銀魂×リリカルなのは   作:久坂

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サブタイ通りです。

今回で感電血の話を終わらせようと書いてたら、何か色々書きたいことが浮かんできて…オリジナル展開とかその他諸々を全部詰め込んでたらいつの間にか2万字近くになった。

次からは、ちょっとでも計画的に小説を書こうと思いました。

あと、紅桜篇に入る前にもう1話だけ投稿する予定です。


というわけで、感想お待ちしています。


後先考えずに詰め込み過ぎると必ず後悔する

 

 

 

 

 

「感電血? 知らんのう」

 

 

坂本辰馬と再会してひと悶着あったあと、銀時たち万事屋一行は近くにあった和風喫茶『珈琲屋』で甘未を食べながら坂本に盗まれた感電血のことを訊ねるが、なんと当の本人は感電血のことすら知らないと言い切った。

 

 

「知らないって…辰馬さんの会社の商品ですよね? なんでそれを社長が知らないんですか」

 

 

「アハハハハ! 細かいことは陸奥に任せちょるからのう、ワシに言われても皆目見当もつかんぜよ。アハハハハ! おっ、そこのキレ―なおねーちゃん! ワシと遊ばんね?」

 

 

「ノーセンキューです」

 

 

フェイトがショートケーキをつつきながら非難の目を向けるが、坂本は能天気に笑いながらそれをかわす。そして通りかかった女性店員をナンパするが、頭から冷水をかけられて断られる。それでも彼は軽快に笑う。

 

 

「アハハハハ! こりゃまいったのう」

 

 

「でしたら、青木商会ってところについて何か知りませんか?」

 

 

「さーなァ、ワシャ細かいことはようわからんきに。アハハハハ! それより金時! ファイトちゃん! 久しぶりの再会じゃ! おりょうちゃんの所でパーっとやるぜよ!!」

 

 

「銀ちゃん、こいつまた振り出しに戻すつもりアルよ」

 

 

「なんかもう…頭痛くなってきた」

 

 

「前回から続いて、どこまでボケ倒せば気が済むんだよおめーは……!」

 

 

結局坂本からは何の情報も得られなかった銀時たちは、坂本のボケの連続で無駄に疲れた為……後日に青木商会を訊ねることに決めて、その日の調査を終了としたのだった。

 

 

 

 

 

      *

 

 

 

 

 

一夜明けて翌日……坂本を含めた万事屋一行は快援隊の取引相手である、青木商会の本社ビルの前にやって来ていた。

 

 

「ここが青木商会……うまく話が聞けるといいんですけど」

 

 

「その為に辰馬(こいつ)を連れてきたんだ」

 

 

「ねーちゃん達、ワシと遊ばなーい?」

 

 

「ノーセンキュー」

 

 

「アハハハハア"ァ!!」

 

 

「商売相手の社長がいんだ。なんとかなんだろ」

 

 

銀時は道行く女性をナンパする坂本を蹴り倒し、身体を羽交い絞めにして、そのまま青木商会のビルの中へと引きずって行った。その様子をフェイトと新八と神楽は呆れたような眼差しで見つめながら、その後に続いたのだった。

 

 

それから受付で快援隊の坂本辰馬の名前を使って社長にアポを取ることに成功し、一行は青木商会の社長室へと招かれた。そしてそこで、青髭が目立つ社長の『青木』とその部下2名と対談していた。

 

 

「これはこれは坂本様、この度はお互い災難でしたねぇ」

 

 

「さっそくですけど、襲ってきた相手に心当たりはあるんですか?」

 

 

「さあ? 我々は信用第一をモットーにしておりますので、他の人に恨まれるようなことはしていないと思うのですが…」

 

 

「だが、実際には取引の現場をピンポイントで襲われてるわけじゃねーか。情報が前もって漏れていたといしか思えねーがな」

 

 

「私は本業上、取引の現場というものは何度を見てきました。その経験から言わせてもらいますと…取引現場を確実にピンポイントで抑えるのはかなり難しいです。それこそ、組織の中に内通者がいるか…組織そのものが意図的に情報を流しているかとしか……」

 

 

「我々がわざと情報を流したと? バカバカしい、それはそちらにも言えることでしょう。お互いに被害者であるということをお忘れなく。とはいえ、こちらも事件については現在調査中でございます。何か分かれば、すぐにお知らせいたしますので」

 

 

その言葉を最後に、銀時たちは「お引き取りを」と言われながら半ば強引な形で青木商会を後にしたのだった。

 

 

 

 

 

      *

 

 

 

 

 

その後、結局たいした情報を得られえなかった銀時たちは、夕暮れ時となった江戸の街を歩いていた。

 

 

「なんだかよー、ったく…」

 

 

「昨日から何1つ手がかりが掴めてないんですけど…」

 

 

「うん…元々情報が少なかったのもあるけど、当事者が何も知らないとなるとほとんどお手上げだね。青木商会はともかく、快援隊に至っては社長がコレだしね」

 

 

「ホントネ。やっぱり役立たずの社長より工場長ヨ」

 

 

依頼が何1つ好転しないことに、そんな愚痴をこぼす万事屋一行。すると、銀時にヘッドロックを掛けられた状態で歩いている坂本が、掠れた声で口を開く。

 

 

「なァ金時…ワシャもう疲れたぜよ。そろそろ酒にしようや。アハハハハ」

 

 

「何言ってんですか、坂本さんの快援隊の依頼なんですよ。依頼主の坂本さんが足引っ張ってどうするんですか。ねぇ銀さん?」

 

 

「……いや、それもいいかもな。なぁフェイト?」

 

 

「!………うん、そうだね。でもあんまり飲み過ぎちゃダメだよ」

 

 

「え?」

 

 

銀時はともかく、フェイトまで坂本の提案に乗ったことに、新八は呆気に取られた顔で声を漏らしたのだった。

 

 

 

 

 

      *

 

 

 

 

 

「「アハハハハ!」」

 

 

「勘定は陸奥にツケとくけェ、ガンガン飲め飲め!」

 

 

それから、かぶき町の居酒屋へとやって来た銀時と坂本はすでに出来上がっており、肩を組みながら大笑いして酒を煽っていた。

 

 

「いいんですか? こんなことしてて」

 

 

「だってしょーがないじゃん! 依頼主が飲めって言ってんだからよォー! フェイトォ、もう一杯!」

 

 

「はいはい」

 

 

「アハハハハ! ファイトちゃん! ワシにもお酌してほしいぜよ!」

 

 

「名前もまともに覚えない人に注いであげるお酒はありません」

 

 

そんな銀時の隣では、いつもは止める立場だったハズのフェイトが率先してお酌──銀時限定──をしている。

 

 

「フェイトさんまで……」

 

 

「アハハハハ! おまんも細かいことば気にしちょらんと飲め飲め! アハハハハ!」

 

 

「いや…僕未成年なんですけどね」

 

 

「飲めないなら食べればいいアルヨ、いつまでも応用力のないガキだなお前。お茶漬けおかわりアルー!」

 

 

「働けよなお前も……」

 

 

「今日は祭じゃき! さァ飲め飲め!! アハハハハハハハ!!」

 

 

それからも銀時と坂本は、バカ騒ぎをしながら酒を飲み続け……その宴会は時刻が深夜になるまで続けられた。

 

 

そして……

 

 

 

 

 

「「オボロロロロロロロ!!」」

 

 

 

 

 

案の定、飲み過ぎた2人は路地裏で盛大に吐いていた。そして酔いで足元のおぼつかなくなった坂本を新八が、銀時をフェイトと神楽が2人がかりで支えながら、深夜になってすっかり人気もなくなって静かになった大通りを歩いていた。

 

 

「だから言ったじゃないですか」

 

 

「お前が何を言ったんだ? えー?」

 

 

「酒は飲んでも飲まれるなー的なことかのう。アハハハ…」

 

 

「わかってるなら少しは飲む量を控えないと。私何回も飲み過ぎたらダメって言ったよね?」

 

 

「それが出来りゃー苦労はせんぜよファイトちゃん…なァ金時」

 

 

「酒ってなァ飲んで飲まれての繰り返しだよ。それが人生って奴さァ」

 

 

「借金で首が回らなくなったバクチ打ちの言い訳となんら変わらないアルな」

 

 

「つまりダメ人間ってことかー」

 

 

酔っ払い2人に対して新八が呆れたように溜息をつき、大通りを歩く万事屋一行。

 

 

 

そんな彼らの背後から……夜の闇に紛れて、いくつかの人影が迫っていた。

 

 

 

「あーあ、結局今日は無駄足でしたね」

 

 

「そうでもねーみてーだぜ」

 

 

「え?」

 

 

新八のぼやきに対してそう呟くように返す銀時。その声色からは、先ほどまでの酔っ払いなど微塵も感じさせなかった。よく見ると…フェイトも坂本も真剣な表情で背後に注意を払っており、彼らは小声で会話する。

 

 

「銀時、辰馬さん…気づいてるよね?」

 

 

「派手に動き回った甲斐があったみたいだな」

 

 

「金時、ワシの合図で動くぜよ」

 

 

「ああ。フェイトは新八と神楽を頼む」

 

 

「わかった」

 

 

そして3人の会話が終わると同時に、背後にいた人影たちが銀時たちに襲い掛かろうと、腰を落とす。

 

 

「今じゃ!!」

 

 

「わかってらァ!!」

 

 

それに合わせて銀時と坂本がすぐさま振り返り、迎撃態勢を取ろうとするが……

 

 

──ゴチン!!

 

 

「「あ"!!」」

 

 

「って何やってんですかァァ!?」

 

 

勢いあまってお互いの頭を思いっきりぶつけてしまい、その場に倒れた。そんな2人に新八がツッコミを入れる。

 

 

「今だ! かかれェ!!」

 

 

そんな号令と共に、一斉に襲い掛かって来る人影。見るとそれは…浪人と思われる刀を持った男の集団であった。

 

 

「うわぁぁ! 何か来たァ!」

 

 

「ったく…鈍ってんだから引っ込んでろ! ここは俺が…」

 

 

そう言うと銀時は腰に差してた木刀を抜いて構え、浪人の集団を迎え撃とうとする。

 

 

だがその瞬間……銀時と浪人集団の間に、1発の光線のような弾丸が放たれ、小さく爆発した。

 

 

「「「うおォォォ!?」」」

 

 

「!……辰馬」

 

 

その爆発により、浪士たちは後退り…銀時も足を止めて振り返ると、そこには拳銃を構えた坂本が立っていた。

 

 

「これからは拳銃(これ)ぜよ。さァどうする気に? 一歩でも動けば…ズドンじゃ」

 

 

「くっ……!」

 

 

そう問いかけながら浪人集団の前に移動し、銃を突きつける坂本。そして銃を突きつけられた浪人たちも、顔をしかめて睨む。

 

 

「大人しく帰るなら、こっちも手ェは出さんぜよ」

 

 

「ぬぅ……引くぞォ!」

 

 

すると浪人の集団は刀を収めて、その場から走り去って行く。

 

 

「すごい……戦わずして敵を追い払った……」

 

 

あっという間に闇夜に消えて行った集団を見送った後、新八が感心したように呟く。

 

 

「無駄な喧嘩はしちゃアガン。勝っても負けてもいいことなんてないきになァ。アハハハハ!」

 

 

銃を構えたままドヤ顔でそう語り、高笑いを上げる坂本。

 

 

「って──何やってんだてめェェ!!」

 

 

だがその時……激昂した銀時がそんな坂本を思いっきり蹴飛ばした。

 

 

「ようやく敵の尻尾を掴んだと思ったのに何してくれてるんですかこのモジャモジャァ!!」

 

 

「せっかくの手がかり丸々逃がしてどうすんだヨこのボケェ!!」

 

 

そして地面にうつ伏せに倒れた坂本に追い打ちをかけるように、神楽とフェイトを加えた3人により降り注ぐスタンピングと罵倒の嵐。

 

せっかく街中で目立つように派手に動き回ることで、感電血を盗んだ相手を誘き出して捕まえるという作戦が上手くいきかけていたのに、最後の最後で台無しにされたのだ。彼らが怒るのも無理はない。

 

 

「チッ……おい新八、神楽、このバカ連れて先帰ってろ」

 

 

「え? それはいいですけど…銀さんは?」

 

 

「こっからは大人の時間だ。ガキはさっさと帰って寝てろ。行くぞフェイト」

 

 

「えっ、ちょっ、銀時?」

 

 

そう言うと銀時は、フェイトの手を掴んで引っ張り、そのまま一緒にどこかへと向かって歩いて行く。

 

 

「おいィィ!! 大人の時間って、あんたフェイトさんとどこで何するつもりだァ!?」

 

 

「いくら夫婦でもやっていい時と悪い時があるネ! 朝帰りしてきてもウチには入れませんからネ!」

 

 

後ろでギャーギャーと騒ぐ新八と神楽を無視してズンズンと進んで行く銀時。そんな銀時に手を引かれているフェイトは頬を赤く染めながら歩いている。

 

 

「ぎ…銀時………ちょっと強引だけど、銀時がいいなら私は……(ゴニョゴニョ)…」

 

 

先ほど銀時が言った「大人の時間」の意味が「そういう事」なのではと考え、フェイトの頬の赤みが顔のほぼ全体に広がり、湯気が出るのではないかというほどの熱を帯び始めている。

 

 

「なァ、フェイト」

 

 

「ひゃい!!」

 

 

銀時に声をかけられ、思わず上擦った声で返事を返してしまうフェイト。しかし銀時はそんな奇声のような返事を気にも留めず、話し始める。

 

 

「さっきの浪人共、刀を持ってやがったよな?」

 

 

「え? う…うん」

 

 

「つーことは、ありゃ恐らく攘夷志士だ。廃刀令のご時世に刀ぶら下げてる奴なんざ、チンピラ警察か攘夷志士くらいのモンだからな。つまり、感電血を盗んだ犯人はどっかの攘夷集団かもしれねェ」

 

 

「あ……」

 

 

そこまで聞いたフェイトは、銀時が自分を連れ出したのは「そういう事」の為ではなく、調査の続きの為だということを悟った。変な勘違いをしていたことに、フェイトは別の意味で顔を赤くして俯いた。

 

 

「攘夷志士のこたァ攘夷志士に聞くのが一番だ。だからこれから野郎のとこに──ねえ、聞いてる?」

 

 

「う、うん……聞いてる…聞いてるよ……」

 

 

「……………」

 

 

恥ずかしさのあまり銀時とは目も合わせようともせず、赤い顔を隠す為に俯かせるフェイト。すると銀時はおもむろに歩みを止めて立ち止まると、少々意地の悪い笑みを浮かべながら、そっと自分の顔をフェイトの耳元近くまで持って行って静かに囁く。

 

 

「お前ひょっとして──なんか期待してた?」

 

 

「~~~~~~~~!!」

 

 

その瞬間、真っ赤に染まった顔を上げて声にならない声を上げるフェイト。すると……

 

 

「バ……バ……」

 

 

「え?」

 

 

うっすら涙目でプルプルと震えているフェイトの身体から、パチパチと小さな電気が迸る。そんな彼女の様子を見た銀時は、何か嫌な予感がして顔を引きつらせる。

 

 

そして次の瞬間……

 

 

 

 

 

「バカァァァーーーー!!!」

 

 

 

 

 

音速の速さで振り抜かれた平手打ちが炸裂し、乾いた破裂音のような音が夜の街に響き割ったのであった。

 

 

 

 

 

      *

 

 

 

 

 

「ふむ、なるほど……坂本の奴め、また面倒事を起こしているのか──それはそれとして銀時、その赤く腫れた顔はどうした?」

 

 

「ゆで卵作るのに失敗しただけだ」

 

 

「何をどう失敗をすればそうなる。卵の殻を割るのに自分の顔面にでも叩きつけたのか」

 

 

「うるせー。ほっとけやヅラ」

 

 

「ヅラじゃない桂だ」

 

 

場所は『北斗心軒』と呼ばれるラーメン屋。そこの席に銀時とフェイトに向かい合う形で座っている長髪が目立つ細身の男。彼の名は『桂小太郎』。坂本と同じくかつて銀時と共に攘夷戦争を戦い抜いた戦友であり、今では反幕府勢力『攘夷党』の党首である。

 

 

「それにしても、久しいなフェイト殿。何年ぶりだ?」

 

 

「銀時との結婚報告以来ですね。お久しぶりです、桂さん」

 

 

そう言って丁寧な仕草で桂に頭を下げるフェイト。本来執務官であるフェイトは桂を捕まえる立場にあるのだが…彼とは銀時と同じく子供の頃からの知り合いで、その人柄なども熟知している為に積極的に捕まえようとはしていないのである。

 

 

「そうだ紹介しよう。俺のペットのエリザベスだ」

 

 

そう桂が紹介したのは、白いペンギンのような風貌をした謎の生物『エリザベス』。こいつに関してはマジで謎。

 

 

【はじめまして】

 

 

「は、はじめまして」

 

 

そんな文章の書かれたプラカードを出して挨拶をするエリザベスに対して、フェイトは戸惑いながらも挨拶を返した。

 

 

「いやしかし…フェイト殿は昔から麗しかったが、銀時の妻になってから一層美しくなったのではないか?」

 

 

「え!? そ…そうかな……?」

 

 

「うむ、やはり女性は人妻になってからがもっとも美しくなる。ところでフェイト殿、もしよければ今度一緒にお茶など……」

 

 

「オイコラ、なに旦那の前で堂々と嫁をナンパしてんの? 人妻好きも大概にしろよヅラ」

 

 

「ヅラじゃない桂だ。冗談だ、俺が友の妻に手を出すわけがなかろう。それに俺はどちらかというと未亡人の方が……」

 

 

「オメーの好みなんざ欠片も興味ねーんだよバカヅラァ!」

 

 

「バカヅラじゃない! バ桂だ!! あ、間違えた…桂だ!!」

 

 

顔に血管を浮かべながら怒鳴る銀時に対して負けじと怒鳴り返す桂。

 

 

「ラーメン3丁、お待ちっ」

 

 

そこへこの店の店主である女性『幾松』が注文していたラーメンをテーブルに置いた為、そのやり取りは一時中断して3人はラーメンを食べ始める。

 

 

「つーか、そろそろこっちの質問に答えろよ」

 

 

麺をすすりながら桂にそう言う銀時。

2人がここに来た目的は、他の攘夷組織の内情にも詳しい桂に感電血に関わりそうな攘夷組織について尋ねる為である。しかしそれに対して桂は、首を横に振って答えた。

 

 

「悪いが、心当たりはないな」

 

 

「そんな……」

 

 

「オイオイ使えねーなヅラ。せっかく作者が本編捻じ曲げてまでオメーを出す機会をくれたってのに。もう今後オメーの出番はねーかもしれねーな」

 

 

「ヅラじゃない桂だ。話は最後まで聞け」

 

 

そう前置きをしてから、桂は一旦麺をすすって口に含んでから話を続けた。

 

 

「その感電血とやらに関係があるかはわからんが…最近物騒な噂を耳にした」

 

 

「噂?」

 

 

「近頃…過激攘夷派の『魔玖怒那琉(マクドナル)党』という組織が次元世界の兵器を手に入れ、ターミナルを崩壊させようとしているという噂だ」

 

 

「確かに物騒な話だな」

 

 

因みに『ターミナル』とは、地球の政権を握った天人が開国の際に造った宇宙船発着の為の基地の名称。『アルタナ』と呼ばれる地球のエネルギーが湧き出る場所である『龍穴』のエネルギーで動いており、江戸中のエネルギーが集束しているポイントでもある為、攘夷志士にテロの対象として狙われる事が多い場所である。

 

 

「でもどうやって攘夷志士が次元世界の兵器を? 密輸だとしても、ルートは?」

 

 

「そこまでは知らん。だがそれが本当なら、天誅を加えるまでの話」

 

 

「で…それが感電血とどう関係があるってんだ?」

 

 

「これは憶測に過ぎんが……たとえ次元世界の兵器でも、ターミナルを崩壊させるのは難しいだろう。よほど膨大なエネルギーをぶつけぬ限りな」

 

 

「!?」

 

 

「まさか……」

 

 

そこまで聞くとフェイトは眼を見開き、銀時は合点がいったように呟く。そして桂はそれに肯定するように頷いた。

 

 

「確かお前たちが探している感電血とやらは、1本で宇宙戦艦1隻を動かせるほどのエネルギーを秘めているのだろう? それが数本…数十本あれば……」

 

 

「ターミナルをぶっ壊すのもワケねェってか」

 

 

「あくまで憶測だがな」

 

 

「一応聞くが、そいつらのアジトは?」

 

 

「流石にそこまでは掴んでおらん。だが銀時、フェイト殿、もしもの時は気をつけた方がいい」

 

 

「わかりました。忠告ありがとうございます、桂さん」

 

 

「せいぜい気ィつけるわ」

 

 

そう言うと同時にラーメンも食べ終わり、銀時とフェイトは揃って席を立つ。

 

 

「幾松さん、ごちそうさまでした」

 

 

「まいど」

 

 

「じゃーな、ヅラ」

 

 

「ヅラじゃない桂だ」

 

 

そしてそのまま会計を済ませると、挨拶もそこそこに銀時とフェイトは北斗心軒を後にしたのであった。

 

 

 

 

 

      *

 

 

 

 

 

「色々絞れてきたな。あとはその魔津玖(マック)とかいう奴らのアジトがわかればいいんだが」

 

 

「違うよ銀時、魔玖怒(マクド)って名前だったよ確か」

 

 

「いやいや魔津玖だろ。なんかハンバーガーが食いたくなる感じの名前だったし」

 

 

「いやいや魔玖怒だよ。なんかフライドポテトが食べたくなる感じの名前だから」

 

 

「魔津玖だ」

 

 

「魔玖怒だよ」

 

 

もしこの場に新八がいれば「どっちでもいいわァァ!!」と盛大なツッコミを入れてくれたことだろう。しかし今は新八はおろかフェイトまでボケに回ってしまっている為、ツッコミが不在である。

 

なので銀時とフェイトは、そんな不毛なやり取りを繰り広げながら帰路を歩いている。そしてようやく『万事屋銀ちゃん』の看板が見えてきた頃……

 

 

「あ…あのぉ……」

 

 

「あ?」

 

 

そんな銀時とフェイトの後ろから、1人の男が声をかけてきた。

 

 

「あなたは…青木商会の……」

 

 

2人が振り返ると、そこに立っていたのは昼間に会談した青木商会社長の青木とその部下2名であった。

 

 

「昼間は大変失礼いたしました。すみません、夜分遅くに」

 

 

「で…こんな時間になんか用か?」

 

 

「昼間のお話で、早急にお耳に入れておきたい情報がありまして」

 

 

「情報?」

 

 

「わたくし共が独自に調査を進めた結果…あの感電血を欲しがっているという、ある組織を突き止めたのです。その名も──『魔玖怒那琉党』」

 

 

「「!!」」

 

 

青木の口から告げられたその名前を聞いた瞬間、銀時とフェイトは揃って目を見開き……同時に心の中でこう呟いた。

 

 

──ああ…そういえばそんな名前だった。

 

 

 

 

 

      *

 

 

 

 

 

翌日……青木からもたらされた情報をもとに万事屋一行と坂本がやって来たのは、江戸の街の外れの廃墟にある人気のない巨大倉庫の前。

 

 

「ここが魔玖怒那琉党とかいう奴らのアジトか」

 

 

「なんだか、いかにもって感じですね」

 

 

「でもこんなボロっちい場所にホントにいるアルか?」

 

 

「よく見て神楽。確かに色んな所が風化で崩れてるけど、扉だけは妙に新しい。人の手が加えられた証拠だよ」

 

 

「アハハハハ! こりゃ確かに、最近付け替えられたものじゃのォ」

 

 

フェイトの言う通り……屋根や壁などは風化してボロボロになっているが、出入口を閉ざしている鉄の扉だけは、まるで差し替えたように真新しいものになっている。これだけで、ここに人が出入りしていることが伺える。

 

 

「どうしますか銀さん?」

 

 

「どうっていわれてもなァ。無駄な体力消費すんのも疲れるしィ、とりあえずどっかから忍び込んでみっか」

 

 

新八の問い掛けに対して、自分で肩を揉みながらそう提案する銀時。しかし……

 

 

「こんにちはー! 快援隊ですけ──」

 

 

「って言ってるそばからそれかいィィ!!」

 

 

「──どォォ!!」

 

 

まるで近所の家に遊びにきたかのように扉の前で大声をあげている坂本を、新八がツッコミと共に顔面に飛び蹴りを叩き込んで止める。

 

 

「三河屋みたいに気軽アル!!」

 

 

「そんなにボケたいのか!? ああん!? そこまでしてボケ倒したいのか!?」

 

 

「何言うちょるんじゃ金時、ワシャただその感電血っちゅうのを預かってもらっちょるんなら返してもらおうと……」

 

 

「盗まれたって言ってるでしょう!! 辰馬さんは今まで何聞いてたんですか!?」

 

 

そこへ更に2度目となる銀時とフェイトと神楽によるツッコミとスタンピングの嵐が坂本に降り注ぐ。

 

 

するとその時……突然倉庫の扉が開かれた。

恐らくこの騒ぎを聞きつけたのだろう、そこから数十人もの刀を持った浪士が現れて瞬く間に銀時たちを取り囲んだ。

 

 

「とうとうここを嗅ぎつけたようだな、快援隊」

 

 

そしてその集団の奥から現れたのは……浪人達とは違い、近代的な衣服に身を包み…刀ではなく機械的な杖のようなものを持った男だった。恐らくこの男が、この集団のリーダー格なのだろう。

 

 

「ん? き…貴様はフェイト・T・サカタ!? 管理局の執務官が何故この世界に!?」

 

 

「お前は……!」

 

 

その男はフェイトの姿を見ると狼狽したように叫び、対するフェイトもその男の姿を見て目を見開いた。

 

 

「なんだ? あいつを知ってんのか、フェイト?」

 

 

「うん。確か管理局で指名手配されている次元犯罪者……ドルナード」

 

 

「次元犯罪者ァ? 何でそんな奴が攘夷志士と一緒にいんだよ?」

 

 

フェイトの説明を聞いて、疑問符を浮かべる銀時。するとリーダー格の男──『ドルナード』は先ほどの狼狽から一転し、笑いながら口を開いた。

 

 

「フッフッフ、流石はエリート執務官。俺がこの世界に潜伏し、密かに攘夷志士どもをまとめ上げ、独自のルートで仕入れた兵器を使ってターミナルを崩壊させ、この世界の救世主となる計画を見抜いていたとはな……」

 

 

「オイ、何か聞いてもいねーのに勝手にベラベラ喋り出したぞ」

 

 

「しかも結構しょーもない目的で攘夷活動に加担してるんですけど」

 

 

「小物臭がハンパないネ」

 

 

「まぁ実際、そこまで大物って犯罪者じゃないかな。正直…私もさっきあいつの顔見て、ああそういえばこんな奴いたなぁって思ってたし」

 

 

「アハハハハ!」

 

 

「えーいうるさい! 管理局に計画がバレた以上、生かしてはおかん!」

 

 

ドルナードが声高々にそう言うと、彼の部下である浪士の集団が一斉に銀時たちに刀を向ける。

 

 

「あーあ、向こうの皆さん激しくやる気だよオイ」

 

 

「どうするんですかこんなに沢山……」

 

 

「ま、なんとかなるだろ」

 

 

「なんとかってあの人数ですよ!?」

 

 

「うるせーなァ、なんとかなるって言ったらなんとかなるんだよ」

 

 

「何ですかその根拠のない自信は!?」

 

 

こちらは5人…対して向こうは目測でも50人以上はいるだろう。にも拘わらず、銀時は妙に自信あり気にそう言った。

 

 

「お前らは知らねーだろうけどな、坂本辰馬ってのはよォ、化物みてーに強ェ」

 

 

「え?」

 

 

「攘夷戦争の時にゃあエラく有名だったぜ」

 

 

「このバカ強いアルか!?」

 

 

銀時の言葉を聞いて、神楽は驚きながらボロボロになった坂本を指でつまんで持ち上げる。

 

 

「ああーもう強いも強い、めちゃくちゃ強い。バカだけどな」

 

 

「確かに辰馬さんは、銀時や桂さんと一緒に攘夷戦争を戦い抜いた人だから実力は相当なものだと思うよ。バカだけど」

 

 

「ウソー!? 銀ちゃんより強いアルか!? このバカが!?」

 

 

「よく聞けよ。このバカが俺より強いなんて一言も言ってねーよ!」

 

 

「バカバカ言わんでいいきに! けっこう傷つくぜよ!」

 

 

「このバカが……」

 

 

坂本辰馬が強いという話に、新八と神楽は疑わしそうな目をする。今までの彼の言動や行動から見れば、信じられないのも無理はないだろう。

 

 

「何をゴチャゴチャやっている! 者ども、かかれェ!!」

 

 

「「「オォォォォオオ!!」」」

 

 

すると痺れを切らしたドルナードがそう号令を出すと、攘夷志士の浪士たちが一斉に刀を構えて銀時たちに襲い掛かる。

 

 

「こうなったら仕方ねェ!」

 

 

それに対して銀時は腰から木刀を抜くと同時に走り出し、一瞬で数人の浪士を薙ぎ倒す。

 

 

「バルディッシュ!」

《Yes sir》

 

 

それに続いてフェイトもバルディッシュをセットアップし、大斧形状の『アサルトモード』のまま振り回して浪士たちを吹き飛ばす。

 

 

「ホワチャァ!」

 

 

「このォ!」

 

 

神楽も向かって来る浪士を1人ずつ殴り倒し、新八は他に比べて苦戦しながらも木刀で浪士を倒していく。

 

 

「これからは拳銃(コレ)じゃと言うちょるじゃろが」

 

 

そして坂本も戦いに参加すべく、自身の懐から銃を取り出そうとする。しかし……

 

 

「ありゃりゃ? ありゃ?」

 

 

「どうした!? 辰馬!」

 

 

「ピストル、落としちゃったぜよ」

 

 

「えェェ!? なんて役立たず!!」

 

 

「アハハハハ!」

 

 

「このバカ! なんとかするアル!」

 

 

どうやらその銃を無くしてしまったらしく、それに憤慨した神楽にまたもや蹴り倒される。

 

 

「銀時! 陸奥から預かったアレ!」

 

 

「ったくしょーがねーなァ! おらよ!!」

 

 

「これは……」

 

 

「お前の部下が使えってよ! こうなる事がわかってたんじゃねーの!?」

 

 

フェイトの言葉を聞いて、銀時は浪士を何人か倒したあと、懐から陸奥から預かった拳銃を取り出して坂本に投げ渡す。

 

 

「えーっと、これがこうなって……」

 

 

「ってなに分解してんですかァァ!?」

 

 

だが坂本は何故かその受け取った銃を突然バラバラに分解し始めた。しかもご丁寧にどこから持ち込んだのかブルーシートを敷き、ライトの小道具を用意してまで。

 

 

「いや何か触っちょったら……」

 

 

「やっぱりバカだよあの人ォォ!!」

 

 

「あーもう!! バカはほっとけ!!」

 

 

そこから坂本は戦力として数えず、4人だけで次々と浪士たちを薙ぎ倒していく。

 

 

《Shoot Barret》

 

 

「!!」

 

 

するとそこに……フェイト目掛けて1発の赤い魔法弾が飛来する。それを察知したフェイトは後ろに飛んで回避すると、魔法弾はフェイトから手前の地面に着弾して爆発する。

そしてその魔法弾が飛んできた方向を見ると、ドルナードが得意気な笑みを浮かべながらデバイスである杖を構えていた。

 

 

「クックック、知ってるぞ執務官。お前ら局の魔導師はこの世界じゃあ自由に魔法を使っちゃいけねーんだろ? さっきからバリアジャケットも纏わずにデバイスだけで戦ってるのがその証拠だ」

 

 

「……………」

 

 

「だんまりか。まァいい、いくら執務官といえども……魔法が使えなきゃただの女だァァ!!」

 

 

《shoot cannon》

 

 

「くっ……」

 

 

そう叫びながら、今度は赤い光線のような砲撃をフェイト目掛けて放つドルナード。それをフェイトは僅かに顔を歪めながら、体をそらして回避する。

 

 

「フェイトさん!!」

 

 

「大丈夫!! こいつは私に任せて!!」

 

 

「でも……」

 

 

「新八ィ! てめーは眼前の敵だけに集中してろォ!!」

 

 

「銀さん……でもフェイトさんが……」

 

 

「心配すんな、フェイトなら大丈夫だ」

 

 

フェイトを心配する新八に対して、銀時は確信に満ちた口調でそう言い放った。

 

 

「そらそらそらそらァ!!」

 

 

魔法が使えないフェイトに対して、更に間髪入れずに魔法弾を何発も撃ち続けるドルナード。

 

 

「行くよ──バルディッシュ」

《Yes sir》

 

 

するとフェイトはそう呟くと同時に、勢いよく足を踏み出し……なんと迫る魔法弾へと向かって一直線に駆け出した。

 

 

「なッ!?」

 

 

そんなフェイトの行動に、ドルナードは眼を丸くする。

 

 

その間にフェイトは素早く駆け抜けながら、身体を上下左右に動かして最小限の動作で魔法弾を回避していく。

 

 

「確かに私たち管理局は、この世界では許可なく魔法を使うことは許されない──だけど」

 

 

そしてあっという間に弾幕を掻い潜り……ドルナードの眼前に迫ったフェイトは強く握り締めたバルディッシュを大きく振り被る。

 

 

そして……

 

 

 

「あなたごときを倒すのに──魔法は必要ない」

 

 

 

そう言い放つと同時に、ドルナードの顔面にバルディッシュの先端部分を叩き込んだのだった。

 

 

「──────!!」

 

 

思いっ切り殴られ、悲鳴もなく吹き飛ばされるドルナード。そのまま倉庫の中へと突っ込み……奥の方で凄まじい轟音を響かせたのであった。

 

 

「流石フェイトアル!! 超強いネ!!」

 

 

「な? だから言っただろ」

 

 

「はい、僕の取り越し苦労でしたね」

 

 

その光景を見ていた銀時たちも、今ようやく浪人全員を倒したところだった。因みに坂本は未だに分解した銃をイジっている。

 

 

「やれやれ、これで全員片付いたな」

 

 

「うん。あとは拘束してから、感電血を取り戻せばようやく……」

 

 

依頼完了……と、フェイトがそう言いかけたその時……

 

 

 

──ゴゴゴゴゴゴ……

 

 

 

「「「!?」」」

 

 

突如として地響きが起こり、激しく地面を揺らす。しかもその震源はどうやら倉庫内のようである。

それによって…ただでさえ風化してた倉庫の壁は脆くも崩れ去り、続いて屋根などもガラガラと音を立てて崩壊していく。

 

 

「ハーハッハッハッハ!!」

 

 

するとその時…瓦礫の山と化したことで立ち上る砂煙の奥から、ドルナードの思しき高笑いが聞こえてくる。

 

 

そして砂煙が晴れるとそこには──見上げるほどにドーム状の巨大な大砲がそびえ立っていた。その大砲の操縦席と思われるドームのてっぺんには、ドルナードの姿もあった。

 

 

「見たか!! これが我が魔玖怒那琉党の最終兵器!! 超エネルギー集束砲『嵐欄流宇(ランランルー)砲』だァ!!」

 

 

声を高らかに響かせて叫ぶドルナード。しかしそれに反して、銀時たちの顔は引きつっていた。

 

 

「オイオイ、そろそろ怒られんじゃねーか作者。パロディネタでも盛り込みすぎだろ」

 

 

どこから怒られるとかは聞いてはいけない。

 

 

「貴様ら、あの感電血の行方が気になるだろう。そう、感電血とは……覚だけで言うと、これさえあれば力施設なんてもういらないっていうくらいのパワーで職人さんがの出るような努力で作り上げた一品のこと。そしてこの嵐欄流宇砲こそ、その感電血を動力に使ったエネルギー砲!! その威力は……自分の目で確かめてみろォ!!」

 

 

そう言うとドルナードは操縦席で操作し、砲身から凄まじいエネルギーの弾丸を発射する。しかも1発だけではない。2発3発と休みなく連射し始め、それが地面に着弾するたびに爆発が巻き起こる。

 

 

「「「うわぁぁぁぁぁ!!」」」

 

 

当然そんなものを防ぐ手段などない銀時たちは、必死に走って弾丸と爆発から逃げ回るしかない。

 

 

「できたァ!」

 

 

するとそんな時に、坂本の声が響く。

 

 

「とうとう完成したぜよ。ワシの切り札じゃ。さァ動いたらどてっぱらに──アレ? 誰もおらんきに」

 

 

分解した銃を再び組み直し、意気揚々と戦いに参加しようとする坂本だったが、もうとっくの昔に浪士たちは逃げている為に敵は誰もいなかった。

 

 

「ってずっとそれやってたワケ!? 今の状況わかってんのォ!?」

 

 

そこを銀時がツッコミながら、坂本の腕を引いて嵐欄流宇砲からのエネルギー弾から逃げる。

 

 

「何じゃ金時でもビビるきに? 肝っ玉の小さい奴じゃのォ」

 

 

「何その引っ掛かる言い方!? チキンレース!? この状況でェェ!!」

 

 

「ここはワシに任せるぜよ」

 

 

「まさかその拳銃であの大砲に対抗するつもり!? いくらなんでも無茶ですよ!!」

 

 

「無茶じゃないきに。砲身の上あたりをよく見るぜよ」

 

 

フェイトに対して坂本がそう言うと、全員が走りながら坂本が指摘した箇所を見る。そこには、動力源である感電血がガラスのケースに包まれた状態ではめ込まれていた。

 

 

「感電血アル!」

 

 

「弱点まる出しじゃないですか!!」

 

 

「ご都合アルヨ、ご都合」

 

 

「ご都合結構!!」

 

 

そう言うと坂本は銀時の手を振り払い、単身で嵐欄流宇砲に立ち向かい、銃を構える。

 

 

「ワシの見せ場も作らにゃ、ただのバカの話で終わっちまうぜよ」

 

 

そして銀時たちが固唾を飲んで見守る中……坂本は銃の照準を動力源の感電血へと定める。

 

 

「そこじゃァァ!!」

 

 

そんな声を上げると同時に、銃の引き金を一気に引いた。そして……

 

 

 

──ポンッ

 

 

 

「……アレ?」

 

 

その銃の砲口から出てきたのは……弾丸ではなく、『ふんばれ』と書かれた小さな旗であった。

 

 

「ふんばれかァ、こりゃあ一本取られたようじゃのう。アハハハハ!」

 

 

「って何それェェ!? お前も部下も揃ってバカだろォォ!!」

 

 

「完全にオモチャじゃないですか!! 何で陸奥はそんなオモチャを渡したのォ!?」

 

 

「今どき旗の出るピストルなんてお目にかかれないアルヨォ!」

 

 

そこへもはや3度目となるツッコミ混じりのスタンピングが坂本に降り注いだった。

 

 

「どうやら万策尽きたようだな。ならばこちらはトドメと行こう。集束モードON!」

 

 

すると操縦席に座るドルナードがパネルを操作すると、砲身に段々とエネルギーが集束されていく。

 

 

「ハッハッハ!! この集束モードはさっきまでの砲弾モードとはワケが違うぞ! 感電血の膨大なエネルギーを一点に集束して最強の一撃を放つ! ここら一帯を更地に変えるほどのなァァ!! ハーハッハッハッハ!!」

 

 

そう言って高笑いを上げるドルナード。だがその時……

 

 

「アハハハハ! アハハハハ! アハハハハ!」

 

 

ドルナードを上回る笑い声を上げる者がいた。それは、地面に仰向けに倒れながら何かを見上げている坂本であった。

 

 

そしてそんな坂本が見上げる先には……坂本が率いる快援隊の私設艦隊『快臨丸』の姿があった。

 

 

「なにィ!?」

 

 

突然空から現れた戦艦に驚愕するドルナード。すると、快臨丸からスピーカー越しに陸奥の声が響き渡る。

 

 

『我らは快援隊、坂本辰馬率いるカンパニーじゃ。我らの大義を阻むものは──何人たりとも許さんぜよ!!』

 

 

そう言い放つと同時に、快臨丸の武装砲台から攻撃が放たれる。当然、避ける術のない嵐欄流宇砲は直撃する。

 

 

「ぐぅぅぅ……おのれェ!! だがもうエネルギーの集束が終わる!! まずは貴様らから撃ち落として──」

 

 

思わぬ反撃を受けて、激昂したドルナードが絶叫に似た声でそう叫ぶ。

 

 

だがその時……

 

 

「「オオォォォォォ!!!」」

 

 

「!?」

 

 

不意に…2人の男と女のものと思われる、咆哮のような声が聞こえてくる。

 

 

その声がする方へと視線を向けてみると……そこにはいつの間にか嵐欄流宇砲の巨体を駆け上り、動力源である感電血へと迫る銀時とフェイトの姿があった。

 

 

そして……

 

 

「でりゃァァァァァ!!」

「やあァァァァァァ!!」

 

 

銀時とフェイトが同時に振り下ろした木刀とバルディッシュがまるで×を描くように叩き込まれ、動力源の部分を破壊した。

 

 

「き…貴様らァァァァァ!!」

 

 

動力源が破壊され、蓄積されたエネルギーは行き場を失う。そうなると必然的にエネルギーが暴発し、嵐欄流宇砲は凄まじい大爆発を起こして砕け散ったのであった。

 

 

「なんとか間に合ったぜよ、陸奥」

 

 

その爆炎を見ながら、そう呟く坂本。そんな彼の姿を見た銀時とフェイトは気づいた。

坂本が手に持つ銃の銃身に…ピコピコと点滅する発信機のようなものが埋め込まれていたことに……

 

 

 

 

 

      *

 

 

 

 

 

それからしばらくして、快援隊の従業員たちが魔玖怒那琉党の浪士たちを捕縛する。そして銀時たちは、ドルナードに盗んだ感電血と大金の在処を締め上げて聞き出し、別の場所に隠されていたそれを発見した。だが……

 

 

「カラ……?」

 

 

見つけた感電血が入っていた箱と金の入っていたトランクケースの中には、何も入っておらずカラっぽであった。

 

 

「これは一体どういうことじゃ?」

 

 

「ドルナード、これはどういうこと?」

 

 

「し…知らねェ! 俺は確かにここに隠していたハズだ!!」

 

 

フェイトがドルナードにバルディッシュを突きつけて本当の在処を聞き出そうとしたが、ドルナード本人も慌てながら知らないと言い放った。その必死な様子を見て、どうやら本当に知らないのだと悟った。

 

 

「ドルナードが知らないってことは、私たちが戦っている間に誰かが盗みだしたってこと?」

 

 

「そうなるぜよ。しかし一体誰が……」

 

 

一体誰が盗んだのかと考え込む一行。

 

 

「!」

 

 

すると銀時は、何かに気付いたかのように顔を上げると、坂本の方へと視線を移した。そして坂本も盗み出した犯人がすでに分かっているのか、口角を吊り上げながら言った。

 

 

「もうわかっとるじゃろ? ヒントは──利益ぜよ」

 

 

 

 

 

      *

 

 

 

 

 

その夜……青木商会の本社ビル。

 

 

「急げ! 何をグズグズしている!」

 

 

そこでは…ビルの裏口から出てきた青木とその部下が、慌てた様子で裏路地を通り抜け、その先に駐車されているトラックへと向かって走っていく。

 

 

「そんなに急いでどこ行くつもりだァ?」

 

 

「!? あなたは、快援隊の……」

 

 

するとそんな青木の目の前に、銀時とフェイト、そして陸奥が立ち塞がった。

 

 

「夜のドライブか? それにしちゃァ色気のないツレとトラックじゃねーか」

 

 

「い、いやーご活躍で! なんとお礼を言っていいのやら」

 

 

銀時たちの姿を見て、すぐに取り繕うように人当たりの良さそうな笑顔を浮かべてお礼を述べて頭を下げる青木。だがそれに対して、陸奥が淡々とした口調で言い放つ。

 

 

「だがおんしらの金もワシらの積荷も見つからなかったぜよ」

 

 

「それは……いやはや……」

 

 

「ずいぶん出来過ぎた話じゃねーか? あんたらの正確な情報のおかげで事件は解決だ」

 

 

「けど、肝心のお金も積荷もどこにもなかった。そうなった場合、一番得をするのは誰だと思いますか?」

 

 

銀時とフェイトの問い詰めるような質問に、青木は何も答えずバツが悪そうに視線を背けるだけだった。

 

 

「おんしら保険入ってたじゃろ?」

 

 

「え? ああー……」

 

 

「とぼけても無駄ぜよ。金が無くなってもおまんらには保険がおりる…痛くも痒くもない」

 

 

「そしてその仕事を依頼した相手が潰れれば、同時に口封じもできる」

 

 

「全部あんたらのシナリオ通り。ただし、最後の詰めを誤ったようだがな」

 

 

「我々を侮辱するつもりか!?」

 

 

追い詰められた青木は、激昂したように叫ぶ。だが銀時は一切怯まずに言葉を続けた。

 

 

「人の良さそーな顔してやることは大胆だよなァ。俺たち全員踊らされてたってワケだ」

 

 

「け…警察を呼べ!」

 

 

「いいですよ、警察を呼んでも。ただしその時は正式な手続きのもと……この時空管理局執務官、坂田フェイトが徹底的に調べ上げてあげますよ。もちろん、あなたの会社についても…ね」

 

 

苦肉の策で警察を呼ぶように言うが、それもあっさりとフェイトに返される。それでも青木は負けじと言い返す。

 

 

「証拠は!? そこまで言うなら証拠があるだろ!?」

 

 

「証拠? 証拠ねェ……」

 

 

すると銀時はニヤリと笑って木刀を抜くと……そのまま勢いよく振り下ろして、トラックの荷台の屋根を切り裂いた。

 

そしてその中から出てきたのは……盗まれた感電血の束であった。まさに決定的な証拠である。

 

 

「あ…ああ……」

 

 

もはや言い逃れはできないと悟った青木は、その場で力なく膝をついて項垂れたのだった。

 

 

「全部お見通しだよ、バーカ」

 

 

その後……フェイトが事前に呼んでいた警察によって青木は逮捕され、青木商会は倒産したのであった。

 

 

 

 

 

      *

 

 

 

 

 

青木が逮捕され、無事に積荷も戻ってきて依頼を達成した銀時とフェイトは、陸奥から報酬が入った封筒を受け取りながら夜道を歩いていた。

 

 

「今回は世話になったのう」

 

 

「うぜーからもうウチに仕事持ち込むのやめてくれない? あいつと一緒にいるとバカが移っちまうからよ」

 

 

「あはは……そういえば陸奥、辰馬さんは?」

 

 

「頭か? あんしは今頃、キャバクラでふぐり蹴飛ばされとるじゃろ」

 

 

陸奥の予想は正しく…坂本は現在『すまいる』にて、求婚を迫ったおりょうにふぐりを蹴飛ばされていたのであった。

 

 

「オイ、あの真っ黒クロスケはどうした? あいつからも報酬もらわねーといけねーんだけど」

 

 

「クロノ提督か? そっちは知らんのう。おんしらに依頼してから、別れてそれっきりじゃき」

 

 

「あんの黒坊主……報酬払わずにトンズラこきやがったな」

 

 

「まぁまぁ銀時、クロノも色々と忙しいんだから」

 

 

「忙しくてもそれが報酬を払わない理由にはなりません。今度会ったらガッツリ請求してやる」

 

 

そんな会話をしながら、彼らは夜道を歩いてそれぞれの帰路についたのであった。

 

 

 

 

 

      *

 

 

 

 

 

時刻は深夜……場所は万事屋。無事依頼を終えて、すっかりクタクタに疲れたフェイトと神楽はすでに布団に入って熟睡していた。

しかし銀時……彼だけは何故かしかめっ面をして、深夜にも関わらず家から外出してきた。

 

 

「ったくあの(アマ)、ふざけやがって。なんで全部千円札なんだよ、これじゃせいぜい20万くらいにしかなんねーじゃねーか」

 

 

ブツブツと文句を言いながら階段を降りる銀時。

実は陸奥から受け取った報酬が入った封筒……見た目はかなり分厚く、銀時は少なくとも300万は硬いと踏んでいた。しかしその中身は全て千円札だったので、思った以上に少なかったのである。

そしてそれに憤慨した銀時はそのやり場のない怒りを発散させるために、下にある『スナックお登勢』でヤケ酒してやろうと思い、出てきたのである。

 

 

「おーいババァ、金は払うから酒を……」

 

 

ガラガラと店の戸を開けてそう言いかけた銀時だが、店の中を見ると同時にその言葉が止まる。何故なら……

 

 

「やあ」

 

 

右手に持ったお猪口を掲げて銀時に挨拶をする男……クロノがカウンター席に座っていたからである。

それを見た銀時は一瞬呆気に取られるが、すぐに顔をしかめてクロノへと歩み寄った。

 

 

「オイコラ、てめェこんなとこで何してんだ?」

 

 

「まぁ待て、君の言いたい事はわかってる。とりあえず座れ、話はそれからだ」

 

 

「……チッ」

 

 

銀時は舌打ちを一つ零すと、クロノとはひと席分の間を空けてカウンター席に座った。

 

 

「陸奥さんから連絡があったよ。無事に感電血を取り戻してくれたようだな。これで管理局も、快援隊との取り引きを進められる。礼を言おう」

 

 

「礼を言うくらいなら報酬払ってくんない? いくら嫁の身内でも、払うもんはキッチリ払ってもらうぜ」

 

 

「報酬なら、もうとっくに払ったさ」

 

 

「は?」

 

 

クロノが言った言葉に銀時は目を丸くする。銀時はおろか、フェイトや神楽や新八からもそんなものを受け取ったとは聞いていない。

するとそんな銀時に対して、クロノはしたり顔で答える。

 

 

「こちらのご婦人にね」

 

 

そう言ってクロノが手のひらで差したのは……カウンターに立っているお登勢。ニッと口角を上げて笑う彼女の手には、クロノが渡したと思われる厚みのある封筒が握られていた。

 

 

「報酬は、君たちの事務所の約5ヶ月分の家賃。そして──」

 

 

そこで一旦言葉を区切ると、クロノはもう1つのお猪口を銀時の前に置き…そしてそれに徳利に入った熱燗を注いでから、言った。

 

 

「ここの飲み代だ。今日は好きなだけ飲むといい」

 

 

「……キザな野郎だぜ」

 

 

そう毒づきながらも銀時は、お猪口に入った熱燗を一気に飲み干す。すると、カウンターに立つお登勢が何も言わずに新しい徳利とツマミとなる魚の切り身を差し出す。

 

 

切り身を一口頬張り、また酒を煽ると……銀時はクロノに対して口を開く。

 

 

「今回の依頼……わざわざお前がしゃしゃり出て来て依頼する必要はなかっただろ。積荷を盗まれた快援隊はともかく、お前ら管理局には実質的な被害は0なわけだしな。何が目的だったんだ?」

 

 

「目的なんて大層なものはないさ。ただ……久しぶりに可愛い義妹の顔が見たくなったのさ。ついでに……ナマイキな義弟の顔もな」

 

 

「……ケッ」

 

 

「それにだ……」

 

 

そう言うと、クロノは酒の入ったお猪口を銀時に向け……微笑を浮かべながら言った。

 

 

 

「たまにはこうして──義兄弟(きょうだい)水入らずで酒を飲み交わすのも、悪くないだろ?」

 

 

 

「!………」

 

 

それを聞いた銀時は少し驚いたような表情をすると、すぐにどこか気恥ずかしそうな顔でガリガリと後頭部を掻く。

 

 

「しゃーねーなァ」

 

 

そしてそう言いながら銀時もまた、酒の入ったお猪口をクロノへと向け……同じく微笑を浮かべて言った。

 

 

 

「今回だけだぜ──義兄(アニキ)

 

 

 

カチン…と、お猪口同士がぶつかる音が静かに鳴る。

 

 

その音を合図に……2人の義兄弟は、朝まで酒を飲み交わし続けたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

因みに後日、見事に二日酔いになったこの2人にフェイトの雷が落ちたのは余談である。




はい、というわけで今回の話で色々言い訳させてください。


『魔玖怒那琉党』
元ネタは皆さんご存知、某ファーストフード店です。アニメでは『悪の組織』という名の悪の組織が敵だったのですが……ちょっとだけでもリリカルなのは的な要素が欲しかったので差し替えました。
大丈夫ですよね? 色んなところから怒られたりしないですよね?


『桂&エリザベス』
紅桜篇の前にちょっとでも登場させておきたかった。ただそれだけです。
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