HSDD 転生生徒のケイオスワールド2 卒業生のアザゼルカップ   作:グレン×グレン

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六天が一人、襲来。

 イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 うぉおおおお!? な、なんだいきなり!!

 

 シルシさんの声に反応してかわしたけど、これ、直撃してたら大怪我してたぞ!!

 

 まるで隕石の衝突だ。なんて破壊力なんだよ。

 

「……チッ! 外したか」

 

 そして、そのクレーターの中心部に一人の男がいた。

 

 くすんだ金髪の二十代ぐらいの男が、心底残念そうな表情で俺を見ていた。

 

 どう考えてもこいつがさっきの攻撃の犯人だろ。見たことないけど、なんて奴だ!!

 

「……お前! 何者だ!!」

 

 俺は指を突き付けて問いただす。

 

 今回の犯罪組織の関係者にしても、第三勢力の連中にしても、こんなことができる勢力なんて禍の団の可能性がでかい。

 

 ハーデスあたりも怪しいけど、あいつはもっと裏で手をまわしてから動くようなイメージがある。

 

 フォンフ以外の禍の団の残党にも、まだこんな強敵が残っているとは思わなかった。いったい何者だ?

 

 だけど、その男は心底蔑んだ表情を浮かべると鼻で笑う。

 

「……敵に素性をしゃべるわけがないだろう? さすがはカビの生えた異形共の尖兵だ、今時戦場での名乗りとか馬鹿なのか?」

 

 せ、正論だけどマジむかつく!!

 

 くそ、今まではこっちから聞くまでもなく名乗る連中だらけだから、こういうの、なんか新鮮だな!!

 

 だけど、つまりは―

 

「お前、禍の団の連中じゃなさそうだな」

 

 禍の団の連中は、どいつもこいつも割と名乗り上げをしていた。テロリストのくせしてそういうところがあった。

 

 だけど、こいつはなんか違う。

 

 何ていうか、軍人みたいな―

 

「―まあいい。どうせお前はここで死ぬ」

 

 一瞬思考がそれた瞬間、そいつは目の前に現れていた。

 

 早い! 瞬動術とかそういうのじゃなくて、単純に移動速度が速い!!

 

 そして、拳の速度も速い!!

 

 チッ! 何とか受け止められたけど、結構来るな。

 

 生身のサイラオーグさんに匹敵する! これは俺も通常の鎧じゃ苦戦するか!

 

 なら、こっちも本気でいくぜ!!

 

「我は万物と渡り合う龍の豪傑なり!!」

 

 即座に戦車の力を展開させて、殴り掛かる。

 

 だけど、そいつはすぐに身をひるがえすと距離を取った。

 

 いつの間にか手に持っているのはライフル銃。たしか、アルサムさん所の合宿で襲撃を仕掛けてきたやつが持っていたのと同じものだ。

 

 つまり、あいつらは裏でつながっていたということか!!

 

 そして、エドワードンを持っているということは―

 

「―やっぱり禍の団の技術を使ってるのか!?」

 

「そういうことにしておくか!!」

 

 敵は魔力弾を撃ってくるけど、その程度じゃ俺は倒せない。

 

 直ぐに騎士に変化すると、俺は一気に距離を詰めた。

 

「逃がさねえぞ、この野郎!!」

 

「流石に早いか! こんな屑がここまで強いとか世も末だな!!」

 

 素早くかわして反撃の拳を叩き込んでくるけど、あいにく俺もだいぶ修羅場をくぐってるんだよ!!

 

 それに、俺は一人じゃない!!

 

「リアス! 宮白!!」

 

「わかっているわ!!」

 

「任せとけ!!」

 

 俺が伏せると、すぐに消滅の魔力と光魔力の攻撃がその上を通る。

 

 敵はそれを素早くいなすけど、あまりの威力に皮膚が少し焼ける。

 

 そして、その隙をついて一発ケリを叩き込んだ!!

 

 よっしゃ! 有効だいただき!!

 

「……屑が!! 俺に傷をつけるか!!」

 

 すっげえ苛立たし気にその男がぎろりとにらみつける。

 

 こ、この野郎! さっきから人のことを屑とか失礼な!!

 

「そこまで言われるようなことを……」

 

「―俺はやってねえ!!」

 

 全力で、戦車の拳をたたきつける。

 

 あいつはそれを腕でガードしたけど、骨が折れる音が響いた。

 

 よし! これで少しは戦闘能力も低下するはず―

 

「―やって、ない?」

 

 ―殺意。

 

 それも、さっきまでとは比べ物にならないほどの大きな殺意が沸き上がっていた。

 

 これは、目の前の男から放たれてる!!

 

「―自覚もないとは最悪だ。もうてめえは良いから死にやがれ!!」

 

 俺はいったん距離を置こうとするけど、しかし腕をつかまれて引き寄せられる。

 

 ……この野郎! 折れた腕でつかみやがった!?

 

 そして、もう片方の手をあいつは握り締める。

 

 そしてそのまま、強引に顔面にたたきつけられた。

 

 あいつの手の骨も折れる音がするけど、しかし俺の鎧も砕かれた。

 

 なんて力だ。こいつ、本当に強い!!

 

「イッセー!」

 

「くっ! させないわ!!」

 

 宮白とリアスもすぐに反応するけど、それに男は舌打ちする。

 

「……邪魔だ!!」

 

 その声とともに、急に体が重くなった。

 

 なんだ? 全身が、まるで鉛をつけられたみたいに重い!!

 

「くそっ!! なんだこれは!?」

 

「か、体が……潰れるっ!?」

 

 見れば、リアスたちは何とか耐えてるけど、三大勢力も犯罪組織も全員が地面に押し付けられてる。

 

 しかし敵のサソリもどきは動きが制限されてるけど、あまり問題にしてないように動いていた。

 

 まずい! このままだとあの人たちが!!

 

「クソッ!! シルシ、気張るぞ!!」

 

『了解!』

 

 宮白はすぐに判断して、蠍の方の駆除に向かう。

 

「イッセー! 俺が片付けるまでやられるなよ!!」

 

「わかってるよ!!」

 

 確かにこの重力はキツいけど、だけど動けないわけじゃない。

 

 俺だってD×Dのメンバーだ。この程度の修羅場は何度も潜り抜けてきた。

 

 まさか―

 

「この程度で俺を倒せると思ってんじゃねえぞ!!」

 

「ああそうかい!!」

 

 奴はそういうと、しかしにやりと笑った。

 

「なら、これならどうだ?」

 

 その瞬間、そいつは禍々しい色のナイフを取り出した。

 

 ………俺は、一瞬で飛びのいた。

 

 なんだ、あれ。間違いなくやばい。

 

 それも、観た瞬間に寒気が走った。

 

 間違いない、あれは、ヤバい奴だ!!

 

「……ヴァナルガンドの危険性に気が付くか。さすがにできるな」

 

 ヴァナルガンド。なんかどっかで聞いことがあるような気がする。

 

『宮白に使われたフローズヴィトニルと同じ、フェンリルの別称の一つだ』

 

 サンキュー、ドライグ。

 

 つまり、あのナイフはフェンリルに由来がある装備だってことか。

 

 ……そういえば、フィフスはフェンリルの量産型を作ってたな。おそらくそれに由来する装備ってことか。

 

 やっぱりフィフス関係ってことか!!

 

 っていうか折れてた腕がもう治ってる!? いったい何なんだこいつ!!

 

「ちなみにサマエルの毒もある。龍であるお前には効くだろう」

 

 そういいながら、男は拳銃をちらつかせる。

 

 なるほど。そっちの弾丸にサマエルの毒が仕込まれてるってことか。

 

「さあ、どっちを避ける? どちらかは喰らってもらうがな!!」

 

 そう言い放ち、男は俺に攻撃を仕掛ける。

 

 ああ、どっちのヤバイ武器だ。しかも、こいつ結構訓練してるのかなかなかできる。

 

 っていうか、腕の骨が折れているはずなのに、もう平然と動かしてる。神器か何かで再生能力が強化されてるんだろう。見かけ以上にタフな奴ってことだ。

 

 ああ、これは確かにキツイ。一対一で戦ったら苦戦は必須だろう。

 

 だけど―

 

「―待ちなさい」

 

 その後ろに、莫大な魔力の塊が形成される。

 

 ああ、お前なにアホなことしてんの?

 

「私を無視するとは、いい度胸ね!!」

 

 ここには、リアスだっているんだぜ!

 

「……邪魔だ!!」

 

 ナイフで消滅の魔力を切り裂くけど、しかし消滅の魔力は軌道を変えながら襲い掛かる。

 

 迎撃だけではさばき切れないから飛び跳ねるけど、、俺に攻撃を仕掛けている余裕がない。

 

「変態にすり寄るしか能のない雌犬が!! 貴様のような連中が世界を腐らせる!!」

 

「耳が痛いわね。確かに、私はいつもイッセーがいなければ生き残れなかった」

 

 男の罵声を、リアスは否定しない。

 

 そして、受け止めたうえでリアスは真正面から奴を見据える。

 

「だから、そうならないために力をつけてきたわ。私はいつまでも彼におんぶにだっこではいられないもの!!」

 

 その言葉とともに、魔力の塊がどんどん高密度で膨れ上がっている。

 

 そう、リアスも日々成長している。

 

 今まではチャージ中は一切行動できなかった消滅の魔星も、今では攻撃ぐらいはしながらでもできるようになってるんだ!!

 

 そして何より!!

 

「俺のことを忘れてもらっちゃぁ困るぜ!!」

 

 意識がそれてるのをいいことに、俺はこの野郎の顔面に一発喰らわせた。

 

「グッ!? この、屑がぁ!!」

 

「いいのかよ? もう、こっちは準備できてるぜ?」

 

 追いすがる奴を蹴り飛ばし、俺は安全圏まで退避する。

 

 そう、もうすでに時間は完了だ。

 

「……さっきから、人の大切な男を屑屑とうるさいのよ」

 

 あ、割と怒ってたんだねリアス。

 

 俺のために怒ってくれてうれしいけど、怖いのでもっと落ち着いてくれると嬉しいです!!。

 

「貴方が塵屑になり果てなさい!!」

 

 そして、消滅の魔星は発射される。

 

 移動速度はやっぱり低いままだけど、その吸引力はその男を明確に引き寄せる。

 

「ぬ、ぐ、ぐぉおおおおお!!!」

 

 ああ、お前はかなり強かったよ。たぶんグレンデルとかともまともに渡り合えるぐらい強かった。

 

 だけど、そのグレンデルすら倒したこの一撃は防げない!!

 

「クソクソクソクソクソクソがぁ!! 俺が、こんな屑どもに……負けるなんて認められるかぁ!!」

 

 奴は、全身を闘気で覆って消滅の魔聖を防ごうとするけど、しかしそれも限界がある。

 

 これなら勝てる。まず間違いなく。

 

 なのに、なんでだ?

 

「認められるか納得できるか!! この俺が、屑とそれに言い寄る売女なんぞにぃいいいいいいいいい!!」

 

 ……こいつが、まだ持ちこたえていることが恐ろしい。

 

「何者なの、あの男」

 

 リアスも気圧されているのか、思わず一歩後ずさっていた。

 

 ああ、さっきは戦闘能力からグレンデルを引き合いに出したけど、だけどグレンデルとは何かが違う。

 

 あれは、もっとこう悍ましい執念を感じる。

 

 だけど、闘気の防御も追いつかなくなり、すでに魔星は皮膚を削っている。

 

 そう、勝てるはずなのに―

 

「貴様らはいつだってそうだ。まともな連中を苦しめ、踏みにじっているくせにのうのうと幸せそうに過ごしてやがる。そんな資格のない屑だというのにのうのうと!!」

 

 全身削られながら、しかし奴の目は屈していない。

 

 今からでも逆転できるのならすぐにでも逆転してやる。そういう執念の炎が燃え盛っていた。

 

 あの執念。あれはまるで―

 

「だから俺は、屑共(お前ら)を―」

 

 あの時の―

 

「―目につく奴からかたっぱしに蹂躙してやるって決めてんだよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

 

 ―フィフスのような眼をしてるんだ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ、だったら独断専行はやめようねー」

 

 そして次の瞬間、魔星が切り裂かれた。

 

「なっ!?」

 

 魔星を切り裂いたのは、フルフェイスヘルメットをかぶったアーミールックの女性だった。

 

 マジかよ! ここにきてめちゃくちゃ強い増援!?

 

「……タイム。なぜここに?」

 

「隊長から「奴は暴走しやすいから目を光らせておけ」といわれて来てみればー……。神器もなしに赤龍帝と滅殺姫の二人は無理だってー」

 

 そういいながら、その女性は野太刀の切っ先を突き付けながら、男を抱え上げる。

 

「ほら、帰るよアンドレイー。ジグネズの試験は終わったでしょー?」

 

「……できれば、ここで奴らを殺しておきたかったんだがな」

 

 悔しそうにアンドレイと呼ばれた男が言葉を漏らすけど、タイムと呼ばれた人は肩をすくめた。

 

「無理だよー。私達じゃあ、兵器がなければ化け物とは戦えないよー。隊長じゃあるまいしー」

 

 隊長? その隊長ってのはこいつらより強いのかよ。

 

 だったらなおさら逃がせられない。この場で捕まえないと!!

 

「逃がすと思ってんのか!!」

 

「まったくね。あなたたち、いったい何者!?」

 

 俺とリアスは追いかけようとするが、それより早くタイムは手に持っていた剣を一閃する。

 

 ―瞬間、俺とリアスはとっさに防御した。

 

 直後、防御した部分に衝撃が走る。

 

 なんだこれ? 斬撃が、とんだ!?

 

 しかも飛んできた斬撃には聖なるオーラがこもっている。

 

 ……いま、気が付いた。

 

 あの剣、むちゃくちゃ強力な聖剣だ!!

 

「やめときなよー。ここでこれ以上やり合うっていうのならー―最低でもどっちかの首はもらってくよー?」

 

 その言葉はどこか気が抜けているけど、真剣な響きがあった。

 

 間違いない。ここで俺たちが追いすがろうとすれば、あの女は相打ち覚悟で俺たちの首を刎ねる。

 

 くそ、ここで逃がすしかないってのかよ!!

 

「イッセー、姫様!!」

 

 そこに、宮白が姿を現す。

 

 さっきのジグネズとか言うのは全滅できたってことか! さすが宮白、やるじゃねえか!!

 

 さ、三対二なら何とかなるか!?

 

 そう思ったその瞬間、タイムと呼ばれた人が一瞬だけ動きを止める。

 

「……ぃ……ぅ」

 

 ……その時の気配に、俺とリアスはもちろん、宮白とアンドレイも一瞬だけ硬直した。

 

 まるで、何年間も煮詰められたかのような憎しみと、ちょっとだけの悲しさがにじんだその声は、この人もいろんなものを背負っているんだと理解できた。

 

 いったい、彼らは何者なんだ?

 

 そんなことを一瞬考えるけど、それより早くタイムは首を振った。

 

「悪いけどぉ、もう逃げさせてもらうねー」

 

「させると思うか!!」

 

 宮白はすぐにでも止めようとするけど、それより早く声が響いた。

 

『兵夜さん! 海から砲撃八つ!! 直撃したらこの辺一帯吹き飛ぶわよ!!』

 

 なんだって!?

 

 まずい、ここには戦闘不能になっている人たちが何人もいる。

 

 防がないと何十人も死んじまう!!

 

「リアス、宮白!!」

 

「わかってるわ!!」

 

「クソッ!!」

 

 とっさに俺たちは砲撃を防ぐ。

 

 なんだこの威力。下手したらタンニーンのオッサンのブレスに匹敵するぞ!!

 

 こんなもんが連射で来られたら、この施設が一瞬で消滅する。

 

 幸い、人里離れた場所にあるから市民の被害はない。だけど、ここにいる人たちはほとんどが動けないから巻き込まれる。

 

 俺達は全力でそれを防ぐが。だけど防ぐので手いっぱいだ。

 

 ……そして、砲撃が止む頃にはアンドレイもタイムも姿を消していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これが、俺たちが冥界でハーデスとともに戦うことになる、神すら殺しうる()()たちとの、本格的な戦闘の一回目だった。

 

 この時は、俺はまだ何もわかっちゃいなかったんだ。

 

 俺は、今でも人間世界では嫌われ者なんだってことの、本当の意味を―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side Out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「気持ちはわかるけど、交戦許可のない戦闘は厳禁よ、アーバレスト少尉」

 

「悪かったな百目鬼三尉。俺は軍学校出身じゃないからそんなことわからねえんだよ」

 

「まーまー。これに懲りたら少しは抑えてねー」

 

「了解よ、タイム准尉。それで? アイツはあたしとアンタの部隊で確実につぶすってことになってたのに先走ったんだもの。次に機会があったら譲りなさい」

 

「チッ。仕方がない」

 

「まあ、こっちも六天魔装がないのに勝てるとは思ってないけどね。禁手だけじゃ流石に神滅具はキツイし、あのふざけた殺意しか生まない技はさすがに………ね」

 

「弥生ちゃんでも無理なのー? 乳技は無効化して見せるって言ってたじゃんかー」

 

「タイム准尉には悪いけど、最後のあれがまずいわ。あれを冥界全土の力でやられたら、六天魔軍の誰もかなわない。……トライディーかツーワンシックス数隻が必要ね」

 

「そして、あれは個人を相手にする奴は兵器じゃないしな。……チッ! あの屑め、どこまでも厄介な」

 

「できればマジで殺したいわね。……このままいけば殺し合いには持ち込めるし、あたしたちが担当だから別に問題ないけど。ツーワンシックスぐらいは貸してもらいたいわ」

 

「あははー。まあ、止めないけどねー。それに……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エイエヌの平行存在がお熱の相手ってだけで、こっちも結構イラつくからさー。………いろんな意味ですごく複雑だけどー」

 

「「………がんばれ」」

 




イッセーはアンチがどうしても生まれかねないキャラ設計。

昔はこういうの基本だったんですけどねぇ。これも時代か……。




ちなみに増援の正体は結構わかりやすいかと。それで今回の武装の出どころも理解できるはずです。
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