ニンジャスレイヤー・バーサス・マジカルガールハンター   作:ヘッズ

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最終話ニンジャスレイヤー・アンド・マジカルガールハンター・バーサス・ニンジャマジカルガール#4

◆フォーリナーXXX

 

 フォーリナーXXXは剣を振り回す。袈裟切り、横薙ぎ、切り上げ、下段攻撃、その威力は凄まじく。4Fのオフィスにあった机や椅子は切断されオブジェと化し、「お客様ファースト」「真心込めて」「お客様は神様です」と会社の理念が書かれた掛け軸は粉々に破れている。そのエリアだけ台風が通過したように散乱していた。

 これだけ攻撃してもスノーホワイトには決定的なダメージを与えられていない。それどころか防戦を強いられているのが現状だ、何て鬱陶しい奴だ。フォーリナーXXXは心の中で大きく舌打ちする。

 いつも通りマンキヘイを召喚し、一緒に戦いながら異世界のアイテムを使用して相手を叩きのめす。それがニンジャ魔法少女フォーリナーXXXの戦い方だ。だがそれが全く出来ていない。

 マンキヘイは召喚した直後にニンジャスレイヤーと一緒に外に飛び出した。そしてどんどん遠ざかっているのが感覚的に分かる。何故遠ざかっている?早くこちらに来て一緒に戦え!

 今までネオサイタマでの戦い以外でも異世界のアイテムを強奪するためにモンスターや異世界人と戦った。その全てで2人は近くで、又は離れても逐一マンキヘイに指示を送っていた。だからこそ指示を送れない状況では、目の前の敵を倒すという単純な行動しか出来ないとは知らなかった。

 

 スノーホワイトは攻撃を続ける。ニンジャ魔法少女になって強化された能力であればそれ程までの絶望的な脅威ではない。だがやりにくい。

 攻撃はその場所にされたら困るという場所に的確にされる。アイテムを取り出そうとすれば、取り出そうとする手の指を切り落とそうとして魔法の袋に手を伸ばせない。

 床でも踏み抜いて状況を変えようしても、威力を出そうと溜める動作の隙をついて攻撃され溜めを作れない。距離を取ろうにもピッタリと張り付いてくる。

 スノーホワイトの中段から下段に変化する攻撃を何とか防御し、次の攻撃を予測する。胴体への突き、それを切り上げで弾き相手が態勢を整える時間で魔法の袋からアイテムを取り出す。

 息を吸いながら最適なタイミングを計り、ベストなタイミングで剣を振り上げる。だが剣から伝わる感触はなく空を切る。

 ルーラは確かに胴体に向かって突かれていた。だがスノーホワイトは剣が振り上がる瞬間にルーラを止めて手元に引いていた。

 振り上げの動作によって生じた隙をつくようにスノーホワイトはルーラを再び胴体に向かって突く。辛うじて体を捻り致命傷を回避するが、脇腹を少し裂かれ態勢を崩してしまい、それを狙ったかのように二の矢三の矢の攻撃が続く。

 

 脳内で後悔が渦巻く。最初はアイテムを取り出せる余裕が有った。だが今はアイテムを取り出す隙すら無い。あの時に有用なアイテムを出せればここまで劣勢にはならなかった。しかしニンジャ魔法少女が魔法少女より強いという無意識の侮りが最善手を打つのを妨げた。

 

 フォーリナーXXXがここまで劣勢なのは幾つかの要因があった。

 

 1つはスノーホワイトとの実力差、前回はマンキヘイと一緒に戦い本領を発揮できていた。だが今はフォーリナーXXXだけであり、実力差は確実に縮まっていた。

 次に前回の戦いは圧勝と呼べる内容だった。それにより侮りと油断が生まれ、負けるわけが無いと攻撃や防御に緩みが生じていた。

 そして最も大きな要因は肉体的ダメージである。フォーリナーXXXはニンジャスレイヤーのアンブッシュをまともに受け、それによってコトダマ空間から強制ログアウトを強いられニューロンにもダメージを受けていた。

 

 フォーリナーXXXはスノーホワイトの攻撃によって着実にダメージを蓄積していく。戦いにおいて追い詰められた経験は少ない。さらにニンジャ魔法少女になってからは多くの相手をねじ伏せてきた。しかし今はニンジャスレイヤーとの戦い以上に追い詰められていた。

 戦闘経験が豊富な者は劣勢な状況においての戦い方を知っている。心を乱さずチャンスを窺う。一旦逃げて体勢を立て直すなど様々な方法で勝利を手繰り寄せる。

 だがフォーリナーXXXは劣勢な状況での戦いをした経験が少ない。不安や焦りや恐怖を抑えきれず状況を悪化させる。

 さらに気性が逃げという選択を選ばせない。ニンジャ魔法少女になった自分は選ばれた存在であり、劣っている魔法少女という種族に背を向けてはならないという歪んだ自尊心がそれを拒む。

 

 1分は経過しただろうか、フォーリナーXXXは依然として防戦一方だった。だが次第に変化が訪れる。スノーホワイトの攻撃が遅くなった。自分の反応が速くなった。どちらの要因かは分からないが、少しだけ余裕を持って対応できるようになっていた。

 攻撃を回避し防御する度にコンマ数秒単位で時間的余裕が増していく。これならばいけるかもしれない。

 フォーリナーXXXは右手で剣を横薙ぎで振るい、スノーホワイトは柄で防御する。ダメージ目的の攻撃ではない。これは時間稼ぎの攻撃だ。剣を振るうと同時に空いている左手で魔法の袋に手を突っ込み、取り出すべきアイテムを思い浮かべる。今度は戦況を変えられるようなアイテムを取り出す。

 その左手から8つの黒い物体が放り投げられた。

 

◇スノーホワイト

 

 スノーホワイトは攻撃のペースを上げる。身体に残っているエネルギーを今以上に消費し、攻撃と防御の意識の比重を攻撃により傾ける。今この時間が戦いのターニングポイントであると魔法少女としての戦闘経験で感じ取っていた。

 フォーリナーXXXの首、頬、肩、脇腹、腿、脛がルーラによって切り裂かれ、血が床を染まりフラメンコダンサー風の衣装やニンジャ装束の一部を切り取っていく。

 攻撃は当っている。当たるたびにフォーリナーXXXは苦悶の表情を見せる。だが芯を喰っていない。この程度のダメージでは相手を倒す決定的な要因にはならない。

 この積み重ねたダメージがいずれ大きなダメージを与える。ジワジワと大きくなる焦燥感を抑え込みながら攻撃を続ける。

 スノーホワイトの攻撃の強さと速さは増していく。ルーラと剣がぶつかるたびに火花が散り、次々と火花が生まれ薄暗い部屋を僅かに照らしていく。

 フォーリナーXXXの横薙ぎがくる。この攻撃も魔法で察知している。地面に這うように身を屈め、その状態で足元を突くなり払うなりするのが最良だ。だが相手の攻撃のスピードや自分の態勢の悪さがその選択を許さない。

 即座に柄で受けるという選択肢を取りながら相手の次の行動を魔法で察知する。相手は異世界のアイテムを取り出そうとしている。

 させてはならない。防御から即座に攻撃に移り手を切り落とそうとする。だが攻撃は間に合わず、フォーリナーXXXは魔法の袋に手を入れ何かを投げると同時に攻撃を回避していた。

 スノーホワイトの目が投げられた何かを捉える。全長30センチ程度で瓢箪に手足がくっ付いたような人形で、その上半分には目玉がついていた。

 その人形はスノーホワイトに一斉に飛び掛かった。人形からは心の声が聞こえない、それは生物ではなく機械的に攻撃する自動操縦で動いていた。

 スノーホワイトに対して有効な手段の1つとして自動攻撃がある。心が無ければ声が聞こえず、自身の力で対処しなければならない。偶然にもフォーリナーXXXは有効な手段をとっていた。

 襲い掛かる人形を回避しルーラや手で叩き潰していく。スピードも遅く自分の攻撃にも対処できず、魔法少女にとっては全く脅威ではない。

 

「イヤーッ!」

 

 その最中フォーリナーXXXの袈裟切りが襲い掛かる。充分に態勢が整い牽制ではなく攻めの意識が籠った攻撃だ。辛うじて避けるが左肩を切り裂かれる痛みが走る。

 さらにもう一ヶ所にも痛みが走る。痛みの発信源は左足小指、人形の拳が深々と突き刺さっていた。痛みを堪えすぐさま人形踏みつぶす。

 その間にフォーリナーXXXは魔法の袋に手を入れアイテムを取り出し辺りに投げる。それは瞬く間に大きくなり姿を現す。全長1メートル程度で円柱に筒がついたものだった。その筒から紫色のモヤがかかった球体が発射される。

 恐らく当たればダメージを負う、これ以上手数が増えるのはマズい、円柱を破壊しようとするが、フォーリナーXXXの攻撃が襲い掛かる。

 胴体への突き、右袈裟切り上げ、左袈裟斬り下ろし、攻撃のスピードと質は増し、防御や回避を強いられる。その間に円柱は1つ2つと紫の球体が発射される。さらに魔法の袋から人形が取り出され、スノーホワイトに襲い掛かる。攻守は完全に逆転していた。

 

 スノーホワイトはここで決めるべきと攻撃のペースと意識の比重を傾けるが、その判断は正しかった。

 魔法少女は人間より遥かに頑丈で回復力も大きい。身体がえぐり取られる。腕や足が切り落とされるという怪我を治すのは固有の魔法が必要だが、打撲などの軽いダメージであれば徐々に治っていく。そしてニンジャも同様に治癒力が高く、ニンジャアドレナリンを発生させ痛みを感じさせないように出来る。

 フォーリナーXXXはニンジャ魔法少女、ニンジャと魔法少女の治癒力にニンジャアドレナリンによる痛みの遮断で、アンブッシュと強制ログアウトによるダメージを徐々に回復し、本来の力を発揮できる状態に戻していた。

 

「どうした魔法少女狩り!さっきまでの勢いはどうした!?イヤーッ!」

 

 フォーリナーXXXは一気呵成に攻め続ける。決して軽くないダメージを負っているが、攻勢に回ったという安心感とニンジャアドレナリンによる高揚感がダメージの影響を小さくさせる。

 スノーホワイトは全ての意識を防御に回して致命傷を防ぐ。黒い人形は10体に増え、紫の球が左右から5個ほど旋回しながら襲い掛かる。さらに青いブーメランが2つほど背後からやってくる。

 時間が経つごとにフォーリナーXXXの手数が増え、傷が増していく。このままではジリ貧で物量に押しつぶされる。

 スノーホワイトは迫りくる左側の紫の球体に向かって走り出す。球体が当った瞬間に球体は爆ぜ皮膚が焦げる。それでも構わず走り抜け窓ガラスを突き破り外に飛び出した。目的はフォーリナーXXXを倒す事である。だがそれは1人で倒さなければならない訳ではない。ニンジャスレイヤーと2対1で倒しても全く問題ない。

 相手と自分の強さを冷静に測り、逃走という選択肢を思いついていた。逃走しながら時間を稼ぎ、ニンジャスレイヤーがマンキヘイを倒し合流し2対1で倒す。他力本願ではあるが、ジリ貧で倒されるより遥かにマシだ。

 前回はドラゴンナイトという枷によって逃走を選べなかった。だが今回は不意打ちによってドラゴンナイトの身柄は確保しているので何の憂いもなく逃げられる。

 もしフォーリナーXXXが同じ立場であれば逃げはしない。プライドがそれを許さない。もし逃げるとしたら状況がさらに悪化した場合だろう。

 だがスノーホワイトにはそんなプライドは欠片もない。理想の魔法少女として悪い魔法少女を倒す。それが信念であり、その為なら何だってする。

 スノーホワイトは道路に着地すると即座に走り出す。方向はニンジャスレイヤーが向かった方向とは逆側である。

 

「テメエコラーッ!逃げてるんじゃねえぞ」

 

 フォーリナーXXXは怒声を挙げながら部屋を飛び出し追い掛けてくる。その様子を一瞥し安堵する。フォーリナーXXXがこちらを追わずマンキヘイの元に向かう。それは避けたいパターンの1つだった。

 だが意識は完全にこちらに向いている。最悪なのは周りの人々を殺害し足を止めるパターンだが、心の声を聴く限りそれは無さそうだ。

 そしてマンキヘイをこちらに呼ばれるパターンだが、それは恐らくないと踏んでいた。もしそんな手段が有るとすれば攻勢に回った時にしている。

 

 スノーホワイトは走っているバイクを追い抜きながら今後の作戦を考える。とりあえず逃げて時間を稼ぎニンジャスレイヤーがマンキヘイを倒すのを待つ。或いは有利な場所に移動して戦う。

 大まかな方針が決まり、ファルに道案内させようとするが行動を止める。

 後ろからフォーリナーXXX以外に別の声が聞こえてくる。それに魔法少女が走る音とは違った音も聞こえてくる。ドガドガと大地を震わせるような足音、それは今まで聞いたことが無い音だった。

 魔法の端末を鏡代わりにして後ろを確認する。そこには恐竜のような生物の背に乗ったフォーリナーXXXがいた。これも異世界で確保してきたモノか、そのスピードは魔法少女の走力に充分についていけている。

 スノーホワイトは逃走の中断を決意する。恐竜に乗っているフォーリナーXXXは背後から攻撃ができる。魔法で察知できるが全力疾走中に攻撃を回避し続ければ無理が生じ、いずれ攻撃を受けてしまう。

 スノーホワイトは魔法の袋に手を入れ取った物を後方に投げつけながら、急停止しアスファルトにブレーキ痕を作りながら正対する。

 フォーリナーXXXはスノーホワイトの姿を見て獰猛な笑みを浮かべながら恐竜と一緒に近づいてくる。

 

 スノーホワイトまでの距離残り50メートル、フォーリナーXXXは大剣を振り被り、恐竜は獲物を目の前に興奮しているのか目を血走らせ雄叫びをあげる。

 

 残り距離40メートル、恐竜の身体がつんのめり、フォーリナーXXXもバランスを崩す。これはスノーホワイトが入手した魔法少女によって作られたパチンコ玉である。恐竜はパチンコ玉を踏みバランスを崩していた。

 

 残り距離30メートル、恐竜は碌な受け身を取れず頭から滑り、アスファルトで全身を削っていく。フォーリナーXXXは恐竜が転倒して宙に投げ出される前に背を足場にして、スノーホワイトに向かって跳躍していた。

 

 残り距離20メートル、スノーホワイトはルーラをフォーリナーXXXに向けて構える。フォーリナーXXXも突きの構えをとる。柄を握るのではなく、柄の後ろの部分に手のひらを乗せるという構えを取っていた。

 

 残り距離10メートル、フォーリナーXXXの身体が大きくなった錯覚に陥った瞬間に攻撃をやめ防御の姿勢を取る。

 

 残り距離0メートル、スノーホワイトが崩れ落ち、フォーリナーXXXはその後方でブレーキ痕をアスファルトに刻みながら停止する。

 

「キッヒッヒッヒ、ぶっつけだったけど、上手くいったな」

 

 フォーリナーXXXは大剣を回収し、ニヤついた笑みを浮かべながら余裕を持った足取りでスノーホワイトに近づいていく、スノーホワイトは左わき腹付近が赤く染まっていた。痛みを堪えて構えを取りながら分析する。

 傷は深い。すぐに死にはしないが、治療しなければ確実に死ぬほどの重症だ。そして距離残り10メートルでフォーリナーXXXは加速した。宙に浮かんだ状態での加速、それは魔法少女でもニンジャでも不可能な芸当だ、そして手のひらに乗せていた剣が一気に発射された。恐らくはピストルのように何かを爆発させて推進力を得たのだろう。

 そして心の声を聴いて即座に攻撃を中断し防御した。もし防御せずに攻撃していればスノーホワイトの攻撃は届かず、発射された大剣によって体は真っ二つにされていた。

 フォーリナーXXXの攻撃は異世界のアイテムによるものではない。彼女の中に憑依する6つのニンジャソウルのうちの1つのジツである。それはバクハツ・ジツ、かつてドラゴンナイトが倒したロケットブースターと同じジツで有り、その力の強さはロケットブースター以上である。

 

「最初は少し焦ったが、こんなもんだ魔法少女狩り、魔法少女がニンジャ魔法少女に勝てるわけねえだろ」

 

 フォーリナーXXXは侮蔑的な笑みを浮かべながら剣を構える。あの表情は勝利を確定している顔だ無理もない。左わき腹を深く斬られ重傷で有り、この状態では勝ち目はない。

 それでもスノーホワイトは立ち上がりルーラを構える。このまま悪い魔法少女を野放しにして死ぬわけにはいかない。

 ここで倒れればネオサイタマに住む多くの人が苦しみ、そしてドラゴンナイトは殺されてしまう。何よりラ・ピュセルやアリスの想いを背負った魔法少女として清く正しく生き続けなければならない。

 スノーホワイトは脳をフル稼働してこの絶望的な状況を切り抜け、どうやってフォーリナーXXXを倒すかを考える。するとフォーリナーXXXは剣を放り投げると同時にスノーホワイトの頭を鷲掴みする。その瞬間意識が途絶えた。

 

◆◆◆

 

辺りはネオサイタマのネオン看板で彩られる極彩色の景色ではない。無限の地平線に黒色に緑の格子模様が描かれた地面、周囲は遥か先まで暗黒に染まり、その黒さは夜とは違う異様な黒さだった。暗黒には時々緑色の流星群のようなものが落ちている。フォーリナーXXXはその光景に見覚えがあった。

 

ここはコトダマ空間、一部のハッカーのみが入れるという噂される都市伝説めいた領域である。そして一部の者はコトダマ空間を認識でき、その者達はコトダマ空間認識者と呼ばれている。ナンシー、ニンジャスレイヤー、ファル、そしてフォーリナーXXXである。「異世界に行けるよ」の魔法によってコトダマ空間認識者になっていた。

 

フォーリナーXXXのバクハツ・ジツを用いた攻撃によりスノーホワイトは重傷を負った。勝敗は決まった。スノーホワイトはこの手で殺す。あとは如何に殺すかが問題であり、思考は殺し方に移っていた。

 

捕縛し魔法の袋に入れた後にニンジャスレイヤーを倒し、奪われたドラゴンナイトと一緒に仲良くインタビューしながら殺すか、首を切断してニンジャスレイヤーとドラゴンナイトに見せるか。次々と邪悪な考えがニューロンに浮かび上がっていた。コワイ!

 

しかしどのアイディアも納得できなかった。どうせならこのネオサイタマでしか出来ない殺し方で殺したい。ニューロンをさらに稼働させアイディアを振り絞り浮かんだのがコトダマ空間を使用してスノーホワイトのニューロンを焼き切っての電脳死だった。

 

コトダマ空間に適性が無い者がコトダマ空間に入ってしまったらニューロンが焼き切れて死ぬ。それはフォーリナーXXXの魔法を使用した実験により証明済みだ。なんたるモータルをモルモットに代わりにした邪悪な実験だろうか!サツバツ!

 

フォーリナーXXXはスノーホワイトを掴み魔法を使用した。「異世界に行けるよ」の魔法を使えば、どんな人物でも異世界、つまりコトダマ空間に引き釣り込めるのだ。2人の体はコトダマ空間に移動していた。

 

フォーリナーXXXはコトダマ空間に移動すると同時にスノーホワイトの姿を探す。適性が無くニューロンが焼き切れた者の論理肉体の表情はブザマだ。その姿を見ようとサディストめいた表情を浮かべていた。そしてニュービーめいてオロオロしているスノーホワイトを発見する。健在である。

 

脳が焼き切れていないということはスノーホワイトにはコトダマ空間適性があった。フォーリナーXXXは即座に方針を切り替え、大剣を作り上げスノーホワイトに向かっていく。自分がハッキングにより脳を焼き切ってもコトダマ空間で死ぬことに変わらない。ニュービーのスノーホワイトを殺すなどベイビーサブミッションである。

 

「死ね!スノーホワイト!死ね!」フォーリナーXXXは電撃的な速度で首元に剣を振るう。スノーホワイトは防御するが、その反応速度はバイオナメクジめいて遅い。オオ、ブッダよ!スノーホワイトは異世界の地で脳が焼き切られるという哀れな死を遂げてしまうのですか!?

 

スノーホワイトの首は切断されて…いない。大剣が数インチ手前で止まっていた。スノーホワイトはフォーリナーXXXを見つめる。ニューロン内でソーマトリコールが再生されるほど死の予感を抱いていた。殺せたはずなのに何故殺さない?その行動の不可解さに訝しむ。

 

「キヒヒヒ、スノーホワイト!もっと最悪な死に方を思いついたぞ!」フォーリナーXXXはバリキ中毒者めいたハイテンションで手を叩き高笑いする!「イヤーッ!」大剣を捨てるとスノーホワイトの襟首を掴み打ち上げロケットめいた勢いで急浮上!スノーホワイトは全く反応できない!

 

2人はトリイゲートを通過し上昇していく。スノーホワイトは必死に藻掻くがフォーリナーXXXが作り上げた論理チェーンで拘束される。身動きを取れないスノーホワイトは超高速で通り過ぎる景色を見つめる。「オマミ」「混沌」「みんな知っている」ネオサイタマで見かけるようなネオン看板が有った。

 

他にもドラゴンが飛び、魔女の軍団が狂ったように高笑いしながら巨大なタコを攻撃し、ゴリラとイーグルがタコを守ろうと魔女の軍団に襲い掛かる。なんて非現実的な光景なのだろう。これがファルの言っていたコトダマ空間か。

 

スノーホワイトは思考をコトダマ空間からの脱出に切り替える。フォーリナーXXXのデーモンめいた笑み、あれは絶対に禄でもない事が起こると確信していた。論理チェーンで縛られながらも打ち上げられたマグロめいてもがき続ける。だが一向に拘束は解かれない。頭上に見える黄金立方体が近づいてくる景色に言いしれない恐怖を覚える。

 

(((キヒヒヒ、実際コワイ)))黄金立方体に近づくごとに論理肉体から汗がしたたり落ち寒気が全身に駆け巡る。体の中に潜む6つのニンジャソウルが近づきたくないと恐怖している。しかしこれもスノーホワイトに悲惨な死を与える為に必要であるとソウルから湧き上がる恐怖を抑え込む。

 

スノーホワイト、正義のヒーロー気取りで弱者を守るその姿が気に入らなかった。魔法少女とは自由だ、やりたければ正義の味方をして、悪行の限りを尽くしたくなれば悪役になる。好きなことを好きなだけやる。それが自由である。そしてスノーホワイトは何かに縛られて窮屈そうに見え気に入らなかった。

 

何より自分の自由を侵害した事は決して許されない。故に最も惨めで恐怖する死を与えてやる!フォーリナーXXXのソウルが最大限の警鐘を鳴らし始める。これ以上進めば奴が来る。今回は無事に済む保証は全くない。スノーホワイトを縛っているチェーンを手に取ると振り回しながら回転し、フォーリナーXXXを中心に竜巻が発生する。

 

「イヤーッ!」フォーリナーXXXはハンマー投げ選手めいてスノーホワイトを黄金立方体に向けて投擲した。そして向かっていくスノーホワイトに向けてキツネサインを作りながら嘲笑した。

 

「カラダニキヲツケテネ」

 

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