ドラえもん のび太の聖杯戦争   作:悪・猫

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52.聖杯戦争開始九日目/襲撃

「子供の頃、僕は正義の味方になりたかったんだ」

 

俺が切嗣の養子になってから五年後…弱々しながらも照れながら俺に自分『理想』を語ってくれた。

『なりたかった」と言う事はあきらめたと言う事…だけど、じいさんによれば『正義の味方は期間限定で、大人になると名乗りにくくなる』とまるで体験談のように言っていた

そんなこと…本当に正義の味方になった人に言えないはず…それに切嗣は俺にとっては『正義の味方』だ…

 

 

「そうか…なら俺が代わりになってやるよ…じいさんの夢は俺の【夢】だ」

 

その時からだ…ここから俺は苦しむことになる、俺はじいさんの意思を…理想を継いだ。

でもじいさんはどんな『正義の味方』だったのだろう…そう思いながら俺は必至で考えた、だが、いつも思い出すのはじいさんがまだ元気だった時のあの言葉だった

 

『誰かを救うと言う事は誰かを助けないと言う事だよ』

 

だから俺はじいさんに『魔術』を教わった…でも『魔術』習ったからと言って、現状が変わるわけではない

とにかく、俺が出来ることはいざと言う時にすぐに動けるような身体を作ったり、魔術でガラクタを直すことしかできなかった

そんな日々がいつまでも続くのだろうか?そう思いながらも一日一日を無駄しているようにも思えた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「士郎!士郎ってば!!」

 

「!?」

 

イリヤの言葉にハッとする俺…ボーッとしていることに気づいていたのか、イリヤは少々は怒り気味で俺を見つめていた。

 

「ごめんごめん、ちょっと考え事をしててさ」

 

「もう!遊んでくれるのか、遊んでくれるのかはっきりしてよ!」

 

「悪い悪い…」

 

まさか、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンがこんなに無邪気な笑顔をするとは思ってもなかった。

最初に会った時はやはり大違いだ、初めて会った時の彼女は殺意の塊…氷のように冷たいあの眼は今でも忘れられなかった

 

「ねぇ…まだ気にしてるの?聖杯戦争の事…」

 

「あぁ…」

 

「でももう士郎は『マスター』じゃないんだよ…それとも…士郎には願いがあるの?」

 

「あぁ、俺は『ドラえもん』を生き返らせたい…それがのび太と俺の願いだ、脱落したとはいえ、それだけがどうしてもな…」

 

「そう言う事じゃない…士郎自身の願いはあるのかって聞いてるの…他人の願いなんて聞いてない」

 

先程とは違い、少々怖い眼で俺を睨みつけるイリヤ…なぜ起こっているのか理解できなかった。

ドラえもんを生き返らせたい…その願いはのび太と同じだ、なぜそんなことを俺に聞くのであろうか?

 

「そう言えば…そんなこと考えたこともなかったな…」

 

「えっ?」

 

「だって…俺は『のび太』のためにこの聖杯戦争に参加しただけだしな…」

 

「………………」

 

俺の返答を聞いたイリヤの表情は硬かった…その時のイリヤの心境は『やはり』だった

人として壊れている…自分自身を勘定に入れていない。

あのタイムパトロールの男が言っていた通り…そして、あの道具によって見せられた過去は事実…そしてこれから起きることも…

 

衛宮士郎()は切嗣と同じく『正義の味方』を目指している…『借り物の理想』にも関わらず、士郎は必至で足掻き、苦しんでいる

まるで切嗣を見ているようだった、聖杯を目指し、本当に『世界平和』を目指す切嗣()ようだった

 

「士郎はさ、正義の味方になりたいんでしょ?」

 

「えっ…」

 

イリヤの問いに俺は硬直する…と言うよりもあまりにも図星すぎて思わず言葉を失ってしまった。

 

「どうして…そのこと…」

 

「”あいつ”に教えてもらったの…衛宮士郎は人間として壊れている…『借り物の理想』で生きる壊れた人間だって…お兄ちゃんはお義父さんの理想のために生きてるんでしょ?」

 

「”あいつ”って…あのタイムパトロールの…」

 

俺の言葉に静かに頷くイリヤ…そして、イリヤは重々しくその口を開いた…

 

「私…"あいつ”に過去も、その先の未来も…全部見せてもらったの…このまま続くと何が起きるのか…この先は地獄だよ、その地獄が実現した瞬間…お兄ちゃんは壊れちゃう

 

何を言っているのかわからなかった、しかし、彼女の言葉で思い出したのはあの"天災”…宙から滝のように流れる泥、燃える町。

常にあったはずの日常、風景が一瞬にして消滅したあの日がまるで今、起きているかのようにフラッシュバックする

 

「何を…知っている?」

 

「知ってるも何も…全て壊れるのよ…全ての時間軸も…そして、理想を果たせなかったお兄ちゃんも…」

 

イリヤの重い言葉は心に喰い込む…全ての時間軸であの天災が起こる…町も物も…命を焼き尽くすあの天災が…

 

 

「そんなの…そんな未来…あってたまるか…」

 

震える身体…そんな中で力を振り絞って出た言葉は弱々しい言葉にだった。

 

 

「根は根太いと思っていたのだがな…案外、弱々しい言葉を発するんだな…『正義の味方』」

 

突然の突風だった…そう、禍々しい魔力が交じった風。

ど素人な俺でもわかる…あいつは俺と言う存在をどうしても消したいらしい…

 

城の屋根に立つ…魔霧の暗殺者…この聖杯戦争史上最悪の英霊であることに間違いはないであろう。

全ての時間軸の破壊を目論む英霊など、この世のどこにも存在しない、そんな最悪な存在が俺とイリヤの目の前に姿を現した

 

「士郎!!」

イリヤはすかさず、城の内部に眠る狂戦士(バーサーカー)を呼び出そうとするが、俺は手を出して、止める…

そして、俺は城の屋根に立つNOBITAに対し、問いを投げつけた

 

「どうして、おまえは俺を狙う…のび太…」

 

身構える俺とイリヤ…するとNOBITAは笑みを浮かべながら腰に装着しているホルスターに手を触れた

 

「俺がお前を狙う理由…そうだな、別にこの時間軸の『衛宮士郎』に対して何の怨みはないと言ったら信じるか?」

 

「信じられるか!答えろ、NOBITA!!どうして、俺を消そうとする、時間軸は違えど俺とおまえは『親友』のはずだ!!なのにどうしてこんなことをするんだ!!」

 

「あぁ、確かに俺とおまえは『親友』だったさ…お前の理想も理解はできる…だけどな、『タイムパトロール』と関わったお前を…野放しにはしておけない、なんせおまえには俺と同じく『未来』を変える鍵を持っている…その鍵を鍵穴に刺されると非常に厄介だ…だから、お前は非常に…厄介な存在だ!!」

 

狂戦士(バーサーカー)!」

 

NOBITAが殺気を剥き出しにした瞬間、イリヤはバーサーカーの名を呼んだ…城の頑丈な壁を内部から突き壊し、俺とイリヤに敵意を向けるNOBITAを見るや、簡単に城の屋根に飛び乗り、その強靭な身体で石斧剣を振るった

鼻で笑いながらも、NOBITAはたった一蹴りで石斧剣の軌道を反らす、その光景をみたイリヤは驚愕の表情を露わする

 

「もう手加減する必要性はないからな…」

 

唸るバーサーカーに対し、不敵な笑みを浮かべながら腰に装着している手榴弾の安全ピンを抜き、不意に地面に落した…

地面に落ちるとその手榴弾は本来の手榴弾の倍の威力でバーサーカーの足場を破壊し、城の内部に突き落とす…しかし、狂化しているとはいえ、あの大英雄・ヘラクレス…

堕ちる瓦礫を足場にし、再び地上へ復帰を試みる…しかし、その試みは既に読まれていた…

 

天の鎖(エルキドゥ)

 

復帰を試みるバーサーカーに対し、差し向けたのはギルガメッシュからコピーした神縛りの鎖…神性が高い英霊ほどその鎖の強度、縛りも強いその鎖をNOBITAは容赦なく解き放った

宙に居ては避けようもない、天の鎖はヘラクレスをぐるぐると巻き付け…拘束する

 

「なんなの…あの鎖…バーサーカー!戻っ…」

 

「待てイリヤ!!あの鎖は…只の鎖じゃない!!」

 

イリヤが令呪を使用を止める俺…根拠はない、だがあの鎖は異常だ…あのヘラクレスの強靭な肉体を簡単に封じている

どう考えても令呪で拘束を解けるような代物には見えなかった…しかし、その拘束は簡単に解かれる…

 

「私にその鎖………効かない」

 

矛槍を持った白いメイド服を纏った少女が簡単にその鎖を断ち切る。

バーサーカーでも解けなかったその鎖をいとも簡単に絶ち切る光景に驚く

 

「セラ!リーゼリット!」

 

バーサーカーを助けたのはアインツベルンの二人のメイドであろう…イリヤと同じく彼女達も人間とは違う異端な力を感じた

しかし、そんな彼女達もあいつにとっては…

 

「侵入者…殺す!!」

 

「待って!!リーゼリット!!」

 

NOBITAに挑む、メイドを止めるイリヤ…しかし、その命令を聞く間も彼女の心臓に突如として、穴が開いた…

 

「えっ…?」

 

気付かなかった―――――――――――――――――いや、もう既にイリヤが命令を下す前から彼女の心臓に穴が開いていた…

 

「リーゼリット!!」

 

「セラ!!逃げ…」

 

「邪魔だ…」

 

再び命令を聞く間も与えるセラの踵落としで開いた穴に叩き落とすNOBITA…返り血を浴びながらも躊躇なく、一瞬で二人のメイドを叩きつぶしたNOBITA

こいつが本当にあののび太なのだろうか?あり得ない…しかし、あの早撃ちはのび太でなければできない技術…

 

「セラ!!リーゼリット!!」

 

叫ぶイリヤ…しかし、彼女達から応答はない……………

 

「の……のび太ぁぁぁぁぁ!!!!」

 

返り血を拭うNOBITAに対し、怒りの感情を爆発させる俺、しかし、NOBITAは眉ひとつ歪めず、こちらを睨みつける。

 

「バーサーカー!!!!!」

 

イリヤの怒りの声を聞き、大音響の咆哮と共にリーゼリットとセラを殺害したNOBITAに襲いかかる

しかし、その石斧剣は簡単にその手によって軌道を逸らされる…

 

「邪魔な脳筋め………今、この場で処分してやるよ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふん、それは同意見だが、お前も一緒に散ればさぞオレの気も晴れるものさ…雑種

 

突然、降り注ぐ黄金の剣の豪雨…その豪雨は確実にNOBITAを殺すつもりで投擲された物…その宝物はすべてランク:A相当の物である

その豪雨が治まるとその光景はまるで隕石でも落ちたかのような大穴が開いていた…城の屋根の中でも一番高い場所からの宝具の投擲…その破壊力は絶大だった…

 

あの威力ならNOBITAも、ヘラクレスも屠ることは可能だ…しかし……

 

 

「Pocket.ON!!!!」

 

怒号………………出現する巨大なタンクローリーを容赦なくその黄金の鎧をまとった男の真上に投下するNOBITA…

しかし、黄金の男は笑みを浮かべながら再びその藏を開放し、タンクローリーを爆破する

 

「ギルガメッシュ!!!!!!!!!!」

 

今までにないほどの憎しみを込め、爆風と共にそのサバイバルナイフで黄金のサーヴァントに襲いかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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