中尉のダンジョン攻略! 作:中尉好き
普段は1週間に500文字程度しか書けないのでもっと遅いです。
中尉感難しい…
ヴィルヘルム
Lv.1
力:I 0
耐久:I 0
敏捷:I 0
器用:I 0
魔力:I 0
《魔法》
【
詠唱式[
・基本アビリティに上昇補正。
・攻撃した対象からあらゆるエネルギー、基本アビリティを吸収する。
・一度の精神力消費で発動を停止するまで効果永続。
【
詠唱式[
・ 自身を展開し周囲からあらゆるエネルギーを吸収、自身の基本アビリティを強化する。
・ 渇望の丈により効果上昇。
・【
《スキル》
【
・ 基本アビリティ上方補正。
・ 攻撃時、攻撃対象から微量に基本アビリティ、体内エネルギーを吸収する。
・ 特殊状況下により効果上昇。
イシュタルはヴィルヘルムのステータスを見て驚愕し、興奮した。
(すごいじゃない‼)
基本アビリティはおなじみのオール0。しかし目を見張るべきはスキルの欄と魔法の欄に既に記載があったことだ。魔法の欄には二つ、スキルの欄は一つ。これはなかなかレアなことなのだ。
基本的は冒険者となったばかりのもののステータスは真っ白なものになる。基本アビリティは0で、スキル魔法もなし。中には既に発現するものもいるにはいるが人間には滅多なことではありえない。あるのはもともとの種族としての能力のようなものばかりだ。ヒューマンは基本、これから冒険することによって初めて獲得できるものなのだ。
しかし、ヴィルヘルムは最初から獲得している。これは才能がある方として問題ないレベルだ。
(読めない文字があるのは少し疑問だけれど、それぐらいなら大丈夫でしょ)
「おい、俺にも見せろよ」
「…はいはい、ちょっと待ちなさいよ」
イシュタルはヴィルヘルムにも見えるように書いて渡した。
「なるほど大体は事前に聞いてた通りだが、魔法やらスキルやらは最初は基本ねぇんじゃなかったのか?」
「あなたに才能があったってだけよ。よかったじゃない」
「…そうかよ。ただこの力とかが0ってのはどうにも気に入らねぇな」
ヴィルヘルムはまずスキルの欄に注目し、そこに書かれている内容を確認した。イシュタルには読むことはできなかったようだが、ヴィルヘルムは効果ともどもしっかりとそのスキルと魔法を認識できていた。【クリフォト・バチカル】。全く聞いたことのない単語ではあったが、この名前を聞くとなぜか安心できたような気がした。不思議な感じではあったが、ヴィルヘルムはこの感覚が嫌いではないと思った。そして魔法。大層な詠唱が付いているこの魔法はヴィルヘルムになんの感情も齎すことがなかった。まるで、
そして、次にステータスの一部を見ながら不満を漏らした。
「そこは最初はみんなそうなるって言ったじゃない。これから上げていけばいいのよ」
「ふん」
ヴィルヘルムはイシュタルの励ましに、不満げに鼻を鳴らした。そして次には自身のステータスが書かれている紙をおもむろに投げ捨てた。そうしてそのままイシュタルの部屋から出ていこうとする。
「ちょっと、ステータスが書いてあるんだから乱暴に扱わないで。外に出ていったら大変じゃない」
「はっ、そんな弱っちいステータスなんざ誰が見たがるかよ」
「バカ言わないで。スキルはレアだって言ったでしょう?ほかの神に見つかると面倒だから気をつけなさい。他の眷属たちにも決して見せないで」
「…あーはいはい、わかりましたよっと」
適当に話を流しながら歩を進め、丁度最後の言葉で部屋から出る。ステータスが気に入らないと言っていたことから、きっとこれからダンジョンにでも早速向かったのだろう。
いい拾い者であったと思いながらも微妙に扱いにくいヴィルヘルムにイシュタルはそっとため息を漏らした。
イシュタルの部屋を出たヴィルヘルムはその後イシュタルファミリアの
イシュタルによれば、神から恩恵を与えられただけでは好きにダンジョンには潜れないらしいのだ。ギルドに行き、どこの所属か、出自はどこか、名前は、今まで何してきたの?ということにこたえることで冒険者登録をし、ギルドの職員に担当としてアドバイスをもらったり、ダンジョン内の詳細な情報を聞いてやっと潜れるようになる、とのことだ。
言われたギルド本部のある地点に近づくにつれて塔が徐々に大きく見えだすことから、ヴィルヘルムはギルドがあのでかい塔の真下にあるということをしっかりと認識した。一応最初に聞いていたことであるのだが、聞いただけなのと実際見るのとでは印象が違うものだ。塔も遠くから見るときは特に何も思わなかったが、近くで見るとその大きさについ感心してしまう。
あの上に神が住んでいるというのも最初はおかしな奴らだ、と思っていたが確かにこの光景を見てみた後だと、それも悪くないと考えてしまう。
「―――」
感心しながらもしっかりと歩き続けていたヴィルヘルムの足が止まった。そして彼はふと塔を、塔の最上階へと目を向ける。
何かに見られた。何に、というのが全く分からなかったが、ヴィルヘルムの鋭利な本能は何かからの視線を確実に感じ取っていた。しかも、その視線の元はきっとこの塔の最上階あたりだ。
「…ちっ」
イシュタルによればこの塔に住んでいるのは商店が設置されている低層以外、神たちだけらしい。そこから視線を感じたということはそういうことなのだろう。イシュタルは魔法やらスキルやらがバレるのはまずいとも言っていた。さすがにバレていて見られたということはないだろうが、警戒しておこうとヴィルヘルムは塔へ注意深く視線を送り続けた。
到着したギルド本部は、思った通りの賑わいぶりだった。どこを見渡しても冒険者だらけ。複数人で訪れれば迷子になってしまいそうな、そのぐらいの賑わいだった。
目的のギルドカウンターを見てみるとやはり大きな人だかり。これは時間がかかるなと思いながらも、ヴィルヘルムは列に大人しく並んだ。
列はしばらくの間一向に進まなかったが、辛抱してかなりの時間を待つと、やっと受付嬢が見え始めてくる。かなりの人数の冒険者を捌いてきたはずだが、その顔に疲れは見えない。大した根性だとヴィルヘルムは彼女たちに少しだけ尊敬を向けた。
前の冒険者の番がやっと終わり、ヴィルヘルムの順番がやって来た。受付嬢は
「いらっしゃいませ、冒険者様。本日はどのようなご用件でしょうか?」
おそらくは訪ねてきたもの来たものすべてにこう返しているだろう、定型文のようなしっかりとした言葉と表情で受付嬢が話しかけてきてくれる。美しい顔に美しい笑顔が携えられているこの光景に多くの男性が勘違いしていることだろう。
「いや、俺はまだ冒険者じゃねぇ。冒険者登録をしに来たとこだ」
「了解しました。冒険者登録ですね。手続きを行いますのでこちらに来てください」
少し移動した場所で紙とペンを渡される。
「悪ぃが俺は字が書けねぇんだが」
「かしこまりました。では、こちらで書きますので、こちらの言うことに答えてください」
字が書けないということは珍しいことではないのだろう、受付嬢はすぐさま対応に移った。
そこから名前、所属ファミリアなどが聞かれ、答えると受付嬢が用紙に記入していく。ステータスを聞かれた際、答えるのに一瞬迷うが、必要なことだとわかるとしっかりと伝えた。オールゼロのステータスを伝えるのは少しプライドにストレスをかけたが、何とか持ちこたえる。
「はい、ではこれで冒険者登録をするので少しお待ちください」
すべての要項を書き終え、受付嬢はギルド本部の奥の方へ一旦下がっていく。ここで少し暇になったことで、ヴィルヘルムはもう一度ギルド内部を見渡した。活気のあるここでは多くの人が自身に満ちた表情をしており、深刻そうな顔をしているものは少ない。生きるか死ぬかもわからないところへ毎日のように向かうというのに、そんな表情ができている者たちがたくさんいることに、ヴィルヘルムは自然と、気分が高揚したのを感じた。
「おまたせしました。冒険者登録終了です」
受付嬢が戻ってきてそう言った。
ヴィルヘルムはこれでやっとダンジョンに行けると思った。思えばここまでの道のりも長く面倒なものだった。ヴィルヘルムはもともと辛抱することが得意ではなく、ここまで回りくどいことをしているうちにストレスが溜まっていた。早くモンスターどもをぶっ殺しに行こう。そう思って席を立とうとする。そこへまだ話は終わってないとばかりに受付嬢が言葉を発する。
「ヴィルヘルム様は今回が初の冒険者登録のようですね。ですのでこれからダンジョンについての講習を行いますので、これからまたお時間をいただきます」
「あ?」
ヴィルヘルムは半分腰を浮かしかけた状態で動きを止める。今こいつは講習といったか?講習ということは勉強をするということ。勉強。座学。ダンジョンには潜れない。ここまで考えてヴィルヘルムは表情を大きく歪ませた。
「いやそんな面倒なことしなくて…」
「講習を受けられないようでしたら、ダンジョンへの侵入は認められませんね」
「―――」
ヴィルヘルムの発言を遮るように発せれた言葉は、ヴィルヘルムの心に大きく突き刺さる。先ほど言ったように、ヴィルヘルムはあまり気が長いほうではない。ここでヴィルヘルムはいったん心を無にすることに決めたのだった。
「あっ、申し遅れました。私はミルフと申します。これからヴィルヘルム様の担当をさせていただきますので、よろしくお願いします」
受付嬢、ミルフは笑顔でそう告げた。