病犬は夜も死亡フラグが立つ   作:ボージョレ

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第2話 戦闘×牙×乱入

「へぇ…並みの力はあるのか…!!そんなゴボウの様な体からそんな力強いオーラがでているとは」

 

うるせーな。

波打つ心臓の音に混じって俺は小さな悪態をついた。ウヴォーギンは強化系…だからといって、パワーだけが取り柄というわけではない。

原作では隠を駆使し、クラピカの右腕にビッグバンインパクトを直撃させた。

パワー系で、戦術に関して頭の切れる男。何ともタチの悪い組み合わせだ。

だが、それでも弱点はあるはず。

 

「少しはいい殺し合いになるかもな…」

 

ウヴォーギンはニヤリと笑みを浮かべ、掌サイズの石(いやあいつの手の大きさからして岩といっていいのか)をコロコロと転がす。そしてそのままこちらへと石を握った手で振りかぶった。

「オラァ!!」

「!!」

 

強化された腕力での投球。それ故に速さも目では見切れなかった。ただ、反射的に首を横へとずらし避ける事ができた。

何とも人外な行動に驚きはしたものの、これは好機だとすぐに判断する。手を前にやるという防御姿勢をとりながら、ウヴォーギンの下へと突進した。

 

ウヴォーギンの遠距離で、地面を殴って岩などを打ち出す破岩弾という技がある。クラピカは難なく避けれたが、俺自身はそんな避ける程余裕を持っていない。

 

ならばと、強化系という事を生かして腕の部分を凝で防御力を底上げする。

 

「ハハハ!!いいねぇ!命知らずで好きだよお前!」

 

「こっちから願い下げだ…!!」

 

「だが…てめぇは」

 

ウヴォーギンは大木の様な右腕で、接近してくる俺に向かって拳を振るった。

 

「死ねッ!!」

 

やはり右か!

俺はウヴォーギンの右ストレートを屈んで避けた。奴のパンチの威力は凄く、避けたところから風が巻き上がるほどだ。

奴は原作でも右手を最初に攻撃として用いるのを知った上での事。無事に初撃を避けることができた。右腕を振りかざした後のウヴォーギンの隙を狙い、

 

「ぐっ!?」

 

凝でオーラを込めた拳で、ウヴォーギンの頬を殴打した。ウヴォーギンの頭が仰け反るが、その時に俺の右腕がメキメキと嫌な音を鳴らす。

 

奴の肉体は、戦車用のバズーカさえも効かない。強化系では奴の力はトップクラス。

 

だが、やっと掴めたチャンスなんだ。1発で済ませるわけにはいかない。

 

「筋肉ダルマが!!」

 

左を振りかぶり、続けてウヴォーギンの腹に拳がめり込む。こいつとは力の差が歴然だろうが俺も強化系。凝パンチは威力がある。

 

「チッ!!」

 

殴られたウヴォーギンの目がカッと開き、右腕を突き出した姿勢のまま、右足をうねらせ、横に一直線へと蹴りを放った。

 

「ッ!!」

 

咄嗟に、足にオーラを込めて後退する。完全に避けきれていなかったのか、薄汚れた服に切れ目がつき、胸の部分が血に覆われる。

 

反応が1秒でも遅ければ完全に上半身と下半身が真っ二つになっていた。それほどまでのウヴォーギンと俺のオーラの気迫が違う。

 

だが、奴に2発殴れたのは大きい。俺自身もこんなに上手くいくなんて思わなかった。奴の攻撃を避けれたのも、長年廃墟で鼠取りで得られた俊敏さのおかげだ。

 

だが…。

 

ウヴォーギンの頬と腹を見てみる。多少皮が剥がれているが、奴の余裕の笑みを浮かべている。奴にとってはただ単に転んで擦りむいた程度の痛さだろう。

 

本来ならば硬で殴りたかったが、習得中での幻影旅団の乱入。頭が混乱し過ぎてさっきまでの硬を行うまでの過程までもが掴めない。

 

戦闘中で、できていない技術をやるなんて自殺行為。だからと行って俺にはこいつに対しての決定打がない。

 

両腕…は駄目だ。バッキバキに折れている。力が入らない上に、両腕が確実に使えなくなる。

足は確実に駄目だ。もし攻撃できたとしても、骨が折れる事は確定。それで動けなくなっては蹂躙されるだけ。

 

…だとしたら、これしかないのか。

 

歯を食いしばり、俺はオーラを口へと向かわせる。

 

牙での攻撃。これに賭けるしかない。

 

「ん?あいつ何かオーラが変な動きしてない?」

 

「気をつけなよ、ウヴォー」

 

マチとシャルナークが俺の変化に気づいたようだ、格下である俺に対して警戒し出している。流石は勘必中の女と幻影旅団の頭脳野郎だ。

 

だが…あの言動からして、まだそこまでの注意は払っていない。俺の事はただの少しやるようだな程度の念能力者だとしか思われていないようだ。

 

「わぁってるよ!久し振りの戦いだから、じっくりと楽しみてぇんだ!」

 

だからこそ、まだ好機はある。ウヴォーギンの奴は完全に舐めプの姿勢だ。奴が戦闘狂故に、俺と同じぐらいの力で相手しているんだろう。

 

牙にオーラを込めると共に、俺は再度ウヴォーギンへと突っ込んで行った。

 

「おいおい、流石に二度目は通用しない…ぜ!?」

 

地面に拳を突き立て、そのまま俺の方向へと岩石らを散弾状に放つ…破岩弾だ

 

バッキバキに折れた腕に、残りのオーラを込めてガードする。流石に岩石にオーラはこめられていない。あんな荒技でそんな芸当が出来るわけない。

 

粉砕される岩の粒に、俺は目を細めてウヴォーギンの首筋を狙う。

 

やるしかない…、

 

「うおおおお!!」

 

「ッお!?」

 

俺自身を鼓舞する声に、ウヴォーギンは声を漏らした。

破石弾の猛攻を耐えきり、奴との距離は約3メートル。ここからが勝負だ。ウヴォーギンの拳をいかに避けきることができ、尚且つダメージを与える。

 

「また、来やがったか…!!」

 

ウヴォーギンはニヤリと笑みを浮かべて、右腕を振りかぶろうとする。

 

「右…と思わせて」

 

左だろ?そんな事は分かっている。体を右に傾けた。

だが俺の予想は外れた。

 

「!?ぐうッ!」

 

脇腹から衝撃が襲い、俺の身体が近くの壁へと打ち付けられた。

 

「右足だ…」

 

上げた右足をこれまでかと指差し、こちらへと睨み据える。

 

「ウヴォーギン相手にやれたほうだ」

 

ピントが合っていないぼやけた視覚にノブナガが頭をボリボリと掻いている様子が見えた。

 

「ゴホッ!!…ハァ…ハァ!!」

 

口から、大量の血を吐いた。どうやら折れた肋骨が肺に食い込んでいるようだ。今まで感じたことの無い痛みが俺に襲い、これは夢なのかと錯覚させる。

 

「ま、短い時間だったが…少しは楽しめたぜ。さっさと死ね」

 

ウヴォーギンがこちらへと歩み寄る。俺の脳天に拳を叩き込んでミンチにするのだろうか。

 

「くそ…!!」

 

段々と大きくなっていく足音。

死ねるか。俺はただ廃墟で暮らしてきただけなのだ。何故住む場所も奪われ、俺も殺されなければならないんだ。

 

死の瀬戸際なのか、何故このような事態になったのかを遡る。そして、理由があまりにも単純な事であった。

 

広がっていく血を見つめ、旅団の勝手さに段々と腹が立ってきた。

 

「死ねるかよ…!!」

 

「お?」

 

腹から声を吐き出し、重い体を起こす。

 

「何故てめえなんぞに殺されなきゃいけないんだ…」

 

砕けた手を力一杯に握りしめ、それによって生じた痛みを歯で食いしばりながら耐える。分散されたオーラをまた、牙へと集中させた。さっきとまた手順はおなじだが、オーラの感触が前とは違う。

 

(硬…できるのか?)

 

限界までに集中し、体の周りで微小に纏っているオーラを絶で消す。

 

「!?」

 

「硬…?」

 

ウヴォーギンが小さく呟いた後、俺は自分の変化に驚いた。硬を成功させた事よりもだ。

牙同士がが軋み、音を鳴らしている。…牙が盛り上がっているのだ。しかも1,5倍の大きさまでに。

 

牙を強化させるという発が、この戦闘で編み出すことができた。

 

「んー❤︎」

 

火事場の馬鹿力というやつで勘が冴えているせいか、ヒソカがこちらを見つめているのがわかった。なんとも言えない寒気がする。

 

「おいおい!硬できるのか!お前才能あるな…ま、ここで殺されるんだが」

 

「うるせえよ!!」

 

ウヴォーギンの高笑い対し、俺は怒鳴りながら牙に硬の状態で接近した。アドレナリンがドバドバ出ているせいか、さっきの痛みを感じない。身体が軽くなっているようだ。

 

「また死ににきたのか!少しは学習…!?」

 

俺は牙で接近している中に通り過ぎた壁の一部を噛み付き、そのままウヴォーギンへと破片を飛ばした。

 

硬での攻撃で飛ばされた壁の破片は、そこらの銃弾よりも威力があり、ウヴォーギンはそれに気づいて掌をかざした。

 

その瞬間に勢い良く土を蹴り上げ、ウヴォーギンの足に、牙を向けた。

 

そしてそのままーー

 

「ッ!?テメェ!!」

 

右脇腹を服ごと抉りちぎった。硬と、掌をかざした瞬間に奴がやっていたであろう堅とのぶつかり合いによって爆風が巻き起こり、俺はその風に乗るようにウヴォーギンの脇を通りすぎた。

 

(男の皮膚なんざ、気色悪くて食えたもんじゃないな)

 

口に含んだ、ウヴォーギンの肉を唾の様に吐き出した。本当に一矢報いる事ができた。

…だからといってこれで死んで終わり、なんて思わない。

硬と発を習得し、それに旅団と渡り合える力まで強くなれる可能性があるんだ。

どうにか逃げる術はないのか。

 

ウヴォーギンを殺したとしても、これは旅団のルールに則って殺し合いをした訳ではない。旅団にはなる事ができずに他の団員に嬲り殺されるだけだ。

 

「ウヴォーの皮膚を噛みちぎるとは」

 

クロロが俺に対し、少し目を開いて驚愕した。

 

「団長…やっぱ、こいつは100%で殺してもいいか?」

ウヴォーギンの声が震えている。奴の血走った目を見る限り、どうやらそれは怒りが起因のようだ。

 

「ウヴォー、力は抑えろといったはずだ。奴はこの窮地の中で、爆発的に強くなった…がそれでもお前の半分には到底及ばない。お前の私情で拠点を潰そうとするな」

 

クロロの有無も言わさぬ正論に、ウヴォーギンが黙りこく。そして、手で髪の毛をゴシゴシと掻いた。

 

「チッ…わかったよ団長。ここは50%で妥協…?」

 

ウヴォーギンの目が、急に空へと向けられた。俺もそれに釣られて顔を仰いだ。

 

無数の光がこちらへと見えてくる。まるで流星群の様に降り注いでいるのだ。

 

(なんだ…これは?)

 

流星群の様なものは、俺が住んでいた廃墟ごと爆撃の様に、衝撃を放ちながら壊していく。

 

他の団員らはオーラを漂わせ、臨戦状態へと切り替える。奴等の目線は、俺と鉢合わせした時に立っていたゴミ山。

 

ゴミ山には、様々な格好の男らがいた。中華風や洋風。色々とごちゃごちゃしているのだが、表情は全て共通していた。

それを一言で表すと、怒り。

 

「この人達誰?」

 

「変な格好のヤツらだな」

 

シズクの問いかけに対して、大きな両手でわからないとジェスチャーするフランクリン。

 

(お前らの方がよっぽどだよ…)

 

流れ出る血を抑えるため、腹を手で覆っている俺はそんな事を心に呟いた。

 

「なんだぁ?てめぇら」

 

ウヴォーギンが戦いの邪魔をされて不服なのか、鋭い目つきで男達を睨んでいる。

 

「我々は幻影旅団…お前達に同胞が殺された者だ。貴様らへの復讐にやってきた」

 

「カピト族、ララ族、ネジ族、キニ族。貴様らはこの一族の名を知っているか…?いや、知らないだろうな。貴様らにとっては殺しはただの単純作業でしかない」

男達は、怒りに声を震わす。それに対しクロロは小さく口角を上げた。

 

「いや、覚えている。…それは悪い方でだが。お前達の一族の宝はどれも価値の無かった…特にカピト族に祀られていた鐘。確か2000ジェニーでしかなかったぞ?」

 

「貴様…!!一族の誇りさえも!」

 

青筋を立てて、カピト族の男は掌をクロロへとかざす。その掌にはドッチボール程度の大きさのオーラの塊がある。

 

念弾だろう。ならばあの男は放出系。さっきの流星群の様なものは奴が放ったものだったのか。

 

いや、何悠長に考えているんだ俺。もしかしたらこのドタバタの隙に逃れるかもしれないんだぞ?

 

奴が最初にした攻撃をしたならば、確実に逃げ切れる時間はある。

 

幸いウヴォーギンも、復讐にやってきた奴等に目がいっている。

 

 

「死ねえええ!!」

 

カピト族の男が念弾を放出し、旅団へと襲った。他の奴も刀や銃を取り出し、応戦に旅団へと向かった。

 

念弾が地面に着弾した途端に、足に力を加え蹴り出した。

 

「!?おいてめぇ逃げてんじゃ…!」

 

ウヴォーギンが真っ先に気付きやがった。流石、野生の勘を持つ男。しかし、ウヴォーギンがこちらに顔を向けた瞬間に、刀がウヴォーギンの鼻にぶち当たる。さっき、復讐者の1人が攻撃したんだろう。

 

(助かる、ありがとう)

 

復讐にしてきた男達は俺に目も当てていなかったが、このタイミングで襲撃しにきてくれたのは有難い。

 

背後を振り替えずに、ただ走る。途中、爆音や悲鳴が聞こえたが…気にしないでおこう。

 

奥歯を噛み締め、ただただ、走り続けた。

 

 

 

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