HSDD 転生生徒のケイオスワールド2 卒業生のアザゼルカップ 作:グレン×グレン
フォンフかと思ったら別件でした。
なんでも、クロゼルグとかいうオリヴィエの友達の末裔が、先祖の恨みとかで襲い掛かってきたらしい。
八つ当たりは絶対許さない俺としては一発度突き倒してもいい案件だが、しっかり補導された以上まあ今回は見逃してやろう。俺が先に辿り着いていればお尻ぺんぺんでは済まなかったぞ。
それはそれとして、競技選手としては破格の戦闘能力を持つあの子達を相手に、単独で大半を無力化したのは驚くべき能力だ。
能力なのだが……
「そろそろ着替えたー?」
「あ、もうちょっと待ってくださーい!」
ヴィヴィの声を聴いて、俺は目を閉じる。
なぜか小さくして瓶に詰めるという無力化の仕方をした為、全員全裸になるという弊害が勃発した。
その為俺達は全く介入できず、今も目隠しをして無重力空間でぷかぷか浮いているというわけだ。
「……アルサム。俺、なんか無性に涙が出てきそうなんだが」
「諦めろ。こういう時もあるだろう」
うん、そうだね。
しかし、曲がり角一枚超えた向こうに、裸の美少女達がお着替えタイムか。
「すいませーん! 男の劣情がすごく張り裂けるほどエレクトするんで、早く着替え終わってくれませんかー!」
「それはセクハラだぞ馬鹿!!」
ノーヴェに怒られた。
だがしかし、この状況は何というかイッセーなら耐え切れずに覗きに行くレベルだと思うんだ。
「とりあえずイッセーは連れてこなくて正解だったな。あいつ居たら絶対覗いてる」
「だろうな。赤龍の乳乳帝を食い止めるのは、こちらとしても骨が折れる」
うん、あいつはあいつで別件で待機しててよかった。
しかしまあ。
「流石にちょっと考えすぎだったか。フォンフ達もここまでは入ってこれないようだな」
「その様だ。まあ、無事で済んだのならそれでいいだろう」
俺達はとりあえず安心する。
さて、本部の方は無事だといいんだが……。
さて、想定外の形でトラブルが発生したわけだが、しかし本来の目的の収穫もきちんとあった。
リオがヴィルフリッド・エレミアの手記を発見したのだ。
細かいところはvivid読んでねと露骨なマーケティングをするが、とりあえずポイントを要約すると。
1 クラウス王子はある意味鈍感
2 オリヴィエさんやせがまん
3 ヴィルフリッドさん苦労人
ということになるだろう。
かなり軽く書いたが、しかし結構重い話でも合った。
「……これは、一番いたたまれないのはヴィルフリッドなのだろうな」
アルサムがそう言って天を仰ぐ。
「幾度となく説得してもオリヴィエを止めることができず、そしてクラウスとは悲しみを分かち合うことすらできずに死別する。……それで手記が終わらせねばならないなど、無念以外の何物でもあるまいて」
まったくだ。歴史の悲劇としか言いようがない。
そして、そんな悲劇を自分の記憶として持っているハイディの気持ちはどうなのだろうか。
それに、ヴィヴィもヴィヴィで大丈夫だろうか。
仮にもオリジナルのそんな悲劇を聞いて、複雑な感情を抱かない方が変だとは思う。
「ヴィヴィ、大丈夫?」
ヴィクトーリアもそう思ったのか、気づかわし気に声をかける。
「はい、大丈夫です」
……うん、どうやら本当に大丈夫そうだ。
やっぱり心が強いな、ヴィヴィは。
とはいえ、それに頼ってばかりでもいられない。ここは率先して切り替えるとするか。
「とりあえず、これで目的は終わったようなものだ。……本局に戻ってお茶にしよう。お兄さんが奢るよ」
「そうだな、少し気分を切り替えた方がいいだろう」
アルサムがそう言いながら、魔方陣を展開して通信を繋げる。
「シェン。そろそろ戻るので、スマンが喫茶室に行って人数分の席を開けてもらうように言っておいてくれ。もちろん、お前の分もだ」
さらりと気遣いができるいい男だ、アルサム。
だが、返事は返ってこなかった。
「む? 転移の影響か?」
「ああ、だったら局の方の通信で聞けばいいんじゃないか?」
俺はそう言ってヴィヴィ達の誰かに頼もうとするが―
「………あ!?」
その声に、俺達は振り向いた。
そこには管理局の局員が二人ほど、ぎょっとした顔で立ち尽くしている。
「あら、この区画にいるのは私達だけだと思っていたのですが」
「え、ええと、その……」
ヴィクトーリアの言葉に局員達はしどろもどろになるが、すぐに我に返ったのか真剣な表情を浮かべる。
「た、高町一等空尉の指示で護衛に来ました! 今、本局が襲撃を受けております!!」
「何?」
糞が、本当に来やがった!!
「しゅ、襲撃だぁ!?」
「テロですか!? それも本局に!?」
ハリーとエルスが真っ先に声を上げ、そしてその混乱は伝播しかかる。
「静まれ! ……それで局員、敵の装備と人数はわかるか?」
「はい! 人数は数百人ほどですが、
一喝したアルサムに問いただされ、局員は戸惑いながらもすらすらと答える。
そうか、なるほど。
「それで、お前達はなんでこんなところに?」
「はい。高町一等空尉の指示で皆さんの護衛をまかされました。申し訳ありませんが、ここで待機してくださいとのことです」
なるほど、筋は通ってるな。
「た、確かに私達は競技選手ですし、実戦に参加させないようにするのは当然ですね……」
「でもいいんちょ、黙ってるのは
「と、言われましても、我々の権限ではとても……」
エルスに反論するジークリンデに、その局員はしどろもどろに戸惑う。
「とにかく、上に連絡を取りに行きますので皆さまは待機していてください。了承が取れたのなら、皆さんをお連れしますので」
といって、局員の一人が連絡を取る為に離れようとするが、その必要はない。
「……にしては、俺達を見つけた時に狼狽してたな」
俺は、その言葉をその二人に突き付ける。
「え? いや、聞いてたより人数が多かったので戸惑って―」
「いや、あれはそんなレベルの驚きじゃない。なんでこいつらがここにいるんだよ的な驚き方だったな」
馬鹿馬鹿しい。あの驚き方で俺をごまかせるとでも思ってるのか?
第一―
「そもそも、
躊躇なく偽聖剣を展開すると、俺は遠慮なく首を蹴り落としにかかる。
そんな遠慮のない攻撃を、その局員は素手で防いだ。
ただの局員ではありえないことだ。上級悪魔の放つ、主神クラスの神々を材料に使った、殺しに来ている蹴りを防ぐことなど。
それだけで、こいつがただものでないことの証明だ。
「……やれやれ。何とかなると思ったんだがな、これが」
「お前ちょっとアドリブ下手すぎだろ。それで潜入特化とか欠陥品じゃねえか」
局員二人はそういうと、その姿を変じさせる。
まったく同じと言っても過言ではない、その二人の男。
ああ、やっぱりと思ったら本当にやっぱりか。
「やはり貴様か、フォンフシリーズ!!」
アルサムがルレアベを構えながら、ヴィヴィ達を庇う為に一歩前に出る。
「ふぉ、フォンフ!?」
「ここで来ますか!!」
リオやハイディも戦闘態勢を取る中、俺はフォンフ二人と睨み合う。
「……お前がここにいるということは、本局を襲撃しているというのは本当か」
「ああ、ちょっとこちらの技術のデモンストレーションにな。映像は大絶賛全世界配信中だっ!」
放たれる炎を纏った拳を、俺はかわして後ろに飛びのく。
奴は滅龍魔法の使い手。龍属性を得てしまった俺では相手が悪い。
とはいえ、これはかなりやばい展開だな。
「目的はデモンストレーション。つまり、犯罪組織に技術を売ることが目的か」
「売るのが目的じゃない。簡単なのをあげるのが目的だよこれが」
アルサムの問いに、フォンフの片割れがそう答える。
「時空管理局の方針は、反発勢力の発生を止めることができない欠点を持つ。そいつらに、リンカーコアがなくても魔導士と戦えるようになる技術を教えたらどうなると思う?」
「当然反抗勢力の多くがそれに飛びつく。そして時空管理局の治安は間違いなく悪化するのさこれが」
悪そうな笑みを浮かべるフォンフ二人の言葉に、後ろで息をのむ気配が伝わってくる。
この野郎、つまりは……。
「時空管理局の干渉を少しでも減らすのが目的か!!」
「その通りだ! そのついでに歴史のある物体をくすねようと思って潜入したんだが、まさかお前らが来てるとはなぁ」
ため息をつくフォンフの片割れは、しかしヴィヴィ達を見るとにやりと笑みを浮かべる。
「だが、エイエヌ事変の礼とプロトの仇討をするにはいい機会か。……将来性のある敵の若い芽は、早めに摘んでおいた方が得策だなこれが」
そして放たれるのは正真正銘の殺気。
密度の濃いそれに、競技選手たちが一瞬息をのむ。
しかし、そんなものは慣れれば意外と何とかなるものだ。
俺もアルサムも、遠慮することなく全力で攻撃を叩き込む。
「させると思うか!!」
「お前本当に死ねよ!!」
遠慮なく叩き込んだ攻撃を、しかしフォンフ達も炎を纏って受け止める。
そして、フォンフの片割れの姿が変貌する。
化物と人間をマーブル模様で混ぜ合わせたかのようなその姿は、まるでお伽噺に出てくる悪魔の様だ。
これは、どうやらかなり厄介な相手だと見て間違いない。
「それでは改めて名乗ろうか。俺は、フォンフシリーズ基礎モデル、フォンフ・バーサーカー」
「そして俺は潜入特化型フォンフシリーズ、フォンフ・シノビコームだ!!」
「ネーミングセンスが単純なんだよ!!」
もう少し捻れ、この馬鹿どもが!!
―遂に本格登場にして本格戦闘のフォンフシリーズ。
シノビコームは本当に潜入特化なのでプロトに毛が生えた程度ですが、バーサーカーは非常に強敵。特に今回の状況ではアルサム以外ならだれが相手になっても相性がいいという反則仕様です。……はい、これだけでバーサーカーのほうの正体は推測できます。原作サーヴァントから出しました。
なにげに管理局アンチがおおいリリカルなのは。やはりその理由の一つは管理局の方針になると思います。
まあ、日本における銃刀法違反とそう変わらないとは思いますし、個人的には一理ある方針だとも思いますが、人によっては受け付けないのもいるんでしょうね、この方針。