本当にありがとうございます!
どうぞ、家の悟白をよろしくお願いします!
皆の気が、どんどんと無くなっていくのがわかる。
遠い所で悲鳴も、聴こえる。
耐えかねて耳を塞いで筋斗雲の上で蹲った。
終わってくれ。早く、早く、悪夢、終われ。
暫くそうしていると、気が、大きなもの一つになった。
……終わった。
そして、今からが、また悪夢。
地球上に一人となった自分と、魔人ブウ。
一対一の、邪魔の入らない一方的な負け戦。
怖くないわけがない。
温もりをくれた母、兄達、大人の皆、子供全員、友人達。そして僅かな時間だけ共にいた父、孫悟空。
…全員、いないのだ。今さっき、自分が…見捨てたも同然なのだ。
有り得ないほど静かな空間に、言い表せぬ孤独感と恐怖感が自分へのしかかった。
…動けなくなってしまったのだ。
「…ぁ、………ぁ」
塞ぎ込んだまま、動けない。
ただ殺されに行くのが、怖い。
________
「ひ、ひどい…!」
隣にいる界王神様が辛そうな顔でそういった。
自分もそう思う。
でも、気がかりなのは、地球にただ一人残された自分の子供。
チョコを食おうとするブウから映像が変わり、ブルマとビーデルという娘に逃がされていた、三男坊の悟白。
筋斗雲の上で…酷く震えている。
「あれ、このこは…」
「オラの…一番末っ子の息子の悟白だ。」
「先程逃がされていましたね…」
「可哀想に、震えている」
確かに、十にも満たない子供一人には、余りに酷く重い役目だ。
たった1人残された戦士なんて。
…だが、悟白も分かっているはずなのだ。
「あいつは、きっと分かってる。自分ひとりしかいなくても、やらなくちゃ行けねぇこと。そんで、勝てねぇかもしれなくてもやらなきゃ行けねぇこと。」
それが、最後に希望を託されて遺されたのなら。
それ程に頼られ、囮になってまで逃がされたのなら。
「あいつは…分かってる。」
自分に出来ることはここから届くはずも無い声をかけることだけ。
だから…
「やり遂げんだぞ…悟白!」
__________
「やらねぇと…やらねぇと…っ、」
そう思って、なんとか顔を上げる。
「動いてけれ、足、腕、身体…!!おらは、皆を守れない代わりに皆から地球を頼まれただ…!やら、ねぇと…!!だから動いてくれよ身体ぁ…!!」
どれだけ人に頼りたくても、頼る人がいない。
「動け、動け…!」
どれだけ甘えたくても、甘えられる人が存在しない。
「動け…!」
どれだけ笑い合いたくても、笑い合うための人が存在しない。
「おらは、やるしかねえんだから…!」
なら、奪ったやつを倒してその人達を取り戻すしかないじゃないか。
「ぁぁ…あああ…!」
無理矢理、震えを止める。
そして、筋斗雲の上でがばりと立ち上がる。
「ごめんな…筋斗雲……ありがとう…行ってけれ。」
筋斗雲はそれをしかと聞き届けると、勢いよく、空へ帰っていった。
正直、全く立ち向かえる気分ではない。
今だって、いるのなら兄達の懐に飛び込みたい気分だ。
でもやるしかないならやるしかない。
両頬を叩いて気合を入れ直す。
そして、天界の上を見上げる。
…この上に、魔人ブウが……
足が竦みそうになるが頭を振って魔人ブウを頭から一度消す。
そして、ただ神殿前にたどり着くことだけを考える。
「…よし」
一気に気を解放し、後戻りできないように自分に枷をつける。
…もう逃げるなんて出来ないぞ。
泣きわめきそうになる口を無理矢理噛み締め、涙が出そうになる目を一度強く擦り、勢いよく上へ飛び上がっていった。
「…まだ食べ残しがあったか。」
神殿前に足をつけた瞬間、目の前に立つ魔人ブウからそう発せられ、ビクリと肩がはねる。
「食べ残し、なんかじゃねぇ。おらは、ちゃんとにんげんで、食いもんじゃねぇ!」
声が震えたが、言いたい事は言えた。
「…あはあ…お前、何にして食ってやろうか…」
「…お前の口に入るなんて、ぜってぇごめんだべ!!」
そう言って、超サイヤ人になる。
「おらはぜってぇお前を倒して…みんなを取り戻すんだ!!」
魔人ブウを指さす手が、震える。
みっともない、とすぐにしまって構えを取る。
そして、深呼吸をして少し落ち着き、そこで超サイヤ人2になる。
少しだけ魔人ブウが不思議そうな顔をした。
「最初っから…おらが出せる限界でオメェに…挑む!
波ァァアアア…ッ!!!!」
「!」
「アアアアアアアアァァァァァアアアアアアア!!!!」
そして…超サイヤ人3となった。
1、2、3、となる度に冷えていく頭が、震えを無くしてくれた。
…大丈夫、戦える。
「…お待たせしましたね…せいぜい退屈させないようにはするつもりですよ!」
言い終えると同時に魔人ブウの目前に現れ、本気の蹴りをかました。
すると、首が蹴られた方へぐっと伸び、その後体と共に飛んでいく。
神殿の残骸に飛んで行ったのを見送った。
…最初から壊れていたのだから気にすることは無い、ドラゴンボールで元通りだ。全部、全部戻ってくる。だけどでもと言っている思考に無理矢理納得させて、倒す事だけを頭に残して魔人ブウが飛んでいった方に向かって構えを取る。
…必ず、必ず勝つ。
「…さあ、始まったばかりですから。」
出てきて構いませんよ、やられたフリは結構。
________
「ひ、ひょええ…悟白のやつ、超サイヤ人3に…」
遠くで父さんの唖然とする声が聞こえた。
「と、父さん?」
思わず聞くと、
「ご、悟白のやつ、超サイヤ人3になってやがんだ!すげぇやつだ、この野郎め…!」
「え、えぇっ!?悟白が!?」
…あの子が。一人が怖くて、甘えん坊で…決して戦闘向きでないはずのあの子が?
「生きてたやつらに託されて、一人残された悟白が!おらが何年も掛けて苦労してなった超サイヤ人3になってんだ!」
このクソガキが!などと言いながらも嬉しそうにしている父をチラリと見た後、その目の前にある水晶をみた。
…遠くて全く見えない。
「おい、悟飯」
「!」
自分の目の前にいる老界王神様にちょいちょいと呼ばれる。
「気を集中させい。今のでまた遅れたぞ。」
「え、ええっ…」
悟白を全力で応援する父の声をBGMにして、気を集中させる。
「おぉっ!すげぇ!いやぁおら実は小せぇ頃の悟飯みてぇだと思ってちょっとばかし心配だったんだよなあ、ははは!やるなあ、悟白のやつ!お!やった!」
……出来ない…
________
「お前と戦うの面白い…!さあこい!」
いつの間にかお菓子にしてやると言わなくなった魔人ブウを見る。
…今までの傷を一瞬で消された。
「っ…嬉しいですけど、面白いと思うくらいでしかないんですね。
…参ったな、苦しそうに啼いてくれないと自分的に困るんですけど…」
殴り殴られボロボロになった自分の身体の訴える痛みとどれだけ攻撃しても治ってしまう魔人ブウの身体に、泣きたい気持ちになるが押し留めて気弾を両手に溜める。
…分かっているのだ、自分が怖がっているせいで上手く動けないのを。だから、力も上手く使えないし、思ったより追い詰められないのだろう。
「…あんまり使ってこたなったからどうかは分からないけど、一度撃ってみたかったんです。」
「は?」
「か…」
「?」
「め…は……め………っ!!!」
蒼い光が、両手の中で大きく膨れ上がる。
そして、思い切り前に両手を突き出し、
「波ァァァアアアア!!!」
と叫んだ。
途端、後ろで何かの音がしたかと思うと、唐突に二人分の声が聞こえた。
「え?」
魔人ブウがかめはめ波により遠くに飛んだのを確認すると、先程のものは何だったのかと後ろを振り返る。
「よ、よお…」
そこには、ゴテンクスの姿と、ピッコロの姿があった。
……いなくなった筈の姿があった。
「し、信じられん…!!お前も超サイヤ人3に…!?」
顎が外れそうなほど大きく口を開けて驚いているピッコロ。
「えーっと…じ、ジャジャーン!遠くで呼んでる声がして!ゴテンクス様参上!」
戸惑いながらも決めポーズをした、ゴテンクス。
……自分は独りでは、なかった。
今まで無理矢理立たせていた自分が一気に崩れて、へたり込んだ。
「ご…ゴテンクス兄さん…ぴ、ピッコロさん…、」
「お、おいおいおい!大丈夫かよ!」
駆け寄ってきたゴテンクスが両肩を掴んできた。
兄達が、目の前にいる。
独りだと思ってた、死んだかと思っていた、どうしてここに。
何も言えなくて、ゴテンクスに思い切り抱き着いた。
「わわ!?」
通常の状態に戻ってしまったが、構わずそのままでいる。
「…もう、おらっ独りだと思ってっ…………!!!!
たよるひと、いなっ……、おもっ、て!」
「お、おおぉ……」
人がいる。
ただそれだけで安心した。
この短い人生の中で最大限まで気を張り詰めさせたのだ、言いようの無い安心感が自分を包んだ。
ただ撫でていたゴテンクスが、急にハッとして自分を離し、立ちふさがるようにして立った。
「あいつの気が感じられるぜ、あんなの食らってまだ生きてやがるぜ…」
と構えを取ったゴテンクスを見た。
ちょっと前まで心配だったが、今はとても頼れる背中に見える。
…後ろで神殿が、と嘆くピッコロは置いておいて。
もしもの時のことを考えて、今度はピッコロを守る事に方針を変えて、ピッコロの元まで下がり、涙を拭って超サイヤ人3になり直す。
守るべき人は後ろにまだいる。
守れるものを守らなければ。
人がいる安心感の元、気を引き締めてゴテンクスの前に戻ってきたピンクを睨んだ。
神殿がほぼなくなってピッコロが酷く嘆く。
ドラゴンボールで綺麗に戻るからとなんとか励ましながら、頼りない戦士の姿を見る。
技名を叫びながら魔人ブウに攻撃しているが、なんとなく遊ばれているように思える。
その感覚に不思議に思いながらも動向を見つめる。
そして、魔人ブウがボールのようになり突撃してきていたのを何かのくだりをしてから攻撃しようとするゴテンクスにピッコロが自分が言いたいことをいってくれてくだりを無くさせ、連続超ドーナツで魔人ブウを捕まえてとじこめ、本当にボールにしてしまったゴテンクス。
「やりましたね…!」
「へへーん!」
得意げに魔人ブウボールで遊ぶゴテンクス。
「よし、それをどうするんだ?」
ピッコロがそう聞くと、特に決めていなかったのかゴテンクスが悩み始める。
「なら全力かめはめ波を二人で…」
「まあまてまて…ちゃーんとお兄様はとっておきの技があるからな」
片手1本で自分の案を止められた。
「そうだ!激突ウルトラブウブウバレーボールだ!」
思わず拍子抜けして超サイヤ人3が2に戻ってしまう。
「バ、バレー…だか?」
「な、なんだそれは…」
なんとも気の抜けるネーミングにがくりとする。
「ぐちゃぐちゃ言ってないで2人とも手伝ってよ!」
「え、あ、わかった。」
ピッコロが戸惑いながらも答えた。
「な、何だかなあ…わかっただ。」
習って自分も返事をしてバレーの構えを取った。
「いっくわよ〜?」
「む…」
バレーの構えを知っていたらしく、すっと構えたら、ゴテンクスからダメ出しが来た。
「違うよピッコロさん、悟白!
いっくわよーっていったら、はぁーい!って言わなきゃ!」
「えぇ!?」
本気で驚いているピッコロに何だか申し訳なくなって手を合わせる。
ごめんなさいピッコロさん。
「早く!ちゃんとやってくれなきゃ魔人ブウが出てきちゃうよ!
僕だってこの姿になってられるの短いんだから焦ってんだからね!」
「…わ……わ、わかった…」
「んだか…」
はっきり言ってそうはまったくみえない。
ため息をついて、超サイヤ人3になり直して構える。
「へへーん、よし、いっくわよ〜?」
「は……はぁーい!」
「うーん…はーい!」
そうして飛んできたバレーボール……ブウをピッコロが、言えと言われてもいないのに、
「パ、パース!」
といってこちらへアンダーでパスを回してきた。
…もしかして、意外とノリノリなのだろうか。
「はあい…トス!」
微妙な気持ちになりながら、だいぶ力を込めてゴテンクスへトスを返す。
「ウルトラ!ブウブウ!アターック!!」
痛そうな音を立ててブウボールが地上へ物凄いスピードで落下していく。それをノリノリで追いかけていくゴテンクスを見送って、恥ずかしそうに赤くなっているピッコロのマントを引っ張って、
「ピッコロさん…とりあえず行きませんか?」
と急かしたのであった。
魔人ブウを追い詰めたゴテンクスを、両手を握り締めて見つめる。
「うっへっへ…とどめだ!粉々のボロボロのバラバラのギタギタのけちょんけちょんにしてやるぜ!今度はもう元に戻れないぞ!
バラバラになったのを、気で完全に消してしまうからなのだ!」
ボロボロのまま、ゴテンクスを見る魔人ブウを見る。
どこからどう見ても、行けると思える。
……なのに、何故だろう。
何故安心できないのだろう。
ピッコロはもういけると確信したような表情で戦いの終わりを待ち望んでいる。
「死ね!!!」
すると、ボカン、という音とともに先程までの強烈な気が小さくなった。
煙が晴れると、そこには通常の状態のゴテンクスの姿。
「あ……あれ?」
まずい。
ゴテンクスは自分の体を見回し、げげ、と呟いた。
本当にまずい。
先程までの表情を浮かべていたピッコロは一気に表情を変えて冷や汗を流し始めた。
「ゴテンクス兄さん!ピッコロさん、ちょっと行ってきます!」
「あ、ああ!」
ゴテンクスは魔人ブウの目の前なのにそろそろと背を向けて逃げようとしていた。そこへ迷うこと無く飛び込もうと飛んでいく。
なにやら呼び止められたらしく振り返って頭をかいているところ、ゴテンクスの隣に降り立った。
「!ご、悟白!」
「足しになるかわかりませんけど…!」
なんの戸惑いもなく構える。今なら本気を出せる気がする。……おそらく、今までのあれから遊ばれている感じなのはわかっていたので、言わんこっちゃない…という思いがあるのだろう。
「もしかして、さっきの時間が無いのとか大声で言ってたから聞かれてたんじゃないですか…?だから遊ばれてたんじゃ…」
「え、は?あ、遊ばれてた?あいつあんなふざけた調子だけど本気だったんじゃ…」
「あれ、どう考えてもあの感じは遊ばれてましたよ…?」
本当に不思議そうにこっちを見てくるゴテンクスに、こちらも不思議に思って見返す。
遠くからピッコロに、自分を呼ばれた。
「お、おい悟白!今言ったことは本当なのか…!?」
「?ほ、本当ですが…」
「いや、まさか…こんなデジャヴがあるのか…」
何かを言っているピッコロをちらりと見て、関係ないことだったのか何ももう言ってこない為正面に向き直り構え直す。
「…それに、終始遊ぶのはどうかと思います、兄さん。」
「し、終始!?…さ、最後はちょーっと本気だったって…!」
小声で、自分に合わせて構えを取ったゴテンクスがそういった。
「…あいつは完全に遊んでたと思います、多分余裕だったから…」
「そ、そんなのあっちを大きく見すぎだぜ!結構食らってたじゃねぇか!」
「…今すごい平気そうですし…多分遊んでましたって…」
「あり、ありえねー…!」
冷えた頭は冷静に、的確に物事を考え、そして確信した。
兄ふたりがフュージョンをしても、本当は勝てない。
少し本気だったとしても、あれだけの余裕があちらにはある。
現に、もしこのふたりが超サイヤ人3になれなかったら手も足も出ていないはず。
…互角程度だったのだろう。
その間に、自分が隣にいることで何を思いついたか知らないが、
「ははは!いやぁ、愉快愉快!」
と言っているゴテンクス。
何が愉快なものか…
思わず脱力して大きなため息をついた。
勝てないかもしれないというのに…
にやりと笑った魔人ブウが、ゆっくり近付いてくる。
愉快だと笑っていたゴテンクスも、それに合わせて後ろへ下がっていく。
自分も、じりじりと下がってしまう。
そして、ゴテンクスがこちらに、
「ご、悟白。お前はお兄様の技のために時間稼ぎをしてくれ」
といった。
「…なんとかなるんです?」
「へ、へへ…このゴテンクス様に任せろってんだ!」
「…本当に…お願いしますよ!!」
そうして、魔人ブウへ突っ込む。
魔人ブウが、軽く避ける。そして、後方から、
「お前…食べ損ねてたな。何がいい?」
と言われた瞬間、全身に鳥肌が立った。
後ろを振り返ると、触覚をこちらに向け、ピンクの光線を溜めている魔人ブウがいる。
瞬間、指先から光線を出して触覚を切断した。
「っギャアアアアア!!!」
「絶対…お菓子になんてならない!!!」
そういって魔人ブウを殴り、殴り、殴り。
そして地面に押し付け、その押し付けた手から気弾を放ち…ゼロ距離で食らわせた。
「パンパカパーン!超幽霊神風特攻!」
8体のゴースト達が、決めポーズを決めていた。
準備が出来たのを理解して、空へ避難する。
「さぁ!たたみかけろゴースト達!」
「えぇー?」
「やだよぉ」
「あいつ強そうだったじゃん」
「うっさーい!早く行けー!」
可愛げのあるゴテンクスゴースト達が、おー!といって特攻していった。
すると、煙の中から突風が吹く。
そしてゴースト達を吹き飛ばし、衝突させ、爆発をおこさせた。
ゴテンクスは、逃げようと走っていた。
魔人ブウは、傷を直しながらゴテンクスの進行方向にある岩を破壊し、逃げるのを捉えた。
…まずい。
「ゴテンクス兄さ、」
ゴテンクスの所へ行かれる、と思って向かおうとすると、下から物凄い気弾が放たれ、鳩尾に直撃した。
「ゔっ…!!」
しまった、やられた…!
そのまま飛ばされて岩に叩きつけられ、鳩尾の痛みに苦しむ。
目を開けると、ゴテンクスの目の前に魔人ブウの姿。
そして、治したらしい触覚でゴテンクスの足を掴み、放り投げる魔人ブウ。
「やめ、ろ…!!」
砂けむりの奥から出てきたのは、ゴテンクスではなくもとの二人。
焦っているのがわかる。
……まずい。
それに向かって歩いていく魔人ブウ。
そしてとまった。しばらくしてピッコロが降りてきた。
ピッコロもやるきなのだ。流石に不味いと思って痛いのを無視してピッコロの隣に降り立つ。
「…悟白か。頼りになるとはおもえんが、俺も戦うことにした。」
「え」
「やるだけやってそれでだめなら…一緒に死のう。」
「!?何言って、」
「そうだよ何言ってんだよ!!!冗談じゃないよ、ピッコロさんだって分かってんでしょ!?フュージョンしたって敵わないヤツなんだよ…?!」
「…ならば、超サイヤ人3にずっとなっていられるらしい悟白の援護をして死ぬか?」
「な、なにっ…何言ってるのピッコロさん!!!」
「!」
悟天が、それに怒ったように叫んだ。驚いて、悟天を振り返った。
「悟白を、ほんとに独りにする気なの…!?もう悟白しかないからってそんな事言って!!悟白を何だって思ってるのさ!悟白はっ…!悟白は僕達の一番年下で、僕の双子の弟だよ!?子供なんだよ!?戦いの道具じゃないんだよ!!
ピッコロさんは大人だからいいだろうけど…僕達、子供なんだよ!?死ぬなんて絶対嫌だし、悟白を独りにするのなんてもっと嫌だ!!」
そういいながら、自分を抱き締めてくれる悟天を見る。
真剣にピッコロを睨みあげていて、意思の強い目をしていた。
「どうするの?トランクス君…」
「…よぉし。」
悟天が、期待を込めた目でトランクスを見つめた。
自分もトランクスを見る。
「こうなったら…」
「「こうなったら?」」
ピッコロも少し反応して耳を傾けている。
「素直に謝っちゃおう!」
「えっ」
ピッコロがズッコケた。
「はは!あいつ単純だから、好物の一つでもやったら案外許してくれるかもしれないぞー?」
「うん!確かに!許してくれるかも!
そしたら!次のフュージョンまで時間が稼げるね!」
「な、何を…」
「あ、あのなぁ…!」
一体、悪いことも何もしていないのに何を許してもらおうというのだろう…思わず肩を落とした。
「よぉし悟天!今すぐお菓子を用意するんだ!」
「うん!悟白もいこ!」
「い、いや悟天。悟白はもしもの時の為に置いてってくれ…」
「え?」
「も、もし悟天が持ってくるのに時間がかかった時のためにフュージョン要因を一人残しておくのだ!さあ行け!」
「なるほど!トランクス君あったまいい!いってきまーす!」
と、悟天が飛び立とうとしたところで、なにかに気付いたのかそのままの体制で戻ってくる。
そして、降り立って、
「でもお店なんてどこにもないよ?」
と言った。
「…もしかしたら、世界中探してもお菓子屋なんて残ってないかも…」
「お菓子作ってる人も居ないと思うよ」
そして、戦いを見ている間にピッコロに聞いていた事を思い出して、そこから出てきた疑問を思わず口にした。
「…あれ、そうなると魔人ブウって精神と時の部屋に残ってても残らなくても変わりなかったんじゃ…」
それを聞いて、兄達が
「「確かに!」」
と言った。やっぱり。
チラリと見ると、魔人ブウはそれを聞いたらしく少し動いた。そして本当に?そうなの?という顔をしていた。
頷いて見せると、ギャアアアアア!!!と叫んでいた。
…なんで考えなかったのだろう。
ふて寝したらしく魔人ブウが地面に寝転がってしまった。
「あれ…ふて寝ですよね?」
「ふて寝だね」
「ふて寝だな」
「…だな」
4人で頷いた。
ピッコロがこのまままってフュージョンの時間を稼ぐぞ、といったので休むことになった。
一度超サイヤ人3を解き、地面に座り込んだ。
そしてその両隣に座った兄達の腕を抱き込んでじっとした。
「悟白…ねぇ、トランクス君のお母さんやみんながチョコにされた時ずっといたんだよね…どうして大丈夫だったの?」
「………ブルマさと、ビーデルさが命懸けで逃がしてくれただ。筋斗雲をブルマさが呼んで、筋斗雲に天界の一番下に逃がさせてくれただよ…」
その時の事を思い出して、ぐっと抱き込む。
「そっか…それで大丈夫だったんだね…」
「…ママが…」
トランクスはそういうと、自分の頭をわしわしと撫でた。
「そっか、ママが残してくれたんだな…悟白を」
「…」
「よく無事だったぜ、ほんと…」
トランクスはこの瞬間…自分の母が託した希望が悟白で、それを守らなければ…と決意した。
それを知るわけがない自分はただ撫でられるのを受け入れていた。
唐突に、大きな気がこちらへ向かってくるのを感じた。
ピッコロは最初、悟空だ、と叫んだが、見えてきたシルエットはそうではなかった。
…死んだと思っていた、悟飯だったのだ。
悟天が声をかけている時、自分は嬉しさと安堵から涙を流していた。
きけば、危ないところを界王神様に助けられ、今までその界王神様の所にいたらしい。
そして、みんなの安否を聞かれ、トランクスと悟天が答えた。
そして、魔人ブウが「美味しかったぞ…?全部食べちゃったんだ!俺が、チョコにしてな!…いや、全部じゃない。そこのガキをお菓子に変えて食ったら全部だ!」と言った。
「そんな事、もうさせるわけないだろう?」
と言ってくれた悟飯に酷く、安心した。
魔人ブウの目と鼻の先まで近付き、そこで魔人ブウを挑発する兄に、なんとなく心配になりながら。
魔人ブウが自爆した。
悟飯が危ないと言った時に思わず超サイヤ人3になって飛び上がって正解だったようだ。
安全なところへ下ろされ、みんなが魔人ブウの気を探る。
…どこにも感じられない。
悟飯が、魔人ブウだって気は消せると言ったことにより、死んだ説は消えた。
悟飯から修行の事を聞き、そしてデンデが生きていることを知り、デンデの元へ向かった。
…途中でさまよっていたミスターサタンと犬を拾って。
3度落とされたミスターサタンを三度目に自分がなんとか地面ギリギリでキャッチして、立たせてあげた。
「ど、どうも……」
「すいません、ピッコロさんとトランクス兄さんが…」
「い、いや…というか君顔が怖いぞ!」
「え、あ、すいません…?」
デンデから話を聞くと、ミスターポポが神様だけは死んでは行けないと下界へ放り投げてくれたらしい。
ミスターポポの判断に素晴らしいと褒めているピッコロを見、ビーデルの死と生き返れるという事に乱舞するミスターサタンを見、すぐに感じた魔人ブウの気に、警戒をする。
…1時間で何が変わったというのだろう?
「みんなは巻き添えを喰らわないように気をつけて!」
そういって魔人ブウを迎える為に悟飯が飛び出し…
そしてやって来た魔人ブウに、サタンがどうしてだ、と声を掛けた。
「やめておけ。奴はもうお前の知っているブウではない。」
「なっ、何を知ったように…!…ほ、ほら!あんたの助けたかわい子ちゃんだ!こんなに元気に…!」
それを聞いてもいないのか、ヘラヘラと笑い続ける魔人ブウ。
それに、何か気味の悪いものを感じて後ずさる。
ピッコロに邪魔になると言われたミスターサタンは一言何だってんだ、といって静かになった。
「ふん!ハッタリだよハッタリ!あんなの、すぐまたどうせ逃げ出すさ!」
そういって腕を組んだトランクス。
魔人ブウは悟飯を見ていた目をこちらに向け、言い放った。
「おい、チビ達!出てこい!
俺はお前達と戦いたい!」
「何?」
「「えぇ?!」」
自分も驚いた。まさか、何故…?
「勘違いするなブウ!貴様の相手はこの俺だ!」
「ひゃははは!まずチビ達と決着をつけるんだ、その後お前と戦ってやる!」
「何でだ?何でそんな回りくどいことをするんだ!貴様はこの俺を倒したいんじゃないのか!」
確かにそうだ。そんな回りくどいこと、なぜするのか分からない。
だが、それに答えることなく魔人ブウが挑発する。
「どうしたぁ?チビ達。俺とやるのが怖いのか?」
それに触発されたトランクスと悟天が、ムッと来ているのを感じた。
「だ、だめだ!あんなののっちゃいけない!あいつは何か考えている!罠だ!行かない方が「どうした?さっきまでの威勢の良さはどうしたぁ!?」
自分の言葉に被せるようにして言われた事に、確実に何かあるのだとわかった。
「絶対だめだ!やめたほうがいい!」
聞いてもいないのか、魔人ブウに今にもかかって行きそうな二人を見る。
…だめだ、届いていない。
「お前もだぞチビ!出て来い!」
自分の事だと分かって、すぐに
「誰が行くもんか!」
と返す。
「でしゃばって、最初に飛び出してきておいて何も出来ていないじゃないか!そういうの、なんていうか知っているか?」
「なにを、」
「役立たず」
「!!」
「そう言うんだぞ!ははは!どうした?くやしくないのか?」
「くっ、…!!」
挑発だと、分かっている。だから、殴りかかりたくても行けない。
ただ、自分は堪えられても、兄達が堪えきれなかった。
「お前!!何だと!!!悟白をなんだって!!!」
「役立たずだって言ってるんだ!何が違う!」
「お前…!悟白をそんな風に言ってくれやがって!」
「違わないからなぁ!」
「違う!!悟白はたった1人で立ち向かったんだ!役立たずなんかじゃない!」
「そんなに言うなら、ほらチビ!証明してみろ!ほら、ほら!」
「っ!!!」
「そら、行くぞ悟天、悟白!フュージョンでボッコボコにして、そんで悟白は超サイヤ人3であいつをギッタンギッタンにしてやるんだ!」
「そうだよ、いこう!あいつ、馬鹿なやつだ!僕達と悟白の凄さなんにも分かっちゃいないんだ!
今度こそやってやろうぜトランクス君、悟白!」
「あったり前だぜ!なぁ、悟白!
あんな野郎に舐められて黙ってられるか!」
やる気になって自分の腕をつかむ兄達の顔を交互に見つめる。
「ま、待て!何か変だぞ…おかしいと思わんか?
なんで…?」
ピッコロから、やめるように言われる。
「へっ、考えすぎだよピッコロさん。
どんな作戦があるってんだよ?あんな馬鹿な奴にさぁ」
「そうだよ!さ、行くよ悟白!」
「え、や、待っ!」
腕を引っ張られてそのまま飛び上がってしまう。
「お、おい!馬鹿!」
そして空中で腕を離され、2人はくるくると回転して悟飯の前に降り立った。自分は、そこで浮いて留まる。
「おーし、時間は充分にたった!フュージョン出来るぜ!」
そういったトランクスに、悟飯がすぐに反論する。
「だめだ!お前達は黙って見ていろ。…奴は俺が倒す!」
仕方なく思いながら、自分は悟飯の隣に降り立った。
「冗談じゃない…あそこまで言われて黙っていられないよ!」
「兄ちゃん知らないんだよ!フュージョンした僕達と悟白がどんなに強いか!今見せてあげるから!ちょっとどいてて!」
2人が悟飯より前に出る。
「よぉし…行くぞ悟天!」
「うん!」
やる気の2人を止めずに、言われた通り下がる悟飯をちらりと見る。
「今度はいきなり超ゴテンクスでいこうよ!」
そういってフュージョンを始めてしまう二人。
「「フュー」」
「「ジョン!」」
「「ハ!!」」
斜め後ろで「これがフュージョンか…」と言っている悟飯を察するに、フュージョンを少なからず見てみたかったようだ。
そして、光が収まった頃に、ピースをしているゴテンクスがいた。
「いえーい!ジャジャジャジャーン!
正義の死神!超ゴテンクスだ!!」
そうして、ゴテンクスが構えても、魔人ブウはまだニヤニヤとしている。嫌な予感しかしない。
全く動かない魔人ブウを前に、準備運動までしだすゴテンクス。
警戒して、魔人ブウを監視するが…何もない。
一体何を隠しているのか。
準備運動を終えたゴテンクスが、もっと前に出る。
「ま、俺がやっつけちゃうけどね」
「フッ…いいだろう…だが、油断はするなよ?」
「オーライ!」
すると少しして、後ろから犬の吠える声がした。
そして、それを追いかけているであろうミスターサタンの声。
気にすることなどなく、魔人ブウに警戒を続けていると、後ろから
「おい!!白チャイナ君!!後ろだ避けろ!!!」
と叫ばれた。
何事かと振り向くと
視界いっぱいに、ピンクの何か。
「え?」
襲いかかろうとしているのをなんとなく察して、逃げる為に思い切り気弾を放った。その爆発の勢いで逃げようとするが、立っていた場所が脆かったのか崩れてバランスを崩し、尻餅をついた。
「悟白!!!くっそ、1号!あれを爆破しろ!」
技名を言わずに速攻で出した一匹にそういったらしいゴテンクス。
「おうよ!」
飲み込まれるかと思った瞬間、ピンクの中に飛び込んだゴースト。それを飲み込んだピンク。
すると、凄まじい爆発力でピンクを粉々にし、跡形も無くした。
「ふう、危なかったぜ…」
「ご、ごめんなさい、ありが…!!ゴテンクス兄さん後ろッ!!」
「え?」
自分が安心してゴテンクスを振り返った時には、忠告をしても遅い程にピンクがゴテンクスを包んでいた。
「なっなんなんだ…!!!」
引っ付いてくるピンクを徐々に退けることが出来なくなっていくゴテンクスが、最後には飲み込まれてしまった。いまだ中でもがいているらしいのが、伺える。
そしてすぐ、ピッコロさんの叫び声が聞こえた。
振り返れば、こちらもピンクに襲われ暴れているらしかった。
…なんなんだ、あれは?!
ピッコロもゴテンクスも完全に包まれ、悟飯が何をしたんだと魔人ブウに問ったが、何も言わずにやにやとしている魔人ブウ。
なんとかゴテンクスだけでも逃がそうと奮闘をするのだが、気弾を放ってゴテンクスに被害が及ぶのではと手を出せない。
そうしていると、
「頂きぃ!!」
と叫んだ魔人ブウ。それと共に、ピンクの塊が飛び上がり、魔人ブウへ張り付いて包んでいった。
「な…な、な…!!?」
「ち、畜生…!!」
動揺して、動けない。なにやら変化をしているのか、大きな口が開いていて、したはドロドロとしていて…とても気持ち悪くてゾワゾワする。
しばらくすると、人の形がだんだん取り戻されていき、ブウになっていく。
そして出来た手が……人らしい手になっている。
胴体は人に近付き、服は……ゴテンクスのもの?
変形が終わって向けられた顔は…鼻がすっと通って…人らしくなっていた。
呆然としていると、魔人ブウが声を発した。
「ふう…どうかな?悟飯君、悟白君…悟白君は失敗したけど、一応作戦成功だよ。見たまえ、素晴らしいだろう!」
そういって、長くなった触覚で岩場を壊した。
「これこそ、未来においても二度と現れないであろう最強の魔人の誕生だ!」
ゆっくりと降りてくる魔人ブウに向かって、悟飯は
「汚いぞ、てめぇ…!2人を自分に取り込むなんてよぉ…!!」
と吐き捨てた。
「お前のせいだぞ。お前は最強でなければならない私より、強かった。遥か遠くにお前の存在を感じた時から、この作戦は始まっていた…
『もしかして私より強い者がいるかもしれん』
そこで考えたんだ。その時戦っていた超ゴテンクスとかいうチビとそこの悟白君を我が身に吸収すれば…どんなやつが現れたって最強の王座は揺るがない、と。」
自分に向けられた視線に、ビクリと震えて、後ろへ下がった。
悟飯は、庇うように前に立ってくれた。
「…だが、ゴテンクスとかいうチビのパワーには時間が限られているらしかった。そう話していたんだ。
もし吸収する瞬間に元に戻られては困るからね。次の機会を待ったんだ。
再び超ゴテンクスになるには一時間あればいいらしい。だからそれまで消えていたんだよ…
それに加えて、超サイヤ人3とかにずっとなっていられる、実質戦闘力だけならゴテンクスよりも強い悟白君も取り込めれば、完璧じゃないか。そう思うだろ?」
悟飯は、まだ自分を狙っていると勘づいたらしく、自分に
「悟白、元に戻って離れてろ…」
といった。
それに従って戻り、自分はミスターサタンとデンデのいるところまで下がった。
…あの時もしゴテンクスがゴーストを打つような暇がなく、共に取り込まれていたとしたら…今の状態でも凄いのに、それ以上に恐ろしい事になっていたことだろう。
心底、ゴテンクスに感謝した。
前でまだ話しているらしい二人を遠目から見守る。
…2人が構えをとった。戦闘に入るのだろう。
まだ戦いを始めないうちに、ミスターサタンに礼を言わなければ。
「ありがとう、ミスターサタン。あなたのお陰で絶望的なところまで落ちませんでしたよ…」
「へ?あ、ああ……どうも…」
もう自分に出来ることはない。
唯一できることと言えば、こちらに飛んでくる破片などを破壊して2人と1匹を守ることだけであった。
そう言えばですけど、悟空以外で単体で超サイヤ人3になれたのは悟白だけってことになるんですね…。責任がとっても重い…
が、頑張れ孫悟白!まけるな孫悟白!
皆様、閲覧ありがとうございました!