HSDD 転生生徒のケイオスワールド2 卒業生のアザゼルカップ 作:グレン×グレン
「……というのが、今回の目的だと判断できます」
俺は、時空管理局が用意してくれたブースでサーゼクス様と手短に会議を交わしていた。
「何とか先手を打って対策を準備するつもりが、先手を打たれたということか」
「流石に偶然だとは思いますがね。今回に関しては本当に極秘会談だから情報も漏れにくいはずですし」
まったく、やってくれるなフォンフ達も。
とはいえ、こっちに関しても何の利益もなかったかというとそうでもない。
「これで時空管理局はフォンフの危険性を認識しましたし、何より一体倒せたのは僥倖でしょうね」
「ああ。アルサム君のおかげで助かったよ。……とはいえ、代役が立てられそうなものしか倒せなかったのは残念だが」
確かに。
性能的にも能力的にも、シノビコームはおそらくバーサーカーより先に創られた個体だろう。能力が被ってるしな。
おそらくバーサーカーは、時空管理局を想定した対人間特化仕様を狙って作られた仕様のはずだ。あんな変身能力や分裂能力まで狙っているとは思いつかない。だって近代の反英霊だし。
あの野郎意外と引きが強いな。そういうのって意外と厄介なんだよなぁ。身内で痛いほど理解してるさ。
「とはいえ、フォンフシリーズは流石に禍の団の全盛期ほどの力は発揮できないと考えるべきだろう」
「ですね。とはいえ、それもいつまで保つかとは思いますが」
なにせ今回の一件で、フォンフの価値は犯罪組織にとって莫大に上昇したはずだ。
もとより、テロリストの寄り合い所帯である禍の団の首魁にまで上り詰めた男。その経験は今後において役に立つだろう。
あまり時間を掛けていたら、反時空管理局組織を束ねて超巨大な犯罪ネットワークを作り俺達に対抗……だなんて笑えない展開にもなりうる。
「サーゼクス様。時空管理局に対フォンフ部隊の設立を要請してください。今回の襲撃の主犯である以上、それもできるはずです」
「わかっている。エイエヌ事変での活動から警戒していたようだが、もはやフォンフは我々地球側の問題では済まない領域だ」
なんかマジすいません時空管理局。とんでもないのが地球からその手を伸ばしてしまいまして。
「それに、エイエヌ事変での追跡調査から判明したが、フォンフはフォード連盟の旧体制派の残党ともパイプが繋がっている可能性が高い。このままいけば、彼によって次元世界全体が混乱に包まれる恐れすらある。……フォード連盟新政府及び、時空管理局と共同での対策はほぼ確定だ」
マジですか、サーゼクス様。
オイオイオイオイ。思ってたより状況はやばくないかコレ?
フォード連盟の後始末に関しては、負担減らしたいのと花を持たせるのが共存して、他の人達に結構任せてたからそこまで気づかなかった。
ってそんなこと考えている場合じゃないな。俺も急いで会議の準備をしないと―
「ああ、兵夜君はもう帰っていいよ」
「えぇ!?」
いやいや、今まさに俺が動かねばならないような気がするんですが!?
だが、サーゼクス様は俺の肩に手を置くと、笑って見せた。
「襲撃の所為でより大変なことになったが、大まかな概要はその前と変わりない。それに君は激戦で疲労しているだろう? そろそろ休んだ方がいい」
う。
確かに、ドーピングとかした上に戦闘が激しかったので、ダメージは大きい。できれば酒でも飲んで休みたい。
だが、フォンフとの付き合いが一番長いのはたぶんオレなんだけど。
「兵夜君。……君は普段から働きすぎだ。普段負担をかけている分、こういう面倒くさい裏方仕事ぐらい、大人に任せてくれ」
「そ、そこつかれると確かにそうですね……」
だけど、貴方も大概若手で働きすぎでしょうに。
「既にアザゼルが対策会議のまとめにも入っている。それに、言い方は悪いが君達に頼みたいことがあったのだよ」
む? 頼みたいこと?
「そういうわけで、
そういうわけで、巻き込んでしまった一般人の方々にお詫びの御馳走をふるまうのを頼まれたよ!
絶対これ、俺達にも喰わせること前提のだよ! 本当うちの義兄はお人好しだなぁ。
「え、これマジで全部喰っていいのか? 昨日のよりたくさんあるぜ?」
「その辺については心配ない。金はうちのトップが私費で出したものだ。……もったいないから全部喰っていいぞ」
そういうわけだからすぐ食べろハリー。特にそこのスフレオムレツは冷めるとだめだ。
「宮白! 俺も食べていいのかな?」
「食べていいから。冷める前に食っちまえイッセー」
っていうかお前もこっち側か。
「とはいえ、奴を相手に生き残れるとは見事という他ない。それだけの苦難を乗り越えたのだから、この程度の対価は得て当然だ。……さて、私も食べるか」
アルサム、お前もこっち側か。本当にコレ、俺達も含めてねぎらう為の食事会だな。
「ですが、私達はあまりお役に立てなかった気がしますわ。それでもいいのかしら?」
「それは大丈夫だろう。奴が生み出した魔獣もまた、中級クラス以上でなければまともに戦うこともできない化け物だからな」
「ゼノヴィアさんの言う通りです。それが大量に出てくる中、抑えてくれたあなた達は本当に実力者だとしか言えません」
少し控えめな反応をするヴィクトーリアに、ゼノヴィアとロスヴァイセさんがそういう。
っていうかゼノヴィア。一応俺たちホストなんだからゲストのヴィクトーリア達よりたくさん食べるな。
「それにしても、あの魔獣というのは本当に手強かったわ。DSAAの参加者でも、エリートクラス以降の実力者でなければ対応できないでしょう。本局の武装隊でもBランクまででは対応できないはずです」
「まあ、冥界を滅ぼす為に生み出され、実際にそれが不可能じゃない化け物を素体にしているからな。生み出されるザコも、こちらの中級相当でなければ対応できない化け物だ。よく頑張ってくれた、ヴィクトーリア」
ああ、真面目な話獣鬼の危険性がよくわかった。
それを、劣化型とはいえど量産してるんだよなぁ、あいつ。
たぶん状況に応じた局地戦仕様も開発されてるだろうし、これは本当に面倒なことになってきそうだな。
「皆も本当によく戦った。奴の魔獣を相手に大した怪我もせず戦える奴なんて、冥界でもそう多くない。少なくとも一般兵じゃ複数人が連携を取って事に当たる部類だ」
ああ、インフレが激しいとはいえ、下級悪魔クラスではとても一人じゃ倒せないような存在だ。
レーティングゲームの上位ランカー達が眷属層で担って足止めするのも困難な化け物。それを相手に俺達がいたとはいえよく頑張った。
「本当に迷惑をかけた。オレからも個人的にお詫びをしたいから、何かあったら相談してくれ。できる範囲内で手をまわそう」
「サラリとできる範囲内でって予防線張ってるのが宮白らしいや」
「こういう予防線を自然体で張れるのは一種の才能だな」
そこ、イッセーとアルサムうるさい。
とはいえできないことをするっていうわけにもいかんだろう。きちんとやれなきゃお礼にならん。
そんなことを思っていたら、ハリーが勢いよく手をあげた。
「あ! だったらそのアザゼル杯っての? 俺も見てみたい!」
「え? そんなんでいいのか? 録画映像でいいなら余裕でできるぞ?」
あら簡単。そんなのでいいのか?
「もっと上を狙っていいぞ? なんなら温泉旅館とか、超高級食材詰め合わせとか、他にも色々あるぞ?」
「宮白、態々高くすることないんじゃねえか?」
うるさいぞイッセー。
物事にはしかるべき対価ってものが必要だ。安いままでいいわけがない。
今回の件、代償はもっと高くても何の問題もないというか高くなくてはいけないというかだな?
「まあ、其の辺りは後々まで取っておけばいいだろう。こちらの技術発展でできるようになることも多いだろうしな」
「ああ、その手があったか」
流石だアルサム。その手があったか。
「り、律儀ですね……」
「兵夜さんはそういう人なんです。すっごく人がいいんですよ」
ヴィヴィがエルスにそう説明するが、少し照れるな。
等価交換は魔術師の原則だし、物事にはそれに見合った対価があってしかるべきだ。
余裕を持つ俺がそれを実践しなくてはどうするかって感じなんだが。実際俺、金持ちだし。
「ま、そういうのだったら俺たちも用意できるから、いつでも言ってくれよ」
「そうだな。そもそもアザゼル杯の映像など、録画でいいなら我らの世界の者なら誰でも手に入る。その程度なら知人の頼みとして無償で行える程度のものだ」
ああ、イッセーもアルサムも普通に乗り気だな。
さて、だったらどの試合の録画を最初に回すのがいいか。
俺はふとそれを考える。
なにせ参加チームが膨大だからな。
千を超える参加チームが戦うわけだから、必然的に全試合数も膨大になる。全部見るのは不可能といってもいいだろう。
さて、どの試合を持ってくるのが一番か……。
「まあ、一番最初のものは決まっているだろう」
「……ああ、確かに」
と、アルサムとイッセーの視線が、俺とヴィヴィとハイディを交互に行き来する。
ん?
「あの、どうしました?」
「どうしたもこうしたもないだろう。おそらく、この後最も早くこの場で試合に参加するのはお前達だろうに」
え?
「忘れたのかよ宮白。今週末は宮白と桜花さんのチームの試合だろ?」
……あ! それもそうだ!
「ちょうどいい。本格的に誘いをかけるか」
ああ、それもそうだ。
もとより、できれば彼女達には来てほしかった。
「……ヴィヴィ、ハイディ」
俺は、この試合に求めるチームメンバー候補に、今度こそ本気で誘いをかける。
「かなり黒い理由もあるが 、それでも実力を買ってのことだ。……空いているなら、ぜひ次からのアザゼル杯に俺のチームメンバーとして参加してほしい」
ああ、俺としてはぜひ彼女達に参加してほしい。
予選三回戦敗退と、予選四回戦敗退。その成績の者達が、果たしてアザゼル杯で成果を残せばどうなるか。
そういう黒い欲望もあるが、しかし何より本気で思う。
……彼女達がそんな成績で終わるのは、単純にもったいない。
「俺は、君達二人の実力を、いろんな意味で世界に見せつけてやりたいと心から思っている」
ああ、そうだ。
あの戦いを潜り抜けた、高町ヴィヴィオとアインハルト・ストラトス。
彼女たちの雄姿を、ぜひ世界中に見せつけてやりたい。
これもまた、俺の心からの本心だ。
「……え、えっと、いいんですか?」
「あの、正直名前負けすると思うんですが」
「それは相手が悪かっただけだ。むしろそれぐらいの順位の方が、目的的には好都合さ」
ちょっとためらい気味の二人に、俺は軽く茶化すように笑みを浮かべながら手を伸ばす。
「君達の実力はそんなもんじゃない。だから、それを見せつけに行こうじゃないか」
「なに子供口説いてんだよ宮白。お前、まさかナツミちゃんより下のロリを網羅するつもりじゃねえのか!?」
「巨乳だらけのハーレム王である兵藤一誠に対抗するためにインモラルに行くのはどうかと思うが」
「イッセーにゼノヴィア。喧嘩売ってるだろお前ら」
まったくもって失礼だ。第一ナツミは合法ロリだ。あと勘違いされるからやめろお前ら!! 確かに俺はロリもいけるがそれは性的に合法であるからこそ意味があるのであり、むしろこの二人の将来性は抜群だからその場合はむしろ意味がないし、第一俺は胸のでかさに貴賤はない主義だこの野郎!!」
「兵夜さん、ナツミはから全部口で言ってる」
ぬぉおおおおおしまったぁあああああああああ!!!! もっと早く言ってくれシルシぃいいいいいいい!!!!!
俺の評価が結構下がったのは、もはや語るまでもないことだろう。
ヴィヴィオとハイディ、次回から参戦。