HSDD 転生生徒のケイオスワールド2 卒業生のアザゼルカップ 作:グレン×グレン
「純血悪魔も頑張るし、奴隷扱い何てさせないよ」という決意表明です。
アルサムは転生悪魔に過度に権利を与えることに思うところはありますが、それは純血悪魔の怠慢による実力不足が一番悪い原因だとも考えております。
また、わざわざ悪魔にした者たちなのだから、待遇そのものは一定以上であるべきだと思っており、一部の扱いの悪い上級悪魔にも憤慨しています。
ゆえに、悪魔も頑張れば転生悪魔にも負けないから、その指標となって強くなるよという意思表示と、純血悪魔として転生悪魔のこともきっちりサポートするよという意思表示を示してみたということです。
イッセーSide
『兵藤一誠さまの兵士一名、騎士二名、戦車一名、リタイア』
な、なんだって?
どういうことだ? いったい何が起こった?
アルサムさんがいきなり覇剣を発動させた。
だけど、まったくアルサムさんの戦闘能力は増してない。
それを不思議に思いながら戦闘を続けていたら、いきなり今のアナウンスだ。
もう俺とビナー氏以外の全員がやられたってのか? 嘘だろ!?
「驚くことではない。これが、
アルサムさんはそう告げ、戦場だった後ろを見る。
そこに誇らしげなものを浮かべ、アルサムさんはルレアベを正眼に構える。
「ルレアベの分身と共振することにより、疑似的に覇剣抜刀を共有することこそ覇剣贈刀の能力。劣化再現のルレアベでは覇剣抜刀ほどの能力は見込めんが、それゆえに私が魔力を供給すれば、彼らの寿命を削ることはないし、燃費も格段にいいのだ」
なんてこった。この人マジで魔王になれるよ。
ヴァーリの極覇龍とは別のアプローチで、覇を安全に使用する技術を確立させやがった!!
なんて人だ、この人シャレにならない!!
「さあ、我が仲間たちは勝利を手にした」
アルサムさんは、そういうなり一気に踏み込む。
「―ならば私の番だ!!」
そのまま一気にルレアベを振り下ろす。
俺はそれを両手を交差させて防ぐけど、あまりの出力に地面に押し付けられる。
まずい。これ、乳乳帝じゃないと防げねえ!!
「おそらく、再戦するときには貴殿はメンバーをよりそろえているだろう。そうなれば戦いの結末は逆転しかねん」
アルサムさんはそういうが、しかしその目の力に陰りはない。
いや、次に戦う時が来たら負ける可能性が大きい以上―
「だが、今回勝つのは私の方だ!!」
―負ける気が、ない!!
何度も放たれる攻撃をガードしていくけど、しかし反対側からケリが放たれてガードがかちあげられる。
そして、ルレアベの出力が上昇した。
やべえ、コレ、きめに行く気だ!!
「この戦い、もらったぞ!!」
くそ、ここまで―
ふにょんっ
鎧越しでもわかる、ちょっと控えめだけど柔らかい感触。
あ、おっぱい!!
「イッセーさん! 私のおっぱいを使ってください!!」
ああ、この感触でやはりと思ったけどやっぱりアーシア!!
隠れてろって言ったのに、見ていられずに助けに来てくれたのか。もう、いじらしいんだから!!
だけど、幸いおっぱいもすでに回復済みだ。
なら、行ける!!
「我……以下略!! 乳乳帝発動!!」
俺は速攻で乳乳帝を発動させる。
アーシアちゃんのおっぱいだけでは短時間しか発動できない。ゆえにこの一撃ですべてを決める。
「全力全開、いくぜ、アルサムさん!!」
「ぬかった、伏兵か!!」
アルサムさんも出力増大だけでなく真名開放で対応しようとする。
ああ、これで決着をつける。
ああ、アンタにだって誇らしい仲間たちがいるんだろう。
だけど、俺にだっているんだよ!!
だから、負けられるかぁあああああ!!!
残るすべての力を振り絞って、俺は全力の砲撃を叩き込む。
アルサムさんも全力で抵抗するけど、しかし今は確実に俺が上回っている。
ああ、この戦い、ある意味であんたの勝利だよ。
だけど、試合の勝利は俺がもらう!!
「行っけぇえええええええええええ!!!」
あと少し、あと少しだ。
持ってくれ、アーシアのおっぱい!!
あとちょっとで、押し通れるから!!
「……アルサム様!!」
その時、向こう側から声が聞こえた。
あれは、確かシェンさん!?
まずい、あの人の槍は魔力をかき消す。
魔力砲撃の俺じゃあ、一瞬でかき消されるのがオチ―
「させません!!」
だけど、それより早くアーシアちゃんが駆け出していた。
シェンさんも反応するけど、しかしそれまでのダメージが大きかったのか対応しきれない。
結果、アーシアのタックルを受けて地面に倒れこむ。
アーシア、成長したな!
「アルサムさん!」
「アルサム殿!!」
さらに後ろからリオちゃんたちが駆けつけてくるけど、この調子ならギリギリ間に合う。
だから、ここで押し切れば俺の勝ち―
そんな中、アーシアに組み付かれて動きを封じられているシェンさんが叫ぶ。
「アルサムさま……負けないで!!」
渾身の、心からの声。
その声に―
「ああ、負けんさ」
アルサムさんは、答えた。
「皆がいる。私に手を貸してくれる、全力をかけてくれたものがいる。そして成果を上げてくれた」
まだ保つ圧倒的な魔力の奔流のなか、アルサムさんはそれでもルレアベを手放さない。
ああ、あの人は、この状況下でも―
「―ならば今度は私の番だ!!」
―あきらめてない。
「勝つのは……私達だ!!」
その瞬間、ルレアベが輝いた。
アルサムさんの持つものだけじゃない。魔王剣チームの皆が持っている、分身すら輝いていた。
そして、その瞬間ルレアベの力が増した。
なんとなくじゃない。
今までこっちが優勢だった力比べが、間違いなくどんどんアルサムさんの方に傾いていく。
……ああ、そういうことか。
ルレアベも……否、ルレアベ達も、まだまだ成長期なんだ。
「……うぉおおおおおおお!!!」
そして、ルレアベは俺の砲撃を切り裂いた。
今のルレアベは、正真正銘仲間たちの想いを受けている。
合計十五人の仲間たちが、アルサムさんの勝利を願った。
それは、正真正銘想いが一瞬でも一つになったんだ。
それに、ルレアベが答えてくれた。
そう、それは覇剣贈刀の逆。
全員がアルサムさんの負担を肩代わりして発動する、新たな覇剣。
まるで、俺の乳乳帝みたいだ。
いや、違う。
今のこの場では、男女問わず力を借りるルレアベの方が―
「
認めたくないけど―
「
―この試合じゃ、上を行く。
Side Out
その決着を、俺たちは無言で見届けていた。
静かに、イッセーの後ろでアルサムが膝をつく。
正真正銘全てを出し切った後だ。動けと言われてもすぐには動けないだろう。
『……まったく。一騎打ちを挑んでおいて、仲間の力を借りるとは情けない話だ』
アルサムは、自虐の笑みを浮かべるが、それを否定するのはイッセーだった。
『何言ってんですか。俺の乳乳帝は、自分の女の力借りなきゃなれないんですよ? お互い様ですって』
その言葉に、アルサムは苦笑した。
ああ、つまりこの戦いは一騎打ちでも何でもない。
正真正銘の総力戦。乳乳帝チームと魔王剣チームの全員が全力をかけて戦う争いだったというだけだ。
ならば、フルメンバーをそろえておらず、挙句の果てに女の力しか借りれないイッセーと、駒を全部埋めて、そのうえで全員の力を借りれるアルサム。
そのどちらに軍配が上がると言われれば―
『次は、負けません』
『いや、次も勝つさ』
そうイッセーに応え、アルサムは立ち上がる。
我慢できずにリオ達が駆け寄る中、アルサムはゆっくりと、しかし渾身の力を込めて、右腕を天へと突き出し―
『いやいや、そう簡単には負けれませんって』
―イッセーは、地に沈んだ。
『―乳乳帝チームの王、戦闘不能』
そして、無機質にアナウンスが鳴り響く中、アルサムはリオたちの抱き着きにバランスを崩して倒れこんだ。
『試合、終了っ!! 未来の悪魔の担い手たちの一戦は、アルサム選手の魔王剣チームの勝利ですっ!!』
その言葉とともに、会場中が拍手で包まれる。
イッセーのファンである人たちも拍手を出すほどまでに、この戦いは熾烈を極めた戦いだった。
それも、最初から中盤までアルサムの手の内であり、最後の最後もその状況があったからこその勝利。
乳乳帝チームはビナー・レスザンを除けば、戦闘にほぼ関わらなかったアーシア・アルジェントが残り、魔王剣チームは全員が残存している。
試合全体の流れでいえば、激戦ではあるがアルサム・カークリノラース・グラシャラボラスの完全勝利。
『これは、純血悪魔の意地を見せつけた試合ということになるのでしょうか?』
『いや、これは文字通りの総力戦だ。純血悪魔の貴族と、それに力を貸す者たちの勝利だよ』
解説の小雪がそう表すほどの、まごうことなき名勝負だった。
結果的にアルサム完勝。
勝敗の差は極論すれば「数の差を生かした」ですね。
数が多いから、質の差をチームワークで抑えることができた。
数が多いから覇剣贈刀によるブーストを最大限に利用できた。
数が多いから最後の新覇剣の効果も大きかった。
ゆえに、イッセーのチームが駒価値を全部埋めたフルメンバーで挑めば、アルサム自身が言ったけど勝負はわからなくなります。少なくとも、今回のような事実上の完全勝利はなくなるでしょう。