ニンジャスレイヤー・バーサス・マジカルガールハンター 作:ヘッズ
ニンジャスレイヤーはオオアライ・ベイエリアにて壁に耳有り障子に目有り計画を知り、即座にネオサイタマにとんぼ返りする。計画日時は明日のウシミツアワー、オオアライ・ベイエリアからではギリギリ間に合うかどうか微妙な時間だった。
ニンジャスレイヤーの愛機、インテリジェンスバイクのアイアンオトメのスペックとニンジャ器用さによる運転技術により計画時間前にカネモチ・ディストリクトに到着し、ナンシーに割り出してもらったナシモトの家に向かった。その道中にある光景を目撃した。ナシモトが居る部屋に男とネコが対峙している。
ニンジャスレイヤーは住宅の屋根に駆け上がりその様子を注視する。操られたネコから男はナシモトを守ろうとしているのか?するとネコが男に襲いかかった。そのスピードは明らかにモータルを逸脱し、それに対応する男もモータルを逸脱している。ニンジャスレイヤーは男がニンジャである事を瞬時に見破った。
ネコが襲い掛かりニンジャは迎撃する展開が続く。最初は男がナシモトを守るニンジャで、ネコはジツで操られ襲っていると考えていた。だが違う、ニンジャのカラテには余裕があった。操られたネコを直ぐに殺せるはずなのに敢えていたぶっていた。そしてネコのカラテにはジツに操られた者には繰り出せない動きと意志が篭っていた。
男がネコの襟首を掴んだ瞬間にニンジャスレイヤーは瞬時に状況判断した。ニンジャは敵だ。「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは瞬時にスリケンを生成し数百メートル先にいるニンジャに向かって投擲し爆発四散させ部屋にエントリーした。
「オヌシはジツに操られナシモト=サンを殺そうとしたのか?」『ネコを操るニンジャを知っているのか?』「そのニンジャがナシモト=サンを殺そうとしているのを知っている。それで操られているのか?」『違う……操られたのはそこに居るナシモト=サンの飼いネコだ……』ニンジャスレイヤーは部屋を見渡し四匹のネコを確認した。
「先ほど戦っていたニンジャは何者だ?あれがネコを操るジツの使い手か?」『違う……ナシモト=サンを殺そうとした別のニンジャだ……』「そうか」ニンジャスレイヤーは窓から部屋を出ようとするがマタタビが呼び止める。
『待ってくれ……ニンジャスレイヤー=サン、私はそのニンジャのジツを受けている。だがそのせいか相手の場所が分かる……頼む……テイマー=サンのところに私を連れて行ってくれ……あれは私の……家族の敵なんだ……』マタタビはジツを受け瀕死のダメージを受けながらも懇願するように語りかける。
ニンジャスレイヤーはその言葉に頷くと右手で熟練のトーフ職人めいて繊細な手つきでマタタビを抱き抱えた。「そのテイマー=サンはどこにいる?」『このエリアにいる……東に真っ直ぐだ……』その言葉を聞くとニンジャスレイヤーは色付きの風と化し部屋を出て行く。
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◆ドラゴンナイト
ドラゴンナイトは首を高速で左右に振りながら住宅の屋根をパルクールめいて移動する。ニンジャの動体視力ならば素早く大量の視覚情報を捉えることが可能だ。当てもなくエリアを探索しているとスノーホワイトからIRC通信機から連絡が届く、一方的に用件を伝えると直ぐに通信は切られる。ドラゴンナイトは言葉の意味を読み解き行動に移した。
スノーホワイトが捜索しているエリアは知っている。自分がやることはそこに向かい赤いコートを着たニンジャ、猫を操るジツのニンジャを見つけることだ。
ドラゴンナイトはスノーホワイトが居るエリアを我武者羅に移動し捜索する。その結果ストリート等目に見える範囲には姿を確認できなかった。外に居なかったということは住宅に侵入したのか?だとしてもどう見つける?一つ一つの家の中に入って探索するか?それは非効率すぎる。このままではスノーホワイトから託されたミッションを遂行できない。どうしよう!どうしよう!
ドラゴンナイトはパニック状態に陥り次の行動方針を考えあぐねていた。すると屋根から屋根を移動するスノーホワイトと目が合い、スノーホワイトはドラゴンナイトの元へ駆け寄った。
「ごめんスノーホワイト=サン、全然見つからない!それで何があったの!?大丈夫!?」
「私は大丈夫だから落ち着いて、まず深呼吸しよう」
スノーホワイトは諭すようにゆっくりとしたペースで喋り、ドラゴンナイトは一つ深呼吸を行い終わるのを見計らい言葉を続ける。
「ネコを操る忍者を見つけて奇襲をかけたけど、相手は三人組でネコを操る忍者を逃した。それが赤いコートを着た忍者で私は残りの忍者と戦った」
「二人と!?大丈夫だったの!?」
「大した使い手ではなかったから問題ないよ。縄で縛って動けない状態にしているから」
「サスガ!それで赤いレインコートのニンジャは見当たらなかった。もしかして家に立て籠っているのかも」
「それも目星がついている。ついて来て」
ドラゴンナイトはスノーホワイトの後に付いていく。その足取りには一切の迷いが無く、言葉通り目星がついているようだ。スノーホワイトが足を止めドラゴンナイトも足を止める。そこはエリアの住人が利用できる公園だった。
入口前に立て看板には「譲り合って」「怪しければすぐ通報」「怪我は自己責任」と注意書きのような文言が書かれており、敷地には砂場や相撲の土俵や鉄棒、ゴリラと鷲と蛸と龍の形に作られた遊具が中央にある照明に照らされていた。
「ここにいるの?死角とか茂みとか結構重点で見たけど」
ドラゴンナイトは辺りをキョロキョロと見渡しながら公園内に入る。スノーホワイトは一点を見つめながら迷いなく歩いていく。その視線の先にはすべり台があった。滑り台は上も裏も見たが人どころかバイオネズミすら居なかった。本当にそこにいるのか?僅かばかし疑いの目で見つめる。
突如スノーホワイトの空気が張り詰め魔法の袋からルーラを出す。この表情とこのアトモスフィア、新手の敵でも来たのか?ドラゴンナイトはニンジャ5感を張り詰める。するとスノーホワイトが左を向きルーラを構え、ドラゴンナイトもそれに倣うように同じ方向を向き構えた。
闇の中に何かが高速で動いている。それは徐々に近づいてきて詳細が分かってくる。色は赤黒で、そしてシノビ装束を着ているニンジャだ。
そのニンジャは鋼鉄製のマスクのようなものを装着し、そこには「忍」「殺」と刻まれていた。忍殺、直訳すればシノビを殺すということだろうか、何て恐ろしい言葉だ。ドラゴンナイトは思わず身震いする。そのニンジャはドラゴンナイトの前にあるゴリラの遊具を踏み台にして跳躍した。
「イヤーッ!」
「グワーッ!」
ニンジャは滑り台の頂上に向かってスリケンを投擲していたのを辛うじて目で捉える。誰も居ない場所に投擲すれば鉄製の滑り台にあたり金属同士が当たった音がするはずだ。だが音はせず男の悲鳴が聞こえた。
「ドーモ、テイマー=サン、ニンジャスレイヤーです」
赤黒のニンジャは着地するとザンシンを決めながらアイサツする。その目にはドラゴンナイトには推し量れない憎悪が篭っていた。その直後に聞き覚えがある怨嗟の感情が篭った声が聞こえてきた。
『ドーモ、テイマー=サン、マタタビです』
「マタタビ=サン!どうしたのその怪我!」
ドラゴンナイトはマタタビの姿を見て思わず声を出してしまう。白の毛並みは血で染まり、まるで生まれた時からピンク色の毛並みのように染め上がっていた。
『ドーモ、ドラゴンナイト=サン、スノーホワイト=サン。こちらに来ていたのか』
「それよりその怪我は!?」
「かすり傷……ではないが心配することはない。この二人は私の協力者だ。敵ではない」
マタタビの言葉を聞いて赤黒のニンジャが二人向けていた鋭い目つきは弱まり、アイサツする。
「ドーモ、ドラゴンナイト=サン、ニンジャスレイヤーです」
「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン、ドラゴンナイトです」
ニンジャスレイヤー、まさに「忍」「殺」恐ろしい名前だ。ドラゴンナイトは自身とスノーホワイトを守れるように最大限のカラテ警戒をする。
「ドーモ、……スノーホワイト=サン、……ニンジャスレイヤーです」
「どーも、ニンジャスレイヤーさん、スノーホワイトです」
二人もアイサツをする。だがニンジャスレイヤーのアイサツに僅かな淀みがあり、スノーホワイトを訝しんでいるようだった。スノーホワイトはその態度に反応を示さずアイサツをした。
「それで何でテイマー=サンが急に現れたの?」
「姿を隠すステルスコートを着て身を隠していたから、だからドラゴンナイト=サンが見つけられなくても仕方がない」
ステルスコート、そんなものカトゥーンのガジェットだけかと思っていたが実在していたのか。ドラゴンナイトはスノーホワイトの言葉を耳に向けながらテイマーに視線を向ける。するとテイマーはアイサツをおこなった。
○テイマー
「ドーモ、マタタビ=サン、ニンジャスレイヤー=サン、ドラゴンナイト=サン、スノーホワイト=サン。テイマーです」
テイマーは滑り台の上に立ちながらアイサツする。ニンジャの本能で何とかアイサツを行えたが、ニューロン内は痛みや困惑や恐怖でグチャグチャになりながらも状況を整理した。
あのネコが目の前に居るということはディスピアーが殺害に失敗した何よりの証だろう。ニンジャキャットだとしても自分のジツで大幅に力を弱めたはず。それで負けるとは何という脆弱なカラテか。内心で死んだであろうディスピアーに向けて罵倒する。
そしてニンジャスレイヤー、ニンジャを殺し回る狂人がいるという与太話を聞いたことがあるが、まさか本当に実在し目の前に現れるとは!ブッダは居ないのか!内心で己の運命を呪った。
「スノーホワイト=サン、一つ聞きたい。アイアンフィスト=サンとブルーストライプ=サンはどうした?」
そんな事は聞かずとも分かる。目の前にいるということは二人は死んだのだ。ディスピアーなら兎も角二人はそれなりのカラテ強者であったが、こんなティーンエイジャーの女に負けた事に驚きを隠せない。
テイマーは感情を表に出さずにゆっくりとしたスピードでスノーホワイトに質問する。自分に四人の目をかいくぐり応援を呼ぶ為の時間を稼ぐ。それしか生きる道は存在しない
「あの二人なら生きていますよ。今頃拘束を解いてこちらに向かっています。ほらそこに」
スノーホワイトはテイマーの後ろを指差し釣られるように後ろを振り向く。スノーホワイトが居る時点で二人がここに来るはずはない。状況判断する中で希望は消したはずだった。だが絶望的な状況に置かれているテイマーはあるはずのない希望に縋ってしまう。
そこには二人はおらず落胆と嘘をついたスノーホワイトに怒りを抱きながら再び振り向く、目の前には怒りの対象であるスノーホワイトがいた。
応戦する間もなく攻撃され腹部に激痛が走り、耳にガシャンという音が耳に届く。その音は懐に忍ばしておいた応援を呼ぶ為の通信機が壊された音だった。
スノーホワイトは魔法によってテイマーの策を読んでおり、魔法で知った最も効果的な嘘で隙を作り、通信機を壊した。
「グワーッ!」
テイマーは受身すら取れず滑り台から転がり落ちる。スノーホワイトは迅速に行動不能させようと駆け寄ろうとするがマタタビが立ちふさがった。
『ここは私にやらせてくれ、スノーホワイト=サン』
スノーホワイトにはマタタビの言葉は分からない。だが魔法と発する雰囲気から意図を察することができた。
『テイマー=サン。お前のせいでカツタロウ=サンの両親は死んで、兄弟同然のクロも死んだ。その報いを受けろ!』
マタタビは重傷の体から発せられるとは思えないような殺気を発しながらテイマーに近づいていく。テイマーも起き上がりマタタビを見据え戦闘態勢をとる。その目は生き残る手を失って絶望した者の目ではなかった。マタタビと同等の怒りを抱いた者の目だった。
もう生き残れない、自分はここで死ぬ。テイマーの心が絶望に支配されかけていた。だがマタタビの憎悪の目を見てその想いは吹き飛ぶ。何でそんな目を向ける?気に入らない!すべてお前のせいだ!お前が死んでいればこの場を離脱していた!殺してやる!
どうせ殺されるなら、せめてこのネコを殺してやる!テイマーは破れかぶれになりマタタビに殺意を向ける
「イヤーッ!死ねマタタビ=サン!死ね!」
「ニャバーッ!」
「アバババー!」
マタタビは苦しみながら地面をのたうち回る。テイマーは最大出力でジツを行使し目や鼻から血が滴り落ちる。
普段ではここまでの力は出せない、だが残りの命を全て捧げる気概でジツを行使することで威力を上げることに成功した。しかしテイマーへの体へのダメージは凄まじく、目や鼻から血が流し口から血を吐き出す。
「ニャバーッ!」
「アバババーッ!」
両者の叫び声が夜の公園に木霊する。のたうち回り血反吐を吐く姿は目を覆いたくなるような凄惨な光景だった。のたうち回っていたマタタビは立ち上がりテイマーに向かって歩き始める。その足取りは牛歩のように重かったが、一歩ずつ着実に近づいていった。
「ニャーッ!」
マタタビは首元に飛びつきテイマーの首を切り裂き、頚動脈から間欠泉のように血が噴き出す。
「サヨナラ!」
テイマーは自身の体から生まれた血の雨を浴びながら爆発四散する。マタタビは爆発によって飛び散る血を見届け意識を途絶えた。
次で最後です
少し長くなりすぎました