HSDD 転生生徒のケイオスワールド2 卒業生のアザゼルカップ 作:グレン×グレン
「宮白!! 結瞳をどうにかする方法はあるのか!?」
暁がある意味当然の疑問を口にする。
そう、そこが一番問題だ。
下手をすれば久須木を無力化した後ですらレヴィアタンを制御して戦争を起こしかねない以上、対策は必要不可欠。
「奴の宝具を突破する方法は、俺が知っている限りでたった一つ」
そう、それが見つからなければ俺はベルを殺していただろう。
それほどまでに限定特化した宝具というのは厄介であり、単純な強い弱いといった次元を超えている。
そして、その方法はたった一つ。
「種族ごと変化させるクラスの契約の上書きだ。……暁、とりあえずまずお前が血を吸ってどうにかしてみろ。第四真祖なら並の英霊より上だろうから勝算は高いぞ」
「この状況でかよ!?」
まあ、こんな状況で小学生相手に発情しろとか問題行動にもほどがあるのはわかる。
わかるが、それぐらいしないとどうしようもないことは確かだ。
普通に考えれば血の従者にするのが一番確実性が高いのだが、まあ無理なら無理でほかに方法もある。
「まあ、一応あれの対策は念のため研究中なんだが、確実にわかっている方法を試すのが一番手っ取り早いだろ?」
「他に可能性があるならそっちを先にしてくれ。……小学生相手に興奮できるか」
ふむ、テストしたくてもできなかったから確実性に欠けるのだが、仕方がないか。
「いや、させると思うか?」
そして当然それを理解しているので、フォンフも速攻で迎撃を行う。
一瞬で距離を詰めると、そのまま俺と暁を一瞬で弾き飛ばす。
チッ! キャスターは後方支援特化型だが、さすがにベースがフォンフではシャレにならんか!!
「それじゃあこっちも本気で行こうか!!」
吹っ飛ばした俺達相手に一瞬で距離を詰めると、さらに連撃。
空中戦闘が可能な俺はともかく、暁は踏ん張りがきかないこともあってそのまま弾き飛ばされる。
「ぐぉ!?」
「先輩!?」
「よそ見をしていていいのかね?」
カバーに入りたがっている姫柊ちゃんだが、久須木の攻撃が邪魔で動けそうにない。
ええい、最弱クラスの英霊であるランサーを宿しただけなのに、なんだあの強さは!!
「はっはっは!! 王の駒を参考にした人体強化施術は完了済みだ!! カマセにするにしてもそれなりの実力ってものがいるだろう?」
そう告げると、フォンフはガ・ボルグを出して俺を連続攻撃で攻め立てる。
加えて再び動こうとする暁に対しても、光力の槍で牽制を仕掛けて動かせない。
あれぇ? 今まででも有数の戦闘能力発揮してないか、コレ?
「くそ! これじゃあ結瞳のところに近づくこともできやしねえ!!」
「そりゃぁ、お前を近づかせたらさすがに危険だからな、これが」
くそ、冷静に行動しすぎてやがる。
加えて、暁は眷獣が使いにくい状況だというのも危険度が高い。
なにせ、あんな爆発する攻撃を乱発するレヴィアタンだ。何がきっかけで暴発するか知れたものじゃない。
下手な攻撃をすれば、その時点で大爆発だ。これではうかつに攻撃できない。
つまり、俺がやるしかないわけだ。
「七式起動!!」
速攻でアーチャーの力を借りて、広範囲に捕縛結界を形成。動きに干渉を行う。
その瞬間、レヴィアタンの外壁が輝き陣が展開されて無力化された。
「それは読んでるんだな、これが!!」
くそ、さすがにキャスターは強敵か!!
作成という観点でいえばアーチャーで召喚されていた相棒すら超える域に達し、挙句の果てに事前準備もしっかりとしている。
ならば凍結で動きを封じる!!
「凍えろ!!」
「それも読んでいる!!」
次の瞬間さらに魔方陣が展開され、凍結魔獣が無効化される。
くそ、下準備が万全すぎる!!
こいつだってレヴィアタンの中に入ったのは少し前ぐらいだろうに!! なんだこの準備速度は!!
「ここまでは想定の範囲内だ!! そして、ここに乳乳帝はいない!!」
連続攻撃で俺のガードを崩そうとしながら、フォンフ・キャスターはにやりと笑う。
「さあ、どうやって逆転する?」
一方そのころ、雪菜もまた追い詰められていた。
強化施術と英霊の憑依で戦闘能力を大幅に向上させていた久須木は、厄介極まりない存在だった。
とはいえ、それはただ単に倒しにくいというわけではない。
戦闘技量の向上? 幸い英霊が英霊なので自分の方が上だ。
動きの速さ? 霊視による未来予知と対魔族戦闘技術の二つがあれば自分なら対抗できる。
では、何が問題なのかといえば―
「雪霞狼!!」
「……こんなものかね?」
攻撃が、通らないという点と攻撃を受けてはならないという点の二つ。
この二つが、圧倒的なまでに状況を久須木優位に持ち込んでいた。
「絶滅危惧種や乱獲される魔獣を保護するためとはいえ、あんな小さな子供を巻き込むだなんて間違っています」
「古今東西、結果的に悪行に近しいとはいえ、それが世の為となることはいくらでもある。私の行動には確固たる大義がある以上、恥じる気はあっても停める気はないさ」
槍を振るい合いながら、久須木の攻撃を雪菜はギリギリで回避し続ける。
如何に攻撃がどう来るかが読めているとはいえ、今の久須木の攻撃速度は尋常ではない。常に全力でなければ回避しきれない。
そして久須木の槍は物体の強度を無効化できる。一発でも受け止めれば雪霞狼とはいえただでは済まないだろう。
故に、攻撃のすべてを回避に専念している雪菜は大きな苦戦を強いられていた。
「貴方もフォンフから話は聞いているはずです。私のカマセ犬にされておきながら、うまくいくと思っているのですか!!」
「しかし彼の協力がなければ太史局に出し抜かれていたことも事実。要は勝てばいいのだよ」
雪菜の反論を一蹴しつつ、久須木は執拗に攻撃を繰り返す。
「子どもを殺すのは心苦しいが、これもまた魔獣の権利確保のため。さあ、覚悟してもらおうか!!」
雪菜はその攻撃をかわしつつ、一つだけ確信した。
……フォンフはかなりの度合いで雪菜を殺すつもりで久須木を強化している。
この程度の殺意も潜り抜けれないようでは、アルジュナとフォンフの組み合わせに対抗できる戦力になどなれるわけがないという確信があるからこそ、あえてそうしている。
そしてできることなら確実に殺してフォンフ・アーチャーの暴走を抑えたいという願望もある。
久須木もそのあたりの事情を知っているのだろう。故に勝ち目がある勝負だという判断を彼は下していた。
そう、このままでは雪菜は確実に勝てない。
故に、使うしかない。
「七式、起動!!」
フォンフ・アーチャーの精神の侵食具合を考慮すると警戒心はあるし、思い通りに動かされているのは思うところはあるが、使うしかなかった。
そして、その瞬間久須木は嗤った。
「それではこちらも切り札を切るとしようか」
その瞬間、久須木の攻撃速度が大幅に向上した。
さらに、槍が二本に増えた。
それによって発生する攻撃速度が、カルナの力を宿したはずの雪菜の対処範囲を超え始める。
幸い展開された鎧によって攻撃のほとんどは防げているが、しかし捌けていないことは変わらない。
「な……っ!?」
「何を驚いているのかね? 私は
雪菜は自身のうかつさを後悔した。
あのフォンフが楽な当て馬を用意するわけがない。
フォンフ・アーチャーの暴走を何とかするには、二つの方法がある。
一つは雪菜が正真正銘フォンフ・アーチャーと同格に迄実力を高めること。
もう一つは、雪菜がカルナを宿すにはあまりに弱すぎたと証明すること。こちらは雪菜が戦死すればいいだけの話だ。
当て馬として相応しく、運が良ければそのまま
そして、ダメージはごくわずかであるにも関わらず、雪菜の体は急速に動かしにくくなっていく。
「人工リンカーコア。リンカードライブ搭載型デバイス……とか言っていたか。高速起動用に調整した特注品で、もらったものであることから、現状では量産は不可能に近いそうだが、未来視を可能とする君に対抗するには的確な一品だったようだ」
たぶんとんでもないことを言っている自覚はないだろう。だが、それを踏まえてもあらゆる意味でフォンフが強敵であることは間違いなかった。
リンカーコアといえば、魔導師が魔導師足るために必要な能力だったはず。それも先天的才能だ。
それを人造するだけでも面倒なのに、さらに量産度外視とはいえ未来視に対抗できる能力を用意したのは危険すぎる。
いかに先読みができていようと、其れで反応できない速度で行動されていれば意味がない。
超高速で、久須木は雪菜に切りかかった。
フォンフ・キャスター大暴れ。
一瞬で陣地を用意したことで、弓式による魔術攻撃に対して圧倒的優勢を獲得。加えて場所柄古城が眷獣を使えないため圧倒的有利。
くわえて久須木も大幅強化。間違いなくこの作品だけだろうな。この男をここまで魔改造して難敵にしたのは。
フォンフ+アルジュナの超絶融合に相対するにはそれ相応の難易度の試練をくぐらせなければいけないてきな理屈でフォンフ・アーチャーを納得させました。これで雪菜が死ねばしょせんそれ迄だったということでアーチャーをあきらめさせようという腹でもあります。