HSDD 転生生徒のケイオスワールド2 卒業生のアザゼルカップ   作:グレン×グレン

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魔王剣VS乳乳帝!! 第二ラウンド!!

 

 そして、俺たちの目の前でボーヴァ達が目を見開いていた。

 

『どういうつもりだ、アルサム・カークリノラース・グラシャラボラス!!』

 

 怒りの感情すら見せてにらみつけるボーヴァの視線の先、アルサムはルレアベをまだ鞘から抜かずに毅然とした表情で立っていた。

 

 誘いとも、味方の誘導とも思われる発光信号。

 

 合流を阻止せんと動いたボーヴァたちの前に、その信号弾を撃った者がいたのは何もおかしなことではない。

 

 問題は、それがアルサムだということだ。

 

「……なんで、なんであんなこと言ったのにこんなことを?」

 

「そんな、アルサムさんがそんなだまし討ちみたいなことをするわけが……」

 

 アルサムをある程度は知っている須澄とハイディが首をかしげる。

 

 ことハイディにしてみれば、人生の指標を指示した者の一人だ。其の影響力はそこそこあるだろう。

 

 それが、イッセーと一騎打ちするといっておきながら、敵を陽動して待ち受けている。

 

 反則一歩手前の行為……だが、

 

「安心しろ、ハイディ。アルサムは別に約束を破るつもりはないさ」

 

 それに関しては安心していいだろう。

 

「だろうな。仮にも魔王を目指すと堂々と公言してるやつだ。そんなことをすればどうなるか……なんてわかりきってやがる」

 

「そうね。策はあるんでしょうけど、自分からした約束を反故にしてまで敵を陽動して各個撃破……なんて真似、するわけがないわ」

 

 悪魔の社会に精通しているグランソードとシルシも同意見だ。

 

 それに安心したのか、大なり小なりアルサムに恩のある皆はほっと息をつく。

 

 そして、それは向こうも理解しているはずだ。

 

『落ち着けボーヴァ。仮にも魔王を目指すと公言しておきながら、そんな卑劣なことをするわけがないだろう』

 

『む、た、確かにそうですが……』

 

 ゼノヴィアの奴、意外と頭が回るよなぁ。

 

 とはいえ、何のつもりなのかは俺たちもよくわかってないわけだが。

 

『アルサムさんだっけ? それで、どういうつもりなのかしら?』

 

 イリナが首をかしげる中、アルサムはまっすぐにイリナ達に視線を向けた。

 

『案ずるな。私はこれから兵藤一誠と一騎打ちを行うために進撃する。これはそのための下準備だ』

 

 そう告げるアルサムは、三人の後ろを指さした。

 

『今の発光信号の内容はこうだ。「フィールド中央部を中心点として、ちょうど発光信号弾の真逆の位置に集合」だ』

 

『『『!?』』』

 

 ……なるほど、つまり奴がやりたかったのは―

 

『これでこちらは全員集めることができるだろう。そちらもここにとどまっていれば、全員集まることができるのではないか?』

 

『……やられた。発光信号の色とその位置の二つを利用した合流ポイントの指定だったのか!』

 

 ゼノヴィアが納得して瞠目する中、アルサムはそのまま歩き出す。

 

『こちらは兵藤一誠との約束を果たさねばならない。そちらも、私に誘導されてある程度は合流できるだろう。……これは総力戦のための下準備だよ』

 

『でもいいの? 言っちゃなんだけど、個人の質なら私たちの方が上よ? 合流させたら大変じゃない?』

 

 イリナさんが無自覚に少し失礼なことを行ってくるけど、しかし事実だ。

 

 ここの戦闘能力なら、乳乳帝チームの方が上回る。合流されて困るのは、向こうの方のはずだ。

 

 だけど、アルサムさんはそれに対して笑みを浮かべた。

 

 いや、それは笑みであって笑みじゃない。

 

 ……敵意を向けた挑発の感情だった。

 

『舐めてくれるな乳乳帝眷属。私が集めた我がチームメンバー。そのような傲慢で打ち砕けるほど甘くはないと知るがいい』

 

『『『……っ』』』

 

 三人とも後退し警戒する中、アルサムはその間を通って堂々とフィールド中央部に向かって進んでいく。

 

『ああ、アーシア・アルジェントを探しに行ってもいいぞ? ……いても大丈夫だからな』

 

 そう言い残すと、ついに翼を広げて空を飛んでいく。

 

 そして、本格的な試合は始まっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

祐斗Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 見事な作戦だった。

 

 嘘偽りなど欠片もなく、アルサム様は堂々と一対一でイッセー君と一騎打ちを行う。

 

 そして、同時に自ら集中攻撃を受けるリスクを背負って仲間たちの合流を支援した。

 

 イッセーのチームが高潔だからこそできる、有効な作戦だった。

 

『皆さん! 大丈夫ですか!?』

 

『……まだ魔王剣チームが一人もいない? ……しまった、はめられましたわ!!』

 

 ロスヴァイセさんとレイヴェルさんがすぐに来るが、事情をある程度察して絶句する。

 

『見事というほかない。嘘を何一つ言うことなく、彼はさらにより優れた方法をとってのけたのだから』

 

 ゼノヴィアも感心する中、しかしすぐに全員が動きを開始する。

 

『まずはアーシアさまを探しますわ! アーシア様には色のついた石を渡しておりますので、それが置かれている場所のすぐ近くに隠れてもらっております!!』

 

「なるほどね。自分たちにだけわかる目印を置いて、その近くに隠れておけばそう簡単には見つからないわ」

 

 リアス姉さんが感心する中、すぐにレイヴェルさんたちは動き始めようとして―

 

『伏せなさい!!』

 

 そのビナー氏の言葉に全員が伏せた。

 

 それと同時に、ビナー氏が駆けつけて、大出力の魔力障壁を張る。

 

 そして、その障壁に灼熱の砲撃が直撃した。

 

『……くうっ!』

 

 何とか防ぎ切ったが、余波でビナー氏の仮面が砕け散る。

 

 そこにあったのは、どこかで見たような気がする美しい少女の姿だった。

 

『おぉっとぉ!! 謎に包まれていたビナー選手の素顔が遂に判明! 特に隠すような顔には見えないが、これは一体どういうことだぁ?』

 

 実況が首をかしげる中、ビナー氏はすぐに予備の仮面を取り出すと、それをかぶる。

 

 しかし、敵の攻撃は即座に続けられた。

 

 その後現れるのは、全身が光に包まれた男を先頭にしての、氷でできた兵士たち。

 

 間違いない、あれは禁手(バランス・ブレイカー)だ!!

 

 そして、彼らの後ろに続くように時空管理局やフォード連盟の参加者たちが接近してくる。

 

 そしてそう思った次の瞬間、さらにもう一度砲撃が放たれた。

 

『甘い!!』

 

 それを迎撃するのはゼノヴィア。

 

 エクスカリバーを鎧ではなく剣として展開し、デュランダルと共に構える。

 

 そして、斬撃とともに放たれたオーラは十字となってその砲撃を切り裂いた!!

 

『これが私のクロス・クライシスだ!!』

 

 相変わらず火力だけならゼノヴィアはイッセー君に次ぐレベルだ。

 

 しかし、その後ろにいきなり男が姿を現した。

 

「油断大敵だ!!」

 

 彼は、雷撃をまとった右腕でゼノヴィアに殴り掛かる。

 

 だが、殴り飛ばされるかと思ったゼノヴィアは拳を素通りさせて、そして掻き消えた。

 

 あれは、幻覚!! 夢幻の聖剣(エクスカリバー・ナイトメア)か!

 

 そして、虚を突かれた男の眼前に、ゼノヴィアの姿が映る。

 

 今度は透明の聖剣(エクスカリバー・トランスペアレンシー)! ゼノヴィアはエクスカリバーをそこまで使いこなしているのか!!

 

『いつまでもパワーだけだと思われては困る!!』

 

 そして一気にデュランダルが振るわれるけど、相手もなかなかできる相手だった。

 

 一瞬、まるで全身が稲光のようになると、一瞬で数百メートルを移動する。

 

 あれは瞬動? いや、と、言うより……。

 

『あれは、速き雷鳴の戦士(ウォーリア・オブ・サンダーボルト)だな。となるとあいつの神器は青き雷の腕(アーム・サンダー)か』

 

『それは神器ですか? 青野さん』

 

 青野さんがそれだけで相手の神器を看破したらしい。

 

『神器そのものは右腕に雷撃を纏うだけの簡単なモノ。ただし、あの禁手は一瞬だけだが物理攻撃透過と雷速での機動力を発揮する。瞬間的な攻撃回避にはファックなまでにうってつけだ』

 

『なるほど。さすがは将来の魔王候補の眷属。神器を禁手にいたらせる程度のことはできて当然ということですか』

 

 実況と青野さんがそう会話を続ける中、戦闘はさらに白熱する。

 

 右腕四天王は全員戦場に姿を現し、激戦を繰り広げていた。

 

 それぞれが右腕に属性攻撃を纏うタイプらしく、それによる接近戦闘を中心に、時おり禁手による能力で翻弄する。

 

 とくに氷雪系の使い手の禁手が厄介だ。氷の兵士を大量に作り出す能力らしく、それによる包囲戦術でゼノヴィア達を翻弄している。

 

 むろん、ゼノヴィア達の火力ならまとめて大半を吹き飛ばすことができるが、この乱戦状態ではあまりの大火力は逆に困難になる。

 

 これは、なかなか面白いことになってきたね。

 

 イッセーくん。早く決着をつけないと、チームメンバーが全滅する可能性を考慮しなければいけないよ……っ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side Out

 




発光信号は発射された位置ではなく色で情報を伝えるものです。









今回のルール上、個別戦に持ち込まれた場合乳乳帝チームの方が圧倒的に有利なのはわかっていたので、魔王剣チームは何が何でも味方同士で合流する必要に迫られてました。

ゆえに魔力的な通信によらない連絡手段である程度の情報共有を図るという作戦を立てていました。そうなると最も発見されやすいその役目をはたすのはアルサムがある意味適任。

……ちなみに、アルサムチームはアーシアをあまり警戒していません。理由はまた別の話で。
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