良いお年をお過ごし出来ますように!
そして、今回は…………
ゆっくりとこちらに近付いてくる一星龍を前に、ベジータは悟空へフュージョンの提案をした。
「オラじゃなくて、ベジータと悟白なら…まだチャンスはある。」
「よし…悟白!フュージョ、」
「なにを馬鹿な事を。
この俺を前にして超サイヤ人4にもなれない虫けら共に、そんな暇があると思っているのか!!」
一星龍は自分達の様子を見て、余裕綽々という様子でこちらへ駆けてきた。
つまり構える暇はないわけで、身構えた。…のだが、それが出来たと同時に自分達は一星龍によって殴り飛ばされていた。
攻撃が見えなかったわけではない。…でも、対処と反応が出来る速さじゃない。
「…チィっ、お前達にこう出来ても、やはり完全体に及ばぬか。」
など面倒臭そうに呟いた一星龍は六星龍がいる方を見た。
やばい、と思って気弾をひとつ作ってそれを一星龍に撃った。
「…まだ俺様にそんな態度を取れた、というわけか…
いいだろう、そんなにすぐに俺に殺されたいと言うならば…」
そう言って、一星龍は六星龍のいる方に手を翳した。
「な、何をする気で…!」
「やつの中に流れるエネルギーのみを吸い取り、マイナスエネルギーに変換して取り込んでやるのさ!!
そうすれば完全体にならずとも即座に地球ごと破壊するパワーをもった、擬似完全体となりうる!!」
貴様らなど擬似でも殺せる、といってその手の平に、透明なバスケットボール大のドームをつくった。
何が起きるというのか、と見ていると六星龍から声が上がった。
何事かとそちらを見ると、六星龍の体のあらゆる部分からキラキラと輝くエネルギーが抜き取られていっていた。
「なっ、」
そのエネルギーはドームに吸い込まれていき、六星龍からエネルギーが全て抜き取られると六星龍はエネルギーの枯渇により、その場で倒れ伏した。
「…ほう?このドームから溢れるほどのエネルギーか。
…貴様の中には相当のエネルギーが眠っているらしいな?」
ドーム内のエネルギーは徐々にどす黒いものにかわり、全てがそうなった後、一星龍の体内に吸収された。
「…!!…ははは…!なるほどな…これは素晴らしいパワーだ!
完全体と同一の存在と言えるだろうな…!
…もはや、六星龍など必要は無い!今この瞬間のみ、このエネルギーがあればいいのだからな!!」
これが済んだ後にドラゴンボールを回収すればどうということはない!
そう言い放ち、自分のそのパワーを試す為か、殴り飛ばされ落ちた場所にいる自分達に攻撃をした。……した、と思う。
分からない。…でも、とても痛いのだ。
「よお、ベジータ…、悟白、………今の攻撃…見えたか……?」
「黙れ……!
そんな事、この俺に聞くんじゃない……!」
「……………じゃあ…お父、見えたけ…?」
よろけながら立ち上がり、ベジータに続いて見えなかった、と答えた。
「く…ははは!いいエネルギーだ!
いい仕事をしたな、孫悟白!
感謝してもしきれないぞ。
…お礼の品なら、渡せそうだがな。」
「………な……?!」
遥か上で高笑いが聞こえ、そちらを見た時にベジータが声を漏らした。
「そう…この地球ごと、吹き飛ばしてやる、という品をな!!!」
一星龍が高く上げた手の上には、少し小さめだが、間違いなくフュージョンしていた時に蹴り飛ばしたマイナスエネルギーの塊と同じものがあった。
「フフフ…あの時は蹴り飛ばしてくれたが、今のお前ではそうはいくまい。」
塊はさらに大きくなったが、あの時よりは小さい。
「この位の大きさでも、こんな地球吹き飛ばすのなんてわけはないんだからな。」
その目は血走っており、いかに一星龍が本気であるかが鮮明に理解出来た。
「…へへ……あいつ、マジだぜ…」
「…見たら、わかるべよ」
鼓動は早まり、全身から冷や汗が吹き出てくる。
…じとりと張り付く服の感触が、事態の危険度を教えてくれる。
悟空はエネルギー切れ。ベジータはブルーツ波が無い限り超サイヤ人4にはなれない。自分も悟空と同じくエネルギー切れ。そして、一応食い止められる六星龍は体内エネルギーを文字通り全て持っていかれて気絶し、戦える状態では無い。他のみんなは…それ以前の問題だ。
……今度は、無事では済まないだろう。
「さあ!!地球諸共消えて……っ
_______無くなれーッ!!」
手で顎に伝い流れ落ちようとした汗を拭って、こっちに降ってきた邪悪を真っ直ぐ見上げた。
________無事に済まないから、なんだ。
「ふん、この俺が相殺してやる!!
ファイナル、シャイン……!!!」
「!…ベジータ、待て!!」
二人が二人、別々の対処をしようとしているところに両手に溜めたエネルギー弾を撃ち込んで遠くに押しやった。
「…。」
完全に自分を止める事が頭から離れていたらしい悟空の本気で驚いた目をこの身に受ける。
ベジータは技を止められた事と、悟空に言葉をかけられたこと、そして自分がベジータを撃ったという事に目を点にしてこちらを見ていた。
「…はは」
その二人の視線に答えることなく、自分は塊に向かって両腕を上げた。
マイナスエネルギーのねっとりとこびりつくような熱が、じゅわりと受け止めた手の平に広がっていく。
「ぐ………ッ、ゔう………!!!!」
自分の持ちうる全てを、対抗するようにプラスエネルギーに変えて塊を押し返す。
徐々に手の平に触れるマイナスエネルギーがプラスエネルギーに変換されて辺りに撒かれていくらしく、銀のプラスエネルギーがこの絶望的な場を舞う。
「この……地球を吹き飛ばすお礼だって……?
勘弁、しろ……!!」
自分自身からも徐々に銀色のプラスエネルギーが漏れ出ていく。
「悟白!!!!!!やめろ!!!悟白ー!!!!!」
遠くでこちらに力一杯、喉が枯れるくらい叫ぶ父の声。
「悟白…!!」
師匠の声。
それを聞いて、やばいのに…口角が上がる。
「へへ……」
思い出すのは、7つの時の父との約束。
___おめえも…もしものとき。もし、悟天が動けなくなったら。母さんの事。それに、みんなの事…頼んだぞ?
それは、あの時にもう終わった約束。
…でも…
「地球はな……おめぇにとって、ちんけでもな……!!」
自分は、終わった約束だなんて1度も思った事はない。
「ここは……この星に生きてる人達にとって、凄く大切な星で…」
ずっと、ずっと有効で、ずっと守り続けたいたい約束。
「人それぞれに一つ一つ思い出があって、そんな思い出が積み重なった、思いで一杯の、素敵な星なんだ……!!!」
…自分は…、おらは…お父も、ベジータさも…みんなも。
「……そんな風に言うやつに、地球は好きにさせねぇ、ぞ!!!!」
「…ふん、何を馬鹿な事を!!!」
心底どうでもいい様子の一星龍は、塊にマイナスエネルギーを注ぐ。
すると一気に大きさと重さを増した塊は、言葉を紡ぎながら足を進めていた自分を地面に沈める。地面が割れて、足が埋まる。
「悟白ー!!!!!!」
「…へ、はは、聞こえてるってのに…しょうがねぇべな」
遠くにいる父には聞こえないだろうデカさの声で、半笑いで発した。
「……っらぁ!!!」
こんなに叫んでくれているのに、応えないわけにはいくまい。押されて肘が曲がり、腰も反っていたが力を込めて押し返して歩を進める。
すると、どんどん自分の中から漏れるエネルギーの輝きが辺りを満たしていく。
嫌な汗と、涙が流れていく。悲しくも辛くもない。晴れやかな気持ちだと言うのに。…晴れやか、というのも変だが。
「みんなの…大切なここを……!!
易々と…壊させて、たまるかぁぁあああああああ!!!!!!!!」
力を振り絞り、超サイヤ人になって下半身が埋まっていた地面を吹き飛ばして、また強く押し返す。同時に吹き出すプラスエネルギー。
「ほほう!まだそんな力があったか!なんとも愉快なゴミだ!!」
また大きくなった塊に、腕が根元まで呑み込まれて、消失した。
…腕が無くなったからなんだ!自分には、まだ体がある!!!!
「ラあああああああああああああああ!!!!!!!
負けて、たまるかぁぁぁああああああぁあ!!!!!!!」
頬で、胸部で、胴体で、足の全てで塊を押さえて、押し返していく。
そして服が、皮膚が、肉が、骨が、尻尾が。…解けて、いく。
「ガハハハハハ!!!馬鹿が!!!!!
死ねぇーーーッ!!!!!」
更に大きくなったマイナスエネルギーに、肉体全てまでプラスエネルギーに変えて、それらでマイナスエネルギーを受け止めるようにして…頭の中全てが、護、という言葉と使命で埋め尽くされ、目の前が真っ赤になった時。
_ふと、後ろを見た。
「ごはく………ッ!!!!」
「悟白ーーっ……!!!!」
捉えたのは、目が落ちてしまうくらいに目を見開き大粒の涙を零している父と。
こちらを見るのでさえも億劫だろうに、それでもこちらを見て悲愴な顔付きの師匠。
その二つの顔を見て、自分は…痛みもなく無くなっていく自身とそれを呑み込む塊の事を一瞬忘れて、いつもみたいに困った風に笑った。
「あとのこと_________たのんだべ」
その瞬間…孫悟白は、その場から無くなった。
______________
あまりの威力にみんなが吹っ飛び、暫くしておさまった風圧に、身を起こした。
オラは、自分の体の痛みよりなにより先に走り出した。
それはベジータも同じで。
自分達は、他のみんなに見えたかは分からないが見たのだ。
自分の息子が…末っ子が、悟白が音もなく消え去った瞬間を。
嘘であれ、頼む、嘘であってくれ。
そう思いながら駆け寄った。
そこは、自分達が先程まで3人で協力して戦っていた場所だった。
オラが、悟白と初めてフュージョン合体して、2人が1人になって一緒に戦った場所だった。
「………そんな……っ!」
…だが、そこは跡形が無いなんてものではなく、それ以上の巨大なクレーターが広がっていた。
…何も、無かった。
周囲にはごく僅かに、悟白の優しいエネルギーが舞っていた。
その綺麗なものとは真逆の光景は、周囲にいる人間に恐怖と不安を寄越した。
「…自分自身がプラスエネルギーの塊と化すことで互角にぶつかり合い…相打ちになった、か。
結果的に地球の爆発が防げた…というわけか。
素晴らしい!よくやった!お前は英雄だ!そう褒めてやっても良い。」
そうベラベラと喋る一星龍。
「…しかし、最後に得たエネルギーを全て使う程じゃなかった。
そして…」
喋り続ける一星龍の体から黒いオーラが出てきて、それが天へ登って行く。
「やつは、自分が無駄死をしたとあの世で悔しがる事だろう。」
ある高さまで登ったオーラは、そこから一気に渦上の雲と、暗い空を辺りに広げていく。
「結局、地球はマイナスエネルギーに包まれて、地球は崩壊するのだからな。
あいつの行為は全て!全てが無駄だったのだ!
ガハハハ!!やつは無意味だった!!無様だな!!!」
辺り一帯に響き渡るほどの、大きな、耳障りな笑い声。
「…オラの…!
…息子の…、悟白のやった事が…無意味だって…!!?」
こめかみに浮かんだ青筋と、強く握り締めた手がギリリと音を立てた。
それに一星龍は反応することも無く、地球が一気に崖から滑り落ちるように状況を悪化させていく様を眺める。
地球の各地にあった小さな気が、消えて行く。
…地球が…
「…~っクソッタレーーーーーーーー!!!!!!!!!!」
あまりの悔しさとやるせなさに、涙を流した。
悟白は、殺されてしまった。
自分達を護って…マイナスエネルギーの塊に呑み込まれて。
…自分達に…全てを託して。
「何をしているカカロット…立て!!」
上から、ベジータの声。そして、自分の襟元を引っ掴んで起こす手の感覚。
それによろつきながらも二本の足で立つ。
「何をうじうじしていやがる、悟白は俺達に後を頼んでいただろうが!とっとといい案を考えやがれ!この馬鹿!」
「ッなにを…ー、!!」
こんな時でも強い言葉を吐くベジータを見上げて、固まった。
…ベジータの目から涙が、伝うことなく一粒落ちた。
「………ベジータ、おめぇ」
「良いか…感傷に浸るなら全部やり切って死んでからか運良く生還してからにしやがれ。
俺達は地球人全員の命を握ってるも同然なんだ!
1番使えるお前が使えなくなってる暇なぞあるか!!
だから、とっとといい案を考えろ!!!!」
涙声なんかにならないよう力を入れて絞り出すように声を発して自分に喝を入れたベジータを見て、少し考えるように下を向き、頭を軽く振って頬を2度叩いて自分でも喝を入れた。
「……分かった。
オラ達二人で…やれる事やるぞ。」
「…………分かったならいい。」
そう言って、ベジータは遠くにいる一星龍へ目を向けた。
自分も帯の紐を握りしめて一星龍を見た。
…悟白、見てろ。オラ達はおめぇの頼みをちゃんとやり遂げっからな!
____孫悟白 初めての死。
こちら、悟白の最期です。↓
【挿絵表示】
あとのことは、頼んだべ。
実はDBZαのブルマと台詞を重ねています。
そして、この話か40話目となりました。
閲覧ありがとうございました。