HSDD 転生生徒のケイオスワールド2 卒業生のアザゼルカップ   作:グレン×グレン

39 / 105
バーサーカー、乱舞

 

Other Side

 

 一方その頃、本局でも戦闘が勃発していた。

 

 時空管理局の、ある種後方ともいえる本局がいきなり襲撃される緊急事態。即応で対応ができているのは、かなり僥倖だった。

 

 だが、その戦闘は想定以上に激戦となっている。

 

 その最大の問題点は、その技術にあった。

 

 時空管理局が把握している技術とはまったく異なる技術体系による襲撃。

 

 このノウハウのない中、負傷者こそいても戦死者を出さずに済ませている辺り、大規模次元間組織の時空管理局の、そのまた本局を防衛する精鋭達のたまものである。

 

 そして、彼らが防衛線を展開する間に矛となるのは三大勢力。

 

 攻撃に運用されている技術から、既に彼らは襲撃者が禍の団の残党に関与していることを見抜いていた。

 

 ならばこれはこちらの不手際。禍の団を未だ根絶できていない自分達の責任だ。

 

 ゆえに、彼らを援護するのは当然のこと。

 

 何より、彼らはそのために派遣されたのだ。

 

 今回の会談においては、エイエヌ事変の関係者であるアルサム及び兵夜はいくつかの会議に参加が決定。及びある意味関係している赤龍帝兵藤一誠の参加も決定された。

 

 だが、兵藤一誠及び宮白兵夜は、大きなイベントごとに連鎖もしくは直撃する形で大きなもめ事に関わる事が意外と多い。

 

 ゲン担ぎの逆転現象というべき警戒で、参加者は極力戦闘能力の高いもので選ばれていた。

 

 セラフォルー・レヴィアタンと共にサーゼクス・ルシファー。

 

 ミカエルの護衛にヴァスコ・ストラーダ。

 

 堕天使側からも、忙しいアザゼル杯のゲームを推して堕天使バラキエルが参加している。

 

 そんな準備が功を奏し、彼らは激戦を潜り抜けていた。

 

 だが、そんな彼らでも取りこぼしはある。

 

 問題は、寄りにもよってそれが獣鬼をベースにして開発されたフォンフ・シリーズだということだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side Out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 フォンフ達はいったん距離をとると、それぞれ床や天井に着地する。

 

 そしてその瞬間、影が広がり中から大量のモンスターが出現する。

 

「ええい! 魔獣創造の魔獣精製能力は健在ということか!」

 

「だがエイエヌ事変では出してこなかった筈だぞ!!」

 

 俺とアルサムは全力で前に出ながら叫ぶ。

 

 競技選手であるヴィヴィ達に、エイエヌの相手は荷が重すぎる。

 

 とはいえ、プロトの時はそんな芸当してこなかったぞ!

 

「バカが! 試作型より弱い正式生産仕様など、フィクションにしか存在しない!!」

 

「試作型で発覚した問題点を修正してこその正式仕様なんだよ!!」

 

 フォンフ達が超正論を叩きつけてくる。

 

 だよね! 量産型は試作型より優れてなきゃいけないよね!!

 

「完全なワンオフなど非現実的ぃ!」

 

「量産できてこそ完成品だこれが!」

 

 それは俺の偽聖剣に対する嫌味か!!

 

 とはいえ、そのまま焔を纏いながら、連続攻撃を俺に向かって叩き込もうとしてくる。

 

 ええい、滅龍魔法を運用して俺から潰す腹か!!

 

 しかも気づけば魔獣達も炎を纏っている。

 

 あ、これ滅龍魔法使えるタイプだ。

 

「死ねやぁ!!」

 

 待て待て待て待て数が多い!!

 

 ええい! こうなれば速攻で切り札を―

 

「させませんわ!」

 

 と、そこに雷を纏った斧の一撃が魔獣を薙ぎ払った。

 

「ヴィクトーリア?」

 

 見れば、既にヴィヴィ達はバリアジャケットを身に纏い戦闘態勢万全だった。

 

「事情は把握できませんが、彼が危険なのは分かりましたわ」

 

「そうだね。競技選手とはいえ、襲い掛かってくる相手を迎撃するぐらいはできないといけない」

 

「というより、管理局志望としては実戦も潜り抜けられないと話になりません」

 

「げ、お前もかよ。……ま、水差してくれた奴らにはお礼してやらねえとな」

 

 既に全員臨戦態勢。しかも構えに隙はない。

 

 フォンフ二人も、その構えに警戒したのかいったん距離をとると魔獣の生成に専念する。

 

「……所詮ルールに縛られた素人かと思ったが」

 

「―どうやら、少しなめすぎてたみたいだなこれが」

 

 警戒度合いを数段跳ね上げながら、フォンフ達は腰を落として構えを見せる。

 

「どうやら、無理をして庇う必要はなさそうだ」

 

「ああ、全員立派な子で俺はなんか感動してる」

 

 ああ、これなら心配は無用なようだ。

 

 だったらこっちも気兼ねはいらない。

 

「雑魚は素通りさせる! 死ぬなよ!!」

 

 実は、フォンフ相手じゃ俺達も欠片も余裕がなかったんで助かった!!

 

 俺達は魔獣達をガン無視して、それを生み出すフォンフへと攻撃を仕掛ける。

 

 幸い偽聖剣は既に修復済み。蒼穹剣を出せれば押し切れる!!

 

 問題は―

 

「後遺症だらけの今のお前が、俺を相手にしのげるものかよ!! オラオラオラオラぁ!!」

 

 そこまで持てるのかということだけだ!!

 

 ええい、シルシがいないのが完全にヤバイ!!

 

 ……だが、俺もこれまでの俺じゃない!!

 

 この激動の二年間、俺だって地獄のような激戦と、過酷なトレーニングを潜り抜けてきた。

 

 内臓や相棒やら失ってきたものも重く多いが、得ていたものも数多い。

 

 そう簡単に、やられるかよ!!

 

「その程度か、フォンフ・バーサーカー!!」

 

「はっ! まだまだ!!」

 

 アルサムとフォンフ・バーサーカーの方も激戦だ。

 

 だが、あいつはむしろ安心できる。

 

 魔剣込みならこの場の味方で文句なしに最強の戦士。それが、アルサム・カークリノラース・グラシャラボラス。

 

 あいつなら、抑え込むだけなら何とかなる!!

 

 俺がシノビコームの方を始末するまで持ち堪えろよ!!

 

 そして、何とか今の調子なら発動まで抑え込めるか!!

 

「中々やるじゃねえか、なら本気出すかぁ!!」

 

 その瞬間、フォンフの姿が急激に縮んだ。

 

 その急激な変化に、俺の攻撃は空を切る。

 

 そして次の瞬間、その場にいたのは二メートルの巨漢。

 

 な、んだとぉ!?

 

「これが俺が宿した幻霊、ドッペルゲンガーの力だこれが!!」

 

 そのまま攻撃範囲が広くなったタックルを喰らって、俺は弾き飛ばされた。

 

 なんて奴だ! 体格まで一瞬で変化しやがった!

 

「ソラソラソラソラぁ!!」

 

 フォンフ・シノビコームは一瞬で体格を様々に変化させながら、滅龍魔法を叩き込む。

 

 糞が! 連続してくらうと体の方が持たない!

 

「オリジナルの無念を晴らすとしようか! くたばれ宮白兵夜ぁ!!」

 

 ええい! ここまで弱体化してたのか―

 

「―ガイスト・クヴァール」

 

 その瞬間、シノビコームの横っ面に打撃が入った。

 

 見れば、ジークリンデがいつの間にか接近していた。

 

 していたが―

 

「神髄モード!?」

 

 おい、いつの間にクリーンヒットをもらった!?

 

「ジークリンデ!? いつの間に!?」

 

「まだ一撃ももらってないはずです! まさかフォンフの殺気で発動を!?」

 

 ハイディそれたぶん正解!

 

 そりゃこいつの殺気を喰らえば、本能的に危機感抱くよな! 難儀な体質!!

 

 そのままジークリンデはフォンフと打撃の応酬を交わす。

 

 シノビコームの姿形を変える能力に対して、ジークリンデは慌てることなく見事に対応してのける。

 

 なんて奴だ、あれ対応するのかよ。

 

「チッ! 何て経験則だ、お前本当に人間か!!」

 

 フォンフも驚く戦闘能力! 流石は十代女子最強の競技選手!!

 

 フォンフもこれには流石に驚いたのか、何発か攻撃をもらう。

 

 だが―

 

「ぬるいなこれがぁ!!」

 

 流石に素体が獣鬼なだけあってぴんぴんしてやがる。

 

 ええい、あの化け物しぶとい!!

 

 しかも、いつの間にか全部の攻撃をギリギリとはいえガードしてやがる。

 

「慣れてみれば意外と隙があるな! お前、本能を飼いならせてないなこれが!!」

 

 チッ! 既に気が付いたか!

 

 ぶっちゃけあの状態、いわば経験による条件反射に体のコントロールをすべて投げ渡しているようなものだからな。

 

 人によってはそっちの方が強い奴もいるだろうが、真の使い手同士では隙になるということか。

 

 フィフスの後継なだけあって、やはり技術の面でも化物か!

 

 とはいえ、おかげで少し休憩できた。

 

「そろそろこっちもペース上げるぞ!!」

 

 はっはっは。フォンフさんや?

 

 あまり俺を舐めてもらっても困るぞ?

 

「どうせ龍属性があるのなら、開き直った方がいいよなぁ!!」

 

 他にも対策はあるが、先ずは力押しで行かせてもらおう。

 

 即座に代行の赤龍帝を展開すると、俺は全力でフォンフに殴りかかる。

 

 ついでに、ジークリンデに精神干渉を行って正気に戻す。今のままでは連携がとりずらい。

 

「あ、あれ?」

 

「とりあえず落ち着け! 本能任せで倒されてくれるほど、こいつの技量はちゃちじゃない!!」

 

 なにせこいつも才能を百年かけて磨き上げてきているからな。

 

 しかも基本性能ではこの場でツートップのフォンフシリーズだ。生半可な戦法では倒されてくれない。

 

 そう、ならば―

 

「こちらもそれ相応の奥の手を切らないとまずいだろう!!」

 

 と、いうことで追加機能展開!!

 

『Divide!』

 

 合成音声が鳴り響き、フォンフの炎に陰りが生じる。

 

 ふむ、ダメもとだったが少しは減らせるか。

 

「てめえ! 白龍皇の能力まで出せるだと!?」

 

「アップデートは基本中の基本だ。大体イッセーの模造品なんだから白龍皇もできないとなぁ!!」

 

 ふはははは! これを獲得するために、俺がどれだけ苦労したと思っている。

 

 そもそも俺の性格なら、半減と奪取(弱い者いじめ)の方が向いていることぐらいは自覚しているのさ!!

 

「所詮お前と俺とでは悪役としての適性に差があるのさ! 根が求道タイプのお前では、下手をすると数十億人殺しかねない俺には勝てん! 勝てないんだよこの野郎がぁ!!」

 

 うん、泣きたい!

 

 何が泣きたいって本当にやってるから否定が全くできないことだよね!

 

「それはお前の平行世界だこれがぁ!!」

 

 拳と拳がぶつかり合い、衝撃波が発生する。

 

 だが、もう既に状況は終了した。

 

「名残惜しいがこれで終わりだ! お久しぶりねの神魔の蒼穹剣(イーヴィル・シントー・カレドヴルッフ)!! さあ、貴様の処刑用BGMを慣らすといい!!」

 

 そしてもちろんターゲットは―

 

「終わりだ、フォンフ・シノビコーム!! 弱い奴から確実に始末する、それが集団戦の基本だ!!」

 

 数を減らしていく事で、より有効な戦闘を行う事ができる。

 

 何より、味方がやられるというのは士気を下げるのに非常に有効。

 

 さあ、覚悟するがいいフォンフ!!

 

「お前本当に悪党だよなこれが!!」

 

「自覚はしている! っていうか見せつけられた!!」

 

 もはや開き直る他ない!

 

 何より今日はお前らなんだから、狡い手の一つも使わないと勝てないんだよ!!

 

 だがしかし、この状況下ならフォンフ・バーサーカーの方はアルサムが抑え込んでいるから確実に始末できる。

 

 何より能力がわからないんだ。ここでこれ以上時間をかけるわけにもいかない!!

 

 ゆえに何の遠慮も最初からないが吹っ飛ばして俺はケリを放ち。

 

「―いや、そういうわけにはいかないな、これが」

 

 そのケリが、新たに表れた三人目のフォンフに受け止められた。

 

「伏兵!?」

 

 ……まずい。

 

 蒼穹剣は元より多対一もしくは一対一を想定し、規格外の化け物を倒すために用意した能力だ。

 

 その為最も有効な対策は、他の奴がカバーに入るという単純なもの。

 

 ここで伏兵が出てくるとか、流石にまずい!!

 

 が、しかしそのフォンフは一瞬で魔力の粒子になりながら消滅する。

 

 だが、それだけあれば十分だった。

 

「火龍の翼撃!!」

 

「ぬぅ!?」

 

 その隙をついて、フォンフ・シノビコームはアルサムを横から攻撃する。

 

 発生した時間は一瞬。そしてその一瞬でフォンフ・バーサーカーは相手を後退することに成功する。

 

 ええい! つまりこれは仕切り直し。

 

「―悪夢は倫敦の暁ととも滅び逝きて(フロム・ヘル)

 

 その瞬間、フォンフの姿が変化する。

 

 まるでキメラのようなその姿は、見るだけで悍ましさを見せつける。

 

 さらに深い霧が周囲を立ち込める中、フォンフ・バーサーカーは一瞬だけ体を揺り動かす。

 

 そして、次の瞬間―

 

「な―っ!?」

 

 アルサム以外が壁や床や天井に叩きつけられた。

 




はい、こいつがバーサーカーとして選ばれました。初代しゃべるバーサーカー!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。