾から逃げる。
だが、その気弾は追尾してきて、しつこく自分達を追い回した。
方向を変えても瞬時に反応して着いてくる。
「ッ………くそ!……くそ!!」
「悟白、お前は向こう逸れろ!!」
「え…ぅ、わ!!」
焦ったように自分に言われた言葉を理解しきる前に、自分は言葉通りに気弾の追尾から逸れていた。
…悟空に強く押されて。
それにより距離が縮まり追いつかれた悟空は、監視塔のような設備に、勢いのままに突き刺さった。
「_____ッ父さん!!!」
「案ずるな、貴様もそうなる運命だ。」
「な、」
勢い良く後ろを振り返ると、そこにはさっきと同じで余裕そうな笑みを浮かべている一星龍が真後ろにいた。
ヒュ、と喉から息が漏れたが、なんとか反応して拳をぶつけた。
「遅いな」
素早く避けられ、手首をがしりと掴まれて引っ張られ、もう片方の手で顔面を掴まれた。
「…やはり、お前達では俺の足元にも及ばない」
そういい、暗かった目の前が、緑色の光に包まれ始めた。
慌てたように掴まれた腕を引いたり、逆の手で顔を掴んでいる方の手首を握って離そうと奮闘する。
が、力の差で外すことはかなわず、ゼロ距離で顔面に強力な気弾を何度も喰らい、その後一星龍に投げ飛ばされ先程の悟空のように吹っ飛んで建物へ突っ込んだ。
_____________
自分の体のダメージが大きくよろつく中、なんとか歩いて激しく気がぶつかり合っていた場所、遊園地へ入る。
おじいちゃんと、悟白お兄ちゃんの気が、それよりもでかい邪悪な気とぶつかっていたのは分かっている。
今はそうじゃないけど、きっと身を潜めているのだ、と思いながら戦った痕がそこら中にある遊園地を歩く。
手には自分のドラゴンボールが入っていたバッグを持ち、目をあちこちにやる。
…悟白お兄ちゃん。…おじいちゃん。どこにいるの?
そこからしばらく歩くと、キィ、キィと何かが揺れるような、サビかけているのかブランコみたいな音が規則正しく鳴っているのを聴く。
自分に近いようだ。…上から聞こえる。
「…、?」
一体なんの音なのか、と上を見上げた。
音の発生源は、思うよりもすぐに見つけられた。
それがなにか理解したと同時に、自分の口からは悲鳴が上がった。
だってそれは、高く、長い棒状の上に立つ建物が半壊し、そこからはみ出る建物の骨組みの一部であろう鉄の棒に履物が突き刺さり、それによって逆さにぶら下がった状態でいるおじいちゃん、だったのだから。
その事実だけでも崩れ落ちそうなのに、自分はまだ踏みとどまった。
既に瞳は濡れて涙は零れそうだが、希望はまだあるのだ。
悟白。悟白お兄ちゃんは。どこに。
震える指をなんとか握り締めて、胸の前で包むようにする。
お願いだから、お兄ちゃんだけは。
髪がバサバサになってしまうくらいに大慌てで首を動かし、目を動かして大好きな、この世で1番大好きな人を探す。
静かな空間でおじいちゃんの釣られている音を聞き、恐怖に震える心で、気を探す。
僅かになっている気を見つけた。
そこに首を向けて、目をやった。
「……………、ゃ、やだ…こんなの、…………こんな……!!
ごはく…お兄ちゃん…!!嫌だよおお!!!」
私は、今度こそ膝から崩れ落ちて泣き叫んだ。さっきの悲鳴など比にならないくらいの、そんな風な。
やっと見つけたその姿は、いつもみたいに優しくて、すごく笑うわけじゃないけど控えめという程小さくはない位の優しい笑顔を浮かべてるあの姿じゃなくて、おじいちゃんの近くの建物…そこに突っ込んで、ミラーハウスの鏡であろう破片が沢山刺さっている、顔が血塗れの姿だった。
生きているけど、死に近いような雰囲気があるその姿は、自分には刺激が強過ぎた。
自分が死んでしまうくらいの絶望が身体を支配しているなか、グズグズに泣きながら地面に手を付いた。
邪悪な気が近付いたのを感じながら、そのままでか細い声を上げた。
「パパ……っ、マ、マ…ごて、おじさん……とらん、くす…ッみんなぁ……!…おねがい、おねがいだから…おねがいだから、おじいちゃんとごはくおにいちゃんを助け、て…………!!おねがいよ…助けに、来てよぉ…っ!!!」
鼻をすすり、涙で前が見えない中で上を向いた。
見えなくても、目に痛い赤が自分の心臓を早まらせた。
視界の端で、おじいちゃんの姿が縮んで元に戻ってしまったのを見つけた。目の前では、全身を包む赤い毛が無くなったのも見つけた。
…このままでは、二人共殺されてしまう。そんなの嫌だ、誰か、誰か。
______________
淡く息を繰り返しながら、なんとか目を開ける。…片側が、暗い。
……片方、目がやられたらしい。
仕方ない、眼球は柔らかいのだ。
むしろゼロ距離でなんども強力な技を食らって目玉の片方だけで済んだのなら儲けものだろう。
目から溢れる血で上手く見えないが、何度か目を瞬かせるとなんとか視界から情報を得られるようになった。
どうやら、自分はミラーハウスに突っ込み、その後他の建物に突っ込んだらしい。自分の身体中に鏡の破片が刺さっているから、きっとそうだろう。
一瞬記憶が飛んでいるのも、ゼロ距離攻撃のせいだろう。
そんな風に考えていると、目の前に邪悪な気が来た。
「…みっともない姿だな、孫悟白。
宇宙では悟空とほぼ互角の力を持ち、実質同列NO.1ともあろうお前も、このザマだ。」
「……、」
何か言ってやろうと思うが、喉からは息が抜ける音ばかりで、言い返すことも出来なかった。
そんな事になっているなど一星龍は知ったことでは無い。一星龍はこちらの首を鷲掴み、持ち上げた。
「ゔッ…………ぐ、」
呻くことしか出来ないまま、目だけは一星龍から離さずにいると、徐々に上へと上がり、いつの間にか小さくなっていた悟空の元へとやってきた。
「…孫悟空。全世界でNO.1と称され続けた長い歴史も、今日で最後のときを迎えるのだ。」
息が出来ないままそれを聞く。
一星龍は悟空の服を掴み、悟空が引っかかっていた鉄の棒から勢いよく引き、取る。
「…この、お前の息子である孫悟白と共にな。」
落ちていく鉄の棒が落下した地点を見て、ほくそ笑んだ一星龍。
「もはや、俺が直接手を下すでもないな。
…こんな有り様では、な。」
くく、と喉で笑った一星龍の腕の先、悟空が呻く。
「2人仲良く、地獄で苦しむといい。
………グッバイ」
悟空からはするりと手を離し、自分はゴミを道端に捨てるようにポイと投げられた。
悟空の向かう先は、どうやら…骸骨の海賊の像が掲げる剣のようだ。
自分は…観覧車の、へしゃげて飛び出た鉄の棒。
せめて悟空だけでも、と手を伸ばすが、その先には気弾が出来ることは無かった。ただ、腕に刺さる大きな鏡の破片が血を噴き出させたのみとなった。
ああ。なんて。自分は情けないんだろう。
そう思いながら、目を閉じた。
瞬間、悟空の辺りから破壊音。自分の方では自分を抱き留めた誰かの温もりを感じた。
なんだ、と目を開こうと思うと同時にその人物に声が掛けられた。
「なんてこった…っ、悟白!大丈夫か?!
生きてる?息してる?俺が誰か分かる?」
その質問の数々に、少し目を開いて目の前をみた。
そして、ホッとして少し笑った。
「ぁあ………、いきてて…いきしてて…………そんで…」
今にも死にそうな顔をして自分を抱き留めてくれている、生まれてからずっと一緒な、双子の兄を見た。
「おらの…同い歳の、兄ちゃんの…天兄さ、だべ」
「~~~~~~~っ悟白ぅう!!」
ほぼ泣いてる悟天になんとか腕を上げて支えてくれている手に触れて、大丈夫だと伝えながら悟空の方を見た。
そちらにはトランクスがいて、悟空を抱えて浮いていた。
「危なかったな…出ていくのが遅れてなかったら、ウーブに吹っ飛ばされるところだった。大丈夫ですか?悟空さん」
「すみません、咄嗟の事でしたので…」
「……トランクスに、ウーブ…それに、悟天も…」
言葉を交わす4人の元へと飛んでいく悟天の腕の中で動けないでいると、こちらに視線が送られた。
「よ。大丈夫だったかよ、悟白。」
「へ、へへ…トラ兄さ…
一応な…片目がちょっと逝っちまったくらいだべ…」
「か、片目!?目がやられたの?!どっち、どっちの!」
「えっ………み、右…」
そういうと、なんてこったくそったれ、と叫び出した悟天。
「悟白さん、怪我の具合は…」
「ああ…ウーブ。いや…そりゃもう良くねえな…」
どこかは神経も切断されてたりするのだろうか。自分の身体ながら、怪我したところが多すぎてよく分からない。
「怪我の具合は悪そうだ…
…でも、間に合って良かった。お父さん、悟白、遅くなってすみません。」
「…飯兄さ…」
「悟飯も…みんな来てくれたんか…」
ここに集っている仲間の気が暖かく、力が入りっぱなしだった身体から少しだけ力を抜いた。全部を抜くわけにもいかないから。
「~っパパ!、みんなぁ!」
感極まった様に声を上げて、立ち上がって悟飯に駆け寄ろうとする背に声が掛けられた。
その正体はミスターサタンで、その後ろにはなんとチチとビーデルまでいた。
何故いるのかと聞いたところ、自分達2人の戦いぶりを見届けに来たのだと言う。…危ないから、どうか家にいて欲しかったものだが…来てしまったのなら仕方ない。
チチから言葉をかけられる中、懇切丁寧に地面へおろされ、そこで鏡の破片を抜いて包帯を巻くという作業を悟天にしてもらう。
チチが持ってきてくれていた救急箱から取り出したものらしい。
仙豆もない今の状況では、酷くありがたかった。
「折角助けに来てくれたけんど…わりぃが、おめぇらが束になってかかっても一星龍には、」
「はい、分かっています。
…あいつの気の大きさは、しっかりと感じ取っていますから。」
ならば、一体どうして。それを聞くと、どうやらみんなはサイヤパワーを自分達に注ぐ為にやってきたらしい。
「2人で、僕らの気を使ってください!
末っ子に任せてしまうなんて、情けない兄だけどね。」
「…とんでもねえ…」
「父さんと悟白なら、絶対勝てるって信じてるから!
だから、俺もお前にサイヤパワーを入れるよ!
…絶対、絶対父さんと勝ってよ!」
「ああ…勿論だ」
そんななか、上の方から笑い声が響いた。
「お前達、何を寝言を言っているんだ?
そいつらの無様な姿を見ただろう?
本当にそんなやつらに地球が救える力があると、本当にそう思っているのか?」
笑いながらそんな言葉をかけてきた一星龍を、みんなして見た。
「あるさ」
悟飯が、即答してこちらを見た。
「父さんは世界で一番…いや、全宇宙で一番強いんだ。
勿論、悟白もな。」
そう言いながら、悟飯はかけていた眼鏡を外した。
それをビーデルへ預けて、それを合図に3人は悟空と自分を囲み、一斉に超サイヤ人となって力を注いできた。
「父さん、悟白。絶対やつに勝ってください!」
「オラ神龍じゃねぇから約束は出来ねぇけど、やれるだけやってやるぜ」
「…おらもだ。兄さ達のパワーを貰うんだから、全力以上に頑張るだよ」
「へへ、言うようになったなぁ悟白。
んじゃあ、半端な力を注ぐんじゃダメだ。
おめぇらの全部の力を貰うぞ!」
悟空と背を合わせ、出来るだけサイヤパワーが分断されたり、片方が貰うパワーの量が違ったりしないようにして、一緒にパワーを受け取る力を働かせる。
すると二人の体の中を、皆の気が満たしていくのを感じる。
このまま続ければ、きっとすぐに満たされるだろう。
だが、そう上手くもいかない。
「…やれやれ。悟空、悟白よ。
お前達のパワーが回復するまで待ってやりたいところだが、生憎俺はそういう無駄な事が大嫌いなのでな。」
そう言った一星龍を警戒するように、守るように立ち塞がっていたウーブが構えを取ったが、一星龍が高速移動でそれを無視して自分達のいる中心へと現れた。
3人を守る間もなく一星龍により蹴り飛ばされた3人。
き、と一星龍を見た。
「ほんの少しだけお前達にトドメを刺すのが遅れそうだな。
………ほんの、少しだけな。」
まだ動けない自分達にそう言い放ったのち、一星龍の気の矛先が悟飯になったのに気付いた。
「
その呼び掛けに悟飯が反応したのは、一星龍が目の前に現れた時だった。
「な、うわ!!!」
頭を鷲掴みにされ、悟飯は身体にめり込むほどの強さで腹を殴られた。
「兄さん!!!」
「パパァ!!」
内臓が傷付いたらしい悟飯の口からは血が溢れた。
「…どうだ?お前達が思うより…桁違い、だろう?」
「………ッ悟飯さん!!!」
ウーブの叫びと同時に一斉に一星龍へ向かうウーブ、悟天、トランクスだったが、そのスピードよりも早く高速移動を行って空中へ行った一星龍。
4人をまとめて消し飛ばす様に高密度のエネルギー波が放たれた。
「お父!」
「ああ!」
考える事は完全に一致し、二人同時にその場から消えた。
煙が晴れた時、一星龍の視界には自分たち2人と、ウーブ達4人はいなかった。
一星龍の背後、斜め上の空中でサイヤパワーを受け取っていたからだ。
一星龍がそれに気付いた時、自分たちはもうコップから溢れてしまうほどのパワーを貰っていた。
「やっぱり父さんに助けて貰っちゃいましたね。」
「さっきおめぇらからちょびっとだけ、力貰ってたかんな。」
「悟白にも、助けられちゃったな。」
「みんなの為だ、こんくらいお安い御用だ。」
悟空は悟天と悟飯、自分はウーブとトランクスを瞬間移動させた。
間に合って良かった。
また自分達はピタリと背を合わせ、一星龍へ言葉を投げた。
「一星龍。ほんの少しどころか、随分時間をくれるじゃねえか。」
「おめぇのほんの少しって、どんくらいなげえんだ?」
自分の右目は治らないが、力は一星龍と戦った時よりも溢れている。
こんなに時間をくれるなんて、なんて優しいほんの少しなのか。
「ふん、成程?瞬間移動か。
それでどれだけ気を集めたというのだ?」
「見たいんか?」
「なら、今見せてやるぜ!」
『だりゃあああああああああああああああ!!!!』
自分達が同時に放った気の塊は、黄金の光となって丸く自分達を包んでいた。それはかなり大きく、自分達の気が混じりあった結果であるのが分かった。
「…凄い…!」
「フルパワーだ!……しかも、これは…」
「悟白と悟空さんの気が、同調して1つの塊になっている!
…今、2人は…2人で1つだ!」
今トランクスが言った言葉だが、自分達もそう感じていた。
一つの、巨大な塊になったみたいな、そんな感覚。
一人、というより…一つ。
それを感じ、ふと笑い悟空を見た。悟空も、同じタイミングで自分を見た。
「…お父の言いたいことは分かってる。おらも、そうしたい。」
「……へへ、分かってんじゃねえか。
…よし、おめぇら…悪ぃが、もっとパワーを入れてくれ!」
「そんな…無茶です!これ以上やったら父さんと悟白の身体が持ちませんよ!」
「そうかもしんねぇ。けど、やつに10倍かめはめ波が効かねぇ以上、それを超えるパワーを手に入れねぇと…勝ち目はねえ。」
「そういうわけなんだ。
だから、一か八か…おら達の限界を超えられるか、試す価値はあると思う。」
自分達の言い分を聞き、少し黙った後に悟飯は仕様がなさそうな表情で、やれやれと首を振った後に分かった、と言った。
「父さんも、悟白も…どんなピンチも、困難も…乗り越えて来たんですもんね。
…悟白…ほんとに兄ちゃんより、でかくなっちゃったんだね…」
少し近付いて、頭を撫でてきた悟飯を見た。
あの頃から変わらない、優しい笑顔と、手。
目線が近付いて、今ではほぼ同じ目線でやや上にある長男の顔。
尾を一振して、笑った。
「……へへ…全部、みんなのお陰だ。」
守られる側から、自分はいつの間にか守る側に立っていた。
一番後ろから、前に来た。
…成長とは凄いものだ。
「フン、無駄な事を。
これ以上好きにはさせん!」
は、と現実に戻ってきた思考で、一星龍の方を見た。
こちらにゆっくりと向かってくる一星龍の前に立ちはだかったウーブは気弾を放ったが、易々と弾かれていた。
心の中でウーブに頑張れ、耐えてくれ、と言葉を投げながら、パワーを限界以上に受け取り爆発しそうな自分をコントロールして力を詰め込んでいく。
脳が危険信号を送ってきたが、すべて無視して力を溜め込んでいく。
まだ。まだだ。自分は、自分たちはこんなところで止まらない。
自分の奥でギラギラと光り輝く何かが見えた。
それに向かって腕が千切れるくらいに手を伸ばす。
_______こっちに、来い!!
巨大な、本当に大きな黄金の中から、自分達は姿を見せた。
そして、目の前にいる邪悪龍を見据えて、笑った。
「……さぁ、超フルパワーの超サイヤ人4の完成だ。」
「ふ、くははは!
馬鹿なハッタリはよせ。さっきと一体どこが違うというのだ?」
「……戦ってみたら、どう違うかが分かるさ。」
「ふざけるな!!」
そう言って拳を振るってきた一星龍。
だが、そんなものはどうってことは無い。自分は少し後ろに下がり、やりたいだろう悟空に譲った。
「…?!」
「…ん?どうした」
簡単に受け止めてしまった悟空が、どうかしたかと聞いた。
そこから続けてラッシュを仕掛ける一星龍だが、これまた面白い程に1度も当たらない。
悟空に無駄だと言われ、後ろに回り込まれた一星龍は角を掴んで投げられていた。
そして、地面に落ちた一星龍が瓦礫の中から出てきた瞬間から悟空は気弾を作り、一星龍に向かって放った。
その気は一星龍を追いかけるように爆発した後も広がり続けた。
その爆発が消え、逃げ切ったであろう一星龍の気を探る。
「何処に行こうが、おめぇの邪悪な気が教えてくれる。」
隠れようが無駄。暗にそう言いながら飛んでいく悟空から少し離れた位置をついて行く。
それからすぐに時計塔が時間を知らせるように鳴り響いた。
その前に一星龍はいて、そこで悟空と自分は止まる。
「く、ふふふふ…」
「なんだ?何か面白い事でもあったのか?」
それに答えることは無く、一星龍はその時計塔の盤を取った。
何があるのかとそのまま見守っていたら、一星龍は勢いよくそれを悟空の方へ投げ付けた。
だが、それは当たることは無く遠く天へ上がった。
「なんのつもりだ?」
理解に苦しみ、肩を竦めていると後ろから文字盤が戻ってくる気配がしたので、それをちらりと見て、最小限の動きでかわした。
そして自分が避けた文字盤を悟空が受け止め、くだらないと言って抱えたのを見た。
悟空が振り返った時、そこには一星龍の姿は無かった。
どこへ行ったのかと思っていたら、自分の右側から邪悪の気を感じた。
「片方目が使えない欠陥品に、俺が負けるか!」
そう言って至近距離で繰り出された気弾を、左目でそちらを確認する事なく避け、一星龍の背後に回って肩に手を置いた。
「なっ…」
「…馬鹿だな、そんな事で舐めるなんて。」
そうして、置いた手をぐ、と握る。
「う、ぐぅ…!」
「…その欠陥品にこんな風に背後を取られる気分っていうのは、どんな感じだ?」
「ちく…しょう…!!」
悟空がこちらを向き、文字盤を構えたのを見た。
「一星龍!あの世の四星龍に…!詫びに行け!!!」
そう言って投げられた文字盤を、自分は高速移動で悟空の隣に行く事で避け、一星龍も直前まで抑え込まれて動けずにいたがギリギリ避けたのを見つけるや否や、自分達はかめはめ波の構えを取った。
『か……め…は、め…!!』
一星龍がこちらに反応したと同時に、腕を前に振った。
『波ぁああああああああ!!!』
一星龍を吹き飛ばし、みんなで集まって和気藹々と言葉を交わす。
謙遜しないの!と尻を叩かれた悟空に対して、みんなよりは小さく笑う。
危機が去る、というのはなんと素晴らしい事か。
ホッと息を吐いて、じゃれついてきたパンを構う。
「ねえ悟白お兄ちゃん!帰ったらさ、あたしといろんなとこ行こ!
ショッピング行ってー、それからゲームセンター行ってー、それからそれから…」
「はは、こらこら、パン。
今から時間は沢山あるんだからゆっくりな?」
「!…てことは行ってくれるの!?」
「ん?ああ。パンのお願いとあっちゃ応えねえとな。」
やったー!!と跳ね回って喜びを表現する姪っ子に生暖かい視線を送り、後ろでやれやれと首を振る兄達に首を傾げた。
「パンちゃん、あれデートの誘いしたんだろうな…
…ただの、姪っ子とのお出かけって思われてるもんな…」
「悟白には恋とかそういうのなんも通用しないんだよなあ…鈍感とかそういう域じゃないもん…」
「年の差以前に、まず血が繋がってる同士だし…絶対認めないと思ってるけど…
……でもなんか…ちょっと、……ちょっとね…」
『うん…』
「??なんの話ししてんだ?」
「…いや…」
「なんもないよ…そのままでいればいいからな…」
「うん…悟白は気にしなくていいからね…」
重たいため息を吐いた兄達に肩に手を添えられたり頭に手を置かれたりしながら、再度首を傾げた。何の話だったんだ。
「あ、そういえばドラゴンボールは何処に?」
また少し話し込んだ後、ふと思い出したようにトランクスが声を上げた。
「あー…そういや、そこら辺に散らばったまんまだった。」
「ん?あ!ラッキー!ドラゴンボール1個みっけ!」
と言ってパンが駆け寄った先に、二星球が落ちていた。
それを拾おうと手を伸ばしたパンの側から、ドラゴンボールが勝手に浮き上がって転がっていく。
「……?」
そんな事あるのか?と訝しげな視線を投げる。
ドラゴンボールを目で追うと、1度高く宙に上がった。
「もう!どうしたっていうの?」
パンが声を上げた。それと同時に二星球が、倒れた建物の中から突き出してきた、見知った手によって掴まれた。
何かを理解すると同時に、全体が建物の下から現れた。
「_____一星龍!」
「おめぇ、あれを耐えたっちゅうんか…?!」
ボロボロの身体で立っている一星龍を警戒しながら、悟空と構えを取った。
こちらに一星龍が攻撃してくる事はなく、一星龍が行ったのは、手に持った二星球を口の中に入れることだった。
うげ、とパンが声を上げたのを聞きながら、次々にドラゴンボールを飲み込んでいく一星龍。
全て飲み込んだ一星龍は、翠の光に包まれた。
「見るがいい!
これこそ全ての邪悪龍の頂点に立つ俺の真の姿だ!!」
そう言った一星龍の鳩尾を中心に、全てのドラゴンボールが浮き出た。
その変化が終わると、一星龍の気がぐんと上がった。
……自分達より、更に上に。
「見ろ!!この溢れるパワーを!
お前達が戦ってきた6匹の邪悪龍のパワーが、全て俺のものになったのだ!」
「これまで全部の…」
その言葉と、その通りの気に唾を飲んだ。
…どうやら、危機が去る、というのはまだ先の事らしい。
大変、大変、お待たせ致しました!!!
悟白のストーリー、再開致します!
そして、サイヤパワーを一緒にみんなから貰う、となるとパワー半減しちゃうかな…と考えて、2人で1つ、という設定にしました。
悟白オリジナルの構えを描きました、どうぞ…
【挿絵表示】