ニンジャスレイヤー・バーサス・マジカルガールハンター 作:ヘッズ
あとこの作品はニンジャスレイヤー×魔法少女育成計画のクロスSSですが、出番の比率としてはスノーホワイトが多くなります。
毎話ニンジャスレイヤーがニンジャをスレイするところが見たいという方は申し訳なありません
ブブブーンズズンブンブン―ン。サイバーテクノの重低音が部屋中に鳴り響く。部屋の中央に大きなテーブルがあり、床には酒瓶や注射器やバリキなどの興奮剤などが散乱している。その四方をソファーが囲みそれぞれに男たちが座っている。ある者はサケを飲み、ある者はヘンタイポルノを黙々と読むなどして好きに過ごしている。
するとガタガタと音を立てながら扉を開け首を下げながら部屋に男二名がエントリーする。彼はスモトリくずれで二メートルを超える巨漢だ。「どうよ何点?」「ニチレンカンパニーのカチョウ級のサラリマンで500点だ」「マジかよやるな、こっちはサンシタ企業ばっかりで100点ぽっちだ」「じゃあ今日の賞金は俺たちのものだな。ゴッチャンです」
スモトリは笑った。「残念だが賞金は俺のものだ。ヨロシサンのカカリチョウ級を狩って1000点だ」さらに部屋の中にもう一人右目に眼帯をつけた男がエントリーし勝ち誇るように言い放つ。彼らはヨタモノと呼ばれるはぐれ者の集団、サークル・サドガシマと名乗るグループである。
様々な犯罪行為をおこなってきたサークル・サドガシマの間で今一番ホットな犯罪行為がサラリマン狩りだ。過酷な労働時間を課せられ精根尽き果てたサラリマンを襲い金品を強奪するのがサラリマン狩りだが、それだけではつまらないとある要素を付け加える。それがポイント制である。
その日にポイントを一番多くとったものが賞金をもらい、強奪した金品と一緒に収入として得ることができる。メガコーポの社員は下級でも武装が充実しており、それと同様に役職が上がるごとに難易度が高くなり返り討ちにあうことが多い。それゆえにポイントは高く設定され高ポイントサラリマンを狩った者は自然とサークル内でのソンケイが高まってくる。
そしてシノノメは多くの高ポイントサラリマンを狩りサークル内でのソンケイはトップでリーダー的存在だ。「スゴイ!どうやったんですか?」「それは臨機応変にだな」シノノメは笑みを浮かべながら右目の眼帯を撫でた。右目はオムラのカチョウ級を狩った時の負傷で眼球を失っていた。
「おい、さっきから何を見てるんだ?」メンバーの一人がシノノメの武勇談を聞かずに写真をマジマジと見ている。「いやこの女。いいなと思って」ヨタモノの一人が写真を見ながら呟く。それは狩ったサラリマンの財布の中に入っていた写真だった。その写真には男性が一人にその両脇に二人の女性が写っていた。
男性の左にいる女性は30代半ばだろう。優しげに微笑んでおりその胸は豊満だった。そして男性の右には十代半ばの少女が朗らかに笑っている、その胸は平坦だった。「どっち?」「嫁のほう」「オイオイただのオバサンじゃねえか、断然娘のほうだろ」「まだロウティーンだろ。断然嫁の方だ」「わかってねえな。若さこそ重要なんだよ!」
「お前こそ分かんねえのかよ!人妻のヘンタイさが!」「テメエスッゾコラ!」「ヤッテミロコラ!」二人の口論はエキサイトし、お互いの襟首をつかみ今にも殴り合いをしそうなアトモスフィアだ。しかしシノノメがそれを制した。
「オイオイ、落ちつけよ。ところで奪った財布に住所が載っているものあるか?」「はい、あります」シノノメは住所を確認するとニヤついた笑みを浮かべた。「お互い言い分が有るのはわかった。だったら両方試してみればいいんだよ」「どういうことっすか?」「今から家に行ってファックしようぜ。ついでに家で金品をゲットだ」
ナムサン!なんと倫理観を無視した邪悪な提案だろうか!なんたるハック&スラッシュとファック&サヨナラを組み合わせたハイブリット非道行為!「いいっすね!」「さすがシノノメ=サン!カシコイ!」意見に賛同するかのように歓声が上がる。「さっそく行きましょうシノノメ=サン!」
「まあ待て、アベ=サンとトベ=サンが帰ってきてない。楽しいことは全員でだ」いきり立つメンバーをシノノメが制す。すると扉からガチャガチャと音が聞こえてきた。「噂をすればトベ=サン達が帰ってきたぞ?」扉の前に立っていたのはトベの姿ではなかった。背格好からしてロウティーンだろう、耐重金属酸性雨パーカーを身に纏い口元はマスクで隠している。
「ドーモ、サークル・サドガシマの皆さん、ドラゴンナイトです。捕まえに来ました」その言葉にサークルのメンバー全員が訝しんだ。マッポの手先か?だがそれにしては幼すぎる。「テメエ、ラリってんのかコラ!」思わぬ闖入者のエントリーで数秒間の空白ののちスモトリくずれが向い拳を振り上げる。
アジトの場所を誰かに密告される可能性がある以上生かしてはおけない。あの小僧はスモトリくずれによって撲殺されるだろう。ニューロンでツキジめいた光景が描かれる。「グワーッ!」するとスモトリの体は糸が切れたジョルリ人形めいて崩れ落ちた。何がおこったのか?この中にニンジャ動体視力の持ち主がいたなら視えただろう。
パーカーの少年は高速で拳を振りぬきスモトリ崩れの顎に掠らせスモトリの脳は揺らし失神させたのだ。このような芸当はニンジャにしかできない!つまりこの少年はニンジャだ!「お前らアイツを撃ち殺せ!」BLAM!BLAM!シノノメはサラリマン狩りで用いた銃を発砲しながらメンバー五人に対して声を荒げる。
メンバーもその声に反応するようにドラゴンナイトに発砲した。シノノメが多くの武装したメガコーポサラリマンを狩って生きていられたのは卓越した危機察知能力によるものだった。その第6感めいた判断力で数々の修羅場を潜りぬけてきた。その第6感が告げている。こいつを生かしてはおけないと。
「イヤーッ!」ドラゴンナイトは部屋の中でトライアングルリープを繰り返し銃弾を避けていきメンバーを倒していく。それはシノノメにとって信じられない光景だった。なぜこの銃弾を避けられる?まさか奴はニンジャなのか?裏社会の噂でニンジャがいるというのは聞いたことがあるが与太話ではなかったのか?その瞬間シノノメの意識は途絶えた。
ドラゴンナイトは倒れているシノノメを侮蔑的な目線で見下し足を振り上げる。「イヤーッ!」振り下ろされた足はシノノメの頭部の数センチに踏み込まれ、床には蜘蛛の巣状のヒビが広がった。「フゥー」深く息を吸い込むと懐からIRC電話を取り出した。
「ドーモ、マッポですか。ナオタカストリートのサスケという潰れたクラブにヨタモノがいるみたいです。何か盗みをやったみたいで早く捕まえてください」一方的に告げるとIRC電話を懐にしまい込みこの場を去っていった。
◆◆◆
シャッシャッシャッ。硯に墨汁を入れ墨でする音がBGMめいて教室に響き渡る。全員が同じ行動をとりコケシファクトリーの工場員のようだ。そんな感想を抱きながらカワベ・ソウスケも同じように墨をする。ここはネオサイタマにある私立ジュニアハイスクール。アカツキ・ジュニアハイスクール。
カチグミの息子たちが通う私立中学校であり、一般の公立中学校では受けられないような高度な教育を受けられる。ヤブサメ、ハイク、オリガミ、ショウギ。それぞれに専門の教師がいる。そしてソウスケがおこなっているショドーでもそうである。ショドーはカチグミにとって重要な教養である。
ショドーが上手ければそれだけで出世するものも居れば、逆に降格もしくは下手であるというだけでケジメに追い込まれる事さえありえる。ソウスケは墨をすりながら息を深く吐きコンセクトレーションを高める。今日のショドーは各々が好きな言葉をショドーするカリキュラムだ。そして息を吸い込み紙に己が書きたい言葉をショドーした。
「ではヨモダ=サンは何を書きましたか」ショドーの教師がヨモダに壇上に上がるように促し己が書いたショドーを黒板に貼りつけた。皆に己のショドーを発表し意見や感想を述べてもらうのである。「はい、『成せば成る』です」「ワオ、ゼン!」「決断的だ!」「パワーを感じる!まるでヨモダ=サンのようだ」生徒達が次々と賞賛の声をあげる。
賞賛の声をあげているのはヨモダの取り巻きである。ヨモダはアメフト部に所属しているジョックだ。そして次々と生徒達が壇上に上がりショドーを発表しソウスケの番がやってくる。「ではカワベ=サンは何を書きましたか」「ニンジャです」ソウスケは己のショドーを張り付けた。
「もやしめいて弱弱しい!」「字が曲がっている。性格を表しているようだ!」「心に響かない!」ヨモダの取り巻きが嘲笑と罵声をソウスケに浴びせさせる。「チョットヤメナイカ」「ハイ、スミマセン」教師が形式的に注意し取り巻きが形式的に謝罪した。
少し前までは賞賛を浴びる立場だったのにずいぶんと変わったものだ。ソウスケは皮肉めいた笑みを見せる。かつて野球部に所属しておりジョックだった。だがある時に野球部をやめてスクールカーストの最下層に落ちたのだった。
「カワベ=サン。好きな言葉を書いてよいと言いましたが、もっと別の言葉を書いてもらいたかったです」教師が冷ややかな目線で注意する。ショドーの授業では漢字やひらがなを使いコトワザなどを書くことが推奨されていた「ゴメンナサイ」ソウスケは謝罪するが謝罪の気持ちはない。
この行為は重要な事だった。自分が発した言葉や自分が書いた言葉自分に大きく影響を与える。ニンジャとショドーすることは己を認識するために必要だった。カワベ・ソウスケ改めドラゴンナイト。彼はニンジャだった。
もうアニメの魔法少女育成計画放送から一年ですね。
続きが気になって朝起きてすぐに録画を見た日々が懐かしい。