HSDD 転生生徒のケイオスワールド2 卒業生のアザゼルカップ 作:グレン×グレン
祐斗Side
僕、木場祐斗は、主であるリアス姉さんと一緒に会場内の通路を歩いていた。
リアス姉さんはリアス姉さんで会いたい人がいると言っていたが、僕もそうだ。
ただ、僕とリアス姉さんでは会いたい人が違う。
しかし、幸いなのかどうなのか、その二人は同じ場所にいた。
「あら、リアス・グレモリーじゃない」
「これはこれはリアス様。ご機嫌麗しゅうございます」
そこにいるのは、今回のレーティングゲームでも優れた動きをみせ、最後まで生き残った実力者。
赤龍の乳乳帝チームの女王。覇剣贈刀の猛威を生き残って見せたビナー・レスザン。
魔王剣チームの女王。そのビナー・レスザンと互角に渡り合って見せた、サムライブレード。
……まったく。サムライブレードとはわかる人ならすぐに察せれる名前を付けてくれたものですよ。
「お姉様、お話があります」
リアス姉さんが、ビナー・レスザンにそう告げる。
なるほど、そういうことだったのか。
なら僕もすぐに切り込むとしようか。
「僕もお話があります。師匠」
そう、
しかし、その筆頭となるべきものは僕の中ではただ一人だ。
新選組一番隊隊長。最強の騎士と称される沖田総司。サムライブレードの正体は、確実に彼だ。
そして、二人は仮面を取った。
サムライブレードの顔もビナー・レスザンの顔も若い姿だったが、しかし言われてみれば納得だ。
正真正銘、グレイフィア様と師匠だった。
「流石に、剣筋でわかりますか。それだけでわかるとは腕を上げましたね」
「私も顔を見られたのは失敗でした。今代のグラシャラボラスの眷属を甘く見てたわ」
苦笑を浮かべるお二人だが、しかし解せないことがある。
現ルシファーの眷属であるお二人がそれぞれ別のチームに参加することは違法でも不正でもない。他のチームに参加していない限り、罰せられることもペナルティを受けることもないだろう。
だが、サーゼクス様に忠誠を誓っているお二人が参加しているということは、サーゼクス様の意志が介入していると判断するものも多いだろう。
運営側に属しているサーゼクス様が個々のチームに過度に肩入れをしているのは、サーゼクス様の立場に多少の影響があるはずだ。
それが、いったいなんで―
「―説明は、私がしよう」
問いただそうとしたその時、廊下の向こうから声が聞こえる。
そこにいたのは、サーゼクス様だった。
「サーゼクス。来てたのね?」
「君と総司が戦うんだ。そんなものを見れる機会は中々ないからね。それに、イッセーくんとアルサム君の試合を見るのは当然だろう」
そう答えるサーゼクス様は、グレイフィア様と師匠に微笑んだ。
「君たちのチームリーダーが待っているだろう。ここは私に任せて先に行きたまえ」
「そうさせていただきます。祐斗、詳しい話はまた後程させていただきますよ」
そういって、師匠もグレイフィア様もチームの治療室に向かっていく。
それを見送ってから、サーゼクス様は僕達に向き直った。
「さて、聞きたいことは一つだろう? ……どうして、そのようなことをしているのかと」
「そうです。なぜ、お兄様に忠誠を誓っているはずの二人がこのような真似を?」
「簡単だよ。私達が指示したんだ」
アッサリと、リアス姉さんの質問に割と驚ける答えを返してきた。
運営側のサーゼクス様の眷属を、サーゼクス様の意志で参加するチームに入れる。
これは、肩入れとも取れる行為だ。場合によってはマスコミなどが批判する可能性もあるだろう。
「なぜ、そんなことをしたのですか?」
僕は疑問を抑えきれず思わず尋ねる。
それに対して、サーゼクス様は静かに肩をすくめた。
「なに、私の立場を気にしているのなら気にしなくていい。宮白くんにはセラフォルーが伝えているが、私達現四大魔王はE×Eが来るより早く引退する」
引退? サーゼクス様達が?
確かに王の駒の不正使用に関しては、サーゼクス様達も事実上の黙認をしていた。結果として汚点がある以上、責任を取って引退というのも十分あり得る話だろう。
だけど、それと今回のケースに何の関係があるのだろうか?
「……それに伴い、我々は魔王制度そのものを改革、最初は七大罪にあつらえて七大魔王にしようとしたが、今では本来の枢要罪と追加で加えられた嫉妬の罪を合わせて、九大罪王制度とする予定だ」
九大罪王……っ
それは大きな改革だろう。良いか悪いかはともかく、大きな変化を悪魔の未来に与えることになるかもしれない。
そして、サーゼクス様はさらに付け加える。
「イッセーくんとアルサムくんは、その九大罪王候補なんだよ」
「い、イッセーが!?」
流石のリアス姉さんも、其れには驚きだったのだろう。
確かに、イッセーくんは冥界を代表する英雄だ。今後の悪魔の未来を担う存在だろう。
だけど、転生悪魔が魔王の後継とは思い切った改革だ。流石のリアス姉さんも驚くだろう。
正直に言えば僕も驚いている。
冥界の改革は大きく進んでいたけれど、まさか転生悪魔を魔王に据えるほど進んでいるとは思わなかった。
「最初はイッセーくんの席を入れて八大魔王にするという案もあったのだけどね。宮白君が「それをすると情報を公開する人類側から反発がある」と言われて、王の座を増やすことで反発感情を薄めるべきだと言ってきたのだよ」
ああ、確かに宮白君らしい意見だ。
「それで、なぜお姉様と総司を二人のチームに?」
「その二人だけではない」
サーゼクス様はリアス姉さんの質問にそう答える。
……そういえば、正体を隠していると思わしき悪魔が他にも何人かいたような。
立場や都合などもあってそうしているのだと思ったけど、その中にもサーゼクス様の眷属が?
「私の眷属だけでなく、アジュカ達の眷属からも九大罪王最有力候補や準候補の下に送っている。ヴァーリ・ルシファーなど一部の者には断られたけどね」
そ、そうだったのか……。
というより、ヴァーリ・ルシファーも九大罪王候補だったのか。
いや、リゼヴィムの一件で少し考え直したところのある今のヴァーリは、一部ではルシファーの後継に相応しい存在という意見もある。
真なるルシファーの後継者たる彼が、魔王の後継たる九大罪王にノミネートされるのは当然のことだろう。
「このアザゼル杯を利用した見極めを行っているんだ。特にグレイフィアは、イッセーくんを九大罪王にするのには賛成していてね」
そ、そういうことだったのか……。
しかし、それほどまでに引退を強く希望しているということなのだろうか?
「お兄様。なにもお兄様が引退なさることはないのではないのですか?」
リアス姉さんはそういうが、サーゼクス様は首を振る。
「いや、前から思っていたのだよ。私達のような、個の力の時代はもう終わった。これからはイッセー君のように手を取り合って困難を乗り越える輪の時代だとね」
サーゼクス様はそういうと、近くにあるモニターに視線を移す。
そこでは、先ほどまでの試合の内容がダイジェストで放送されていた。
「彼らのような心強い若手が何人もいる。冥界の未来は明るいと思わないかね?」
それは、未来を託す者達に恵まれた者の目だった。
イッセーSide
ああ、マジで負けたぁ……。
最後の最後で完璧に上をいかれたよ。
ルレアベのコピーを持っていれば男女問わないって、ある意味乳乳帝の上位互換じゃねえか。いや、これはマジで負けた。
ああ、でもやっぱり負けるの悔しいなぁ。マジで色々キツイ。
「……なんという力だ。あれが、魔王剣ルレアベだというのか」
項垂れながら、ゼノヴィアは畏怖を感じさせる声で呟く。
ああ、確かに俺達全員ルレアベの力に負けたといっても過言じゃない。
アルサムさん個人を強化する、覇の基本形である覇剣抜刀。
不完全なのを逆手に取り、味方を安全に強化する覇剣贈刀。
そして、さらにその上の存在。逆に仲間達の力を借りてより強大な力を発揮する覇剣のもう一つの姿。
そんなルレアベに選ばれたアルサムさんもまた、強かった。
ルレアベの力を頼らなくても乳乳帝状態の俺と戦闘を可能とするあの力。才能のあるサイラオーグさんとでもいうべき力だった。
優れた才能を持ち、それをサイラオーグさんのように鍛え上げ、さらには天龍とも戦える存在の力を借りた存在。まるでヴァーリだ。
いや、もしかしたらヴァーリだって倒せるかもしれない。もちろん一対一だとヴァーリの方が強いかもしれないけど、仲間達の力を借りれば極覇龍すら突破できるはずだ。最低でもいい勝負ができるだろう。
そして、それはルレアベだけの力じゃない。
「……いいえ、ルレアベに囚われるのは間違いでしょう」
ロスヴァイセさんが、静かにそういった。
「あのシェンという人は、少なくともそうでした。英霊の力だけに頼っていない。彼女の動きは間違いなく努力に裏打ちされたものです」
「ロスヴァイセ殿の言う通りです。あの娘達、上級悪魔といえど楽には勝たせてくれない実力を秘めている。よく鍛錬されたいい動きでした」
ボーヴァもそれに同意し、そしてそれに、ゼノヴィアとイリナも頷いた。
「確かに、右腕四天王は誰もが優秀だったな」
「ええ。オートクレールが無かったら覇剣贈刀まで持ち堪えられていたかどうかも分からなかったかも」
つまるところ、彼らの勝利は間違いなく彼らのものだ。
それだけの力を持っていたからこそ、覇剣はアルサムさん達に力を貸してくれたのだろう。
決してルレアベ任せの勝利なんかじゃない。それほどまでにみんなが努力を重ねていたからこその戦いだったんだ。
「……申し訳ありません、イッセーさま」
沈んだ表情で、レイヴェルが頭を下げる。
「私が、真っ先に倒されていなければもう少しやりようはあったのかもしれませんわ」
「いや、それは違うさレイヴェル」
俺はレイヴェルに静かに首を振った。
確かに、魔導士の魔力ダメージを考慮していなかったことはミスだろう。
だけど、それに関しては俺達全員の失敗だ。
特に俺なんか時空管理局に行ったことがあるんだから、気づいてもよかったんだ。
異文化交流を積極的に行っていたアルサムさんに対して、俺達はまだ甘かった。
「これは、俺達全員の敗北だよ。……だから、次は勝とう」
ああ、負けるのはやっぱり悔しい。
だけど、どこかスッキリしているところもあるんだ。
負けても何も失わない戦いだからかもしれない。
そして、文字通り全力を出し切った上での戦いだからかもしれない。
だけど、何度も負けてばっかりじゃいられない。
次は必ず勝ちますからね、アルサムさん!!
そう俺が気合を入れたその時だった。
「い、イッセー様!! 大変です!!」
顔色が真っ青な悪魔の人が、俺達の控室に飛び込んできた。
其のままその人はスッ転んで、顔面から床に激突する。
おいおい、大丈夫かよ?
「どうしましたの? 落ち着いてくださいまし」
レイヴェルが駆け寄って落ち着かせようとするが、しかしその人は全く落ち着かなかった。
汗だくになって息も絶え絶えなのに、だけどそんなことどうでもいいって感じで顔を上げる。
「め、メーデイアが正体不明の勢力に襲撃を受けております!! 宮白兵夜様達がメーデイアにいるこの状況下にです!!」
………なんだって!?
Side Out
と見せかけてトラブル発生。さて襲撃してきたのは何処のどいつか。
九大罪王制度には意欲的なサーゼクスたち。そのためのいわゆる見極めも行っているのです。
ビナー・レスザンに関しては時期悪魔の盟主にイッセーを選ぶための、より精密な審査的なあれにすることに決めてたので、ならばアルサムもと思いました。現状わかっている魔王眷属で、戦闘スタイルが少しでも把握できるのが彼だったので沖田総司を起用させていただきました。まあ、サムライブレードなんてまんまな名前なので原作キャラだとしたら彼じゃないかと思った人は多いのではないでしょうか?