僕の主人は何を思うか   作:ペンギン3

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お久しぶりです、何とか書けたので投稿します。
……まぁ、話は全く進まないのですけどね!(白目)


6話

「ねぇ、フェイト」

 

「何、ユーノ」

 

 それは朝食の最中、モグモグと焼いた食パンを食べていた時のこと。

 僕はふと思ったことがあって、未だに寝ぼけ気味のフェイトへと声を掛けていた。

 何でだろうか、ちょっと理不尽じゃないかということがあったから。

 もしゃもしゃとバターとイチゴジャムを一緒に塗ってしまったパンを頬張ってるフェイトに、こんな事を聞いたのだ。

 

「どうして僕達の出番は薄いんだろう?」

 

「ユーノ?」

 

 寝ぼけ眼ながら、質問の意図が見えないという顔をしているフェイト。

 そんな彼女に、砂糖を一杯だけ入れられたコーヒーを勧めつつ、僕は続ける。

 

「昨日から一日しか経ってないはずなのに、何故だかもう四ヶ月位経ってる気がするんだ」

 

「ユーノ!?」

 

 僕の名前を呼ぶ声、だけれど先程とはニュアンスが違い焦りを覚えているかの様な声。

 でも、僕は努めて気にせずに彼女に言うのだ。

 

「もしかしてこれは、ジュエルシードの効果が何らかの反応を示しているんじゃ……」

 

「そこまでにしな、この馬鹿ネズミ!」

 

 至って深刻に語る僕に、そんな軽快な声と共に重い一撃が降ってくる。

 敢えて例えるならば、空から隕石が降ってくる感覚。

 無論、着弾する場所は僕の頭上だ。

 

「グフッ!?」

 

 お見事、そう賞賛されて然るべき威力。

 出来れば、それは別の現場で発揮して欲しい。

 そんな願いを込めて頭上を見上げると、何故かそこには背伸びしてアルフの肩に手を置いてるフェイトの姿が。

 僕の困惑を他所に、フェイトは真顔でこう言ったのだ。

 

「アルフ、ぐっじょぶ」

 

「なんで!?」

 

 僕の声に対する反応はなく、どうしてだか自慢げなアルフの顔が頭に残った。

 ちょっと解せないかな何て思いつつ、今日行う事を現実逃避気味に考え始める。

 今日行うこと……ジュエルシードの探索のことを。

 

 

 

 ジュエルシード、僕自身はこれまでのゴタゴタで回収に加われてなかったが、今日から晴れて僕も探索の仲間入り。

 ……これで僕とフェイト達は、一蓮托生になった。

 言い逃れなんて出来ないし、するつもりもない。

 

 僕は彼女の傍にいる限り、彼女達の味方でい続けよう。

 例え管理局にフェイト達が追われる事となっても、必死に言い訳を考えてどうにか許しを請おう。

 最悪、追われる彼女達に同行しても良い。

 だから、今はどうか感謝を捧げたい。

 彼女達がこの地球にいた事を、まだこの世界が命脈を繋げられている事を。

 僕だけじゃどうにもならなかったから。

 一人だと、答えてくれる人がいなくて、一人でひっそりと死んでしまっていたかもしれないから。

 ある意味で、この巡りは必然にも似たものがあったのかもしれない。

 

「……なんてね」

 

「ん? 正気に戻ったかい、ネズミ」

 

 僕の声が聞こえたのか、アルフがこちらを向いて僕を覗き込む。

 彼女の懸命さも、僕からしたら眩しくて暖かい。

 僕に対して良く怒るのも、彼女の真面目さ故なのだろう。

 だから僕は、感謝と、感じる親しさと、ちょっとした反感を持って、彼女に答える。

 

「ネズミじゃないよ、フェレットだよ」

 

「そういう問題かい」

 

 返ってきたのは、ある種呆れを感じさせる溜息。

 別におかしな事なんて、全く一つも告げてないよ、とそう言いたい。

 ある意味でお約束の、出会ってからほぼ毎日しているやり取りをして、僕達はご馳走様をする。

 会話している内に、これからどうなっていくのか、何て不安はどこかに置いてきてしまった。

 代わりに感じているのは、さて、今日の探索はどうなるかな? という目の前の事に移行していく。

 それはそれで不安だけれど、でも、不謹慎にも、ちょっとだけ楽しみにしている自分がいた。

 

 

 

 

 

「見て、アルフ! ユーノ!

 ジュエルシードを吸収した巨大生物が!?」

 

 街中にある、植林されたであろう森林地帯。

 そこでセットアップしたフェイトに続き、僕達は現場に到着する。

 そして、フェイトの指差す方角を見ると、そこには……巨大なアルパカの姿があった。

 

「何でここに居るの……」

 

「分からない、でも、草臥れたおじさんみたいな目をしてる!」

 

 草臥れたおじさんの目、とフェイトに評されたアルパカの目。

 確かに、まじまじとアルパカの目を見ると、何だか切ない様に見えてくる。

 

「うわぁ、これは確かに……」

 

「こら馬鹿ネズミ!

 さっさと結界を起動させな!!」

 

 あまりの光景に言葉を失っていると、アルフからの激励が飛んでくる。

 度肝を抜かれたというのもあるのだが、流石にこのままでは不味い。

 そういう訳で、おっかなびっくりであるが、隠蔽するが如くに結界を発動する。

 そうして、隔離された空間には僕達三人とアルパカのみが取り残される。

 

「私、この前テレビで見たから知ってる。

 アルパカはもっとキラキラした目をしてた。

 こんな疲れた目はしてなかった」

 

 フェイトの言葉を聞くと、このアルパカの惨状に一つばかり思い当たることがあった。

 きっと、ジュエルシードの仕業だ。

 恐らくこのアルパカは、体も心も大人になりたいと願ったに違いない。

 しかし意地の悪いジュエルシードは、その願いに際してこのアルパカの心を、擦り切れて疲れきったサラリーマンのおじさんにしてしまったのだ!

 何という邪悪、純真な動物の心まで蹂躙するとは、ジュエルシードはやはり恐ろしいロストロギアだ。

 このまま野放しになんてできない。

 

「戻してあげよう、元に戻して、夢から覚まさせてあげよう!」

 

「うん、バルディッシュ、行くよ」

 

「yes mam」

 

 堪らず叫べば、僕の気持ちを汲み取ったかのように、フェイトは凄まじい速さでアルパカに接近していく。

 今すぐ戻してあげる……フェイトの気持ちが、バルディッシュの鎌から伝わってくる。

 ……アルパカに鎌を持って近づいていくフェイトを見ていると、何故だか屠殺という言葉が脳裏に過ぎるが、多分気のせいに違いない。

 

「ハァーーーッ!」

 

 勇ましい雄叫びと共に一閃。

 アルパカの中に眠るジュエルシードを、その黄色の魔力でフェイトは両断する。

 外から見れば、良く分からないがバックビーーク! と叫びたくなった、どうしてだろうか。

 まぁ、フェイトのお陰もあって、無事にアルパカからジュエルシードは分離した。

 

「ジュエルシード、封印!」

 

「サポートするよ、フェイト!」

 

 アルパカに眠っていたジュエルシード、それに対してフェイトは封印を開始する。

 アルフも、フェイトの封印の術式を補佐する魔術式を展開した。

 阿吽の呼吸ぶりは、流石は主従と感心する。

 そんな彼女達の封印術式にジュエルシードが対抗できる訳もなく、そのまま成す術なく封印されていく。

 封印が終わった後は、ジュエルシードはフェイトの手の中に収まり、術式が正しく完了したことが理解できる。

 

「お疲れ様、二人共」

 

「うん」

 

「今回も楽勝だったねぇ」

 

 二人共完勝だからか、中々に機嫌が良い。

 そして揃って三人で、恐らくは被害者であろう白い子に目を向ける。

 

「わぁ!」

 

 フェイトの目が、輝いていた。

 その視線の先にいたのは、先程とは違い目が潤んでいる子アルパカ。

 子供でも結構大きいが、不思議と愛嬌を感じれる姿だ。

 

「へぇ、悪くないじゃないか」

 

 そんな言葉と共に、アルパカの近くまで行き、その頭をポンポンと叩くアルフ。

 内心で美味しそうとか考えてそう、と思ったけれど、口に出したら叩かれるどころか噛み付かれるのはもう理解している。

 なので、僕もそう思っていますよ的な笑顔で二人を送り出す。

 アルフは兎も角、フェイトは本気で嬉しそうなので、これはこれで、と思わせられる。

 

「君の名前は何ていうの?」

 

 フェイトはそんな事を言いつつ、アルパカの首筋を撫でていた。

 こう、傍から見ていても、撫で撫でという擬音が聞こえてきそうな感じ。

 普段はもうちょっと大人っぽいけど、動物の前では子供な顔を覗かせる。

 やっぱり年相応なんだなということが、今のフェイトを見てると伝わってくる。

 撫でられている側のアルパカも、フェ~、と気持ちよさげに鳴いているから、これもウィンウィンの関係なのだろう。

 一挙一得とでも言えるか、なんにしろ良いことには違いない。

 

「フェ~~」

 

 そんなことを考えている時、急に僕の体が持ち上げられた。

 え? と思って恐る恐る上を見上げると、そこには無邪気な顔をしたアルパカが僕の背中を口で加えていて……。

 

「ふぇ、フェイト! アルフ!?」

 

「あぁ、ユーノが!

 ダメだよアルパカさん、ユーノは私の友達だから!」

 

「ったく、世話に焼けるやつだね」

 

 不可抗力だって思うんだ、僕は。

 そんな事を遠い目で思いつつ、パッカパッカとアルパカに揺られる。

 アルパカが、何処かへ向けて歩き始めたのだ。

 

「アルパカさん、止まって!」

 

 

 しかしそうはさせまいと、フェイトはアルパカに組み付く。

 アルフも、首元に抱きついて、その動きを止める。

 

「フェ~」

 

 しかしアルパカはマイペース。

 ズルズルと二人を引き摺りながら、ゆっくりと歩いてゆく。

 

「だ、駄目だよ!」

 

 少し怒った風なフェイトの声も、アルパカからすれば気にならないのか。

 アルフなんて、目に見えてイライラし始めている。

 

「……こいつ、ガブッとやって良いかい?」

 

「可哀想なことはやめて、アルフ」

 

 アルフはパカパカと歩き続けるアルパカに、遂にはそんな事を言い出す始末。

 まぁ、くわえられてる僕からすれば、このアルパカは困ったさんな事に変わりはないけど。

 流石にこのまま誘拐同然に連れ去られれば、何か自尊心的なものに亀裂が入って崩壊しそうだから、本当に何とかして欲しい。

 むしろ誰でも良いから助けて、と声に出してしまいたい気分だ。

 

「でも、どうしよう……」

 

 フェイトが、アルパカにしがみついたまま、困った様に言う。

 アルパカは止まらない、何処へ行くのかと問い質したい程に牧歌的。

 アハハ、と乾いた笑みが浮かび始める。

 諦めちゃダメだよユーノ! というフェイトの声がなければ、今頃薄暗い森の中から空って青いね、と遠い目をして居るところだ。

 

「ここは誰も見てないし、やっぱり痛い目に合わせて……」

 

 アルフがそんな危険なことを言い始めたときのこと。

 

「おーい、どこに行ったんだぁ!」

 

 急に、そんな男の人の声が聞こえてきた。

 ビックリして顔を上げた僕達三人。

 何事? と思考している間に、木々の隙間がガサゴソと揺れて、その中から一人の男性が現れた。

 その人はアルパカを見ると、ホッとした顔をして……そしてすぐに怪訝そうな顔をする。

 理由は勿論、僕達三人の状況故だと思う。

 

「何事?」

 

 困惑している男性に、慌ててアルパカからフェイトは辿たどしく説明をはじめる。

 あわあわと、焦りながら。

 

「こ、この子が、私の友達を口に……」

 

 そうして、僕のことを指差すフェイト。

 男性はそれを見ると、あぁ、と納得したような顔をして、アルパカから僕を救出してくれた。

 色んな意味で、間一髪だったと思わせられる瞬間である。

 

「済まないね、コイツは学園で飼育していたアルパカなんだが、何時の間にか脱走されてしまってね。

 君達に迷惑を掛けてしまったようだ」

 

 そう言ってアルパカの頭を撫でる男性に、僕達は図らずしもホッとして安堵の溜息を漏らす。

 けど、次の男性の言葉で、フェイトとアルフは分かりやすく顔を引き攣らせる事となる。

 

「ところで、こんな所でそんな格好をして、何をしているんだい?」

 

 フェイトが思わず、アルフの方へ振り返る。

 浮かんでいる表情は、どうしようと揺れているもの。

 アルフはそれを吹き飛ばすように、早口で捲し立てた。

 

「民族衣装のようなものでね。

 見ての通り旅行で来てるんだよ、こっちは」

 

「はぁ、民族衣装……」

 

 納得いかなげだが、深くは追求しようとしていない男性。

 見れば、アルフとフェイトの格好はモロに違うだろうというツッコミを入れないのは、ある意味でこの男性の良心が押しとどめているのか。

 ま、いいか、といった感触で、男性は一つ頷いて、礼と迷惑を掛けたねと言って、この場を去っていく。

 何とも心臓に悪い一幕であった。

 

「何とかなったね」

 

「馬鹿ネズミ、後でお仕置きだからね」

 

「……話せば分かるよ、アルフ」

 

 この後、僕はハムスターケースに放り込まれて、ひたすらランエンドランをする羽目になるけど、それはまた別のおはなし。

 後日、海鳴にはコスプレ少女が出没するという噂も流れるが、それは全く僕らが関知しない範囲での話である。




なお、アルフでなくフェイトに言い訳をさせると、「わ、私は死神です!」と真っ赤な顔で、震え声で言ってくれるらしいです。
死神少女、厨二フェイト、始まります(適当)
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