HSDD 転生生徒のケイオスワールド2 卒業生のアザゼルカップ   作:グレン×グレン

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策謀渦巻く洋上の棺桶

 

「……さて、フォンフはおそらくヴァトラーにも接触しているだろうが、どう出るか」

 

『どう出るか……じゃないんだけど!』

 

 スマホから放たれる煌坂の大声に、俺は思わずスマホを耳から遠ざける。

 

 まったく。せっかくもてなしでもらったワインが不味くなるじゃないか。

 

 しかもこんな高級なチーズをつまみにする機会なんてそうないんだぞ。流石は一国の頭首だ、金持ってるな。

 

『あのねえ! フォンフっていったら今回の事件の元凶の1人でしょ! アルデアル公が繋がってるっていうの!?』

 

「俺がフォンフなら接触する。強者と戦うためなら手段を択ばないヴァトラーは、ぶっちゃけ餌で釣りやすいタイプだ」

 

 なにせ、D×Dには強者が山ほどいる。

 

 フォンフの最大の怨敵であるイッセーなんかまさに強者だ。繋がっておけば戦う機会が巡ってくるかもしれない。

 

 そして俺と繋がっておけば、それはそれとして強敵と巡り合うかもしれない。

 

 ちょっと援助する程度でそのチャンスを得やすくなるというのなら、ヴァトラーからすれば濡れ手で粟だろう。蝙蝠みたいなマネだが、そういう二重スパイじみたことも目的のためには必要なこともある。

 

 とはいえ、おそらく奴はヴァーリとはタイプが微妙に違う。

 

 そこから考えると、奴はフォンフに肩入れする可能性が高い。

 

「奴はおそらく、命がけに興奮するタイプだ。となると、俺の出した条件では煮え切らない返事になるはずだ」

 

 そう、俺が出した条件はあくまで模擬戦。

 

 つまり、死なないことを前提としているのだ。

 

 試合ではなく殺し合いに燃えるタイプだとするならば、おそらくこれは返事がつまらないものになっただろう。

 

 そうでないということは、俺を利用したい理由があるはずだ。

 

 あくまで推測だが、思考の隅には入れておくべきだ。

 

「さて、フォンフに情報が筒抜けになることを前提とすれば、ある程度行動に干渉できるはずだ。とはいえ他にも情報網があるはずだし、半端な嘘はつけないな」

 

『あなたねぇ。割と気が狂ってるって言われたことない?』

 

「よく言われる」

 

 自分でも正気度低いのは自覚してるからな。最早今更だ。

 

「それで? グランソード達は配置できたか?」

 

『それは大丈夫。というより、今戦闘が発生したようね』

 

 ふむ、やはり気づかれたか。

 

 どこから情報が漏れたのかわからない……などということはなくやはりフォンフとヴァトラーは繋がっていると考えた方が自然だろう。

 

 監獄結界崩壊に一枚かんでいるフォンフなら、囚人達に連絡を取るすべはあるはずだ。

 

 とはいえ、想定の範囲内とはいえどうやって接触したのかが問題だ。

 

 まあ、たぶんエイエヌが何かしたんだろう。あいつはS×Bの存在を知っていたし、従僕を利用して内通者を作る程度のことはできるだろう。それをフォンフが利用したということか。

 

 エイエヌは要職を殆ど従僕で構成させていたから、それが一気に壊滅したことで遺された情報を探すことが困難だ。

 

 ましてやフォンフシリーズは複数存在する上に、奴はエイエヌ側だった。必然的に先を読んで情報網を確報することは可能。ドタバタしていた俺達よりも、先手を打てる。

 

 その辺を考えると、たぶん時空管理局にもコネを持っているだろう。実際時空管理局の関係者に、突然倒れて崩壊した奴が何人も出ているそうだ。

 

 便利だな従僕。奴を倒せてよかった。

 

 あんなもん投入されたら、疑心暗鬼で組織が崩壊しかねないからな。よかったよかった。

 

『あの、宮白兵夜。ちょっと暁古城達のところ行ってくれない? なんかいちゃついてて腹立ってきたんだけど』

 

「それはお前が素直になれないのが悪い」

 

 俺はばっさり切り捨てた。

 

「あの手のタイプは変化球で攻めても意味がない。とにかく堂々とデレろ。もしくはストレートに告白しろ」

 

『いや、別に暁古城に好かれたいとかそんなこと思ってないんだけど』

 

「そういうのがダメだと言ってるんだ。いいか? 誰が見ても分かるそれ以外の解釈の余地のないドストレートが重要だからな」

 

『だから、別に暁古城に嫌われようがどうでもいいって言ってるんだけど!?』

 

 まったく。やっぱり教えてやった方がいいんだろうか?

 

 しかしこれ以上そんなことをすると、どっかで痛い目見そうで怖いしなぁ。

 

 と思ったら、いつの間にやら姫柊ちゃんが通信を奪取したらしい。

 

『話が進まないので切り替えますが、グランソードさんの話では残りは片手で数えられるそうです』

 

「流石はグランソード達。仕事が早いな」

 

 これで残りは数少ないな。そろそろ1人漏らした方がよさそうなんだが、どうしたもんか。

 

 こっちが警戒していることを勘付かれたら、本当に繋がっていた場合、本格的に寝返らえる可能性がある。

 

 その辺の駆け引きは必要不可欠だな。

 

 ………もし勘違いだった場合、ものすごく徒労に終わるけどな!

 

「じゃあ、とりあえず俺は暁達のところに行ってくるから。事態が解決したらなんか奢るから我慢してくれ」

 

『はい。先輩達のことをお願いします』

 

 そう言って、通信を切り、俺は暁達のところに行く事にする。

 

 とりあえず様子を見た方がいいだろう。何ていうか、暁は暁で大変だからな。

 

 まさか子供同伴でエロい展開にはならないと思うが、それはそれとしてフォローしておかないと。

 

 万が一にも暁の攻撃でオシアナス・グレイヴ2が沈むというオチだけは勘弁してもらいたいものだ。

 

 そんな事を考えながら俺は暁達のいる部屋をノックする。

 

「おーい。暁いるかー?」

 

「宮白か? ちょうどよかった!」

 

 と、暁は少し慌てながらドアを開ける。

 

「ちょうど相談したいところだったんだ。なんかやばいことになってる」

 

「……具体的には?」

 

 さっさと用件を聞こう。

 

 このもめ事が起こりまくっているタイミングで、さらにトラブルなんて勘弁してほしい。

 

「ああ、なんか那月ちゃんの人格のバックアップが覚醒したんだが」

 

 人格の、バックアップ?

 

「なるほど、それは便利な発想を聞いた」

 

「どこ喰いついてんだ。問題はそこじゃねえ」

 

 あ、ごめん。俺うっかりだからそういう保険に興味があってな。

 

 で、問題はどこなんだ?

 

「この調子だと、魔術が行使できないみたいなんだ。このままだと優麻が助けられない」

 

 なるほど、どうやら確保出来たらどうにかなるってもんでもないようだ。

 

 とはいえ確保できただけでも御の字。これに関しては想定の範囲内だからなまあいいだろう。対策もあるしな。

 

「その辺に関しては七式を使えばどうにかなるかもしれん。とにかく試して―」

 

「それどころでもないみたいよ」

 

 と、俺の言葉を遮って藍羽が告げる。

 

 その言葉に振り返ってみてみれば、テレビの画面になんか猫のぬいぐるみみたいな映像が浮かんでいる。

 

『ケケッ! お前さんが嬢ちゃんとその彼氏の恩人かい?』

 

「まあそんなところだ。……お前は?」

 

『俺はモグワイってんだ。まあ、嬢ちゃんの相棒ってところだな』

 

「誰が相棒よ。それより、さっき言ったことは本当なの?」

 

 む? なんだなんだ?

 

「なんかやばいことでも起こってるのか?」

 

『ああ、彩海学園ってところを中心に、あらゆる魔術反応が消えてるんだ。このまま範囲が広がると、絃神島が滅びちまうかもな』

 

 ………それ、やばすぎね?

 

「この非常時にさらになんてトラブルがやってくるんだ……っ」

 

 もう勘弁してくれ。

 

「どうする? とりあえず、ヴァトラーに頼んでこの船をいったん沖に出すか?」

 

「いや、それよりまず凪紗と母さんを―」

 

 俺たちがとりあえず身内の安全を最優先に確保しようとしたその時だった。

 

 ……あ、やべ。

 

「伏せろ!!」

 

 即座に俺は暁達を抱えて飛びのく。

 

 そして、いきなりヴァトラーが突っ込んできた。

 




ヴァトラーの危険性は兵夜もよく理解していたという話。

こういった策謀戦はイッセー達と一緒の時はしにくいですし、オリジナル展開になっているアザゼル杯戦だからこそできる内容です。
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