ニンジャスレイヤー・バーサス・マジカルガールハンター   作:ヘッズ

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第十四話 重要な一日#9

数時間前

 

ニンジャスレイヤーのIRC通信機にメッセージが届いた。「悪いニンジャが暴れている。助けて欲しい」送信相手はスノーホワイトだ。ニンジャスレイヤーは即座に指定された場所に向かい、現場に辿り着いた際に状況判断を行いフォーリナーXXXにアンブッシュを仕掛けた。

 

ニンジャスレイヤーの姿を見てファルは安堵する。スノーホワイトがやられ、フォーリナーXXXを電脳空間に引きずり込む作戦の善後策として、ニンジャスレイヤーへ救援を要請していた。来る確証はなかったが来てくれた。そしてドラゴンナイトもニンジャスレイヤーの姿を見て安堵していた。

 

スノーホワイトが生き残るためにはどうすればいいか、ニューロンを酷使して考えた作戦はアマクダリを呼ぶ事だった。フォーリナーXXX、ドラゴンナイト、スノーホワイト、それぞれがアマクダリにマークされている。ならば騒ぎを起こせばアマクダリが駆け付けるかもしれない。

 

アマクダリがくれば場は混沌しその隙に逃げ切れる可能性が出るのではないか、それは生き残る可能性が1パーセントから2パーセントに上がる程度だ。だがその僅かな可能性に賭け周囲を破壊し店を燃やし騒ぎを大きくし、ドラゴンナイトにカラテサンドバックにされながらも薄れゆくニューロンは時間稼ぎをするために意識を繋ぎとめた。

 

予想とは違う結果だがニンジャスレイヤーが到着した。ドラゴンナイトの行為は無駄ではなかった。意識を失いかけながらニンジャスレイヤーの勝利を願う。ドラゴンナイトにとってニンジャスレイヤーはスノーホワイトと並ぶ強さのアイコンであった。

 

「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン、フォーリナーXXXです。噂は知ってるぞ、ネオサイタマの死神、ベインオブソウカイヤ」「私はオヌシのようなカブキめいた格好のサンシタは知らぬ、その分かりやすい切り取り線に沿って左右に真っ二つに割って殺してやろう」「キッヒヒヒ、切り取り線とはオモシロイこと言うな」

 

ニンジャスレイヤーは挑発的な言葉を投げかけ、フォーリナーXXXも軽口で応える。ニンジャスレイヤーは周りを改めて周りを見渡す。スノーホワイトは見当たらない、逃げたか死体ごと消されたか、かつて戦った相手には物体を抹消するジツを持つ相手も居た。そしてドラゴンナイト、ベイビーサブミッションで嬲られたのがダメージ具合で分かる。

 

ニンジャスレイヤーはさらなる憎悪を燃やしフォーリナーXXXにキリングオーラを向ける。「それで殺せるのか?その手負いの体で?」フォーリナーXXXはニヤけながら指さす。ニンジャスレイヤーのニンジャ装束には血が滲んでいた。スノーホワイトとの戦い、さらにメッセンジャーをスレイする際に油断ならぬアマクダリニンジャとの戦闘で傷を負っていた。

 

フォーリナーXXXはニンジャ魔法少女観察力で見抜いていた。「オヌシ程度のサンシタには十分すぎるハンデだ」「安心しろ、それを言い訳にできない程に分からせてやるから」フォーリナーXXXは剣を構え戦闘態勢をとり、マンキヘイも連動するように戦闘態勢を取る。両者のキリングオーラで空気が歪んでいた。

 

(((グググ、あのカラテデミ人形、マギカ・ニンジャのソウルか。中々のキンボシなり。常に数的優位を取ろうとカラテデミ人形を生成し戦った不合理極まりない惰弱なニンジャ))))))ニンジャスレイヤーの内に潜むナラク・ニンジャが語り掛ける。(((昔話は後だ。対策は?)))

 

(((本人よりあのカラテデミ人形のほうがカラテは強い。生成する暇があれば自身のカラテを鍛えればいいものを無駄の極み、ニンジャを殺せばカラテデミ人形も消滅する。あとホロビニンジャのグレーターのソウルも宿っておる。面妖なり)))ナラクは訝しむ。かつて戦ったラオモトは七つのソウルを宿しソウルを駆使した強敵だった。

 

だが使えるのは1つのソウルだった。だがフォーリナーXXXはマンキヘイを生成しながらホロビのドクも同時に使えることを見抜いていた。(((関係ないニンジャ殺すべし)))(((然り、サンシタのジツにサンシタのジツが加わってもカラテで殺せばよい。理屈は分からぬが剣にドクが付与されている。斬られるな)))

 

「イヤーッ!」先に動いたのはマンキヘイ、ランスを手に持ち弾丸めいた勢いで突きを放つ!ニンジャスレイヤーは即座にブリッジ回避、ランスが目の数インチ前を通過!すると目の前のランスが大剣に変化!「イヤーッ!」マンキヘイはマグロを切るイタマエめいて大剣を振り下ろす!

 

ニンジャスレイヤーはブリッジからワームムーブメントに即座に移行!スノーホワイトとの戦いで同じような攻撃を受けており、イマジナリーカラテで打開策を見出していた。無傷で回避!「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」マンキヘイの大剣はハンマーに変わりニンジャスレイヤーをネギトロにせんと振り下ろす!

 

KRUSH!地面にはクレーターができ破片が宙に舞う!「アタシを忘れるなよ!イヤーッ!」フォーリナーXXXは進行方向に回り込み大剣をゴルフスイングめいて振り上げる!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはワームムーブメントからそのままの姿勢で飛び上がる!回避と同時にフォーリナーXXXの頭上をとる!

 

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは脊髄にチョップ!フォーリナーXXXは大剣を振りながら片手を離し防御する!ワザマエ!ニンジャスレイヤーは着地すると即座にスプリントで間合いを詰める。狙うは攻撃動作で無防備な背中だ!

 

「イ」フォーリナーXXXがニンジャスレイヤーの狙いを察知し振り上げのフォロースルーを利用して回転しながら片手で剣を振り下ろす!なんたるニンジャ魔法少女筋力!ニンジャスレイヤーはその一撃を躱す。これで素手のカラテの間合いに入り有利になる。だがニンジャ第六感が警鐘を鳴らす!

 

「ヤーッ!」フォーリナーXXXは振り下ろしながら離していた片手を柄に添え、同じ軌道で切り上げる!これはイアイドーのムーブの1つスワローリターンだ!ニンジャスレイヤーは懐に飛び込むのを止め即座に横に跳んだ!数コンマ前に居た場所に大剣が流星めいた勢いで通過する!

 

ニンジャスレイヤーは体勢を立て直しながらフォーリナーXXXを見つめる。ナラクはカラテ弱者と罵ったが確かなカラテの持ち主だ。明らかにサンシタではない。ニンジャスレイヤーは決断的にフォーリナーXXXにスプリントする。マンキヘイとフォーリナーXXXの波状攻撃を受けてはならない。

 

速攻でマンキヘイのエネルギー源のフォーリナーXXXを殺す。「イヤーッ!」フォーリナーXXXの袈裟切り!ニンジャスレイヤーはブレーサーで受け流す!「イヤーッ!」マンキヘイの大剣での横薙ぎ!ニンジャスレイヤーは開脚しながら身を沈め回避、そのまま足元にスリケン投擲!2人はジャンプで回避!

 

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは開脚状態から腕の力で跳躍!大陸間弾道ミサイルめいた対空ドロップキックをフォーリナーXXXに放つ!フォーリナーXXXは大剣を盾にして防御!ニンジャスレイヤーは大剣を足場にして跳躍し距離をとり、着地と同時にスリケン投擲!2人は回り込むように回避し左右から襲い掛かる!

 

「イヤーッ!」フォーリナーXXXの突きを側転回避!「イヤーッ!」マンキヘイが鎌でニンジャスレイヤーが側転で地面についた腕を狙う!即座に側宙で回避!「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは徐々に守勢に回らされる。

 

2人での攻撃は一見有利だが、お互いの意図を察せず呼吸が合わせず連携が乱れ隙を作ることがある。だがフォーリナーXXXとマンキヘイの2人はお互いの隙を埋めるように攻撃し、隙が全く無い。なんたる高性能UNIXめいた連携から織りなされるシンクロカラテか!2人のカラテは1+1は2でない、1+1は100だ!

 

2人のカラテはニンジャスレイヤーを徐々に削り取っていく。フォーリナーXXXの大剣は体を斬りつけ毒を付与していく。並のニンジャなら毒によって行動不能になっているが、ナラクの不浄の炎で毒を焼き切り、チャドーの呼吸でニンジャ新陳代謝を活性化させ解毒している。

 

だがそれらの行動は体力を確実に消耗させている。これではいずれ体力がなくなり致命的な一撃を受けるだろう。ジリープアー(徐々に不利か?)である!

 

マンキヘイがフォーリナーXXXに隠れるように後ろに下がる。常に左右に分かれて攻撃していた2人が初めてフォーメーションを変えた。ニンジャスレイヤーは警戒心を高めながら間合いを詰める。あと1歩で相手の間合いだ。ここから攻撃を捌き素手の間合いに入る。ここで決める!ニンジャアドレナリンが分泌され感覚が泥めいて鈍化する。

 

フォーリナーXXXが剣を振り上げると同時に体を捻った瞬間にマンキヘイのランスが飛び出てくる。フォーリナーXXXの体をブラインドにしたアンブッシュだ!ニンジャスレイヤーには突然ランスが出現したように見えていた。ゼツミョウ!もしフォーリナーXXXの回避がゼロコンマ数秒遅れれば腹に穴が開いて死んでいただろう!タツジン!

 

ニンジャスレイヤーは左半身の動作をとる。腹を多少抉られるもケバブめいた死体になるのを回避!「グワーッ!」ニンジャスレイヤーの背中が切り裂かれる!切り裂いたのはフォーリナーXXXの大剣だ!

 

フォーリナーXXXの体の捻り 、あれはマンキヘイのブラインドと同時に攻撃の予備動作でもあった!マンキヘイはカラテ強者なら左に逃げる攻撃で、フォーリナーXXXはその意図を察知し逃げ道を塞ぐように回転切りを放った!なんたる計算されたセットアップ攻撃か!

 

ニンジャスレイヤーはその場で崩れ落ちる。フォーリナーXXXとマンキヘイは決断的にトドメを刺そうとする。だが同時にニューロンに最大級の警鐘が鳴り響き後ろに大きく下がった。「グググ、カラテデミ人形と紛い物が調子に乗りおって。数の利で勝てると思ったか?儂が本当のカラテを見せてやろう」

 

ニンジャスレイヤーの双眸がジゴクめいて燃え上がり、ブレーサーから黒炎が吹き上がる。何だこのアトモスフィアは?マンキヘイ、そしてフォーリナーXXXの内なるソウルは名状しがたい恐怖を覚えていた。だが魔法少女の精神が踏みとどまらせる。

 

「イヤーッ!」「ンアーッ!」フォーリナーXXXはニンジャスレイヤーのパンチを受け吹き飛ぶ、ハヤイすぎる!先ほどまでの動きとはまるで別人だ!「碌に棒切れも振れんのか?」「ンアーッ!」ニンジャスレイヤーはフォーリナーXXXの顔面をアイアンクローで掴み地面に叩きつけ不浄の炎が顔を焼く!

 

「イヤーッ!」マンキヘイがニンジャスレイヤーに向かってハンマーで殴打する!ガードするが勢いを殺しきれずフォーリナーXXXへの拘束が緩む。その隙をついて拘束から脱出して攻撃を繰り出す!フォーリナーXXXは首へのボトルネックカット切り!ゼロコンマ数秒遅れてマンキヘイは鎌での下段攻撃!二点攻撃だ!

 

「サツバツ!」ニンジャスレイヤーはワンアクションで、左足で鎌を踏み抜き、右腕で大剣を跳ね上げる!「イヤーッ!」「グワーッ!」ニンジャスレイヤーの不浄の炎を纏ったチョップがマンキヘイの首元にめり込む!「イヤーッ!」「ンアーッ!」後ろから襲い掛かるフォーリナーXXXをバックキックで迎撃!ワイヤーアクションめいて吹き飛ぶ!

 

ニンジャスレイヤーはカイシャクせんとフォーリナーXXXに向かって決断的にスプリントし跳び膝蹴りを放つ!フォーリナーXXXは咄嗟に剣を掲げて防御!巨大な衝撃音が響く!剣越しでも衝撃は伝わり、フォーリナーXXXの鼻から血が噴き出て剣の破片が足元に落ちる!

 

「バカナーッ! 絶対に壊れないはずなのに!」「そんな玩具など真のカラテの前では紙切れなり!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは構わず大剣を殴りつける!刀身に蜘蛛の巣状のひび割れが入りどんどん広がっていく!「イヤーッ!」マンキヘイが後ろから切りかかる!ニンジャスレイヤーは振り返りブレーサーで容易く防御!

 

「イヤーッ!」「イヤーッ!」マンキヘイとフォーリナーXXXは同時に攻撃を仕掛ける。先程とは違い僅かな乱れも無いシンクロカラテだ!だが前後から仕掛けるが攻撃は全く当たらない!ゴウランガ!なんたるカラテだ!

 

フォーリナーXXXはマンキヘイに一瞬目配せする。マンキヘイは意図を察したのかニンジャスレイヤーからフォーリナーXXXを庇うように防御する、フォーリナーXXXはその間に魔法の袋に手を突っ込み上空に放り投げる。それは巨大なティーポットに口とオレンジの目がついたオバケめいた物体だった。

 

ニンジャスレイヤーは何かを投げたのは察したがスタングレネードや爆弾ではないとニンジャ第六感で判断し無視する。だがニューロンの意志を無視し視線が徐々に向かっていき固定される。ジツの類か?ニンジャスレイヤーは訝しむがニンジャへの憎悪を燃やし、視線を強制的に敵に向ける。だがそこにはフォーリナーXXXとマンキヘイの姿が忽然と消えていた!

 

「「イヤーッ!」」「グワーッ!」ニンジャスレイヤーは背後から同時に切り裂かれ血しぶきをあげながら膝から崩れ落ちる!フォーリナーXXXとマンキヘイは追撃せず慎重に様子見をする。あの恐るべきアトモスフィアが消えたのを確認し満面の笑みを見せた。

 

「キッヒヒヒ!どうだ!これがマジックアイテムのリトオの効果とアタシの魔法だ!」フォーリナーXXXは劣勢からの逆転劇に酔いしれるようにバリキ中毒者めいて叫ぶ。もしこの場に魔法のゴーグルで全ての魔法を把握できる7753が居れば何が起こったか理解できただろう!

 

リトオも異世界から調達してきたアイテムで見た者の意識を強制的に向けるものだ。普通なら効果の前に凝視せざるを得ないだろう。だがニンジャスレイヤーは怒りによって意識を瞬時にフォーリナーXXXに向けた。その意識が向けられた僅かな時間で魔法を使った。

 

自身とマンキヘイに魔法を使い異世界に飛び、飛んだ世界から魔法を使って座標をニンジャスレイヤーの後ろに指定して戻ってきた。マバタキジツと呼ばれる短距離テレポートを行うジツがあるが、フォーリナーXXXは魔法でジツを再現したのだ!

 

かつてマスケット銃が発明されるとその威力に注目したニンジャがピストルカラテを編み出した。今ではサイバネで己のジツを強化したりなどその時代の最新鋭のテックを躊躇なく使用し強さを求めた。そしてフォーリナーXXXも己の魔法で発見した異世界のテックを使い、魔法を使用した。

 

ジツ、魔法、カラテ、テック。この4つの要素を最大限に駆使し、あのニンジャスレイヤーを倒してしまった!恐るべきニンジャ魔法少女!嗚呼ブッダよ!アナタは何という生物を生み出してしまったのか!

 

「何が真のカラテだ!非魔法少女のカス!アタシのカラテと魔法とジツと異世界のアイテムがあればこんなもんだ!それにまだまだ奥の手はいっぱい有ったんだからなバ~カ!」フォーリナーXXXはニンジャスレイヤーに罵倒の言葉を投げつけながら頭を踏みにじり、唾を吐きかける。そしてカイシャクをせんと片足を振り上げる。だがゆっくりと下ろした。

 

殺すのは順番通りだ。フォーリナーXXXはドラゴンナイトの元へ歩き始める。だが突然足を止め振り向く、その視線の先にはスノーホワイトが居た。

 

◇スノーホワイト

 

「もう二度と……そうちゃんを……死なせない……」

 

 スノーホワイトはうわ言のように呟きながらルーラを杖代わりにしながら歩いていく。足取りは恐ろしく遅く、その姿は目を背けたくなるほど傷ついており、魔法少女特有の端正な顔立ちは見るも無残になっていた。

 体中は痛く所かまわず叫びたい。意識を失ってこの苦しみから解放されたい。そう思いながらも一歩ずつフォーリナーXXXに向かって行く。

 N市で行われた魔法少女選抜試験でスノーホワイトは何も選択しなかった。そして多くの人が死んだ。その中にはラ・ピュセルが、岸辺颯太が居た。

 選択してもしなくても結果は変らなかったかもしれない。それでも二度と選択しないという選択を選ばないと誓った。痛みで意識を手放して選択しないという選択肢はあり得ない。

 そして正しい魔法少女であるために、二度と大切なものが零れ落ちないように強くなった。ラ・ピュセルならこんな状態でも立ち向かうだろう。だから立ち向かう。岸辺颯太が望んだ魔法少女であり続ける。なにより岸辺颯太が死ぬのを二度も見たくない。

 

「へえ~。スノーホワイトは無感情でロボットみたいだって聞いたけど、そんな顔をするんだ」

 

 フォーリナーXXXは興味深そうにスノーホワイトを見つめる。実際言う通り今のスノーホワイトはいつもの鉄仮面は見る影もなく感情をむき出しにしていた。

 

「ニンジャ……殺すべし……ニンジャ……殺すべし……」

 

 うわ言のような声が聞こえたので視線を向けると赤黒の忍び装束の男がユラユラと立ち上がる。あれはニンジャスレイヤーか?何故ニンジャスレイヤーが居る?一瞬疑問が脳内に浮かぶがすぐに消した。

 ニンジャスレイヤーはフォーリナーXXXを倒そうとしている。何とか協力してそうちゃんを奪還する。スノーホワイトは必死に可能性を見出そうと思考を続ける。

 

「キッヒヒヒ!2人ともガンバルな!そのガンバリに免じてチャンスをやる。いや~何て慈悲深いんだろう」

 

 フォーリナーXXXはドラゴンナイトの首根っこを掴むと魔法の袋に入れた。

 

「もっとドラマチックに殺してやる。このガキを賭けてもう一度戦ってやる。今度は2人まとめて相手だ。それにメインディッシュが来たしな」

 

 フォーリナーXXXは夜空を見上げる。空に浮かぶ何かが地面を光で照らしバタバタと音がうるさい。

 

「さてマンキヘイ!アマクダリ狩りだ!」

 

 フォーリナーXXXはそう叫ぶとこちらには見向きもせず、音がする方向に向かって行った。

 

「とりあえず助かったぽん!早くこの場から離れるぽん!」

 

 数メートルから甲高い声が聞こえてくる。ファルの声だ。正直耳障りだがその不快感が意識を手放そうとする体を起こしてくれる。スノーホワイトはゆっくりと歩きファルを回収するとニンジャスレイヤーの方に向かって行く。

 

「なにしてるぽん!放っておいてさっさと逃げるぽん!」

「怪我人を放っておくわけにはいかない……」

 

 自分と同じぐらいに重傷だ。魔法少女は暫くすれば回復するがニンジャはそこまではない。治療しないと死んでしまう。

 

「スノーホワイト=サン……この番号に連絡しろ……助けが来る……」

 

 ニンジャスレイヤーはボソボソと喋りながら通信端子を渡し意識を失った。スノーホワイトは通信端子を地面に置くとニンジャスレイヤーの襟を持ち、力を振り絞り引きずるようにして魔法の袋に収納した。

 

「あ~あ!全く魔法少女の鑑だぽん!そしたら魔法少女の変身を解くぽん。そっちのほうがアマクダリに見つからないぽん。意識失っていたら全力で起こすから何とか起きるぽん。あとその助けというのはこっちで呼んでおくぽん」

 

 ファルはこっちの意図を読みアドバイスを送る。こういう時にマスコットが居ると助かる。小声で感謝の言葉を言いながら、魔法少女の変身を解除する。

 そして意識を覚醒させ立ち上がる。倦怠感でこのまま寝転びたいが体に喝を入れながら魔法の袋を持ちゆっくりと歩き始めた。

 

◆フォーリナーXXX

 

「予想以上だな。アマクダリ」

 

 フォーリナーXXXはベッドに寝っ転がりオスモウチョコを食べながら呟く。部屋の隅では家主がガタガタと震えている。ホテル代わりに入った家の住人で休みたいから部屋を貸してくれと頼んだ。別に殺してもよかったが今日は生かしてもいいかなという気分だったので生かしている。

 そしてアマクダリとの戦闘について振り返る。クローンヤクザや鬼瓦ツエッペリンや数々のニンジャ、物量での攻めはそれなりに厄介だった。さらにアクシズと呼ばれるニンジャは結構強かった。

 アクシズと呼ばれたニンジャを数人殺すとアマクダリは撤退した。初戦はこんなもんだろうとフォーリナーXXXも撤退した。アクシズと呼ばれる人間の場所は把握している。襲撃するのは後日でもいい。楽しみは取っておくべきだ。

 フォーリナーXXXはアマクダリ打倒の計画を考えるが一旦中止する。アマクダリ打倒はやり残しを片付けてからだ。

 スノーホワイトとニンジャスレイヤー。あの2人がゾンビのように立ち上がり軽口を叩いて見逃したが、無意識にその気迫に気圧されてしまった。それはフォーリナーXXXにとって屈辱だった。

 特にニンジャスレイヤー、あの覚醒と言えるような豹変状態にはかなり追い詰められ、恐怖を覚えていた。

 この屈辱を晴らすには完膚なきに叩きのめし殺すしかない。ニンジャスレイヤーもスノーホワイトも2対1で戦って負ければぐうの音も出ないだろう。

 スノーホワイトもあのガキのニンジャを助けられず、絶望を抱きながら死ぬ瞬間を写真にとれば中々のレアな一品になるかもしれない。今までレアな物を探して取ってきたが、これからは自分でレアな品を作るのも悪くはない。

 フォーリナーXXXはいつどこで2人と戦うのがドラマチックで盛り上がるかを考える。負けることは全く考えていない。ニンジャスレイヤーに言った奥の手が複数有ると言ったのは出まかせではない。

 

「とりあえず景品が死なないとようにしないとな、でないとスノーホワイトのやる気がなくなる」

 

 フォーリナーXXXは魔法の袋に手を入れてドラゴンナイトを取り出し、それから再び手を入れて薬品を取り出すと咽るのを無視しながら強引に口にねじ込んだ。

 

◆◆◆

 

「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン、スノーホワイト=サン、フォーリナーXXXです」

奇妙な光景だった。鳥のような物体の目からホロ映像が浮かびあがる。鳥は機械ではなく生物だ。そして映像にはフォーリナーXXXが映っていた。ニンジャスレイヤーはキリングオーラを出し、スノーホワイトも呼応するように怒りを滲ませる。

 

画面越しの2人の様子を無意識に煽るように軽い口調で喋る。「明後日の午前2時、場所はジングウスタジアム。あのサワヤカプリンスが死んだ原因になった試合をした場所だよ。そこでこのガキを賭けて勝負だ。来なきゃこいつを殺す」ホロ映像は椅子に拘束されたドラゴンナイトの姿が映る。顔は腫れており痛々しい。

 

「来ちゃだめだスノーホワイト=サン! こいつには勝てない!」「だってよ!ナイス人質ムーブ!だけど誰が勝手に喋っていいって許可した! イヤーッ!」「グワーッ!」フォーリナーXXXはドラゴンナイトにジャブパンチを打つ。スノーホワイトは目を見開いて思わず立ち上がる。

 

「悪い魔法少女を放って逃げるなんてしないよな魔法少女狩り、そしてネオサイタマの死神、お前も来なかったらこのガキを殺して、無差別に暴れてモータル達を殺しまくってやる。絶対来い…」

 

映像が終わる前にニンジャスレイヤーが放ったスリケンとスノーホワイトのルーラが同時に刺さり鳥型の生物は爆発四散した。その部屋に恐ろしいほどキリングオーラが充満していた。

 

重要な一日 終

 

最終話 ニンジャスレイヤー・アンド・マジカルガールハンター・バーサス・ニンジャマジカルガールに続く

 

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