ドラえもん のび太の聖杯戦争   作:悪・猫

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33.聖杯戦争開始六日目/俺は彼女の<鞘>でもあり、彼女の<剣>である

「士郎は…私の罪を…私と言う【悪】を…斬り捨てないのですか?」

 

黒い仮面が砕ける――――――――

金色の眼はあのエメラルド色に戻り…あの冷酷な瞳は消えていく

俺の手には短剣…その短剣がセイバーの鎧に突き刺さっている…だが、その短剣はセイバーを殺すためではない

 

―――――――――――――――セイバーを救うためだ…

 

呪いとの契約が打ち切られる…そして、【呪い】はセイバーの体が抜け…俺から逃げようとする

 

「逃がすと思っているのか――――――!」

 

呪いの一部とは言え…俺は容赦なく、勝利すべき黄金の剣(カリバーン)を振るい、呪いを斬り伏せる

そして…力なく地面に倒れるセイバーを抱き寄せ…強く…強く…抱きしめる

 

「斬り捨てるわけないだろ!!お前を…!!お前を…!!」

 

本気の眼差しで彼女に自分を伝える…

 

「でも…私は…騎士道に反し…呪いを自ら受け入れ…大勢の人々を殺した…私は…殺人機械です、私は…あなたと言う【正義の味方】に切り捨てられるべきなのです」

 

セイバーの言葉に歯を食いしばる――――俺

 

確かに…彼女は自分の願いを叶えるため…騎士道を捨て、呪いに手を出し…大勢の人々を殺した加担者

 

 

 

 

 

 

 

斬れ―――――――――

 

 

 

 

彼女は悪…おまえは正義…悪を斬り捨てろ

 

 

 

お前は正義の味方―――――――彼女は悪だ

 

 

 

俺の【理想】が俺に命じる

 

だけど――――――

 

俺は彼女ではなく――――――おのれ自身の理想を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

斬り捨てた――――――――――

 

 

「俺はセイバー…いや、アルトリアだけの【正義の味方】だ…俺はアルトリアの鞘であり、そして剣になる、たとえが俺が全人類に【悪】と呼ばれようとも…俺はアルトリアだけの正義の味方になる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地に突き刺さる無限の剣――――

 

投影した勝利すべき黄金の剣(カリバーン)を片手に…ジャックに剣先を向ける

ジャックの表情に満面な笑みはもうない

 

 

 

「・・・・・・・」

 

ジャックは少々動揺した表情で…俺を見る

 

ジャックは俺の魔術を知っている…俺の魔術は【投影】と【強化】…だが、俺の魔術は普通の【投影】ではない

 

投影―――――――――

 

魔力を使って、物体を生成する魔術…

本来は失われた道具を一時的に復活する魔術である、しかし、投影魔術で生成した物は本来の物質よりも劣化品で本来の力を存分発揮する事は出来ない

さらに、投影した物体は時間がたてば、世界の修復により、消滅する…

だが、エミヤの投影魔術は…いや、これを魔術ではなく、【魔法】の類…エミヤの投影魔術で生成した物は時間がたっても、世界の修復は発生せず…消滅しない

つまり、世界の原理を捻じ曲げて、奇跡を起こしている―――と言うことだ

 

だが、所詮は贋作…性能は本物(オリジナル)よりも劣る…だが…

 

どうしてだろう…彼の手に握られている勝利すべき黄金の剣(カリバーン)は…オリジナルよりも…

 

脅威――――――とジャックは感じ取った

 

「ああ…これが俺の覚悟だ…行くぞ…ジャック・ザ・リッパー!!!!」

 

右手に握られた勝利すべき黄金の剣(カリバーン)を容赦なくなぎ払う…

 

地面を抉りながら襲いかかる光の線―――――

その破壊力は…異常そのもの

 

ジャックは眼を見張りつつもククリナイフで光の一撃を斬り伏せる

 

「・・・・・・・・・」

 

光の一撃を斬り捨てたとはいえ…どんな一撃でも砕けぬようにとお母さんが鍛え上げ、強化したククリナイフが一撃で砕け散る

 

片手であの一撃…いやそもそも、そんなことができるであろうか…神造兵装とはないとはいえ、勝利すべき黄金の剣(カリバーン)も、強力な聖剣の一つ

いくら、強化の魔術をフルで使用しても…片腕でたやすく勝利すべき黄金の剣(カリバーン)を振るえる物だろうか…

その時、ジャックはある予想にたどり着く…

 

彼は人間でも――――完璧な英雄でも、ましては正義の味方でもないことに

 

「人間を…捨てたの?エミヤお兄ちゃん…?」

 

冷たく…動揺した表情を表に出す…

 

それは守護者(カウンター・ガーディアン)のように世界と契約し、大きな力を手にするような生ぬるい方法ではない

もっと…もっと…狂った方法だ

おかしいと思った、エミヤが召喚した日本の大英霊…織田信長の宝具をお母さんと同じく、平気で防ぎきっている

それに、先程の私との戦闘でもそうだ…私はサーヴァント、彼は魔術師…異例な状況を除いて、魔術師がサーヴァントとあそこまで戦えるのは稀だ

体が壊れた様子はない…筋肉も骨も正常…表情を歪めるような仕草はない…

 

「それがどうしたって言うんだ…?」

 

俊足…お母さんと同等の速さで…私の前に立ち、容赦なく勝利すべき黄金の剣(カリバーン)を振るう

体をそらし、なんとか、勝利すべき黄金の剣(カリバーン)をかわす、距離を取りつつも、マテバ オートリボルバーの引き金を引く

だが、エミヤの体から魔力を纏った風が吹き荒れ…銃弾をすべて吹き飛ばす

 

「ちっ…」

 

すぐにマテバ オートリボルバーに銃弾を込め、エミヤに銃口を向ける…

 

「答えてよ?エミヤお兄ちゃん…どうして、お兄ちゃんは人間(・・)をやめたの?エミヤお兄ちゃんも…人の事言えないね?そんなの…エミヤお兄ちゃんじゃないよ?」

 

「ふっ…この世全ての呪いを取りこんだ、大反英霊に対抗するには…同じく狂った方法でなければ太刀打ちできないということだよ…ジャック…それくらい…お母さんの体内にいた君ならわかるだろ?」

 

「確かにね…だけど、私の予想が当たっていればだけど…それ、お母さんよりも狂った方法だよ?」

 

「確かにそうかもしれない…だけど、俺はアルトリアの正義の味方だ…アルトリアを守れるならそれでいい、つまり…その時がよければそれでいい、この先の戦いで俺が壊れた時は…その時だ」

 

エミヤは真紅のフードを脱ぐ…

髪の一部は白色化し…眼はエメラルドの瞳…

 

フードを外した瞬間…強力な魔力が放出される…

 

封印は…外された…

 

そう予感したジャックは身構える

 

やばい…殺される

 

予想外だ…此処までエミヤお兄ちゃんが強敵なんて…

 

私が殺されたら…お母さんがさらに壊れてしまう…

 

突きつけられた”死”を回避する方法をお母さんの知識から探す…

 

駄目だ…駄目…お母さんならまだしも…分離した私ではお母さんの高等技術を使えない

 

「さらばだ……ジャック」

 

勝利すべき黄金の剣(カリバーン)を振りきる…

 

先程よりも強大な光のエネルギーが私に迫る

 

 

 

 

 

 

ああ―――――私が弱かったから…死ぬんだ

 

ああ―――――私が弱かったから…あの時も…お母さんと桜お姉ちゃんを守れなかったんだ…

 

だから―――――お母さんは壊れちゃったんだ…

 

治したかった、エミヤお兄ちゃんの言うとおりだ、あんなの…お母さんじゃない

 

壊れたお母さんよりも…あの…優しい…

 

「ごめんなさい…お母さん」

 

涙を流し…ククリナイフを地面に落とし…膝をつくジャック…

 

光のエネルギーがジャックを呑みこむ…その刹那

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

侵食

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結界に穴が開く…そこからねじ込まれた魔方陣…

その魔方陣が強力な一発の弾丸が放たれる…

 

「ちっ…やっぱり、お前はお前だよ…のび太」

 

禍々しい呪いと強力な魔力が混じり合った弾丸が光のエネルギーをねじ伏せる…

 

「おい………俺の一人娘(・・・)に何してやがる…エミヤ」

 

捻じれる結界…空に空く…大きな穴…そこから…NOBITA(あいつ)が姿を現す

 

降り立つNOBITAに対し…勝利すべき黄金の剣(カリバーン)を地面に突き刺し…弓と矢を投影する

 

偽・螺旋剣Ⅱ(カラドボルグ)!!!」

 

矢を放つ…

 

真紅の魔力を纏い、流星の如く矢が…あいつに迫る

 

「舐めるなよ…」

 

背中に背負った…奴の真の魔術礼装…ドラグノフSVDを手に取り、構える

落下しているのにもかからわず、冷静にスコープを覗きこみ、迫りくる流星の矢を撃ち落とす

 

地面に着地すると同時にドラグノフを捨て、ククリナイフを抜き、エミヤに襲いかかる

 

エミヤは地面に突き刺した勝利すべき黄金の剣(カリバーン)を引き抜き、両手で握りしめ、NOBITAのククリナイフを防ぐ

 

それと同時に銃声が鳴り響く…銃弾がエミヤの頬を掠る

NOBITAの片手には…コルト・SAA

 

反応しきれなかった…だが、予測はできた…

 

エミヤは勝利すべき黄金の剣(カリバーン)の聖剣としての性能を存分に発揮し、NOBITAを切り飛ばす

 

派手に飛ぶNOBITA…

手ごたえがない…斬り飛ばそうとした直後、その力を利用しつつも地面を蹴り、自ら後に下がった…

 

殺意がこもった真紅の瞳がエミヤに突き刺さると同時にコルト・SAAの銃弾がエミヤに襲いかかる

 

「風よ…吹き荒れろ!!」

 

腰に装備した聖剣から暴風が吹き荒れ…銃弾を全て、無力化する

 

「……ちっ」

 

地面に着地し、捨てたドラグノフを手に取るNOBITA

 

「ジャック…逃げろ、おまえの意志は分かった…おまえはおまえなりの願いを胸に動け」

 

「お母さん…」

 

「俺を治したいんだろ…いけ」

 

NOBITAの言葉にジャックは頷き…黙って、NOBITAが開けた穴から結界を抜ける

 

「さて…お前のせいで…何もかも滅茶苦茶だ…聖堂教会の魔術師狩りを…俺がやらなければならなくなった」

 

NOBITAは静かにエミヤに言う…

 

「だが、そのおかげでジャックの意志を理解できただろ?のび太…やっぱり、ジャックも望んでいない…今のお前を…」

 

「確かにな…だが、俺はもう後戻りできない…俺は【英雄殺し】だ…俺は…ジャックと桜の正義の味方になれない…お前みたい側にいてやることはできない、俺は世界の改変を望んだ、お前とは違い、周りを変える事を望んだ…

だが、無理だった…だから、改変でなく、必要ない者を殺す道を選んだ…もう後戻りはできない…なんせ、俺がそう望んだら…止まらないからな」

 

NOBITAはそう言うとコルト・SAAをホルスターに納め…ジャックが落としたククリナイフを拾い上げる

 

「さぁ…俺の眼の前には…英雄が一人…俺はお前を殺すしかない…覚悟はいいか?英雄・エミヤ」

 

「あぁ…だったら、俺も…本気を出そう」

 

とうめいマントをはがす…

 

剥がれたとうめいマントから…現れた物にNOBITAは眼を見張る

 

「嘘だろ…」

 

「本気で結構…俺はお前の願いを阻止する…覚悟はいいか?断罪者【NOBITA】!!!」

 

鞘――――全て遠き理想郷(アヴァロン)に納められた聖剣…

 

エミヤは重々しく…轟々しい聖剣を…その鞘から抜く…

 

約束された勝利の剣(エクスカリバー)…だと…?」

 

あり得るはずがない…

 

NOBITAは眼を鋭くし…エミヤの聖剣を疑う…

 

 

 

「さぁ…ゆくぞ、断罪者…俺をただの英雄のまがい物と油断していると…お前の理想ごと、葬るぞ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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