病犬は夜も死亡フラグが立つ   作:ボージョレ

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第3話 サバイバル×救出×遭遇

 

 

 

月夜が照らす。月は真ん丸な満月だ。完全に太陽が落ちていった事に気付き、俺は雑巾の様に引きずられる足を止める。

 

周りは木、木、木…。森の中だ。ただ走る事だけを考えていた為、何処を走っているかなんて分からなかった。

 

取り敢えず休憩だ。腹の出血はどうやら治ったようだ。

 

「ふぅ…」

 

強化系という事もあって、肋骨が肺に刺さったとしても筋肉で動かす事によって肋骨の位置をずらせた。

 

だが、あくまでも自己治癒能力が強化されただけであり、完全な回復には至っていない。

何処か病院でも行きたいんだが…こんな森の中と来たらな。

 

小さな切り株に腰を下ろす。あたりからは、虫や梟が小気味よく鳴いている。流石に追ってきてはいない。

 

「ハァ…」

 

心臓の蠢きを静ませる様に、俺は大きな溜息を吐いた。身体に鞭打って走る事ができたのは正解だった。恐らく旅団に対して恨みがある奴らが、ある程度時間を稼いでくれたお陰だ。

その代わり、確実に殺されただろうな。ウヴォーギンの腕っ節は旅団一、そして念能力者では最強クラスのクロロ、それと同等レベルのヒソカ。あんなのが同時にいたら、確実に勝てるわけがない。

俺は静かに、彼らの死を追悼した。

 

そして、背中を預けている木の根元を見る。太さ的には、俺の身体は余裕で入れる大きさだ。これならばアレができるかも。

 

指の先に念を込め、俺は幹を切り裂く。大体傷の深さは数センチ程度。これを何回も続け、俺は木に大きな空洞をつくった。

 

誰かが周りにいないかをもう一度確認し、空洞の中へと入っていく。

 

これなら、安心して眠れるな。俺はひっそりと瞼を閉じた。

 

 

 

---

 

 

朝ゆっくりと目覚め、鳥の涼んだ声が聞こえている森の中、俺は獣道をひっそりと歩んでいた。

 

やっぱり自己治癒ができるといっても、完璧に治すことなどはできるわけではない。それを知らせる様に、胸の痛みが疼いている。

 

(これからどうするべきか)

 

お金もない、食糧もない、家も無い…etcという、無いとこ尽くしの将来について不安を抱く。

ハンターでもなるべきか、それとも天空橋闘技場で稼ぐ…といっても、場所がわからない。地図があれば何とかなるんだが。

 

とにかく歩くとしよ…ん?

 

木の洞穴から出ようと足を動かしたのだが、何やら柔らかいものが当たっている。感触的には毛布の様なものであり、少しほんのりと温かみを感じる。

首を傾げ、狭い穴の中で立ち上がってみると小さい毛の塊が俺の足元に蠢いていた。

 

「ピヨ…ピヨ…」

 

「…なんだこいつ」

 

阿呆らしい声を上げながら、俺の顔を見上げる毛の塊。黄色い嘴と羽根らしきものがある姿はどうやら鳥の部類のようだ。

ジタバタと羽根を忙しなく動かし、嘴をパクパクさせていると見て、まだ雛鳥の年か。にしてはサイズがでかいような気もするが…まぁHUNTER×HUNTERの世界だからこんなのが当たり前か。

 

しかし何故こんな所にいるんだ.…?

 

「ピヨピヨ!」

 

「…あ?」

 

疑問を抱いていると、足元の小鳥?が羽根の先を上空にピッと差し出した。短い羽根を精一杯伸ばそうとするその姿は、なんとも可愛らしい。

そんな事を思いながら指した方向を見ると、薄霧のせいでボヤけて見えづらいが、何とも大きい巨大樹が自分の存在を知らしめるかの様にある。

 

…ああ、もしかしてこいつって

 

何か見た事あるとは思っていたが、ジンとゴンが会話したあの巨大樹か。そしてこいつはその遥か上空にいた巨鳥の雛だ。そうなればこの雛鳥の大きさも頷ける。

 

「それなら、お前ずっと向こうの所から落ちてきたのか?」

 

「ピヨ!」

 

雛鳥は俺の言葉に胸を張りながら答える。

頑丈な身体は褒めてやるが、巣から落ちたという間抜けさはどうもな。

しかし此処から落ちたとなると、再度巣に戻るのは困難だ。こいつの翼はまだ未発達であるし。手段とすれば親鳥に助けてもらうか、或いは俺がこいつを背負って…

 

「いやいやそれはキツイだろ」

 

「ピヨ?」

 

俺の独り言に雛鳥は首を傾げる。動作1つ1つが愛らしいんだよこいつ。

もし放って置けば、今のこいつの力じゃ他の動物達の餌となってしまう。

 

こいつの重さに耐えながら登っていけるか?…不安だがやるしかあるまい。

 

「おい、少し道具を作っていくからそこで待ってろよ!」

 

「ピヨ!」

 

 

--------

 

 

「じっとしろよ…」

 

よーうし。

 

木の根っこを編んだ紐を雛鳥と俺の胴体に巻きつける。

こんな自然から道具を作り出す事も俺は長けている。サバイバル数十年歴の経験を活かせたぞ。

 

「さぁ、今から巣に帰してやるからな。じっとして置けよ」

 

「ピヨ…?」

 

不安げに俺の顔を見つめる雛鳥。俺の身を案じているのは嬉しいが、この旅団の1人に一撃を与えた俺を舐めてもらったら困る。

 

指先にオーラを込め、巨大樹の表皮に突き刺す。どうやら図体だけじゃないらしい。表面の繊維までしっかりと頑丈だ。これなら木が抉れ過ぎて登れないという問題はなさそうだ。

次に足先のオーラ込め。この状態を続けて登るわけだ。

 

これも修行だと思って行くぞ!

 

 

 

-------

 

 

「ゼェ…!」

 

「ピヨピヨ!」

 

キッツイ。思いの外辛いよ。最初の勢いはどうしたんだ俺。そしてガンガン登って余裕だぜヒャッハーとか言っていた俺をぶん殴りたい。

オーラの垂れ流し自体は慣れているものの、その指先に込めたオーラを維持するのにやっとだ。

 

オーラの部分維持。

 

確実に俺の弱点だという事が判明した。硬の修行でもそうだった。凝を維持しながらの絶が何度やっても出来なかった。

現在の俺の課題だな…。

そして風の強さが半端なく強く、ゴボウの様なガリッガリな身体の俺が登っている時に厄介な相手だ。

体力的にも限界が近い。だが、諦めるにはいかない。諦めてしまったら俺の死に繋がるし、何よりこいつも落下時の衝撃には耐えられるが下の動物達に食われてしまうからだ。

 

「うおお!!!」

 

軋む身体に鞭を打ち、俺はかべちょろの様にシャカシャカと全力で登る。

どうせゆっくり動いていたって、風が邪魔して思うように進まない筈だ。

 

だからこそ、思いっきり行くしかない!!

 

そんながむしゃらに登っていると、大きな葉の大群が見える。どうやら頂上に着いたようだ。

 

やったぜと心の中でガッツポーズし、俺は雛鳥が落ちないように木の地面へと足をつけた。

すると…

 

「…ん?どうやらこんな所に来る物好きな奴がいるなんてな」

 

ターバンの間からボサボサの髪がはみ出しており、確実に剃るのを放棄した無精髭。

あの有名なハンターであり、HUNTER×HUNTERの主人公の父親であるジン・フリークスが寝そべっていた。




長らく書いてなかったのは決して存在を忘れたとかそんなんじゃないよ(震え声)
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