HSDD 転生生徒のケイオスワールド2 卒業生のアザゼルカップ   作:グレン×グレン

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反省会をするまでが試合です

 

 う、うわぁ。

 

「アルサム、お前、殺気を物理的に放つすべでも覚えたのか?」

 

「そんなわけがないだろう。あれはアインハルトの踏み込みだ」

 

 わかってるわかってる。冗談だって。

 

 とはいえ、そんなことを言いたくなる俺の気持ちもわかってくれ。

 

 今、俺達の目の前でリングが崩壊した。

 

 それも、打撃の踏み込みでという離れ業だ。

 

 リングとなる舞台の半分がそれで完全に砕け散り、ハイディがいた側に関してはそれ以外の場所も大幅に崩壊している。

 

 っていうかノーヴェ達セコンドは無事だろうか? 想定外すぎて俺だったら巻き込まれてる自身があるぞ。

 

「………これは、驚いたわ」

 

「マジかよ……っ」

 

 あ、お隣さんも流石に驚愕してる。

 

「流石に、これは滅多に起きないことのようね」

 

「修復がいまだに行われていない以上、それだけの破壊力ということです。……これだけの被害、今までDSAAで起きたことなんて無いわ」

 

 お嬢様が唖然とするほどの大破壊。

 

 しかも打撃を生む為の踏み込みでこうなったというのは、そりゃもう驚きだろう。

 

 ああ、俺も流石に驚いてる。

 

「魔力付与とはいえ打撃でこれほどの破壊ですか。我々の業界でも例がありませんね」

 

「でしょうね。っていうか、ノーヴェ達大丈夫かしら」

 

 シェンとシルシも完璧に驚いてる。

 

 いまだに実況が何も言っていないのがその驚愕の証拠だ。事態がすごすぎて誰も何も言えない。

 

 そして、土煙が晴れる中、そこには明確な戦いの結果が生まれていた。

 

 何が起きたのかよくわかってない顔で、しかしガードに使ったらしい腕を抑えてうずくまっているチャンピオン。

 

 そして、倒れているハイディだ。

 

 ……あの一撃を捌いたのか。なんて奴だ。

 

 だが、そこから反撃をするまでもなく勝敗は決している。

 

『い、今反応が出ました。……アインハルト選手は左足が粉砕骨折。エミュレートではなく物理的に粉砕骨折を起こしている為、試合続行は不可能です』

 

 実況がいまだ冷静さを取り戻せていないながらも、しかしかろうじて状況を理解して話を進める。

 

『終わってみればジークリンデ選手が圧倒的にライフを残していますが、この戦いをジークリンデ選手の圧勝といえるものは一人もいないでしょう。それほどまでの最後の一撃。正直、ジークリンデ選手のライフが残っていることが信じられません……』

 

 だろうな。とはいえ、これは急がないとまずいか。

 

「半端に瞬動術を教えるんじゃなかった。使うなって言ったのに、あの馬鹿は……っ」

 

「まあまあ。当人も咄嗟に出しちゃったみたいだし、あまり怒らないであげなさいな」

 

 シルシにはそう言われるが、しかしやっぱり説教はしておくべきだろう。

 

 とはいえ今は急がないとな。粉砕骨折何てすぐに処置しないと悪影響が残りかねない。

 

「アルサム。悪いがそっち任せる。俺は今すぐアーシアちゃんを呼んでくる」

 

「ああ、任せる。……そちらの二人にはこちらから説明させてもらおう」

 

 そう苦笑するアルサムの視線の先、さっきのお嬢様方がなにやら警戒の色が籠った視線を俺達に向けていた。

 

「あんたら、いったい何もんだ?」

 

「先程の気配といい、ただものではないようですが……」

 

「あ、えっと色々あるんだけどね?」

 

 俺は素早く後退しながら、苦笑を浮かべる。

 

「後でまとめて話してあげるから、とりあえず今は急がせてくれない? 急いで救護班を呼んでおかないと大騒ぎになりそうだから……さ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アインハルトが目を覚ました時、そこには思った以上の人が集まっていた。

 

「……起きたようだな」

 

 真っ先に気が付いたのは、アルサム・カークリノラース・グラシャラボラス。

 

 彼にはエイエヌ事変のおいて色々と教えられた。

 

 王の在り方。王とは何か。

 

 ただクラウスの無念に引きずられて覇王を名乗っていた自分にとって、彼の叱咤はとても身に染みた者だ。

 

「大丈夫か、アインハルト」

 

「足は知り合いが治しといた。あとでお礼を言っとけよ」

 

 コーチであるノーヴェや、恩人の一人である兵夜も気づかわし気な表情ですぐに近づいてくる。

 

 その表情を見て、アインハルトは大体どういうことを理解した。

 

「そうですか。……負けたんですね」

 

「っていうかドクターストップだ。足の骨がいくつも粉砕骨折してたからな。アーシアちゃんがいなければ、選手生命すら怪しいレベルの大怪我だったんだからな」

 

 ため息交じりに兵夜はそういうと、アインハルトの頭に軽くチョップを入れる。

 

「あうっ」

 

「瞬動は慣れるまで使うなって言っただろうに。しかも断空拳と併用しやがって。……砕けた足がクッションになって、むしろチャンピオンの方がダメージ少ないってどういうことだよまったく」

 

 やれやれといわんばかりに首を横に振った兵夜だが、しかしすぐにその表情は苦笑に変わる。

 

「とはいえ、最後の一撃はチャンピオンも度肝に抜かれただろう。……ナイスファイトと言っとくか」

 

「いえ、そんな事はないです……」

 

 だが、アインハルトはそれでも元気にはなれない。

 

 どう言い繕うと、結局負けたわけだ。

 

 ましてや、無茶な戦闘方法を行って選手生命に関わりかねない怪我までしている。

 

 今頃ヴィヴィオ達も心配していることだろう。これでは誰にも見せる顔がない。

 

「……チャンピオン(彼女)がエレミアの末裔だと気づいた時、頭に血が上っていました」

 

 エレミア。その名はアインハルトにとってそれ相応に重要な意味を持つ。

 

 ヴィルフリッド・エレミア。クラウス・G・S・イングヴァルドと、オリヴィエ・ゼーゲブレヒトの友人。

 

 そして、オリヴィエがゆりかごの聖王となる時に姿を消した者。

 

 クラウスは決して恨んでいたわけではない。何か事情があって関われなかったのだと、それだけは確信をもって信じている。

 

 だが、それでもやるせない思いはあった。一発殴ってやろうという感情だけはあった。

 

 それはアルサムや古城の言葉で振り切れた。振り切った……つもりだった。

 

 だが、果たして本当に振り切れていたのだろうか?

 

「あの時、一瞬だけ、本当にクラウスの無念のままに一発殴ることだけ考えていたのではないかと思ってしまうんです」

 

 少しだけ、少しだけ声を震わせながら、アインハルトは俯いた。

 

「ヴィヴィオさんに、ノーヴェさんに、リオさんやコロナさんに託された想いを、あの時忘れて気がして……」

 

「言うな、アインハルト」

 

 ノーヴェはそれ以上言わせず、アインハルトを抱き寄せる。

 

「選手に危険な技を使わせないように指導し損ねた私の責任だ。それに、正直に言えば私も成長し続けるお前に甘えてた」

 

「そうそう。第一それを言ったら瞬動を半端に教えた俺にも責任はある。反省するのは良いが、後悔までされると俺が心もとない」

 

 兵夜もそう言って慰める中、アルサムは立ち上がるとアインハルトに視線を合わせる。

 

「少なくとも、お前は振り切ろうとしたのだろう?」

 

「え、はい。ですが……」

 

「ならいいさ」

 

 アルサムは、そういうとアインハルトの頭を撫でる。

 

「間違いなくお前は成長している。まずはそれを誇るといい。きっと先代覇王も褒めてくれるさ」

 

 そういうと、アルサムはわずかに微笑を浮かべた。

 

「アルサムさん……」

 

「まずは一歩前進だ。なに、あそこまで大口の叩いたのだ。俺もできるだけ手伝おう」

 

 そういうと、アルサムは立ち上がると手を伸ばした。

 

「さあ、今代のエレミアと話すのだろう? ならばまずはそれが先ではないか」

 

「……はいっ」

 

 アインハルトは、おずおずと手を伸ばして、そしてそれを掴むと立ち上がった。

 

「まあ、これに関しては俺も失敗だったな。半端にものを教えすぎた」

 

「いや、さっきも言ったけどあたしが一番悪いよ。アインハルトのコーチとして、やることをやれてなかった」

 

 それを見ながら、兵夜とノーヴェは苦笑を交わし合う。

 

「ま、幸い今回は取り返しがついたんだから良しとしようや。俺達が暗い顔してると、ヴィヴィ達が落ち込むぜ?」

 

「だよなぁ。ああ、コーチって結構大変だな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「97管理外世界で異なる技術が大量に流れ出たというのは聞いていましたが、まさかそちらの出身だったとは思いませんでしたわ」

 

「っていうか人間じゃねえのかよ!? え、全然そんな風に見えねえけどな」

 

「大体異種族って人間と似てるのよ。天使にしろ堕天使にしろ半神しろ、ね」

 

「とはいえ異形なものはかなり異形なこともありますが。悪魔も血統によっては角が生えていたりすることはよくあります」

 

 シルシとシェンは、たまたま隣にいた観客……にしてDSAAの選手でもあるヴィクトーリア・ダールグリュンとハリー・トライベッカに付き添って会場の中を歩いていた。

 

 なにせ、アルサムが割と本気で殺気をぶちかました挙句、殺気をぶつけたジークに会う可能性があるのだ。

 

 当然ジークリンデの友人である二人としては黙って見ていられはしないだろう。

 

 と、いうわけで個人の裁量の許す限りで話しているわけだ。

 

「あの事件、地球出身の局員の技術流出すら疑われていましたが、地元の物だと知られたときはそれなりにニュースになりましたわ」

 

「不用意に技術を流出させれば人間社会が混乱すると考えていたのですが、テロリストが遠慮なくばらまいたので、いずれ存在を公表する予定ではあります」

 

 ため息をつきながら、シェンは説明を続ける。

 

 あえて説明すればするほど、事態がとんでもない方向に行っていることを痛恨する。

 

 リゼヴィム・リヴァン・ルシファーとフィフス・エリクシル。

 

 この二人の所業によって、地球及び周辺神話世界は本当に追い込まれているといってもいい。

 

 そんな中、フォード連盟と時空管理局の二つの超次元組織と出会ったのは僥倖という他ない。

 

 これだけの大規模組織の協力があれば、場合によっては逆にE×Eに出会うことも可能だろう。

 

 そういうこともあり、シルシとしてはこれからのことを考えていた。

 

「まあ、そういうわけで冥界は若い実力者をどんどん募集してるわ。興味があるならぜひ連絡して、大丈夫そうなのを紹介するわよ?」

 

「いや、俺は局員志望だからパスしとくわ。お嬢様はどうすんだ?」

 

「ダールグリュン家を放っておくわけにはいかないもの。流石にお断りさせてもらうわ」

 

「あら残念」

 

 アッサリと断られたが、シルシとしても話のタネだったので特に気にしていない。

 

 それに、今の段階で管理世界から引き抜きを行えば社会問題一歩手前だろう。

 

 これは、あくまで冗談である。今のところは。

 

「ですが、ハリー様がリオ様を下していたのですか。彼女はあの年ではありえないほどの力量ですので、正直驚きました」

 

「おいおい。俺だって都市本選出場経験者だぜ? 出たばかりのルーキーに負けるわけにはいかねえよ」

 

「あら? わたし対策を使ってようやく勝ったのは誰だったかしら?」

 

「こらこら、ケンカしない」

 

 ライバル同士の火花の散り合いが勃発しそうだったので、シルシが苦笑交じりで止めに入る。

 

 とはいえ、確かに自分も驚いたのは事実だ。

 

 リオの実力は本物だ。あの年であれほどの戦闘能力を発揮するものなど、異形社会でも非常に珍しい。

 

 それほどまでの実力者を下すとは、時空管理局も実力者が多いということだろう。

 

 おそらく、上級悪魔相当の実力者の数ならば圧倒的に時空管理局が上のはずだ。

 

 流石に神クラスのものは基本が人間である以上いないだろうが、戦争とは古来より質より量が基本である。

 

 上級悪魔相当の実力者が何十人もいれば、神クラスといえど苦戦は必須だろう。少なくとも、半端な神クラスはこれで倒せる。

 

 そしてそのうえで時空管理局の切り札ともいえるアルカンシェルがあれば、主神クラスでも危険のはずだ。

 

 全面戦争になれば、敗北するのはほぼ確実に地球側。それぐらいは流石にわかっている。

 

「本当に、この業界も若手の実力者が豊富よねぇ」

 

「そうなのかよ? そっちも結構多いって言ってなかったっけか?」

 

「単純な分母の数が桁違いだもの。確かに若手悪魔でもサイラオーグ様とかは強すぎるけれど、奥の手抜きならチャンピオンなら勝てるわよ」

 

「そうですね。獅子王の戦斧は時空管理局の定義でいうならばロストロギアクラス。あれは基準に入れない方がいいでしょう」

 

 シェンもお茶を飲みながら同意するが、そうい意味では割と気が狂っているのはこちら側なのかもしれない。

 

「そういえば、ハイディちゃんとチャンピオンはこれから話し合いをするそうよ? そちらはどうするのかしら?」

 

「ジークが参加するなら、私も参加しますわ。それにあの子意外と人見知りするからちょっと心配で」

 

 ヴィクトーリアは即答する。

 

 かなり親身になってジークリンデのことを考えていたし、おそらく相当に親しい間柄なのだろう。

 

「アルサム様もチャンピオンに殺気をぶつけた謝罪をすることもあり参加しますので、私も同席いたします」

 

「流れ的に私と兵夜さんも参加するけど、ハリーちゃんは?」

 

 ある意味一番関係がないハリーにシルシは話を振るが、ハリーは面白そうな表情を浮かべて即答した。

 

「俺も参加するぜ? だって気になるじゃねえか」

 

「え?」

 

 ヴィクトーリアはきょとんとするが、シルシはなんとなく予想ができていたのでクスリと笑う。

 

「これは、晩御飯は多めに用意しておいた方がいいかしらね」

 




覇王断空拳改 未完成。

 現時点においては何かしらの方法で足を強化しなければ、自分の足が砕けるはそれがクッションになって威力低下するわといいとこ内です。もっとも、それでも今までのアインハルトの技で最も威力がある技でもあるのですが。
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