HSDD 転生生徒のケイオスワールド2 卒業生のアザゼルカップ   作:グレン×グレン

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話、聞いてみます!

 

 

 そして、ホテルの最上階という非常に豪勢な場所で行われた。

 

 そして、もちろんケータリングも豪勢だった。

 

「あの、八神さんでしたっけ? いいんですか、こんなに豪勢で」

 

 流石に財布関係が不安になり、兵夜はそれとなく聞いていみる。

 

 だが、八神はやてはなぜか困り顔で笑うと、片手を横に振った。

 

「かまわへんよ。それに、いつの間にかアルサムさんが全部払っとったし」

 

「え、マジで!?」

 

 既に食べ始めていたハリーが驚いて視線を向ける中、アルサムは優雅にカナッペを食べながら軽く片手をあげた。

 

「今回の殺気の詫びのようなものだ。それにカークリノラース家の財力なら、この程度ははした金にもならん。気にせず食べるといい」

 

「「確かに」」

 

 兵夜もシルシも納得すると、遠慮なく食べ始める。

 

 実際、一国に匹敵する領土を持つグラシャラボラス家の次期当主として迎え入れられたアルサムならば、高級ホテルでケータリングを用意することぐらい朝飯前だ。文字通りはした金に等しい。

 

 そんなものを気にしていても意味がない。ここは率先して食べて心理的ハードルを下げるべきだと判断した。

 

「いつもありがとうございます、アルサムさん!」

 

「気にするな。それより子どもは体が資本だぞ? 早く食べるといい」

 

 笑顔でお礼を言うリオにそう促しながら、アルサムもまた食事を再開する。

 

「え、ええんやろか? こんなにおいしそうなもん、見ず知らずの人に恵んでもろて」

 

「お気になさらず。それに、これは極大の殺気を貴方に不意打ちで叩き付けたお詫びのようなものです。さあ、こちらが地球の高級食材、トリュフでございます」

 

 戸惑いがちなジークリンデに、シェンが料理を取り分ける。

 

 そんなこんなで食事を始めながら、兵夜はアインハルトに近づいた。

 

「それで、足はどうだ?」

 

「はい。おかげさまで痛みもありません。その、後でお礼を言いたいのですが……」

 

「ああ、まだ日程は空いてるから、機会があれば紹介するよ。ほら、今のうちにたっぷり食べとけ」

 

 兵夜もそういってアインハルトに食事を勧める。

 

 ことジークリンデとアインハルトは試合をしてからまだ食べていないのだ。

 

 消耗したエネルギーの分、食べるのも必要だろう。

 

「その通りだ、アインハルト」

 

 アルサムも、何気にさらに食べ物を乗せてアインハルトに食事を促した。

 

「まだ子供なのだから、しっかり食べておかなければ特訓をする分のエネルギーも確保できん。強さを目指すのならば食生活も気をつけねばならんのはわかるだろう?」

 

「あ、はい。いただきます」

 

 差し出された料理を食べるアインハルトを見て、アルサムは微笑を浮かべる。

 

 それを見て、兵夜はにやりと笑みを浮かべた。

 

「なんだかんだで、ハイディのことを目にかけているじゃないか」

 

「ふむ、形は違えど王を目指す者同士、思うところはあるといっておこうか」

 

 そういうと、兵夜とアルサムはにやりと笑う。

 

 同盟者同士の気心の知れた関係が、そこにはあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、それで色々とハイディの話を聞いてみたが、これはまた驚きだ。

 

 なんでも歴史研究においてはオリヴィエとクラウスが本当に友人関係だったのかさえ分かっていないのだが、そこは記憶継承者。

 

 本当に二人は関係があったとのことで、かなり仲が良かったそうだ。

 

 そして、二人の共通の友人が、ジークリンデの先祖であるヴィルフリッド・エレミア。

 

 なんでも半年近くふらりとしている時もあったそうだが、しかし良き友人だったらしい。

 

 だが、そんなヴィルフリッドはオリヴィエが揺り籠の聖王となる時から行方知れずになる。

 

 それからクラウスが死ぬまで、ヴィルフリッドは姿を現さなかったそうだ。

 

 ……何かあったのは間違いないよな。だけど、いったい何があったのかはわからない。

 

「それで、もしかしたら何か知っているのかもしれないと思ったのですが……」

 

 ハイディは割と本気で懇願しているのだが、しかし対面するジークリンデとヴィクトーリアの表情は暗い。

 

「悪いけど、(ウチ)の記憶継承は戦闘技術だけで、個人の記憶は殆ど残ってないから……」

 

「ジークの実家にも、記録は殆ど残ってないのよ」

 

「……手詰まり、か」

 

 アルサムが目を伏せる。

 

 ああ、これは確かに無理があるな。

 

 なにせ数百年以上昔の出来事だ。それも数多くの戦乱で記録が殆ど残っていないと来ている。

 

 これが悪魔とかなら簡単なんだよなぁ。だって生きてる人いるから直接聞けばいい。

 

 だけど、人間の寿命はわずか数十年。長くてせいぜい百年ちょっとだ。少なくとも二百年とか生きれるものはいない。

 

 だから、もうこうなったらどうしようもない。

 

「……いっそのこと、聖杯でも使えればいいのだが」

 

「流石にその為に殺し合いとか了承できん。大体上は禁止の方向だろ」

 

「分かっている。言ってみただけだ」

 

 俺にツッコミを入れられて、アルサムは肩をすくめる。

 

 しかしこれは本当にどうしようもない。これでは探しようがない。

 

 ちょっと可哀想だが、これは諦めるしかないよなぁ……。

 

「あの、ちょっといいですか?」

 

 と、そこでヴィヴィが声を上げる。

 

「どうした、ヴィヴィ?」

 

「あの、実は私、以前無限書庫でエレミアの名前を見たことがあるんです」

 

 ………なにぃ?

 

「あるの、記録!?」

 

 思わず全力で突っ込んだ。

 

 いやいや、あるんだったら調べろよ歴史研究家!!

 

「なるほどなぁ。無限書庫は本の量が莫大すぎて、まだ完全に整理もされてないから、手付かずなところがあるのは当然やしなぁ」

 

「と、いうより、あそこは確か民間人は立ち入り禁止のはずでは?」

 

「社会科見学か何かじゃねえのか?」

 

 と、外野が色々と推測するが、ん? つまりは―

 

「ああ、やっぱり十歳で司書資格はさすがの時空管理局でもレアなのか」

 

 俺は知ってるから別の意味でちょっと驚いた。

 

 やはり実力者でなければ時空管理局でも資格はとれないよな。そこは魔法世界と同じか。

 

「因みに、私達も立ち入りパスはもらってます!」

 

 と、リオが立ち入り許可証を見せてくるので、とりあえず頭をなでておいた。

 

「うん、すごいすごい」

 

「えへへー」

 

 しかしまあ、それならかなり簡単だな。

 

「司書資格持ちがいるなら、直接調べてくればいいんじゃないか?」

 

「そうね。当時の本かどうかはさておいて、調べてみて損はないでしょう」

 

 俺の意見にシルシも同意する。

 

 ああ、このまま何もしないよりはいいだろう。

 

 それに、言い方は悪いがヴィヴィ達は既に敗退してるから、時間もあるしな。

 

「そういうわけで、私達が行って調べてきます!」

 

「任せてください!」

 

「一日もあればわかります!」

 

 と、ヴィヴィ達は元気よく言うが、しかしなぁ。

 

 十歳の女の子に任せっぱなしってのも、流石にあれだな。

 

「あの、それなら私も行きます」

 

(ウチ)も……」

 

 当然当事者というか言い出しっぺのハイディはそういうし、エレミアの末裔であるジークリンデも立ち上がる。

 

「アインハルトさんは休んでてください。右足が砕けてたんですよ!」

 

「チャンピオンも、次の試合があるんですから……」

 

 ヴィヴィオやコロナが慌てて止めに入るが、しかし俺としてもなぁ。

 

 とはいえ、俺達完璧に部外者だし、ちょっと言い出しにくいといえば言い出しにくいしなぁ。

 

 ……いや、やっぱりそういうわけにもいかないな。

 

「なあ、それ、オレ達も参加できねえか?」

 

「私も行かせてもらえないかしら」

 

 と、ハリーとヴィクトーリアも手を上げる。

 

「やっぱり(ウチ)もや」

 

 と、ジークリンデもやっぱり立ち上がった。

 

「え、でも……」

 

「いいではないか。私も参加しよう」

 

 と、止めようとしたコロナを遮ってアルサムも参加を表明する。

 

「ずるいぞお前。俺が先に言うつもりだったんだが」

 

「ならお前も参加すればいいだけだろう?」

 

「いやいや! アルサムさんや兵夜さんまで巻き込むわけにはいきませんって!」

 

 リオに止められるが、しかしそういうわけにもいかない。

 

「いや、俺達は仕事の方が終わって暇でな。ぶっちゃけやることなかったからちょうどいいよ」

 

「流石に言い方が悪いがそういうことだ。そんなときに子供が無茶をするとなれば放ってはおけん」

 

 俺とアルサムはそういって視線を交わす。

 

 ああ、アルサムも警戒してるんだろうな。

 

「そうですわ。子供達にばかりこんなことをさせるわけにはいきませんもの」

 

「そうや。それに、(ウチ)にいたってはご先祖様のことなんやし」

 

 うん、ヴィクトーリアもジークリンデもすごいまともなこと言ってる。

 

 この子達常識人だ。偉いね!

 

「それに、試合があるからってトレーニングばっかりしてるわけじゃないんだぜ?」

 

 と、ハリーはヴィヴィオの頭をなでながらそう笑う。

 

「トレーニングばかりしてたら気が滅入るし、筋肉は適度に休ませないと脆くなるからな。書庫探索なんていい気晴らしだろう」

 

 俺もそこにフォローを入れておいて、さらに視線を周りに向ける。

 

「それで、他の方々はどうするのかな?」

 

 できれば全員来てくれると嬉しかったり知るんだが……。

 

「敗戦組は気兼ねなく付き合えるね」

 

「ですね。それに私はチャンピオンのセコンドですから」

 

「あ、だったら僕も行きます!!」

 

 うむ、決まりだな。

 

「流石にあまりたくさんいると迷惑ね。私は今回パスしておこうかしら?」

 

「そうですね。では、お二人が冥界に帰還された後の仕事の準備にでも取り掛かっておきましょう」

 

 シルシとシェンの秘書組は辞退するが、それでも十分集まっただろう。

 

 それに、一応念のための後詰も必要だしな。

 

 さて、無限書庫……だったか?

 

 どんな本があるのか、ちょっとワクワクしてきたぞ、これは。

 

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