汚い艦娘を見つけたので虐待することにした   作:konpeitou

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特に理由の無い番外編です。

明石の恐怖実験シリーズ。


第三十二話 番外編 明石と性格反転薬

「できました提督! 性格が反転する薬です!」

 

「なにしてんだお前」

 

 明石は優秀だがどこかおかしいやつだ。

 まーた変なモン作りやがったなぁ。

 

「凄いんですよ、人の性格を変えちゃうなんて!」

 

「それ試したのかよ?」

 

「…………理論上は、大成功する、はずです」

 

 なーんか嫌な予感がするんだよなぁ。

 こういう時の俺の勘は意外に……。

 

「なーんて、冗談です。そんなの流石にこの私でも作れませんよ!」

 

 なんだ。

 くだらねえ嘘ついてんじゃねえよなー。

 

 生意気なやつだぜ!

 

「ところで提督、喉かわきません?」

 

「あー、渇いたなぁ」

 

「コーヒーありますから、よかったらどうぞー」

 

 コーヒーだと!?

 こいつぁありがてえじゃねえか。

 

 なかな気が利くやつだな、明石よ!

 是非いただくぜぇ!

 

 ん?

 

「なんか甘えな。砂糖でも入れたか?」

 

「え!? はは、すこーしだけ、ね?」

 

「ふーん、俺はブラック派なんだ、覚えとけよ」

 

 まぁいいか。

 ぐっと一気に飲みほすぜ!

 

「……っしゃ」

 

「どうした明石?」

 

「いえなんでもー」

 

 おかしなやつだ。

 さて、目も覚めたことだし、虐待でもしにいくかな。

 

 ……ん?

 なんか、視界が歪みやがる。

 

 なんだ、こりゃぁ……。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ゲァーハッハッハ! 成功しましたよ!」

 

「上官に一服盛るなんて所業、ぶっちゃけ震えますが」

 

「実験には犠牲はつきもの、覚悟してるんですよ私は!」

 

 提督ならなんやかんや有耶無耶に出来そうだしね!

 さて、眠っちゃった提督を椅子に座らせて、と。

 

 目を覚ました時、性格が反転してるはず。

 

 しかし、一体どうなるんだろう。

 気弱な感じかな?

 それともとっても優しい……。

 

 あれ?

 ちょっと待って。

 今まで彼は私達にとても良くしてくれた。

 

 それが反転しちゃったら……。

 もしかして、やばい事しちゃった?

 

 ど、どうしよう。

 効果持続は約二時間程度。

 

 解毒薬なんて作ってないし……!

 

「んァ……?」

 

 目を覚ました!

 ど、どうなるかな?

 

「あ、あの、提督?」

 

「あぁ、明石さん。おはようございます」

 

「!?」

 

 なんだこのイケボ!?

 目付きもクッソ優しい感じになってる!?

 

「失礼しました、突然眠気が襲ってきまして」

 

「え、あ、大丈夫ですか?」

 

 自分で作った薬ながら、恐ろしい効き目だ。

 なんか顔まで別人になってる気がする。

 

「ええ、問題ありません。有難うございます」

 

「あ、ならいいんですけど……」

 

 深々と頭をさげ、爽やかに笑う提督。

 うーん……。

 

「さて、私は職務がありますのでそれでは」

 

「げ!? ちょ、ちょっと待ってください!」

 

 不味いです!

 この状態の提督を外へ出して、他の娘に見られたら!

 

 絶対めんどくさいことになります!

 

「? どいてください明石さん」

 

「い、いやぁ、ちょっと休憩していきません?」

 

「有難い申し出ですが、私は提督。職務を全うしなくては」

 

 なんだこの人!?

 ぶっちゃけ性格自体はそこまで変わってないけど、態度が違い過ぎる!

 

 ていうか、なんかキモイ!

 

「……明石さん!」

 

「ふぇ?」

 

 提督がマジ顔で私の両手を掴む。

 ちょ、顔が近いですって!

 

 なんかこのパターン前も見た気が……!

 

「お願いします! 私を行かせてください!」

 

「ひゃぁ、あ、提督……」

 

「明石さん! 貴方の良心を!」

 

 なんだこれぇ。

 ていうか、手があったかい。

 まさか、この私がこんなチョロインだったなんて……。

 

「わ、わかりまひた……」

 

「有難う御座います! では!」

 

 提督を止められず、その場にへたり込んでしまった。

 し、刺激的すぎる!

 

 これは大変なことになったなと思いつつ。

 もうどうにでもなれとも思ってしまった。

 

「はぁ……提督……♡」

 

 今度は惚れ薬でも作ろうかな……。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「おかえりなさい、皆さん!」

 

「……へ?」

 

 出撃任務から帰投してきた皆さんを出迎えます。

 命をかけて戦う彼女達に、最大限の礼を!

 

 正しき礼儀から、正しき心が生まれるのです!

 

「な、なんや君、新手の虐待かいな?」

 

「龍驤さん!」

 

 小破した龍驤さんに思わず駆け寄ります。

 ああ、こんなになって!

 

「怪我していませんか? 損傷箇所は!?」

 

「ちょお、ホンマになんなん!?」

 

 こんな小さくてフラットな身体で頑張ってくれて。

 本当に、感謝です!

 

「皆さんも本当にお疲れ様です!」

 

「んー、司令、熱でもあるんですか?」

 

 比叡さん、そんな事ありませんよ!

 愛する艦娘の為なら、当たり前のことです。

 

「私は龍驤さんを連れていきます。では!」

 

「うわぁ、ど、どないしたんやー!?」

 

 龍譲さんの小さい身体を抱きかかえます。

 掠り傷でも、早く治してあげないと!

 

「あ、歩けるから! 歩けるって!」

 

「いえいえ、遠慮なさらずに」

 

「堪忍してー!」

 

 駄目ですよ龍驤さん!

 そんなまったいらな身体で無理しないで下さい!

 そんな幼児体型なんですから!

 

「妖精さん、お風呂の用意をお願いします!」

 

「ホンマいい加減に……」

 

「身体を労わって下さい! 貴方が大切なんです!」

 

「え……」

 

 龍譲さんは分かっていない!

 どれほど俺が貴方達を大事に思っているか!

 

「ほら、大人しくしててください!」

 

「あ、うん……」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 その後、提督は様々な艦娘に出会った。

 その二時間は、まさに黄金体験だった(艦娘にとっての)。

 

 提督に愛をささやかれた艦娘は、ことごとく轟沈し。

 普段以上の身体接触に、大破判定を喰らって行った。

 

 夢の、ひとときだった。

 しかし、これは偽りの夢。

 

 そして、犯人はあっさり捕まった。

 

 提督は時間経過後、また眠りについた。

 そして元に戻った時、記憶を失っていた。

 

 艦娘達は、これでいいと思った。

 いつもの提督が一番だと。

 

 ぶっちゃけ、キモかったと。

 

 なんてことのない騒動は、幕を閉じた。

 

 明石は語る。

 

「性格反転というか、なんというか」

 

「そもそも根本が変わっていなかったと思うんですよねぇ」

 

「実験は成功だ、とは言い難い結果になりましたね」

 

「というかそろそろ解いてくれませんかね?」

 

 明石は、艦娘達からお仕置きを受けていた。

 私刑を行うほど、歪んでしまった艦娘達。

 やはり虐待提督の影響か……。

 

 

 明石の研究は続く……。

 

 




マッドサイエンティストと化した明石さん。
ドタバタ回でした。










こんな事してる間にも時雨は……。

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