ニンジャスレイヤー・バーサス・マジカルガールハンター   作:ヘッズ

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第十二話 下らなくて大切なもの#7

「準備はOKだな」「はい」「大丈夫です」カワタの言葉にスノーホワイトは助手席で、ドラゴンナイトは後部座席から返事する。3人はカワタの所有する車に乗っていた。目的地はキョート大使館だ。最初は電車で移動する計画だったが、敵に見つかると身動きが取りづらく周りに被害が及ぶということで車での移動になった。

 

「ドラゴンナイトさんこれ着けて」スノーホワイトは魔法の袋からマスクとニット帽を手渡す。スノーホワイトもニット帽を深く被りマフラーで口元を覆う。この時期だとこの格好は熱い、結果的にアマクダリと敵対することになってしまった。だが顔を隠せば二人と認知されない可能性がある。正直気休めだがやらないよりマシだろう。

 

ドラゴンナイトもニット帽とマスクを装着する。普段はリュウジン・ジツでの噛みつき攻撃のために口を塞いでいないが、こうしてマスクをつけると安心感がある。今後はマスクをつけて行動しよう。

 

「指は大丈夫ですか?」「バリキを大量に飲んだからな。マッポに見つかれば逮捕されるけどな」カワタは高揚しながら答える。バリキを大量に摂取すると痛み止めの効果があるが、その状態での車両運転は法律で禁止されている。バリキの摂取は鎮痛の他に精神の保護にも役立っていた。

 

並の人間であれば命をニンジャに狙われていると知れば平静を保てない。だがバリキによる興奮で恐怖心が薄れていた。「よし行くぞ!」カワタはキーを回しエンジンをつけると勢いよく飛び出した。明らかに法定速度オーバーだ!二人は急発進でほんの僅かにバランスを崩す。ニンジャと魔法少女でなければ前につんのめり顔面を痛打していただろう。

 

「テンション上げていくぞ!」ブブブーン、ブンツブンツ!プレイヤーから音楽が流れ始める。これはカワタのお気に入りのリキシ、ストロングロードの入場テーマだ。スノーホワイトは警戒のために止めるように言おうが止めた。死んだら困るという声が常に聞こえている。カワタは死の恐怖と戦っている。音楽で和らぐなら黙認しよう。

 

「ドラゴンナイトさんは後ろを警戒して、私は左右を警戒する」「了解」ドラゴンナイトは後ろの振り向き、スノーホワイトは左右と前方を警戒し魔法の効果範囲を広げる。警戒するのはニンジャとスナイパーの狙撃だ。接近してくるなら魔法を使えば直前で察知できる。狙撃は5感で察知するしかない。

 

「スノーホワイト=サン、そこのIRC通信機をハンズフリーにしてくれ」「どうやるんですか?」「その人が喋っているアイコンを押してくれ、そして連絡帳に書いているファッキン編集に繋いでくれ」「はい」スノーホワイトは指示された通りしてIRC通信機を傍に置く。車内では呼び出し音が鳴り響き、ドラゴンナイトとスノーホワイトは沈黙する。

 

「何の用だ、カワタ=サン?まさか原稿が遅れるとか言うんじゃないだろうな」電話の相手は編集のブスジマだ。その声は明らかに不機嫌である。カワタは不機嫌さを意に介することなく陽気に喋る。「悪いけど、暫く休載して、ネオサイタマを離れます」「あん!?」ブスジマは威圧的に聞き返す。

 

「アシスタントがニンジャに殺されて、オレもニンジャに殺されそうなので、逃げます。そして休載します」「ザッケンナコラー!コミック描きすぎてラリッったんかコラーッ!原稿遅れの言い訳ならもっとマシな言い訳言えコラーッ!」ブスジマの怒声が車内に響き渡る。その怒声の大きさに三人は耳をふさぐ。

 

ブスジマの怒りは最もである。編集は原稿を描かせるためなら覚醒剤を投与させる例があるほど無慈悲である。そんなジゴクめいた催促をする編集に作者自身が休載するという発言は反逆行為そのものである。「シリアスですよ」「今どこだコラーッ!堪忍袋が完全に温まったゾコラーッ!俺がニンジャより先にぶっ殺してやるよコラーッ!」

 

ブスジマはさらに怒声を張り上げる。コワイ!だがカワタは臆するどころか、それに呼応したのかカワタも声を張り上げる。「ウッセエーゾコラーッ!死んだら終わりなんだよ!」「テメエ、逃げるな!まだ前々作と前作のファッキンブルシットな打ち切りの負債払い終わってねえぞコラーッ!」

 

「いずれ払う!」「ファントムサマー社の威力業務部門舐めんなよコラーッ!絶対払わ……」「通話切って」カワタはブスジマが言い終わる前にスノーホワイトに通話を切らせた。「あの……大丈夫なんですか?」ドラゴンナイトが心配そうに尋ねる。「大丈夫なわけないだろう!」カワタは肩をすくめニカっと笑った。

 

「ニンジャに襲われたから逃げますなんて、ラリッた事言って原稿描かないて最悪だろう。信頼は失い、ネオサイタマではもうコミックが描けない」「そんな……」「ネオサイタマでは描けないだけだ。まだ生きている。まだコミックを描ける」カワタはポジティブに言い放つ。だがそれは厳しいことをドラゴンナイトは分かっていた。

 

コミック業界はネオサイタマの1強だ。キョートやドサンコやオキナワにはコミックを出版する会社が一つもない。ネオサイタマ以外の人間がコミックを読む事はあるが、ネオサイタマの人間がネオサイタマ以外で描かれたコミックを読む事は無い。その考えを見透かしたように話を続ける。

 

「ニューロンにある考えが閃いた。IRC上にコミックを載せる。読みたい奴は金を払う。それだったら雑誌が無くてもコミックを載せられるし、金も会社に天引きされずダイレクトに手元に入ってくる。まさにアブハチトラズ!」カワタは言い放つ。実際厳しいだろう。誰もやっていない事は相応のやらない理由がある。

 

ネオサイタマの出版業者から囲んで棒で叩かれるのだろう。だがやってやる。セブンニンジャはライフワークだ。題材にしたニンジャに追われ描けなくなったなんてブルシットな結末にはさせない。「ドラゴンナイト=サン!スノーホワイト=サン!絶対にキョート大使館まで逃げて、コミックを描いてやる!」カワタは高らかに宣言した。

 

車は市街地を抜けてハイウェイを通りメガロハイウェイの一つ、ハリキリ・ハイウェイに入っていく『法定速度を守って』『煽りはダメ』『煽られても落ち着く」電光掲示板には運転手に安全運転を呼び掛けるメッセージが流れる。だが大半の運転手は法定速度を無視し、カワタも無視していた。

 

左を見ればネオン装飾に彩られたデコトラと呼ばれる超大型トラックが並走し、前を向けば積載量を明らかにオーバーした資材を搭載したトラックが走っている。前の車の荷が崩れれば大事故は免れない。スノーホワイトは念のために追い抜くように指示しようとする。『ザッケンナコラー!』カワタはヤクザクラクションを鳴らしながら追い抜いていく。

 

「カワタさん安全運転でお願いします」「悪い!実際遅かったからさ」カワタはバリキが抜けておらず相変わらずテンションが高い。「今のところマッポは来ないね」ドラゴンナイトは後ろを向きながらスノーホワイトに話しかける。「そうだね。でも油断しないで」スノーホワイトは注意を促す。

 

今のところ追手は来ていない。これもファルのお陰だろう。だが車の量が多くなりスピードが出せなくなっている。このままメガロハイウェイを進んだほうが良いのか?ファルに聞こうとするが、液晶には意味不明な羅列が高速で流れており質問するのをやめた。

 

◇ファル

 

「全くマスコット使いが荒いぽん」

 

 ファルはため息をつきながら目の前に聳える巨大な扉を見つめる。扉には鎖がグルグル巻きにされ、その鎖には数えきれない論理南京錠つけられている。論理肉体から何十本の腕を生やし南京錠をピッキングしていく。カシャンカシャンと鍵が外れる音がリズミカルに響く。南京錠を全て解除すると腕を合体させ巨大な一本の腕にする。そして扉についている鎖を千切り中に入室した。

 中は体育館ほどの広さで水に満たされており何匹ものマグロが高速で泳いでいた。ファルは背中にスクリューをつけるとマグロに接触しないように進み、最奥にある掛け軸に辿り着く。掛け軸には『メクコネオサイタマ』と書かれていた。ファルは白ペンキで塗りつぶし「ファル」と自分の名前を書いた。

 これでここのネットワークは掌握した。これで高速道路に設置されている監視カメラにはスノーホワイト達が乗る車が映る事は無い。

 キョート大使館に行くと決めてからすぐに行動を移した。スノーホワイト達が捕捉される可能性が有るとすれば監視カメラの映像だろう。行政と癒着しているアマクダリなら簡単に映像を入手して、そこから追跡する可能性は充分にある。

 まずはキョート大使館への最短ルートを検索し、そこにある監視カメラを片っ端からハッキングをした。電子妖精でコトダマ空間が見えるファルでも楽な作業ではなかったが、何とか成功した。

 ファルはハッキングをした後IRCネットワーク上の情報収集に努めカワタ達が追われてないかを確認する。今のところ特に情報は上がっていない。さらに情報収集を行いながら監視カメラの映像で後方からの追跡と前方の待ち伏せが無いかを警戒する。前方では軽い事故が有ったようでこれから徐々にスピードが落ちていくだろう。そして後方で妙な集団を見つけた。

 黒塗りのバンが10台。後ろにはバイクが2台。1人は鳥のモチーフが入った服を着ており、もう1人は犬のモチーフが入っている服を着ている。その集団はスピードを上げ前にいる車を追い抜いてこちらに迫っている。

 

「スノーホワイト、黒塗りのバンが10台、バイクが2台近づいてくるぽん。一応注意しておくぽん」

 

 この集団が敵という確証は無いが電子妖精の演算機能が何か怪しいという答えを出していた。一応報告しておこう。ヒヤリハットという言葉がある。些細な事も情報共有することが事故を防ぐことに繋がる。

 

◆トサケン

 

  雑居ビルの中にある一室、そこはアパート程度の広さにウェイトトレーニング用のダルマや木人形やUNIXが乱雑に置かれている、UNIX前でトサケンは大柄な体を窮屈そうに縮めながら黙々とデスクワークを行っている。

 ここはアマクダリセクト傘下の下部衛星組織オウノマツの事務所。構成員は3人程の小さなニンジャ組織である。

 元はヤクザクランだがトサケンを始めとするレッサーヤクザにニンジャソウルが宿り組織を乗っ取った。主な収入源はミカジメ料や違法薬物の販売等である。アマクダリセクトへの上納金の支払いなどで経営は楽ではないが、何とか生活できている。

 

「おい、トサケン=サン、アクター=サンから連絡が来ないぞ」

 

 事務所にあるソファーにふんぞり返りIRC通信機を眺めながらサマーバードが呟く。アクターは病的と言っていいほど連絡をしてくる。目的地について報告、途中経過を報告、完了しての報告。少々うっとおしいが報告をすることは悪い事ではないので何も言っていなかった。

 今日の昼過ぎアマクダリセクトからミッションが課せられた。内容はオウノマツの支配地域内にいるコミック作家のカワタ・ミツハルをインタビュー、聞く内容は知り合いにニンジャが居るか、アマクダリセクトについて知っているかである。

 どうやら描いているマンガでニンジャが出るらしいが妙に詳しく、実在のニンジャとの類似点が多い。そして作中でアマクダリセクトの存在を匂わせているらしい。

 フィクションでもニンジャの正確な生体を知られるのとアマクダリの存在を知られるのは看過できないそうだ。作品が偶然手元に有ったので読んでみたが、確かにニンジャの習性や能力は実在のニンジャと変わらず、ニンジャが裏から政府を操るなどの設定はもろにアマクダリである。

 そしてカワタにニンジャの知り合いが居ればスカウトし、従わなければ殺せという命令も下された。ニンジャという戦力はいるに越したことはない。アマクダリでは個人の裁量ではスカウトは禁止されており、大本から許可を得たので大手を振ってスカウトできる。

 カワタへのインタビューはインタビューが得意なアクターが担当し、知り合いのニンジャのスカウトまたは殺害は3人で向かうという計画を立て、アクターはカワタの家へ向かって行った。

 モータルへのインタビューなどベイビーサブミッションだ。ちょっと痛めつければ5分で口を割るだろう。だが10分を経っても連絡が来ない。

 

「サマーバード=サン、カワタ=サンの家に向かうぞ」

 

 トサケンはUNIXをシャットダウンし立ち上がり身支度をする。サマーバードもめんどくさそうに身支度を開始する。連絡を送る人間が連絡をしない。それだけで十分に非常事態が起こっているというサインになる。

 

「やられたか…」

 

 サマーバードは忌々しく呟く。カワタの家に入って見たのは首が切断された4人の死体と台風が過ぎたように荒れたリビングと凹んだ床と爆発四散跡だった。非常事態は起こってしまった。

 

「これでカワタ=サンにニンジャの知り合いがいることは確実になった。カラテは弱いが非ニンジャにやられるようなサンシタではない」

「そうだな。そして最低限の仕事を果たした」

 

 トサケンは爆発四散跡に頭を近づけ匂いを嗅ぎ、次に大気中の匂いを嗅ぐ。トサケンに宿ったのはイヌ・ニンジャクランのソウルである。

 イヌ・ニンジャクランはニンジャ嗅覚とソウル探知能力も優れている。アクターは死に際に相手のニンジャに特殊な薬品を付着させた。この薬品はトサケンだけが嗅ぐことができる匂いがついている。その薬品をアクターとサマーバードが拉致された時用に渡していた。

 薬品の匂いと相手のニンジャソウルの残滓、この2つが有れば相手のニンジャを追跡するのは可能だ。そしてこの場から去ってからさほど時間は経ってはいない。

 

「俺はアクターを殺したニンジャを追う。サマーバード=サンはクローンヤクザを連れて後を追え」

「そんな時間は無い。すぐに2人で追おう」

「相手はニンジャだ。万全を尽くす」

「チッ…了解だ」

 

 サマーバードは渋々と了承しベランダから部屋を飛び出しバイクに乗る。それを見た後トサケンも飛び出しバイクに乗って追跡する。

 簡単な仕事だと思っていたが大事なメンバーを失ってしまった。一緒に着いていけばという考えが過るが、すぐに打ち消す。後悔してもアクターは戻ってこない。できることはアクターを殺したニンジャを追い、セクトに加入するように説得し応じなければ殺し、カワタが居ればインタビューして殺す。

 トサケンはニンジャ嗅覚とソウル探知感覚を最大限駆使し追跡する。市街地を抜けてハイウェイに入る。こちらは法定速度を無視したスピードで移動している甲斐あって徐々に差を縮めている。

 

「その先にいるのか?」

 

 IRC通信機からサマーバードから連絡が入る。後ろを振り向くとヤクザバン10台が後ろに控えていた。ヤクザバン10台の搭乗者はクローンヤクザである。これがオウノマツの今用意できる最大戦力だ。

 トサケンはハンドサインでサマーバードに指示を出しヤクザバンとバイクを先行させサマーバードは隣を並走する。

 

「匂いとソウルが濃くなっている。あと10分ぐらいで接触する」

「早く行こうぜトサケン=サン!2人でやれば殺せる!」

「落ち着けサマーバード=サン。相手はどんなジツを使うかも分からないし、複数かもしれない。まずはクローンヤクザを捨て石にして相手のワザマエを調べる」

「了解だ。だがニンジャは殺す。セクトへの勧誘はしないぞ」

 

 サマーバードは有無を言わせないと言わんばかりに睨みつけ、トサケンは首を縦に振る。アクターとサマーバードの付き合いはトサケンより長い。それだけに悲しみと怒りは大きい。

 それにオオウノマツはニンジャ組織でありヤクザクランでもある。クランのメンバーが殺されたら報復しなければ示しがつかない。

 

◆◆◆

 

スノーホワイトは突如ドアを開ける。「アイエ!?」「どうしたのスノーホワイト=サン?」突然の行動にカワタとドラゴンナイトは驚く。そのまま淵を掴み逆上がりの要領でルーフに上がり魔法少女視力で確認する。ファルの言うとおり100メートル後方に10台の車と2台のバイクがいる。

 

(((((((ターゲットが居ないと困ります))))))(ケジメをつけさせないと困る)(アクター=サンの敵を討てないと困る)「ドラゴンナイトさん上に上がって」スノーホワイトは窓を叩き車内のドラゴンナイトに声をかける。ドラゴンナイトはスノーホワイトと同じようにドアを開けてリーフに上がる。

 

「後ろの黒い車とバイク見える?」「うん、見える」ドラゴンナイトのニンジャ視力は一団を正確に捉える。法定速度以上のスピードでこちらに近づいてくる。「あの一団はカワタさんを殺そうと……」ドラゴンナイトのキリングオーラが膨れ上がる。カワタを殺そうとする者は容赦しない。「イヤーッ!」「グワーッ!」クローンヤクザの額にスリケンが刺さる!

 

ドラゴンナイトの視界にはクローンヤクザが身を乗り出しアサルトライフルをこちらに向ける瞬間が写っていた。その瞬間瞬時にスリケンを生成し投擲したのだ!それが戦いの合図となる!「「「ザッケンナコラーッ!」」」ヤクザバンに乗ったクローンヤクザ達が窓から身を乗り出しアサルトライフルを向ける!

 

「イヤーッ!」「「「「アバーッ!」」」」ドラゴンナイトのスリケンがクローンヤクザに命中!即死!クローンヤクザは車内から道路に崩れ落ちネギトロと化す!「ザッケンナコラーッ!」車のクローンヤクザが身を乗り出す。その手にはRPG!ナムサン!

 

「イヤーッ!」CABOOM!スリケンはRPGの砲身を押し込み弾は暴発!車はコントロールを失いスピンしながら下がり後方のバンに激突!CABOOM!車は爆発!他のヤクザバンも次々と激突し走行不能!「よしこれで全滅……ん?」ドラゴンナイトは目を細める。煙の中から何かが飛び出てきた。2台のバイクだ。

 

「ドーモ、ハジメマシテ、トサケンです」「ドーモ、サマーバードです」羽をつけたニンジャはサマーバード。大柄な男はトサケンと名乗る。「ドーモ、トサケン=サン、サマーバード=サン。ドラゴンナイトです」3人は車間越しでアイサツを躱す。

 

サマーバードが両手を離し、腕を水平に広げる。するとそこから超自然のカラテ猛禽類が生成された。「行け!」「ケケーン!」サマーバードが腕を振り抜くと2羽のカラテ猛禽類が発射された。「イヤーッ!」ドラゴンナイトはカラテ猛禽類にスリケンを投擲!「ケケーン!」カラテ猛禽類はスリケンを回避!

 

「何?イヤーッ!」2枚3枚とスリケンを投げるが躱していく。「ドラゴンナイトさん、鳥じゃなくて左の男とバイクを狙って」スノーホワイトは魔法で相手の意図を読み指示を送る。サマーバードを倒せばカラテ猛禽類は消える。バイクが壊れれば追ってこられない「分かった!」

 

ドラゴンナイトは指示を受けターゲットを変更しサマーバードとバイクの前輪に向かって投擲!「イヤーッ!」サマーバードはバイクからジャンプし直線上に飛んできたスリケン叩き落す。だがこのままでは自らのバイクに轢かれてしまう!ナムサン!「イヤーッ!」だがトサケンがサマーバードの横に回り込むと捕まえて放り投げる!

 

サマーバードは放物線を描きシートに着地する!ワザマエ!「ケケーン!」カラテ猛禽類が魚雷めいてドラゴンナイトに向かって突撃!「イヤーッ!」ブリッジ回避!「ケケーン!」カラテ猛禽類はUターンしドラゴンナイトの周りを纏わりつくように攻撃、「クソ!鬱陶しい!」ドラゴンナイトは迎撃するがカラテ猛禽類はヒットアンドアウェイを繰り返しスリケン投擲を妨害!

 

「アバーッ!」スノーホワイトが1羽のカラテ猛禽類を捕獲し首をねじ切る!「イヤーッ!」トサケンがカワラ割りパンチの体勢で降下してくる!カラテ猛禽類の妨害の間に接近していたのだ!狙いはドラゴンナイトだ!「グワーッ!」ドラゴンナイトは後ろからの衝撃にバランスを崩しリーフから落ちて何とかトランクリッドに着地する。

 

後ろを振り向くとカワラ割りパンチを受けているスノーホワイトの姿が映る。スノーホワイトは相手の攻撃をドラゴンナイトより早く察知した。このまま無防備に受ければ死ぬ。しかし避けても車が大破すれば逃げられない。そしてドラゴンナイトを加減して蹴り、トサケンのカワラ割りパンチを受けた。何たる歴戦の戦いで培われた判断力か!

 

スノーホワイトはカワラ割りパンチをクロスガードで防御!威力を分散するように受けリーフが凹む!そして手を取りイポン背負いで投げる。受身を取らせないように脳天を叩きつける投げ方もできるが別の投げ方を選択する。スノーホワイトは45°に回転した。このままハイウェイに放り投げるつもりだ!

 

「イヤーッ!」トサケンはスノーホワイトの体を掴み投げさせない!そのままスリーパーホールドに移行する!「グワーッ!」スノーホワイトは両肘を全力で下げトサケンの腹に打撃を加え、怯んだ隙に間合いを取った。

 

トサケンは間合いを詰める。スノーホワイトの攻撃が幾つか入るが巨体を生かしたニンジャ耐久力で強引に間合いを潰しワンインチカラテの間合いに、いやこれはさらに近いハーフワンインチカラテの間合いだ!「イヤーッ!」トサケンのボディーブロー!スノーホワイトは腕でガード!

 

「イヤヤヤヤヤヤヤヤヤーッ!」トサケンは構わずマシンガンめいてボディーブロー!スノーホワイトはガードしダメージは然程ない。だがオスモウめいて前進しながら攻撃を続けるこのハーフインチカラテの間合いでは強力な攻撃は出せない。だがトサケンの狙いはKOではあらず!真の狙いは車外への寄り切りだ!

 

いくらニンジャだと云えど100キロを超える速度で走る車から転落すれば怪我は免れずすぐに走って追いつくことは不可能だ。相手は小柄なニンジャだ、パワーは無い。このまま突き落とし後ろにいるアクターを殺したドラゴンナイトをサマーバードと2人で殺し運転しているカワタを拉致してインタビューする。

 

何たる己のカラテを熟知して且つ相手の特性を見抜いた上での的確な計画か!スノーホワイトはトサケンのカラテの前に少しずつ後退していく。「スノーホワイト=サン!」ドラゴンナイトはスノーホワイトに加勢しようとする。「ケケーン!」だがもう1羽のカラテ猛禽類がインターラプトする!さらにサマーバードが猛スピードで迫っている!

 

サマーバードを侵入させてはダメだ。ドラゴンナイトはサマーバードへのスリケン攻撃に切り替えるがまたしてもカラテ猛禽類の妨害!「イヤーッ!」ドラゴンナイトがカラテ猛禽類を捕獲しようが直様エスケープする!「イヤーッ!」その隙にサマーバードは近づきバイク上から飛び蹴り!

 

ドラゴンナイトは蹴り到達コンマ2秒前にクロスガードを作りブロック!そのまま弾き返すがサマーバードはその力を利用しバイクのハンドルに立ち攻撃を加える。何たるニンジャバランス力!ニンジャであればこのような不安定な場所でカラテが可能である!ドラゴンナイトもトランクリッド上で応戦する。

 

「イヤーッ!」サマーバードの左ジャブ!「イヤーッ!」ドラゴンナイトはジャブを交わし水面蹴り!「イヤーッ!」サマーバードはジャンプで躱し前蹴り!「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」バランスを崩せば100キロ以上の速度でアスファルトに打ち付けられ即リタイアする。2人は防御とバランス重視でカラテする。

 

スノーホワイトに加勢に行きたい焦りを覚えているドラゴンナイトに対してサマーバードに焦りはない。トサケンのカラテ意図を理解しており、直にスノーホワイトは車外に転落し2対1になる。そうなれば勝ちは確定だ。だがそれでは気が収まらない。ドラゴンナイトは自ら仕留める!

 

「ケケーン!」カラテ猛禽類がロケットめいてドラゴンナイトに突っ込んでくる!目標はこめかみ!受ければ即死である!ナムサン!このまま喰らって死んでも良し、避けたとしても隙を突いて致命的なカラテを見舞う!まさにチャリオット・ビハインド・ショーグンだ!

 

「アバーッ!」「グワーッ!」サマーバードの顔面に衝撃が走りバイクから転落する。感覚が泥めいて鈍化する。視界には絶命したカラテ猛禽類とトサケンが相手していたピンク髪の女、なぜお前がいる?「グワーッ!」アスファルトに激突し肉が削られ激痛が走る。さらに目の前にはスリケンが迫る。ドラゴンナイトが投擲したスリケンは額に突き刺さる。

 

「サヨナラ!」サマーバードは爆発四散!「グワーッ!」スノーホワイトの飛び蹴りがトサケンの顔面に突き刺さる!サマーバードとトサケンの身に何が起こったのか!?もし読者の方にニンジャ動体視力の持ち主が居られれば理解できただろう。

 

スノーホワイトはトサケンのカラテを受けるなか後ろに飛んだ。目標地点はドラゴンナイトに突撃するカラテ猛禽類、カラテ猛禽類を蹴り殺し、それを飛び石代わりにしてサマーバードに飛び蹴りを決める。そしてサマーバードを足場替わりにしトサケンに向かって飛び蹴りを放った。

 

スノーホワイトはこのままではジリープア(注:徐々に不利か?)で車外から転落すると察し、魔法でドラゴンナイトへのカラテ猛禽類の攻撃を察知し、一連の動きを実行した。何たる困った声を聞くという魔法の有用さと魔法少女の力があって初めて可能であるタツジン級のカラテか!

 

トサケンは思わぬ攻撃でダメージを受けたたらを踏む。その隙を見逃さずスノーホワイトはトサケンを車外へ放り投げた。「グワーッ!」トサケンは猛烈な勢いでアスファルトに転がる!「イヤーッ!」ドラゴンナイトはトサケンに向かって急所へスリケン投擲!トサケンは辛うじてスリケンを防御!

 

ドラゴンナイトはさらにスリケンを投げようとしたがトサケンは射程範囲の外に出てしまった。「大丈夫?怪我はない?」スノーホワイトがリーフ上から手を伸ばす。ドラゴンナイトは手を取りリーフ上に上がる。「大丈夫、それで敵は?」「もう居ないみたい」「とりあえず一安心か」ドラゴンナイトは胸をなで下ろす。

 

スノーホワイトはリーフからバイクを見る。無人でありながら車間をキープして走っていた。「何あれ?自動で走っている。オナタカミの新商品かな?」ドラゴンナイトは興味深そうに見つめる。スノーホワイトはリーフからトランクリッドに降りる。「ファル、あのバイク調べて」「ちょっと待てぽん。今の戦闘の映像を消すのに忙しいぽん」

 

ファルは愚痴を言いながらIRC上から検索する「あれはインテリジェント・モータサイクルだぽん。激レアぽん。コマンドを打てば自律走行で動くぽん」「そのやり方を調べて教えて」スノーホワイトはファルに命令する。もしこれを使えるならばルーラを使いながら敵に近づき攻撃してカワタと車を守ることができる。

 

「分かったぽん、説明するからバイクに乗るぽん」スノーホワイトはバイクに乗りファルからレクチャーを受け操作性を確かめる。「悪いけどドラゴンナイトさんは襲撃に備えてそこに居て、私はこのバイクに乗って襲撃に備える」スノーホワイトは呼びかけドラゴンナイトはOKサインを出す。

 

「ドラゴンナイト=サン、何があった!?天井や後ろでドンドンと音がしたぞ!それで何でスノーホワイト=サンがバイクに乗っている?」カワタは窓を開け話しかけドラゴンナイトが答える。スノーホワイトはその様子を聞きながら後ろに注意を払いながらルーラを使った車上戦闘のシミュレーションをおこなった。

 

◆トサケン

 

「アクター=サンとサマーバード=サンが死んだか」

 

 トサケンはメガロハイウェイ脇の壁に背中を預けながら悔しそうに呟く。プランは完璧だった。だがあの女ニンジャのカラテがそれを上回った。それに思い返してみるとあの女のソウルには違和感があった。それにアイサツも返さなかった。そこに堪忍袋が温まる。

 怒りに身を任せアスファルトを殴りつける。殴りつけた場所にヒビが入る。それで怒りが一時的に収まったのか、懐に有ったIRC通信機を手に取り動作確認する。奇跡的に動く。あれだけアスファルトに打ち付けられたのによく動くものだ。この点だけは幸運だ。アマクダリネットにログインし、カワタの車の車種とドラゴンナイトと女ニンジャの能力と容姿について報告する。

 こんなミッションを失敗したからにはケジメは免れないだろう。だが失敗を秘匿し領域を犯して追えば制裁だ。アマクダリセクトは厳格に領地が決められており、他の者が侵入することは許されない。できることは報告を挙げることだ。これで死の制裁は辛うじて免れる。

 

「死んだら終わりだからな……クソッ!」

 

 トサケンはもう一度アスファルトを殴った。

 

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