ニンジャスレイヤー・バーサス・マジカルガールハンター   作:ヘッズ

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最終話 ニンジャスレイヤー・アンド・マジカルガールハンター・バーサス・ニンジャマジカルガール#10

「ンアーッ!」フォーリナーXXXは受け身も取れず、ブザマに背中を強かに打ち付ける。背中と頭に駆け巡る痛みに耐え、血涙で赤く滲む視界で周りを見渡す。前方に見えたビルが見えず、粉塵が舞い周りにはコンクリート片が散乱している。上を見上げると髑髏めいた模様の月が見える。状況から見て屋上の床が崩落して下の階に落ちたと推測した。

 

状況を把握し次にニンジャスレイヤーを探す。粉塵と血涙で見えづらいが、ニンジャスレイヤーの姿は見当たらない。フォーリナーXXXの表情が不安と緊張から安堵に変わる。あのヒサツワザはベストだった。直撃して跡形もなく消滅しても不思議ではない。そしてニンジャは死ねば爆発四散するので死体が残っていない可能性のほうが高い。

 

「キヒヒヒ!やったぞマンキヘイ!仇を取ったぞ!ニンジャ魔法少女は最強なんだ!」痛みはニンジャスレイヤーを倒した高揚感によるニンジャ魔法少女アドレナリンで消え、勝利宣言のように高らかに叫び、ああ!ネオサイタマの死神はニンジャ魔法少女に破れてしまった!ブッダは寝ているのですか!?

 

フォーリナーXXXはその場で大の字になって倒れこむ。勝利は疑っていなかったが、ここまで追い詰められるとは思っていなかった。今日はマンキヘイの弔いをしながら思う存分勝利を祝おう。そして休んだらアマクダリ潰しを再開する。今後の予定を立てるが何かを思い出したかのように起き上がる。

 

魔法少女の変身が解除される条件は自分の意志で解除するか、気絶か死亡した場合だ。そして覚えている限り変身は解けていない。つまりスノーホワイトは死んでいない。直撃はしなかったがヒサツワザを喰らってなお生きているどころか気絶すらしていない。その事実はカンニンブクロを温めかけるがすぐに怒りは収まる。

 

あの状態では戦闘不能だろう。念のために死なないギリギリまでダメージを与え、魔法の袋からドラゴンナイトを回収し、ついでにスノーホワイトと魔法の袋を回収、そして祝勝会を兼ねながらドラゴンナイトの目の前でスノーホワイトをインタビューやファックアンドサヨナラをする。ナムサン!なんたる中世ヨーロッパのサバトめいた邪悪な催しか!

 

「なにを騒いでいる?まだイクサは終わっておらぬ」フォーリナーXXXは声が聞こえた方向に注意を向ける。粉塵が薄れ血涙が止まったことで目の前にいる人影を視認する。「バカなーっ!なんで生きている!?」ゴウランガ!ニンジャスレイヤーはフォーリナーXXXのヒサツワザを受けながら生存していた!

 

フォーリナーXXXは驚愕しながらニンジャスレイヤーを注視する。左右の手や腕が歪に変形している。そして右わき腹は抉られ煙が出て髪の毛が焼けたような嫌な匂いが立ち込めている。そしてこめかみ付近も抉られ、センパイにハードワークを強いられたニュービースモトリめいて弱弱しい。

 

フォーリナーXXXのニューロンに数十秒前の光景が浮かび上がる。ヤリはニンジャスレイヤーの頭と心臓に向かっていき、頭に向かったヤリがあと数十センチというところでニンジャスレイヤーはチョップを放った。「イヤーッ!」黒炎を纏った右手チョップがヤリと激突する。KRASHH!凄まじい衝撃音を発しながらヤリは軌道が逸れこめかみを抉り、死神の後方を抜ける。

 

「イヤーッ!」心臓に向かったヤリもニンジャスレイヤーは黒炎を纏った左チョップで迎撃する。ヤリは軌道が逸れ右わき腹を抉りながら、ニンジャスレイヤーの後方を通り過ぎる。そしてチョップとヤリが激突したカラテ衝撃波で床が崩落した。

 

ニンジャスレイヤーは今にも崩れ落ちそうな体を支える。フォーリナーXXXのヒサツワザはかつてのラオモトの流星群めいたカラテミサイルを思わせるほどの威力だった。ナラクの黒炎を左右の手に集約した渾身のカラテでも迎撃できず、軌道を逸らし致命傷を避けるのが限界だった。そして左右の手は衝撃で破壊されてしまった。

 

「アバ……ウソだ……そんなはずは……」フォーリナーXXXは再び鼻血を出し吐血しながら激しく動揺する。あれはニンジャ魔法少女のフィジカルとニンジャのジツがシナジーを起したニンジャ魔法少女に相応しい渾身の攻撃だった。それが防がれるというのはニンジャ魔法少女としての自信を著しく揺るがす。

 

ニンジャ魔法少女がニンジャに負ける?ニューロン内にアメーバの細胞分裂めいて敗北の予感が膨れ上がる。ヒサツワザが破れたショックとニューロンへのダメージで、そのメンタルは弱り切り、かつての傲慢さと自信は全くなくなっていた。フォーリナーXXXは懐に手を入れる。そこにはマンキヘイに与えたヘルムの破片が有った。

 

(((マンキヘイ!ワタシに力をくれ)))弱り切ったメンタルをマンキヘイへの情と相手への復讐心という燃料を燃え上がらせ立ち上がる。ニューロンや体に少しずつエネルギーが湧いてくる。これならやれる!ニンジャ魔法少女として!マンキヘイの友達としてニンジャスレイヤーを殺す!淀み切った双眸に光が宿る。

 

「ニンジャ殺すべし」ニンジャスレイヤーは静かな声でジゴクめいて呟く。「アイエエエ……」フォーリナーXXXは後ずさり思わず座り込んだ。ダメージでいえば明らかに相手の方が大きい。普通なら死んでいる。何故立ち上がれる?そしてニンジャスレイヤーの双眸には底知れない憎悪の炎とエネルギーが宿っていた。

 

ニンジャスレイヤーが力を振り絞るようにスプリントする。「イヤーッ!」「ンアーッ!」ニンジャスレイヤーの飛び膝がフォーリナーXXXの顔面に突き刺さる。ニンジャスレイヤーのダメージは実際重く、その攻撃はあまりにも遅かった。ダメージを負っている今の状態でも避けられるはずだった。しかし身体がサンシタめいて震え動かず無様に受けた。

 

ニンジャスレイヤーは馬乗りになりマウントポジションを取る。これは奇しくもマンキヘイをスレイした状態と同じだ。「イヤーッ!」「ンアーッ!」ニンジャスレイヤーは歪な形になった右手でチョップを振り下ろす。「イヤーッ!」「ンアーッ!」ニンジャスレイヤーは歪な形になった左手でチョップを振り下ろす。

 

(((動け!動けよ!)))フォーリナーXXXのニューロン内で声がけたたましく響く。体は声の言う事を聞かず、ニンジャスレイヤーのパウンドチョップを受け続ける。動かなければ爆発四散する。そうニューロン内で理解しながらもニンジャスレイヤーの目を見てチョップを受けるたびに恐怖が体を縛る。

 

今のニンジャスレイヤーはナラクが表面化していない。フジキド・ケンジとしてカラテを叩きこむ。ナラクが表に出た時はフォーリナーXXXのソウルは慄き、動きが制限されそうになったが自分の意志でソウルの恐怖を克服した。そして今はソウルではなく、フォーリナーXXXという1人のニンジャ魔法少女がニンジャスレイヤーに慄き、動けずにいた。

 

「イヤーッ!」「ンアーッ!」「イヤーッ!」「ンアーッ!」「イヤーッ!」「ンアーッ!」「イヤーッ!」「ンアーッ!」「イヤーッ!」「ンアーッ!」「イヤーッ!」「ンアーッ!」「イヤーッ!」「ンアーッ!」「イヤーッ!」「ンアーッ!」「イヤーッ!」「ンアーッ!」「イヤーッ!」「ンアーッ!」「イヤーッ!」「ンアーッ!」「イヤーッ!」「ンアーッ!」

 

フォーリナーXXXの意識は徐々に遠のき、ソーマト・リコールが見え始める。病気にかかっていない時の黄金時代、入院時代の虚無の日々、魔法少女になった時の高揚感、そしてマンキヘイとの出会いと過ごした日々、楽しかった。美味かった。笑った。今までの人生の記憶が蘇る。

 

フォーリナーXXXの意識が徐々に現実に戻り始める。顔に痛みや衝撃がない。訝しみながらも視界が晴れていき五感も鮮明になっていく。そして気づけば己の身体にもたれ掛かるように倒れるニンジャスレイヤーがいた。フォーリナーXXXはニンジャスレイヤーを跳ねのけ這うように移動し、呆然と倒れこむニンジャスレイヤーを眺める。

 

「キヒヒヒヒ!ニンジャ魔法少女がニンジャに勝ったんだ!同然の結果だ!」フォーリナーXXXはバリキ中毒者めいて叫ぶ。ソーマト・リコールまで浮かぶ程のピンチから生還した。それは人生において最も嬉しい出来事であった。一方ニンジャスレイヤーはピクリとも動かず、身体の所々が緑色に変色している。

 

これはホロビのドクである。チャドーとナラクの炎で無効化していたが、度重なるダメージによりドクが回り力尽きた。異世界のアイテムによりバフを得たマンキヘイとニンジャ魔法少女フォーリナーXXXという強敵との連戦、その過酷なイクサはネオサイタマの死神と云えど乗り切れなかったというのか!

 

フォーリナーXXXのニューロンは生き残った事への喜びに満ちていた。だが次第に喜びは消え失せていく。(((アイエエエ……)))自分の情けない声がリフレインし続ける。結果的には勝ったが、恐怖によって体が動かず攻撃を受け続けるという醜態を晒した。それはニューロンに深く刻まれ、呪いとなって苛むという確信を抱く。

 

カートゥーンの主人公であればマンキヘイの仇と体が動くはずだった。だが恐怖が勝り動けなかった。己は主人公でもないし、恐怖で動けなくなるほど友人のマンキヘイに対する想いは大きくなかった。その事実がさらにニューロンをかき乱し苛つかせる。まずはニンジャスレイヤーを爆発四散させる。

 

そして異世界の技術でも魔法少女の魔法でも何でもいい、この忌々しい記憶を消し去る。アマクダリ解体も何もかもその後だ。フォーリナーXXXはゆっくりと近づき、脚を振り上げカイシャクの準備をする。しかしその脚は振り下ろされなかった。フォーリナーXXXは背後を振り向く。その視線の先には猛然と突っ込んでくるスノーホワイトの姿がいた。

 

♢スノーホワイト

 

 一歩踏み込むたびに血飛沫が飛び白い制服風のコスチュームを赤く染める。そして赤く染まった視界が歪み、脳をハンマーで直接叩かれたように痛む。息を吸うごとに蹴りで折れたアバラが痛む。脚を上げる度に倦怠感と焼き付くような痛みが体中に駆け巡る。

 一歩踏み出すごとにラ・ピュセルの、ハードゴアアリスの、ねむりんの、ウインタープリズンの、シスターナナの、リップルの顔や声が思い浮かび体中に活力を与え、痛みを堪えられる。

 地に伏せるニンジャスレイヤーの姿を見て申し訳なさが込み上がる。フォーリナーXXXの攻撃を受けてつい先ほどまで戦闘不能状態に陥り、ニンジャスレイヤーのサポートが出来なかった。

 槍の攻撃は先の戦闘で脇腹を斬りつけられた技と似ていた。1度受けた攻撃を2度も受けるつもりはない、それでも攻撃を受けたのはスピードがあまりにも速かったからだ。あれは今まで会ったどんな魔法少女でも防げない。

 本来であればスノーホワイトの頭部は槍によって粉微塵になっていた。だが狙いが逸れたのと偶然にもルーラを構えたことで槍が激突し僅かに威力を軽減し生き延びた。結果槍は頭頂部の皮膚と頭蓋骨を抉る。即死は免れても充分に重傷だった。

 

 魔法少女は重篤なダメージを負う、意識を失うと魔法少女の変身が解ける。そしてスノーホワイトが受けたダメージは両者に該当するものだった。それでもスノーホワイトの変身は解けなかった。

 変身を解けば戦いから離脱してしまう。魔法少女の変身が解ければ全てが終わる。たとえ戦力にならなくとも僅かでもフォーリナーXXXを倒す確率を上げるために魔法少女で居なければならない。

 それからスノーホワイトは意識が混濁しながらも懸命に意識を保ち続けた。ニンジャスレイヤーのチョップと槍が激突した際の衝撃波にも耐え続け、魔法の袋から少しずつアイテムを取り出し、ニンジャスレイヤーに加勢できる程度に体が動けるように回復していく。

 

 ニンジャスレイヤーの姿を見て使命感が湧き上がる。魔法少女によって魔法少女以外が傷ついた。それは相手が魔法少女と同等の力を持つニンジャでも関係ない。悪い魔法少女から誰かを守る。それがスノーホワイトの信じる清く正しい魔法少女であり、使命でもある。

 スノーホワイトは無意識に握りこぶしを作る。今はアイテムによって無理やり体を動かせる状態にしているだけだ。根本的に怪我は治ってなく重傷であるのには変わらない。

 そして手元にはルーラがない。槍の攻撃を防いだ際にどこかに飛んでいった。徒手空拳はルーラを使うより得意ではない。そして相手は魔法の袋から武器やアイテムを取り出すだろう。

 相手は自分より強く武器を使う。どう見ても不利だが関係ない。撤退すればニンジャスレイヤーは死ぬ。これ以上誰かが魔法少女の手によって死ぬのは見たくない。

 

 スノーホワイトは残り10メートルまで迫る。鼻が歪み魔法少女の美貌が無惨になったフォーリナーXXXの顔に驚きと動揺が浮かんでいたが、落ち着きを取り戻しスノーホワイトを見据えながら魔法の袋に手を伸ばす。何が出てきてもいいように魔法と神経を研ぎ澄ます。

 フォーリナーXXXのひと際大きい困った声が聞こえる。手を伸ばした瞬間に袋が下に移動し空を切る。足元にいたニンジャスレイヤーが片膝立ちでチョップを放ち服に結着していた魔法の袋の紐をチョップで切り袋を奪い、最後の力を使い果たしたかのように倒れこむ。一瞬目を見開き視線を下に移し、何が起こったかを理解し表情が怒りに歪む。

 フォーリナーXXXはそのまま踏みつぶして息の根を止めようと足を上げる。スノーホワイトの飛び込みパンチが顔面に当たり阻止する。

 

 フォーリナーXXXはたたらを踏み数歩ほど後退し、スノーホワイトは迷わず追撃する。相手は声を出しながら袈裟切りチョップを振り下ろす。そのチョップを左手で円を描くように受け流すと同時に左足刀で足の指を潰す。さらに膝関節にローキックを繰り出す。フォーリナーXXXは苦悶の声をあげる。

 動きに僅かな遅れがあった。困った声で(ライデンの力が使えなくて困る)(瞬間移動ができなくて困る)という声が聞こえてきた。何かしらの理由で能力が使えなくなっている。これは好機だ。ここで決着をつける。

 相手が左ジャブを放ち首を傾け避ける。だがそれは囮で本命は頚椎への一撃、それも魔法で察知し頭を前に屈めるが後頭部に僅かに掠る。ダメージで魔法の精度も体の動きも鈍い。

 それを待ち構えたように右アッパーカット、これも魔法で察し両腕で防ぐ。さらに左のフックが迫っている。避けられないと判断し首をひねりダメージを軽減し、それと同時に相手の腕を脇に抱え背中側に曲げて肩を破壊し。その後はそのまま組み伏せ相手を倒しにかかる。

 フォーリナーXXXは踏ん張りながら掴まれた腕を振り払おうと回転し、その勢いを利用してパンチを放つ。スノーホワイトは反応が遅れパンチを受ける。鼻に当り鼻骨が折れる音が耳に届く。

 その拍子に思わず手を放す。その隙に放った横蹴りが腹部に当たり、距離が離れ激痛が走る。折られた箇所を蹴られた。だが痛みに挫けている暇はない。スノーホワイトは即座に距離を詰める。

 

「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」

 

 フォーリナーXXXは一心不乱にチョップや蹴りやパンチを繰り出す。訓練されていない魔法少女になりたての新人のような本能的な攻撃、一方スノーホワイトは魔法を使い、リップルとの組手や監査部の訓練で培った技術を駆使し受けて捌き攻撃する。

 2人の動きは魔法少女やニンジャから見ればあまりにも力なく鈍重だった。両者ともダメージと疲労が限界を超え、精神力のみで動いていた。

 

「イヤーッ!」

 

 フォーリナーXXXのチョップがスノーホワイトの左鎖骨にめり込む。スノーホワイトの左腕に高圧電流を浴びた痛みと痺れが襲う。痛みを堪えながらスノーホワイトは左鉤突きを繰り出す。拳はフォーリナーXXXの肘頭で受けられ激痛が走り思わず顔を歪める。左指の中指と薬指が折れる。

 その痛みに介さず右のストレートを鼻に向けて繰り出す。だがフォーリナーXXXは頭をずらし額で受ける。右指の何本かが折れる。

 フォーリナーXXXは首を刈り取ろうと水平にチョップを打ってくる。しゃがみ込んで躱し空いている腹部の急所に掌底を放つ。

 

「イヤーッ!」

 

 フォーリナーXXXは攻撃に耐えて左鉤突きを放ち、スノーホワイトの肝臓にめり込む。激しい痛みが全身を駆け巡り、吐瀉物がせり上がり口から洩れる。返しの右フックがくるが吐瀉物を目潰し代わりに吐き出し、相手のパンチは空を切り難を逃れる。

 

 時間が経つにつれフォーリナーXXXの攻撃がスノーホワイトより当たるようになった。元々のフィジカル差、ダメージの多寡、それらが戦いの形勢をフォーリナーXXXに傾ける。

 スノーホワイトは構えを取る。両手の人差し指と中指は折れ曲がり、手足の様々な個所は骨折し、アバラは左右とも折れ、一部は折れた骨が臓器に突き刺さっている。顔面は鼻や眼窩底が折れ、すれ違う人の誰もが振り向く美貌とは思えない程無惨な姿になっていた。

 

「スノーホワイト!がんばるぽん!清く正しい魔法少女は悪い魔法少女に負けちゃダメぽん!」

 

 懐から甲高い子供のような声が聞こえてくる。ファルの声だ。何もできない不甲斐なさを感じながら少しでも力になろうと声援を送っている。そんな心情が困った声を通してありありと伝わってくる。

 

「ありがとうファル、友達の励ましは本当に力になる。貴女はどう?大切な友達のマンキヘイはどうしたの?」

 

 フォーリナーXXXの表情がみるみるうちに歪んでいく。怒り後悔悲しみ、様々な感情が綯交ぜになり激しく動揺しているのが心の声で手に取るように分かる。

 

「ニンジャ魔法少女になって、ニンジャより魔法少女より優れた種族になったはずなのに、大切な親友すら守れないんだ」

 

 スノーホワイトは腫れあがった顔で最大限の嘲笑を浮かべる。その瞬間にフォーリナーXXXは怒りで我を忘れ衝動が赴くままに動いた。叫び声をあげながら手を広げ腰元に飛び掛かる。

 スノーホワイトは飛び込んでくるフォーリナーXXXの顎に向かって渾身の力でアッパーを振り上げる。折れている指で強引に拳を作ったせいか人差し指と中指はさらに変形した。

 拳から顎を砕いた生々しい感触が伝わる。手応えはあった。フォーリナーXXXの顎は跳ね上がり目から生気が一瞬消える。すかさず組み伏せ馬乗りになり、激痛に耐えながら両手で相手の肩を抑える。そして目一杯上半身を逸らす。

 フォーリナーXXXは数秒後に訪れる悲惨な未来を予知したのか懇願しようと声を発する。だがその前にスノーホワイトの頭突きが顔面にめり込んだ。

 

 スノーホワイトはこのままでは負けると予感していた。どこかで逆転の一手を打たなければと突破口を探していた。その折にファルがスノーホワイトに声をかける。それを起点に言葉によって相手の心を乱し怒らせ利用する。

 相手の心の柔らかい部分を探り当て掘り起こし、相手の心をグチャグチャにかき混ぜ傷つける。なんて卑劣で邪悪な行動だろうか、過去の自分が見ればあまりの卑劣さにこんな魔法少女になるくらいならばと魔法少女を辞め、ラ・ピュセルやハードコアアリスは軽蔑し最大級の憎悪を見せるだろう。

 それでも悪い魔法少女に負けて、多くの人々が苦しみ悲しむより何十倍もマシだ。それにコトダマ空間で出会ったラ・ピュセルが己の道を肯定してくれた。それだけで選んだ道を歩み続けられる。

 

 スノーホワイトはフォーリナーXXXの顔面に額を打ち付ける。元の世界で初めて遭遇した際も同じように馬乗りになって殴打した。あの時は魔法によってネオサイタマに飛ばされ逃げられた。今度はそんな暇すら与えず無力化する。

 魔法で死にたくない、これ以上殴られたくないという声が聞こえてくる。それを無視して頭突きを叩きこむ。意識を失うまで徹底的に攻撃を加える。

 

 何十発目の頭突きを顔面に叩き込んだ時にフォーリナーXXXのビジュアルが変化する。黒髪で切れ目の同年代ぐらいの少女が現れた。

 普通の魔法少女であれば人間に戻れば無傷なのだが、目の前の少女は顔が腫れ上がり鼻も折れていた。ニンジャ魔法少女はダメージがある程度リンクするのか?

 スノーホワイトは推測を立てながら体にムチ打ち魔法の袋から監査部特製の捕縛用ロープを取り出し、監査部直伝の方法で縛り上げる。目の前の少女は人間ではなくニンジャであり魔法少女と思って扱うべきだ。

 そして最後に魔法の袋に入れると、その場に大の字になった。

 

 

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