ニンジャスレイヤー・バーサス・マジカルガールハンター   作:ヘッズ

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第五話キャット・リペイズ・ヒズ・カインドネス♯6

「若人よ目を覚ませ!この学校に通うことは資本主義の豚どもを肥え太らせるだけではなく、君たちを腐敗し堕落させるだけだ!今ならまだ間に合う!公立の中学校に転校すべきだ」アカツキ・ジュニアハイスクールの校門前の道路で男が拡声器を使い懸命に声を張り上げる。

 

だが防音窓ガラスで教室を閉め切り授業を受けている生徒達にその声は届くことはない。すると校門から二人の警備員がイライラした様子で出てくる「ちょっとやめないか!」「だまれ!私は前途ある若者を資本主義の魔の手から救おうとしているだけだ!」「それが営業妨害なんだよ!それに名誉棄損だ!」「黙れ!資本主義の豚に飼われた犬ども!」

 

「ウッセエゾ!」「グワーッ!」警備員が警棒で社会主義を殴打!「貴様!暴力に訴えるか!それに敷地外では警備員に何の権利もないはずだ!マッポに今の行動を通報する」「黙れ!」「グワーッ!」「今までこちらが下手に出ていれば調子に乗りやがって!」「グワーッ!」「こっちは60時間連続勤務中なんだよ!俺たちの仕事を増やすんじゃない!」「グワーッ!」

 

警備員達が男を囲んで棒が叩く!ナムサン!男の行動は学校に対する営業妨害だがここまでされる謂れは無い!警備員たちの行動は明らかに違法行為だ!だが仮に警備員達の行動を警察に訴えても警備員達は勝手に転んだだけと主張し、男の訴えは黙殺されるだろう。

 

社会主義かぶれの胡乱な男と社会的地位があるカチグミの学校の警備員。どちらの主張を信じるか、どちらに味方をすれば得であるかは明らかである。ネオサイタマの警察機構は決して弱者の味方ではないのだ!警備員達はそれを理解していた。

 

「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」社会的後ろ楯があることを理解している警備員達は暴行を止めない。男は日頃ストレスを溜めている警備員たちのガス抜きのためのサンドバックと化している!「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」警備員たちが警棒を振り上げる。だがそれが振り下ろされることはなかった。

 

誰かが警棒を掴んでいる後ろから延びる手を確かめるべく振り向くとそこには少女が立っていた。「何だお前は!」警備員たちは警棒を動かそうとするが墓石めいて動かない。少女は警備員達をじっと見つめる。憐れみ、侮蔑、怒り。様々な感情が含まれている。すると少女の目線に耐えかねたのか警備員は目線を逸らす。それを見て少女は警棒から手を離した。

 

「……これぐらいで勘弁してやる。次やったらもっとヒドイことになるぞ!」警備員達はそそくさと敷地内に戻っていった。「大丈夫ですか?」少女は男のもとに座り込み声をかける。男は声を出さないが静かに頷いた。「今救急車を呼びました。あと申し訳ないですが私用があるので付き添いはできないです」「大丈夫だ。ありがとう」男は弱弱しい声で答える。

 

「すみません」少女は男に何かを耳打ちした後一礼し男のもとを離れていく。あの警備員の思ったことが正しければ男性が警察に訴えてもまともに取り扱ってくれないだろう。だが『会社に知らされたら困る』という困った声が聞こえてきた。制服に会社名が書かれており、社会主義者の男性には警備員の会社名を伝えた。

 

警察がダメでもマスコミ等に伝えればニュースとなり、あの警備員達は何かしら罰せられるだろう。しかしこの世界の警察は弱者を守ってくれないか。少女、スノーホワイトはこの世界の警察の腐敗を憂いた。

 

そしてスノーホワイトはアカツキ・ジュニアハイスクールを囲む壁際に歩きはじめ校門と真逆の壁で歩みを止めた。少女は壁に四回ほどノックする。コン、コン、コン、コン。壁の内側から同じようなノック音が聞こえてくる。すると壁の下側に一人通れそうなほどの空間ができていた。

 

少女は壁の下側を這うように移動し敷地内、アカツキ・ジュニアハイスクールに入り込む。敷地内を物陰に隠れながら進むとそこは陽の光が届かない校舎裏だった。すると一人の少年がスノーホワイトを出迎える。「ドラゴンナイト=サン。誰かに見られていない?」「ここは滅多に人が来ないし、居ないことも確認したから大丈夫」

 

「それでカキフラヤ・ジンスケさんの講演会はいつ?」「いま昼休みで休みが終わってからすぐ」

 

 

 

◆◆◆ドラゴンナイト

 

「クラスごとに一列に、左から出席番号が小さい順に並んでください」

 

 教師の一人がマイクで全生徒に呼びかける。しかし体育館には学校の生徒全員が集まり、それぞれがおもいおもいに喋っているせいか雑音が大きく教師の呼びかけはひどく聞こえづらい。

 そんな中カワベ・ソウスケ、ドラゴンナイトは先生の呼びかけとおりクラスの出席番号と同じ個所のパイプ椅子に座った。1週間前のホームルームでカイフラヤ・ジンスケはOBであり、授業の一環として講演会を行うことを発表した。

 

 胡散臭い偽善者、それがジンスケに対するドラゴンナイトが抱いた印象だった。ペットのために利益度外視で色々と活動しているようだが、どうせすぐ止めるだろうと思っていた。

 だがその活動はしばらく続き、その活動が評価されブディズム界のアークボンズであるタダオ僧侶から第三級聖人認定された。本音では利益度外視の行動は本心の善行であってほしいと思っていたが本当のようだ。そのジンスケがどのようなことを喋るのか少しばかり楽しみだ。

 そしてスノーホワイト、ジンスケが講演会をすると世間話で喋ると興味がわいたようで色々と聞いてきた。スノーホワイトも講演会を聞きに来ればよいのだが、生徒のために開催されるもので一般開放されておらず部外者は参加することはできない。ならばスノーホワイトが聞ける環境を整えればいい。

 ドラゴンナイトはそのために部外者でも学校敷地内に入れる秘密の抜け穴を見つけ、表立って参加できないが舞台裏で聞けるよう体育館準備室の施錠を解くなどして準備を進め、今スノーホワイトは舞台裏に潜み話を聞くだろう。

 

「では、これからカキフラヤ・ジンスケ=サンによる講演会が始まります。温かい拍手でお迎えください」

 

 生徒達は儀式的に拍手をおこない壇上にはジンスケが上がってきた。服装はジュニアハイスクールでの講演会という場に則してか、TVの時に着ていた派手なスーツではなく、地味なスーツを着ていた。

 

「ドーモ、マルノミ社CEOカキフラヤ・ジンスケです」

 

 ジンスケが挨拶すると生徒達は疎らな拍手を送る。それが気に入らなかったのかジンスケは挨拶を促す。

 

「挨拶が聞こえないぞ皆。それじゃノリモト校長に怒られるぞ。私がここに居た時はまだセンセイで、よくゲンコツフィストを受けたものだ。今だったらコンプライアンス違反でクビだ。おっと、これは他の人には言っちゃだめだ」

 

 ジンスケは人差し指を口に立てジェスチャーし、しまったと慌てながらノリモト校長に平謝りする。そのコミカルな様子に生徒達がクスクスと笑い声を出す。

 CEOという肩書きに相応しく厳格な人物だと思ったが、随分フランクで抜けている人だ。ドラゴンナイトが抱いていたCEO像は崩れていく。

 誠実で正義感を持っており、フランクな一面を持っている。カキフラヤ・ジンスケという人物への好感度はますます上がっていく。ジンスケが喋り始めると自然と視覚と聴覚に意識を集中させていた。

 話は生い立ちに始まり、学園でのエピソードや仕事で得た教訓など比較的に当たり障りのない話だった。だがテレビにも出演しているだけあって、トークが上手くついつい熱心に聞いてしまうものだった。

 

「では、質疑応答に入ります」

 

 話が終わると残りは質疑応答の時間になる。この時間になると大概誰も質問せず、沈黙し気まずくなる。それを防ぐために各クラスで質問内容を決め代表者が質問をする。

 内容は教師が添削したこともあり、実に当たり障りのないだった。中には予定外の質問もあり「秘書と上下関係なんですか?」と下品な質問をしてきた生徒もいた。あれは恐らく今年入学した生徒だろう、この年の男子はすぐに性的なことに結びつける

 あの質問をした生徒は学校に相応しくないと研修を受け、二度とこの手の質問をしなくなるほど別人のように性格を矯正されるだろう。研修を受けたクラスメイトを見てきたので知っている。一方その質問にもジンスケはウィットに富んだ回答で周囲を笑わせた。

 

「最後の質問になります。質問がある生徒はどうぞ」

 

 司会が促すと複数の生徒が手を挙げて、男子の生徒を指名しマイクを持って立ち上がる。席からして下級生のニュービーだろう、また変なことを言って研修されなければと憂いながら言葉を待った。

 

「ボクの家で飼っていたネコのブチはシシマイ社のペットで……マルノミ社のペット教育を受けました」

 

 ニュービーの言葉を聞き事情を察する。シシマイ社の猫の遺伝子的欠陥が発覚し、凶暴化の恐れがあるというニュースが発表され、それを知った人々が猫を捨て、それが野良猫となることが社会問題になっていた。

 その問題に対しマルノミ社は猫の保護や無償でペットを引き取り再教育して元の飼い主に返還するというサービスを行っている。遺伝子的欠陥による凶暴化はマルノミ社独自の教育により治すことができるらしく。多くの飼い主は喜びの声を上げていた。

 しかしこれは質問ではなく独白だった。教師達は質問をやめさせようとしたがジンスケが手で制し続行させる。

 

「ブチは帰ってきてから大人しくなり、両親は喜びました。でもあれはブチじゃない!ブチはやんちゃだけど、問題になるほど凶暴ではなかった。姿は一緒でも何かが違う!マルノミ社は何をした!?アンタは何をした!?戻せ!ブチを戻せ!」

 

 下級生はマイクを叩きつけると怒りの表情を浮かべながら壇上に向かって走っていく。だが下級生はジンスケの元にたどり着くことなく、ジンスケのSPのような人物に取り押さえられた。

 そこにジンスケが歩み寄り、90°に頭を下げる。この角度はネオサイタマに置いて最上級の謝罪の時に行う角度だ。

 

「シシマイ社のネコには遺伝子的欠陥による凶暴化があり、我が社の再教育で凶暴化を沈静化させることはできる。これは事実だ。だが!君のブチが再教育によってパーソナリティが変わってしまった可能性は否定できない。我が社を代表して謝罪する。そしてこのような事が起きないようにブラッシュアップし、二度とこのような事が起きないように誓おう!」

 

 ジンスケの言葉に『素晴らしい!』『心が広い!』「アタタカミ!」と周りが賞賛の声を上げ拍手を送り、ドラゴンナイトも拍手を送る。

 ニュービーの言い分はクレームのようなものだ。ネコの様子が気に入らず癇癪を起こしたのだろう、だがそのクレームに対し誠実に対応する。まさに理想のCEOだ。盛大な拍手が鳴り止まないまま、講演会は閉会していく。

 

◇スノーホワイト

 

 カキフラヤ・ジンスケは講演会が終わると校長室に向かっていく。

 部屋の中に入るのを確認し、隣にある職員用トイレに駆け込み聞き耳をたてる。

 声は聞こえるが詳細は分からない、以前所有していた透明になれる外套を持っていれば、部屋に侵入し会話を聞き取れたのに、便利なものを失ったことへの未練を抱きながら聴覚に神経を集中させる。

 

 胡散臭い。

 

 それがカキフラヤ・ジンスケに抱いた印象だった。以前ならTVで喋っていた善行を素直に信じていただろう。だが様々な体験を経て多少なり擦れてしまい、素直に信じきれなかった。そんな時にジンスケがドラゴンナイトの学校に来ることを知った。

 自分の魔法なら多くの事を知ることが出来る。それにマタタビの件とミナト・ストリートの件は関連性がないとドラゴンナイトに言ったが、やはり同時期にネコによる傷害事件が発生したことは偶然ではないと思えてきた。もしかすればネコの事なら関連会社のCEOとして情報が入っているかもしれない。

 スノーホワイトはドラゴンナイトに誘導され、舞台裏に潜み話を聞く。講演会の最中は特に有益な困った心の声は聞けずにいた、無駄足だったかと帰り支度を始めていると、ある困った心の声を聞き意識を向ける

 

(((ブチが変わってしまって困る!)))

 

 その声は今発言している男生徒からの声だろう。その真剣さと悲痛さだけでペットの変化に本当に困っている事が伝わってくる。

 するとキーンと耳障りな音が鳴ると男生徒の声が消え、生徒たちの困惑の声と先生の荒々しい声が聞こえる。そして暫くするとジンスケが喋り始めるとスノーホワイトの表情が厳しくなった。

 

(((遺伝子的欠陥による凶暴化が嘘だとバレたら困る)))

(((カベに耳有りショウジに目有り計画がバレたら困る)))

 

 ミナト・ストリートのネコ傷害事件は、ある会社で生産されたペットの欠陥により発生した事は知っている。それはデタラメだったという事か?

 それに壁に耳有り障子に目あり計画という謎の単語。どのような計画は判別できないが、明らかに怪しい。これはジンスケに尋問する必要が有る。

 スノーホワイトは講演会が終わるのを見計らって舞台裏から外に出て追跡を開始する。

 会話の中でこの後は校長室で話すことが分かり、落ち合う予定だったドラゴンナイトに校長室の場所を聞き出すと、様子を観察しようと先回りしトイレに忍び込んでいた。

 ただ其処が男性トイレだったので、僅かばかりの気恥ずかしさと罪悪感があった。

 

 30分経過するが話はまだ続いている。すると話し声が聞こえなくなり、扉が開く音が聞こえてきた。

 話が終わって学校を出るのか?スノーホワイトはトイレ出入り口から様子を見る為に個室から出ようとする。その瞬間に扉が開く音が聞こえ直様個室に戻る。

 瞬時に個室に戻ったことでトイレに入った者はスノーホワイトが居ることに気づいてはいない。安堵の息を漏らした刹那再び緊張が走る。トイレに入ってきた者はジンスケだった。

 姿は見ていないが聞こえてくる心の声は間違いない。足音からして立ち便器で用を足そうとしている。そこから瞬時にジンスケを個室に引きずり込んだ。

 

「声を出さないで」

 

 スノーホワイトは後ろからジンスケの口元を押さえ、魔法のカバンから取り出した刃物を首元に突きたてると精一杯の殺気を込める。

 すると殺気に臆したのかジンスケは力を緩める。その様子を確認するとスノーホワイトは尋問を始める。

 

「遺伝子的欠陥による凶暴化が嘘ですか?ならば何故ネコは凶暴化したのですか?」

 

 声は出さなくともジンスケは目を見開き驚愕しているのは分かる。それと同時に質問の答えも返ってくる。

 

(((嘘だとバレたら困る!ニンジャがやったとバレたら困る!)))

 

 ミナト・ストリートの事件とマタタビに起こった事は繋がる。一連の事件はニンジャの仕業だった。それを知っているということはマタタビを操ったニンジャを知っている可能性がある。直様次の質問に移る。

 

「猫を操るニンジャの所在を知っていますか?壁に耳有り障子に目有り計画とは何ですか?」

 

 ジンスケの目から血が出そうなほど目を見開く。トップシークレット中のトップシークレットを何故知っている!?スノーホワイトに抱いていた感情は驚愕から恐怖へと変わる。するとスノーホワイト数秒間沈黙した後呟く。

 

「このまま目をつぶって手を後頭部に付けて床に伏せてください。目を開けたり、体勢を崩したらどうなるか分かりますよね?」

 

 スノーホワイトの冷たい声に恐怖しながらジンスケは指示通り行動する。ジンスケが床に伏せたのを確認すると窓からトイレに脱出する。ジンスケはその事に気づかず床に伏せ続けた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「それ本当?日刊コレワの記事の話じゃないよね」

「信じられないと思うけど、本当のこと」

 

 スノーホワイトの言葉を聞きドラゴンナイトとマタタビは沈黙する。アジトの中にはマグロツェッペリンの欺瞞的な電子マイコの宣伝音声が響き渡る。

 スノーホワイトは昨日の出来事とジンスケから聞いた事をすべて話した。一連の事件はニンジャの仕業ということ、ドラゴンナイトと一緒に見たTV内容はヤラセであったこと、壁に耳有り障子に目有り計画についても。

 

「ネオサイタマでそんな陰謀が計画されていたなんて……」

 

 ドラゴンナイトは「まさか…そんな……」と独り言を呟きながら手で口を覆いながら動揺していた。無理もない、自分自身もあまりの突拍子のなさに信じきれていない部分がある。それ程までにショッキングな話だ。

 一方マタタビは怒りで体を震わせている。壁に耳有り障子に目有り計画で多くの同胞が意思を捻じ曲げられ飼い主を傷つけ、再教育の名のもとに得体の知れない薬剤を投与され陰謀に加担させられている。ネコの尊厳を踏みにじるその所業に激怒していた。

 

「それで明日の夜に、ナシタニ=サンが陰謀の一環として殺されると」

「そう。ナシタニさんが殺されるとその計画がさらに進行するみたい」

 

 ドラゴンナイトの言葉にスノーホワイトは頷く。心の困った声から計画とナシタニの殺害計画を聞いていた。

 

「なら阻止しないと!でもナシタニ=サンが住んでいる地域は知っているけど、場所は分からないし……」

 

 ドラゴンナイトは思わず頭を抱える。住んでいる場所はカネモチ・ディストリクトであることは知っているが場所が分からない。

 カチグミの住居は秘匿され、調べようにもヤバイ級のハッカーならともかく、一般人程度の知識と技術しかないドラゴンナイトには調べることは不可能だ。

 

「そこはどこだドラゴンナイト=サン。私が探す」

「マタタビ=サンが?」

「この中で私が一番素早い。その地域を駆けずり回って見つけ出す。時間がない早く教えてくれ」

 

 ドラゴンナイトはマタタビのアトモスフィアに気圧されながらもカネモチ・ディストリクトの場所を教えた。

 

「では明日そこに来てくれ、見つけていたら案内する」

 

 マタタビは二人に言い残すと色つきの風めいたスピードでアジトを後にした。

 二人の間には沈黙が訪れる。ドラゴンナイトは沈黙に耐えかねたようにスリケンを生成すると的に向かって投げ込み始める。カッカッとスリケンが的に当たる音がアジトに響く。今日のスリケン投擲の威力は高いがいつもより精度は悪かった。

 

「カチグミでも良い人は居るって、結構リスペクトしていたんだけどな、やっぱりカチグミは悪い奴ばっかだ」

 

 ドラゴンナイトは独白しながらスリケンを投げ込み、スノーホワイトはその姿を黙って見つめる。ドラゴンナイトの心の声から落胆の感情が伝わってくる。

 彼はカチグミを軽蔑している。その中で尊敬できる人を見つけたが結局は悪人だった。それは裏切りであり心を深く傷つけた。

 

「僕はカチグミになっても、絶対に悪事はしない、正しいカチグミになってやる!」

 

 スリケンは的を突き抜けコンクリートにめり込んだ。ドラゴンナイトはスノーホワイトに顔を向ける。スリケン投擲で鬱憤が晴れたのかその表情はいつも通りの爽やかだった。

 

「そのために明日の計画を阻止して、ジンスケ=サンの余罪を暴いてマッポの臭い飯を食わしてやろう!スノーホワイト=サン」

「うん。そうだね」

「じゃあ明日ここで」

 

 スノーホワイトは手を振って別れの挨拶をするドラゴンナイトを見送る。

 ジンスケを逮捕する。それだけで全てが解決できるだろうか?その裏にさらに大きな力と悪意がある気がする。もしそれが見過ごせないものだったら、狩らなければならない。ラ・ピュセルが、そして自分が望む正しい魔法少女なのだから

 




イッキウチコワシ四部に出てこないかな
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