HSDD 転生生徒のケイオスワールド2 卒業生のアザゼルカップ 作:グレン×グレン
……まあ、この題名でわかる人はもうわかってると思いますがね。
「……レヴィアタンが自発的に攻撃仕掛けるだとぉ!?」
あまりの展開に、グランソードは目を見開いた。
『ええ、完璧にやばいわね。流石は世界最強の魔獣といったところかしら。……予想が大当たりね』
「嬉しくねえよ嬢ちゃん!!」
通信越しの浅葱も、おそらく頬が引きつっていることだろう。
レヴィアタンは、リリスの精神支配を自力で突破したのだ。
そして強制的に支配されていた怒りをぶつけたくてたまらないのだろう。下手をすると、第一段階であったクスキエリゼをブルーエリジウムごと吹き飛ばしかねない。
てっきりそのまま海に沈むのではないかと考えていた自分が恨めしい。少々日和っていたかと反省するが、しかしグランソードはすぐに頭を切り替える。
そして、切り替えたその場でさらに事態は悪化する。
『っていうか生体ミサイルが発射されたわ!! 逃げて!!』
「できるわきゃねぇだろ!! 堅気の連中が何人残ってると思ってんだ!! 脛に傷持つ俺らが優先されてたまるかよ!!」
ごたごたが起きたことをいいことに避難活動は行っているが、それでもまだかなりの人数が残っている。
下手にこのメガフロートが破壊されれば、本気で絃神島史上最大の死傷者が出ることになるだろう。
そもそも自分の主がその肝心なレヴィアタンの中に残っているのだ。面子的にも心情的にも逃げるなどという選択肢はあり得ない。
「クソが! 間に合うか……!」
避難活動の方に回っていたグランソードでは、とても全体をカバーできるわけがない。
しかし、ここに残っているのはグランソードだけではなかった。
空中に陣が展開されると同時、大規模な呪術が一斉に放たれ、ミサイルの大半を撃ち落とす。
さらに多頭龍の眷獣とスフィアが弾幕を張り、残りを一斉に破壊した。
「グランソードさん、グランソードさん!! こっちはこっちで何とかするから、避難誘導の方に回ってって雪侶ちゃんが!!」
「須澄か! お前なんでこんなところに?」
全速力で走りながら声をかけてきた須澄に尋ねると、心から落ち込んでいる様子で視線を逸らした。
「……対空弾幕にはあまり関われないから、最終手段の方のギャンブル的サポートに回るように言われたんだ」
「最終手段?」
おそらく
何が起こるかわからないパルプンテ的な要素ではあるが、しかし無辜の民を守る為なら力の一つぐらい貸してくれるだろう。賭けるには十分な手段である。
しかし、それならレヴィアタンの近くで行うべきな気がする。
「それで、誰に向かってやるつもりなんだよ」
「うん、雪侶ちゃんに言われたんだけど……」
須澄もよくわかっていないのか、微妙な顔をした。
「……七式の持続時間延長に賭けて、ヴィヴィオちゃんに使うようにって」
グランソードは七式の詳細を聴くのをすっかり忘れてたことを理解した。
ああ、そういや雪侶は開発の手伝いしてたっけなと、なんとなく思いながら、嫌な予感を感じていた。
「走れ走れ走れ走れ!! 止まったら死ぬぞぉおおおお!!!」
「だからって俺を荷物持ちに使うか普通!! 重いわ!!」
いや、お前が久須木まで連れてくっていったんだろうが。責任もって自分で運べ。
とにかくイーヴィルバレトをばらまいて生体兵器を薙ぎ払いながら、俺は後詰として戦闘を行っている。
とにかく外にさえ出れば、ラージホークで脱出できる。その為にもとにかく俺達が開けた穴に迄辿り着かなければならない。
あとフォンフは置いてけぼりにしよう。その方が囮に―
「残☆念! そうはいかないよ!!」
あの野郎通り過ぎやがった。
しかもよく見ればその手には大量の肉の塊が!!
「保険としてこっそり削っといたレヴィアタンの肉は頂いた!! これを培養して量産型レヴィアタンを作ってやるぜぃ!!」
「お前それがサブプランか!?」
「Y★E★S♪ じゃ、そういうことで!」
ぬかった!! あの野郎神の御業に挑戦するつもりか!!
流石にデッドコピーになるだろうが、これはまた厄介な火種を持ってかれてしまったわけだ。
HAHAHA♪ ストレスが溜まってきたZE♪
「兵夜さん!? 色々とストレスで変なことになってきてない!?」
シルシ、そこはスルーしてほしいです。
「だがどうすんだ!? なんか外でも大暴れしてるっぽいんだが?」
「そうですね。紗矢華さん達ならある程度は持ち堪えるとは思いますが、それでもブルーエリジウムをカバーしきれるかというと……」
いっそ眷獣を出そうとか思案し始めている暁と、七式を起動させたままでごっそりと生体兵器相手に無双ゲーム始めている姫柊ちゃんの懸念ももっともだが、しかしそこは何とかなるだろう。
「できれば使いたくない手段だったが、この状況下なら雪侶はあれを使うことを決定しているはずだ。それに賭ける」
あれなら俺達が脱出するまでの時間は稼げるだろう。そのはずだ。
「……何を使うつもりなんだ?」
暁が嫌な予感を感じているようだが、それは正解だ。
「ヴィヴィの七式、あれ、デカブツに対抗するにはうってつけの代物なんだよ」
とはいえ成功するかどうかは半々といったところか。
あと、使ったら絶対に面倒なことになる。
………後始末は獅子王機関に押し付けよう。俺達や暁をいいように利用しているみたいだし、当然の仕返しだ。
「ああ、貴女は国を救いし救国の聖王」
起動コードと唱えながら、ヴィヴィオは運命のようなものを感じていた。
確かに、これは自分が一番使いこなせる七式だろう。むしろ適任は自分しかいない。
「聖王の威光を再びここに。揺り籠は民を救う為に」
悲劇で終わった彼女の力を、あえて自分はここに借りよう。
このメガフロートにいる人達の人生を、悲劇で終わらせない為に。
「―お願いします、力を、貸して!!」
ゆえに、
そして、その願いに彼女は答えた。
「七式、騎式、起動!!」
その言葉と共に、戦闘状態に入っていたヴィヴィオの全身に装具が装着される。
ドレスと戦装飾を融合させたようなその豪奢な姿は、見るからに高貴な立場のものを思わせる。
同時に、ただでさえ優れていたヴィヴィオの気配がさらに鋭くなる。
これこそが、聖王核の力と天性の素質の融合によって生まれる、長きに渡る戦いを終わらせた揺り籠の聖王。
オリヴィエ・ゼーゲブレヒト。ヴィヴィオの遺伝子上のオリジナルである。
元々研究段階で、どの英霊を発動可能にするかも考えてないものが多々あった七式の中で、騎式をこれにすることを兵夜が決めたのは偏にヴィヴィオの安全確保だ。
近年きな臭い現状を警戒して、自分達から引き離すという選択肢もあったが、それもリスクが大きい。
なにせ、既にエイエヌ事変解決に貢献しているヴィヴィオはフォンフも注目している。
若き天才と称されたフリードを、一対一で足止めして誘導することができる時点で、そのポテンシャルは計り知れない。
フォンフなら何らかの形でどちらにしてもちょっかいをかけてくる可能性があった。
故にあえて目のつくところにおいてカバーできるようにするという方針を兵夜はとることにした。
この場合なら、何かあっても即座に把握して対応する余地が出てくるからだ。最悪の場合優先順位の高い自分が囮になるという戦術もとれる。
とはいえそれだけでは危険なので、それ相応の護身装備が必要。
どうせならアインハルトと合わせて七式にするというところまで思いつき、兵夜は速攻である事実に思い至る。
それが、フォンフ・シリーズのメンバーであるD×Dのローランだ。
この次元世界の英霊がサーヴァントとして召喚する余地があるのなら、ミッドチルダやベルカの英霊も召喚できるのではないか。
そしてその中でヴィヴィオと相性が良く、かつ優れた能力を持っていることがわかるのは誰か。
……必然的に彼女がテストケースとして選ばれる為に必要な条件はこれでクリアされた。
「……真名、解放!」
そして、其れこそが上の人員に文句どころか絶賛すらさせるほどの切り札ともいえる宝具。
もとより騎式はライダーの七式。騎乗物こそが真骨頂。
それは、かつての戦乱を終結に導いた戦船。
時空管理局においても、極めて危険と認識されるロストロギア。
条件さえ揃えば衛星軌道上からの対地・対艦攻撃を可能とする重装備を保有し、ブルーエリジウムを大きく上回る巨体を保有。
大気圏内・宇宙空間・次元空間でも航行及び戦闘を可能とする圧倒的な飛行戦闘艦艇。
加えてヴィヴィオ自身が制御コアとして行動していたことから、かのマッドサイエンティストであるスカリエッティが開発し、さらに元々存在していた多数のガジェットドローンを運用可能という機能拡張迄保有。
単体でレヴィアタンと真正面から戦闘を可能とし、ブルーエリジウムを守る盾にもなる。
その宝具の名は―
「
と、いうわけで騎式の七式はオリヴィエでした。
そりゃヴィヴィオなら相性抜群以外の何物でもないでしょう。ある意味オリジナルなんだから。
ちなみに、聖王のゆりかごの全長はすうkm。たぶんブルーエリジウムよりでかい。
……雪侶達はそのへんの後始末を獅子王機関と太史局に押し付けるつもりです。散々振り回された意趣返しとはいえ鬼だあいつ等。