HSDD 転生生徒のケイオスワールド2 卒業生のアザゼルカップ 作:グレン×グレン
ことが終わった夜、俺はイッセーや姫様と別れて、久しぶりに1人酒を飲むことにした。
たまにはこういう時間がほしいと思ったんだ。家で飲むんじゃなくて店で飲む。それも一人で。
あ? まだお前19歳? 安心しろ、今回の演習場所は飲酒年齢が18歳以上の国だ。
大丈夫だ、問題ない!! ドヤァ!!
などと思いながら夜風で涼みながら転移魔方陣を展開できる場所まで移動したその時に―
「―ああ、今回は時間差攻撃か」
―敵意を感じて、俺は振り返った。
そこには、何人かの男女がいた。
「サインならサイン会の時にしてくれないか?」
「油断だな。度の過ぎた余裕は油断以外の何物でもないだろう?」
そう告げる男は、しかしため息をついた。
「……悪魔の若者なだけあって、深夜になってからが本番か。こちらも仕事があるというのに、どうしてくれる」
そうため息をついた男は中年に差し掛かっている。
。
なんだ? 今回の件は想定外のトラブルか何かか?
しかし、それ以外の男女たちは意外にも好戦的だった。
むしろ、いいタイミングを見つけることができたといった感じである。
「隊長。できれば、今の私がどこまでできるか試させてくれません?」
「……明確なチャンスがあれば暗殺も許可されているから仕方がないな。引き際は見誤るなよ?」
そう中年の男が釘をさすと、一人の女が一歩前に出る。
同時に、三人の男女がそれに従って前に出た。
逆に中年に引きつられて三人の男女が後方へと下がるのを見て、俺は大体事情を把握した。
なるほど、こいつらは分隊単位で行動していたらしい。
しかし、一体何を考えている?
「―念話は妨害されているか」
まあ、それ位の対応はするだろう。
「一つ聞くぞ? お前、フォンフの部下か?」
「ノーコメント。っていうか、敵に素直に情報を吐くと思う?」
なるほど真理だ。
だが、コメントを差し控えた時点でフォンフと何かしらの関係があることはわかっている。
まあ、俺が神喰いの悪魔だとわかって仕掛けてくるようなら、十中八九関係者だしな。
まあ、とにもかくにも―
「偽聖剣、起動」
俺は速攻で偽聖剣を展開すると、即座に戦闘態勢に突入する。
そして、それと同時に向こうも動きを見せていた。
「着装」
腰にベルトを取り付けると同時に、さっきからメインでしゃべっていた女が接近する。
そして、その速度は今の俺より早かった。
………ふむ。俺の武勇伝と偽聖剣の暴れっぷりを知って仕掛けてくるだけあって、最低でも禁手クラスの戦闘手段を持っていることはわかっていた。
上方修正しよう。神滅具とすら渡り合えるレベルだ。
ガードはギリギリ間に合ったことを伝えておく。
そんな緊急事態のなか、すでに敵襲の報告はその街の異形たちの間を駆け巡っていた。
理由は単純、念話の類が遮断されていたからだ。
念話の類が封じられている以上、外部が何かあったと勘付くことは本来不可能に近い。
しかし、何事にも例外はある。そして宮白兵夜という男は、その手の奇策をよく多用する男なのだ。
種は極めて単純。彼は異能による発信機を持っていたというそれだけのことである。
それが妨害を受けたことで途絶えたので、何かあったとグランソード達が判断したのだ。
当然、すぐ近くまで一緒にいたイッセーとリアスがその報告を通常の携帯電話で受け取るのは当たり前。
すでに根回しも行っており、この街に存在する異形の三割がすでに警戒態勢を取っていた。
「リアス!! 宮白を真っ先にターゲットにするやつって、あの越智とかいう人かな、やっぱり?」
「どうかしら? 言っては何だけれど兵夜にしろ私にしろあなたにしろ、禍の団の関係者からは恨まれていて当然でしょう?」
リアスの言うとおりである。
本格的な活動開始から、わずか一年足らずで壊滅的打撃を受けて事実上の無力化された禍の団。
その要因ともいえる主要派閥の壊滅に、グレモリー眷属は嫌というほどかかわっている。むしろ、原因といっても過言ではない。
その裏のエースである兵夜に暗殺者が出てくることは極めて当然。下手をすれば―
「私達を狙って動く暗殺者もいるかもしれないわ。イッセー、兵夜のことを心配するのもいいけれど、周囲を警戒することを忘れないようにね?」
そういいながら、リアスが外套を纏いつつ警戒態勢を取る。
この状態のリアスは未来視を使うことができる。これは不意打ち対策としては十分すぎるだろう。
だが、それにおんぶにだっこでいるわけにはいかない。故にイッセーも即座に周囲に気を配ろうとし―
「―イッセー、上からくるわ!!」
その言葉に、イッセーはすぐに軌道を急激に変える。
その瞬間、即座に攻撃がイッセーの鎧をかすめ、そして鎧をわずかに欠けさせる。
その事実に、イッセーもリアスも敵の脅威度の高さを理解する。
いかに欠けただけとはいえ、赤龍帝の鎧をかすめただけで損傷させるなど、それだけで相当の実力者であることのあかしだ。
それほどまでに、赤龍の乳乳帝として覚醒した今の兵藤一誠は強大な存在なのだ。
そして、それをなしたものは即座に攻撃を開始する。
「隊長がことを終えるまでしのぐぞ!!」
「おう!!」
と、即座に迎撃を放つ男二人組。
さらに女性がバックステップで後方に移動しながら、即座に迎撃のためにその手から闘気の玉を放つ。
乳語翻訳を警戒しての距離を取っての迎撃。さらに女性は援護射撃をしながらも逃走をためらわない。
「あ、こら!!」
「近づけさせると―」
「―思ってんのか!!」
追随しようとするも、男たちの連携が邪魔でそれもできない。
どうすればいいかと思った瞬間、しかし状況はさらに動く。
「……イッセー伏せろ!!」
その言葉とともに、兵夜がイッセーの目の前にいる男に飛び蹴りを繰り出した。
「うわっ!? 宮白、危ねえだろ!!」
助けに来た相手の攻撃が直撃しかけるという理不尽に思わず文句を言うが、しかしそのために振り返ったイッセーの視界に、また飛び蹴りが飛んできた。
「死ね変態がぁ!!」
「うわぁっ!?」
慌ててもう一回回避する。
そこにいたのは、割と巨乳な茶髪の女性。
ロングヘア―のその茶髪をなびかせながら、女性は心底嫌悪の視線をイッセーに向ける。
「……死んでくれない? できるだけ苦しい死に方してくれない?」
「今即死させる気だったよな?」
兵夜がツッコミを入れつつ再び蹴りを放つが、相手は視線を向けることなくそれを躱す。
その攻防で、相手はスペックだけでなく技量も含めて高水準だと嫌というほど理解した。
……どうやら、まだまだ世界に強者は隠されているものらしい。
思わぬエンゲージを利用して、兵夜を殺そうとする人類勢力。
そして人類側のエースはイッセーに即座に狙いを変えるほど。
彼女がイッセーを嫌う理由は、まあ想定できてしかるべき。
イッセーはどうしてもアンチが発生するタイプですからねぇ(苦笑