HSDD 転生生徒のケイオスワールド2 卒業生のアザゼルカップ   作:グレン×グレン

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さてさて、それでは皆様お待たせいたしました。

ついにあの戦闘狂の登場です!!


だし抜いたと思ってる時、たいてい相手もそう思ってるから気をつけろ

 

 とりあえず、ジリオラを倒すことができて一端は解決した。

 

 念のため使い魔を展開して確認するが、付近に怪しい人影はない。

 

 どうやら、今のでいったん打ち止めのようだ。

 

「雪侶、グランソード。良く間に合わせた」

 

「ふふん。もっと褒めるですの兄上」

 

「結構全速力で走ったんだぜ? あとでうまいもん食わせてくれや大将」

 

 眷属たちと軽口をたたきながら、俺はとりあえず周りを見渡す。

 

 うん、思わず全滅させてしまった。

 

 ついやりすぎてしまったんだが、どうしたもんだろうか。

 

「藍羽、とりあえず救急車を呼んでくれ。雪侶はちょっと彼らの護衛を頼む」

 

 このまま放っておくわけにもいかないだろう。というより、ちょっとこれは当分起きそうにないな。

 

 これでアイランドガードの被害は壊滅的。当分は戦力を貸せるような状態じゃない。

 

 ヤバイ、うっかりにしてもこれはひどい。ただでさえ人が足りないのを忘れてた。

 

 ……それはそれとして、後で見舞いの品を送っておこう。菓子折りと果物詰め合わせで事足りるだろうか。

 

「それよりここから移動するぞ。もっと人も物もいないところに移動しないと、監獄結界の脱獄囚たちとの戦闘で被害が甚大になる」

 

「あ、ああ。それなら廃棄されたサブフロートがあったはずだからそこにするか」

 

 流石に地元なだけあって詳しいな、暁。

 

 まあいい。とにかく―

 

「グランソードは藍羽についててくれ。南宮那月と一緒にいると、間違いなく直接戦闘に巻き込まれる」

 

「おうよ。ほら、立てるか嬢ちゃん」

 

「いや、ちょっと待ちなさいよ宮白さん」

 

 と、藍羽は南宮那月(らしきしょうじょ)を抱き寄せたまま、俺に詰め寄った。

 

「全く状況が把握できてないんだけど、どういうこと? それとサナちゃんが那月ちゃんって意味が分からないんだけど?」

 

「サナ?」

 

「名前を覚えてないからつけたのよ。幼い那月ちゃんでおサナちゃん」

 

 ああ、単純だけど普通に子供の名前としては無難な類になってるな。

 

 センスあるじゃないか、藍羽。

 

 とはいえこのまま連れて行くってわけにもいかないような気がするんだが。さてどうしたものか。

 

「いや、ちょっとまて浅葱。本当に今その子といるとやばいんだよ」

 

 暁もそういって止めようとするが、しかし藍羽はしっかりとサナちゃんを連れて離さない。

 

「今更放っておけるわけないでしょ。ママ扱いまでされてるんだから」

 

「ママっ」

 

 なんか感極まったのか、サナちゃんまで抱き着いている。

 

 まあ、どちらにしても協力してもらうつもりではあるんだが、どうしたものか。

 

「あの、兄上? お取込み中申し訳ありませんけど」

 

 ん? なに雪侶?

 

「どうやら、招かれざる客のようですの」

 

 今度は何だ。

 

 心底いやな気分で振り向くと、そこには一人の男が一人。

 

 金髪の品のいい身なりをした男。しかしその雰囲気は凶暴性が透けて見える。

 

 ああ、こいつも倫理観に問題があるタイプだ。人のことは言えんが、こいつたぶん俺と違って自重する気があまりないな。

 

「ヴァトラー!」

 

 暁が戦闘態勢を取りながら叫ぶ。

 

「やあ、古城。僕の獲物をあまりとらないでくれよ。せっかくLCOを見逃したのに退屈じゃないか」

 

 なるほど、こいつがディミトリエ・ヴァトラーか。

 

 もっとも真祖に近い男といわれる吸血鬼の貴族。それも、質の悪いタイプの戦闘狂。

 

 たしか、自分たちを狙う獣人のテロ組織を切り札ごと自分の船に入れて連れてきたとかいう一時期のヴァーリ並のことをやらかしている。

 

 ……まずいな。

 

 サナちゃんこと南宮那月を殺せば、今度こそ完璧に監獄結界は崩壊する。

 

 そうなれば、こいつとしては願ったりかなったりの状況に―

 

「……………ブッ!」

 

 なんか、急に笑い出したんだけど。

 

「み、見る影もないな、空隙の魔女!! あ、あははははは!! 駄目だ、笑いが止まらない!!」

 

「暁、こいつここで始末した方がいいか?」

 

 この隙だらけの状況を最大限に生かした方がいいと思うんだが。

 

「いや、あいつあれでも戦王領域の全権大使なんだ。そんなことすると戦争になるからやめてくれ」

 

 なんて奴だ。戦王領域とやらもこんな奴に権力与えるなよ。

 

「兄上。兄上にもブーメランなこと考えてません?」

 

 失礼な。俺は権力を悪用したりなんて……してないこともないな。

 

「安心しなよ。そんな状態の南宮那月と戦ったところで面白くないし、この状況で脱出もできない奴らにも用はないさ。勝てるとわかってる戦いはしない主義なんだ」

 

 なるほど、ヴァーリよりは糞兄貴に近いタイプの戦闘狂だな。

 

 とはいえ、今の段階では情報が少ない。

 

 よし、少し突っついてみるか。

 

「とりあえず挨拶からしておこう。初めまして、アルデアル公」

 

「初めまして。ああ、僕のことはもっと軽く読んでくれて構わないヨ」

 

「OKヴァトラー。じゃあ単刀直入に言おう」

 

 さて、エサをぶら下げるか。

 

「アンタ、俺に雇われないか?」

 

「はあ!?」

 

「兄上? 何を考えてますの!?」

 

 藍羽と雪侶に大声をあげられるが、しかしこれは序の口だ。

 

「へえ? 仮にも自治領のトップを雇おうだなんてすごいこと言うね?」

 

「いいじゃないか。言うまでもなことだが依頼は南宮那月の護衛。監獄結界の脱獄囚と戦うのは、お前も望むところだろう?」

 

 そう、これはむしろ好都合といっていいはずだ。

 

 南宮那月という生餌をもって、監獄結界の脱獄囚という大魚と釣る。

 

 もともとこいつは、それを目的としてLCOを見逃したんだ。渡りに船といってもいいはずだ。

 

「なるほど、僕みたいなタイプにはなれてるようだ。でも、雇うというからにはただでとは言わないよね?」

 

「真祖にも匹敵するだろう戦士との模擬戦を手配する」

 

 俺は速攻で報酬を提示する。

 

「俺たちの世界において、神すら殺すといわれる白龍皇。その歴代所有者の中でも過去現代はもとより、未来永劫にいたるまで最強の座に就くだろうといわれる男を紹介しよう。強者と戦いたいあまり、義理の父親を裏切ってテロリストに身をやつしたこともあるから、たぶん気が合うぜ?」

 

 さて、できる限りの餌の中でも、トップクラスのものを用意させてもらった。

 

 あの暇人の戦闘狂は割と自由な立ち位置だ。むちゃくちゃ強い奴と戦えると聞いたのならば、動かせる自信はある。

 

「流石に今は試合の予定が立て込んでるからすぐにとは言わないがな。それでも、模擬戦のフィールドも含めて一年もあれば手配できる。なんなら呪術的な契約をかけてくれてもいい」

 

 そう、一年もあれば準備も簡単だ。

 

 さすがにアザゼル杯からリタイアしろなんて言っても聞かないだろうが、そのあとなら動かせる。レーティングゲームのシステムを使えば死ぬ可能性も低い。

 

「何なら俺が今やってる試合に参加してみるか? リザーブ枠を募集してるんだが、文字通り神すら参加するビッグイベントだ」

 

 そういいながら、俺はアザゼル杯のパンフレットを渡してさらに追加する。

 

「くわえて、俺と組めば三十年待てば異世界の悪神たちと戦争をできるかもしれない。……まだ見ぬ新天地の強者たちと戦う機会は、お前にとっては最高の報酬じゃないか?」

 

 さらに来るべきE×Eの戦いに備えて戦力も確保できる。

 

 これは、間違いなく俺にとっても有利な条件だ。

 

 さて、双方ともにウィンウィンの契約だが、どう出る?

 

「……ふむ、確かにすごい連中が出てくるみたいだネ。でも異世界の存在だと強さの次元がわからないなぁ」

 

「暁の眷獣は一体一体が龍王及び魔王クラス。そして、今回の大会にはそれクラスが四人参加してようやく互角といわれている神が、直属の部下を率いて参戦している」

 

 俺はわかりやすく説明する。

 

 つまり、単純計算で暁が眷獣を四体同時使役してようやく戦えるだろう実力者がいるということだ。

 

 わかりやすく餌の出来を説明させてもらったが、さてどう出る?

 

 ヴァトラーは少しの間考えて、そして口元を吊り上げた。

 

「いいね。確かにそそりそうなやつらと戦ったうえで、今の古城より強い敵と戦える。……確かに、戦闘狂なら垂涎の戦いだね」

 

 そういうと、ヴァトラーはにっこりとうなづいた。

 

「いいヨ。君たちも一緒に僕の船に来るといい。その方がまだ安全だろう」

 

 よし! いけた!!

 

 確かこいつは超大型のメガヨットに住んでいる。港なら今の時間にはほとんど人がいないはずだ。

 

「お、おい。いいのかよ」

 

「大丈夫だ暁。……グランソード。舎弟たちを連れて港付近に待機。とりあえず適当に一人だけ逃がしたらあとはぶちのめせ」

 

「一応一人は相手させてやるんだな。大将も人がいいぜ」

 

 はっはっは。それぐらいしないと文句言われそうだからな。

 

 さて、とりあえずこれで何とかなるか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから一時間余り。オシアナス・グレイヴ2の寝室で、ヴァトラーは外を眺めながらワインを飲んでいた。

 

 ヴァトラーはもう一つのワイングラスにワインを入れると、それを白髪の男に差し出した。

 

「これでいいのかい、フォンフ・リーダー?」

 

「ああ、これである程度は情報がこっちにも流れてくるからな」

 

 ワインを受け取りながら、白髪の男―フォンフ・リーダーはそう笑みを浮かべる。

 

「しっかしエイエヌだっけ? 異世界からの接触を受けたときはすごく楽しみだったけど、彼死んじゃったんだ」

 

「ああ。そしてその遺物を使って、俺はこうして好き勝手してるということさ」

 

 フォンフはそう告げると、ワインを飲む。

 

「全てはあまねく巨乳を平坦にするため。無限に広がる世界に、貧乳の波を起こすのさ」

 

「……面白いね。巨乳好きの実力者たちが、目の色変えて襲い掛かってきそうだ」

 

 ヴァトラーは心底面白そうにくつくつと笑う。

 

 ある日、趣味の一環として行っている強者探しで、エイエヌに知り合ったのは僥倖だった。

 

 いくつも存在する次元世界。それも、真祖ですら勝てるかどうかわからない圧倒的な存在がひしめくもう一つの地球。そしてそれを守護する赤龍神帝。

 

 目的のために手段を択ばない精神性ゆえに、気が合った二人はお互いに酒を飲んだものだ。

 

 できれば彼とも全力で殺し合いたいと思ったが、死んでしまったのは心から残念だ。

 

 だが、その望みは決して消えたわけではない。

 

 宮白兵夜。平行世界のエイエヌは、この世界でも大物と化している。

 

 このままいけば地球の歴史に名を遺すであろう逸材。神々の最高峰すら打倒した、弱者である強者。

 

 ヴァトラーが好むのは、ただ戦闘能力が高い者だけではない。

 

 精神性もまた強さに必要な要素だ。

 

 単純な力ではかなわない相手に、絶望せずにどうすれば勝てるのか探る心。そういうものを持つものは、時として弱者でありながら強者を打ち倒す。

 

 そういう何が起きるかわからないというのが、戦いにおいて楽しさを増幅させるのだ。

 

 だが、何よりも死ぬかもしれないというスリルが大事だ。

 

 それが戦いを楽しみ一番の調味料。それがなければ、せっかくの強敵との戦いも味気ない。

 

 宮白兵夜はそこがわかってない。殺し合いとは、命がかかっているからこそ楽しいのだ。

 

 ゆえに、せいぜい利用させてもらおう。

 

 スパイみたいなマネは好みではないが、第四真祖を育て上げる彼には餌の一つでも挙げた方がいい。

 

 そして、フォンフは暁古城を磨き上げるのにふさわしい試金石だ。

 

 乗り越えて強くなってくれるならそれでよし、もし負けることがあっても、その時はフォンフたちを相手に殺し合いをすればいい。

 

 もしバレたとしても、その時は闘うことになるのは間違いない。それならそれで別に問題はないだろう。

 

「さて、先ずは囚人たちと相手に楽しみたいところだね。僕を楽しませてくれる手合いがいるといいんだけど」

 

「そして俺はその間に動かせてもらう。さて、宮白兵夜はいつになったら気づくことやら」

 

 二人はそういい合い、祝杯をあげた。

 




ヴァトラー、二枚舌外交(意味あってるかな?

兵夜からすれば、ヴァトラーは確実に釣れる条件がわかっているだけ交渉相手としては実に有効。なにせD×D、戦闘狂にはことか聞かないですからね。

……ですが、戦闘狂にも様々な種類があります。ヴァトラーはそういう意味では、レーティングゲームのような死なないたたかいはちょっと合わないタイプだと個人的に考えております。なのでフォンフの方を本命として、えっさほっさとどっちにもえさを与えて成長させようという思惑です。









そして、とりあえずエイエヌが悪い!

エイエヌの従僕はスパイとしても非常に有効なので、当然時空管理局やほかの世界にも情報戦用の従僕を送り込んでおります。場合によっては全く怪しまれる要素のない子供を従僕にして、政府機関に就職させるという気の長い真似すらやっております。

そんなわけでエイエヌはかなりハイレベルな諜報組織を持ち、しかも様々な世界の犯罪組織とコネクションを作っておりました。

その大半はエイエヌの死亡とともに崩壊し、加えてそういった担当のほとんども従僕であったため砕け散りレジスタンスも時空管理局も三大勢力も把握が困難です。

ですが、フォンフ・シリーズは敗色濃厚になった段階でそれらを早めに確保し、自分たちの組織力向上のために使っております。

あくまでコネがある程度ではありますが、フォンフ一派は禍の団を超える規模の犯罪者ネットワークを保有しているとお考えください。
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